コロナ禍でリモートワークが普及しましたが、近年では、基本的な業務スタイルとしてリモートワークを取り入れている企業も多くあります。ワークスタイルが見直されている中、コストを出来るだけ抑えられる「シェアオフィス」が注目されています。
しかし、シェアオフィスを検討するにも特徴や使い方が分からない人もいるでしょう。そこで今回、シェアオフィスについてや活用する際のメリット・デメリット、選び方についてを具体的に紹介します。
シェアオフィスとはどういう意味?
シェアオフィスとは、ひとつのオフィス空間を複数の企業や個人で共有する貸しオフィスのことを指します。一般的な賃貸オフィスとは異なり、会社ごとにスペースが区切られておらず、フリーアドレス形式で利用するのが一般的です。フリーアドレス形式とは、固定の席を持たずノートパソコンなどを使い好きな席で働くスタイルのことを指します。
シェアオフィスによっては、個室を借りられる場合もあります。ただし、一般的なシェアオフィスは共用の執務スペースが充実しているため、業務上必要であれば個室を借りるのがおすすめです。
リモートワークなどが普及しオフィスに関する費用を軽減できる省スペース化の手段として、シェアオフィスの需要が高まっています。実際に、ザイマックス不動産総合研究所の「フレキシブルオフィス市場調査2022」によると、シェアオフィスのように、用途によって柔軟に利用できるフレキシブルオフィスの総拠点数が年々増えていることがわかります。
※引用:フレキシブルオフィスの拠点数(東京23区)|フレキシブルオフィス市場調査2022
近年では、会社の拠点をシェアオフィスのみとしている企業もあり、新しいオフィスの選択肢として一般的になりつつあります。
フレキシブルオフィスの需要が高まっていることが分かったところで、シェアオフィスと他のフレキシブルオフィスの違いが分からないと、疑問に持つ人もいるでしょう。それぞれの違いについて、以下で詳しく解説します。
シェアオフィスとレンタルオフィスの違い
レンタルオフィスは、ネット回線やデスク、チェアなどの業務に必要な環境が整った貸しオフィスとなります。設備や備品についてはシェアオフィスと大きな違いはありませんが、複数の企業や個人で共有するシェアオフィスとは異なり、レンタルオフィスでは個室を月額で借りることが一般的です。
そのため、レンタルオフィスでは基本的に個室で執務を行います。一方で、シェアオフィスでは基本的に共有スペースを使いながら必要に応じて個室で執務するという大きな違いがあります。
レンタルオフィスについて、詳しく知りたい方は、以下をご覧ください。
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シェアオフィスとコワーキングスペースの違い
コワーキングスペースとは、シェアオフィスと同様にさまざまな人がフリーアドレス形式で仕事ができるワーキングスペースとなります。両者とも非常に似ていることから、シェアオフィスとコワーキングスペースが同じと認識している人も多いです。
シェアオフィスとコワーキングスペースの違いは、どこに軸を置いて利用するのかという点です。主に、コワーキングスペースは他者との交流を軸とし、シェアオフィスは作業の遂行が軸となります。
基本的に、シェアオフィスもコワーキングスペースでも個室ではなくオープンスタイルになっており、コミュニケーションを図りコミュニティ形成をすることは可能です。しかし、意見交換やコミュニティ形成を目的とする場合は、他者との交流を軸とするコワーキングスペースがおすすめです。
シェアオフィスの機能や特徴
ここからは、シェアオフィスでは具体的にどのような機能や特徴があるのか紹介します。シェアオフィスの主な機能や特徴としては、以下の5つが挙げられます。
- 仕事場の提供
- 来客対応
- 電話対応
- 郵便物対応
- 住所利用
シェアハウスによってはスペースの提供だけではなく、さまざまなサービスを依頼できる場合もあります。
仕事場の提供
シェアオフィスの機能として代表的なものが、執務スペースなどの仕事場の提供が挙げられます。業務に必要なデスクやチェア、ネット回線などの設備や備品が整っているため、契約した後すぐに業務を行うことが可能です。
このように、シェアオフィスではオフィスにかかる一般的な初期費用を大きく削減しながらも、新しい職場環境をすぐに作ることができます。
来客対応
シェアオフィスの設備によって異なりますが、会議室やミーティングスペース、共有スペースなどが設置されていることがあるため、来客対応も可能です。
多くのシェアオフィスで、水やコーヒーなどを置いているため来客用のドリンクも準備できます。
電話対応
シェアオフィスには受付があり、有人の場合と無人の場合でサービス内容が異なります。有人の場合に限りますが、シェアオフィスによって電話代行などのサービスを行ってもらうことも可能です。「03」などの固定番号が使えるため、携帯番号よりも会社に対する信頼性が上がります。
電話対応のプランによっては有料になる可能性もあるため、利用する際には事前に確認をしておきましょう。
郵便物対応
シェアオフィスのサービスの中には、郵便物の受け取りから発送対応まで行ってくれることもあります。シェアオフィスの住所にしておくことで、基本的に運営側の担当者が常駐していることもあり、外出・リモートワークなどの不在時でも郵便物を受け取ることが可能です。
また、郵便物対応も電話対応と同様に、受付が有人であった場合のみのサービスになることを認識しておきましょう。
住所利用
シェアオフィスによって異なりますが、会社住所としてシェアオフィスの住所を登録することが可能です。オフィスを借りていない場合では、会社住所として自宅の住所を登録している人も少なくありません。
シェアオフィスの住所を利用することで、自宅の住所が知られてしまうのを防ぐことができます。
シェアオフィスのメリットは4つ
ここからは、シェアオフィスを活用するメリットについて紹介します。メリットは、主に以下の4つが挙げられます。
- 費用を抑えることができる
- 法人登記ができる
- 新規案件の獲得も可能性がある
- 柔軟にオフィスの拡大・縮小が可能
それぞれ、どのような利点があるのか具体的に解説します。
費用を抑えることができる
シェアオフィスを利用することで、初期費用や固定費などの費用を抑えることが可能です。初期費用が抑えられる理由としては、業務に必要な家具や備品が揃っていることや、オフィス新設にかかる工事などが不要なことが挙げられます。さらに、シェアオフィスは賃貸オフィスよりも敷金・礼金が安く設定されています。
また、リモートワークなどでオフィスの省スペース化を図ることにより、月額の賃料となる固定費を抑えることが可能です。月額の賃料には、電気代やネット代が含まれているため、不必要なスペースを省くことで月額費用を大きく削減できます。
法人登記ができる
シェアオフィスによって異なりますが、法人登記が可能です。法人登記とは、会社などの法人を作る際に、取引上重要な情報を一般に公開するため法務局に登録する制度です。
法人として登録することで、拠点(一等地など)によっては会社の信頼性が上がり、ブランディングにも繋がります。また、小規模企業の場合はシェアオフィスの住所などを利用するため自宅の住所が知られてしまう心配も不要です。
新規案件獲得の可能性がある
シェアオフィスは共有スペースのため、自社以外にさまざまな企業・個人が利用しています。そのため、多種多様な業種の人と出会いコミュニケーションを図ることで人脈を形成でき、新規案件獲得の可能性があります。
シェアオフィスでは、企業同士で交流できるアプリやイベントの開催なども行っているため、多くの人と交流を持ちビジネスチャンスに繋げることが可能です。
柔軟にオフィスの拡大・縮小が可能
シェアオフィスでは、出社人数に合わせて柔軟にオフィスの拡大・縮小をすることができます。リモートワークなどの新しい働き方が一般的になっていることもあり、オフィスの広さを縮小し、省スペース化を図ることが可能です。
また、事業が成長した場合には、合わせてオフィスの規模も拡大することもできます。シェアオフィスは、会社の規模に合わせて柔軟にサイズを変更できるため、成長の過渡期であるベンチャーやスタートアップに向いています。
シェアオフィスのデメリットは2つ
シェアオフィスには、メリットだけでなくデメリットもあります。デメリットは、主に以下の2つが挙げられます。
- セキュリティが不安
- 周辺の騒音
シェアオフィスを検討している場合は、デメリットも含めた全体像を理解しておきましょう。
セキュリティが不安
シェアオフィスは共有スペースとなるため、さまざまな人が利用し出入りします。そのため、少なからずセキュリティリスクは伴ってしまいます。例えば、席を外した際の書類の紛失、電話などによる会話からの情報漏洩などが挙げられます。個人情報を取り扱う業種の場合、特に注意が必要です。
このようなセキュリティリスクの対策として、個室を借りる、ロッカーを借りるなどで契約書などの重要書類や備品の管理をしっかりと行いましょう。また、電話や会議をする際にはブースを利用するなど、情報の取り扱いに注意することが大切です。
周辺の騒音
シェアオフィスで共有スペースを利用する場合、人の会話や移動などによる周辺の騒音により作業に集中できない可能性があります。
一人で作業に集中したい場合は、ブースを借りたり自宅で一人で作業を行うなど、作業内容によって働き方を工夫すると良いでしょう。
シェアオフィスの選び方
ここからは、シェアオフィスの選び方について紹介します。選び方のポイントは、以下の通りです。
- セキュリティ対策はされているか
- 設備・サービス内容は豊富か
- 料金設定は適正か
- 立地条件はよいか
- 法人登記・住所利用は可能か
シェアオフィスには業務に必要な備品が揃っていますが、それぞれ提供しているサービスや機能は異なります。そのため、自社に最適なシェアオフィスの特徴を把握し上手に選ぶことが大切です。
セキュリティ対策はされているか
シェアオフィスは、通常のオフィスとは異なり多くの人が出入りし利用する共有スペースのため、業種によってはセキュリティ面を重視することが大切です。例えば、個人情報を取り扱うような業種であった場合、情報漏洩などの危険性を避けるためにセキュリティ対策がきちんとされているのか重要なポイントとなります。主なセキュリティ対策としては、以下の4つが挙げられます。
- 防音ブースがあるか
- ビルやオフィスの入口の警備はしっかりしているか
- ネット回線が個別にあるか
- 入退室を管理しているか
セキュリティ面を重視する際には、上記のような対策が多ければ多いほどおすすめです。また、ビル自体が警備会社と契約を結んでいるケースもあり、その場合は施錠忘れなどの不審な事があるとすぐに警備スタッフが来てくれます。セキュリティ対策を行うには個人だけでは難しい面もあるため、対策がしっかりとされたシェアオフィスを選ぶと安心です。
設備・サービス内容は豊富か
シェアオフィスによって提供しているサービスや機能が異なるため、自社が求めるサービス内容があるのか確認することが必要です。例えば、シェアオフィスで一般的に行っているサービスは以下の通りです。
- 来客対応
- 電話対応
- 郵便物対応
- コピー
- スキャン
- 会議室・ブースの利用
自社に必要なサービス内容を明確にし、シェアオフィスが提供しているサービスと照らし合わせて選ぶことが重要です。
料金設定は適正か
シェアオフィスを選ぶ際には、まず利用料金を自社の予算内に収めることが大切です。初期費用や固定費が抑えられるシェアオフィスですが、毎月発生する賃料が予算をオーバーしていないか、賃料には何が含まれているのか注意が必要です。
よくあるオプション料金には電話代行や会議室などの利用料が挙げられ、料金設定が適正であるのか確認する必要があります。
また、シェアオフィスの利用料金には、月額固定制と利用したい時に都度支払うドロップインの料金形態があります。
逆に、シェアオフィスは賃貸オフィスと異なり賃料に水道光熱費やネットの費用が含まれているケースがほとんどなので
高く見える賃料でも、他の経費と合わせると安く済む場合もあります。
シェオフィス選びには料金や契約形態が自社に合っているのか、事前に確認して選ぶ事が大切です。
立地条件はよいか
シェアオフィスの場所が、自宅からのアクセスや取り引き先へのアクセスなど、業務遂行において負担はないのかを重要視する事が大切です。オフィスの場所以外でも、飲食店、郵便局、銀行などの周辺施設も業務遂行において大切なポイントとなります。
立地条件によっては、自分や社員に負担がかかってしまう可能性があるため注意が必要です。
法人登記・住所利用は可能か
自宅で登記をしたくない場合や住所がバレたくない場合、法人登記・住所利用ができるシェアオフィスを選ぶことも重要な視点になります。もし、法人登記・住所利用だけが目的である場合には、バーチャルオフィスの利用も検討すると良いでしょう。
バーチャルオフィスとは仮想の事務所とも呼ばれており、事務用のスペースを貸し出しているサービスではなく、住所を貸し出すのみのサービスとなっています。そのため、法人登記・住所利用+仕事場の確保が目的の場合には、シェアオフィスがおすすめです。
シェアオフィスはベンチャーやスタートアップ企業におすすめ
シェアオフィスは、ひとつのオフィス空間を複数の企業や個人で共有する貸しオフィスです。さまざまな企業や業種の人と交流することが可能なため、新規案件獲得のチャンスや人脈の形成に繋げることもできます。
また、シェアオフィスを利用することで自宅の住所が公表されることを防げ、シェアオフィスによっては法人登記も可能です。出社人数や会社の成長によって、借りるスペースを縮小・拡大も柔軟なため、ベンチャーやスタートアップ企業におすすめです。
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