Givee株式会社 代表取締役 村上 卓斗
映像を通して企業や行政のマーケティング活動を支援する、Givee(ギビー)株式会社。
「動画で世界を前進させる」エンタメ集団として、Vtuberの製作から地方都市の観光PR動画まで、見る人を魅了する映像を手掛けています。
2020年の創業ながら、すでに官公庁や大手企業、また大学などあらゆるクライアントを抱える同社。代表取締役を務めるのは、イギリスの大学院で環境開発学を学び、帰国後は大手通信会社でキャリアをスタートした異色の経歴の持ち主、村上 卓斗氏です。
今回は村上氏に起業の経緯や仕事のこだわりなどを伺いました。
映像製作のニーズに応えるために起業。異業種からの挑戦
早速ですが、事業内容をお聞かせください
弊社は「本気の遊びで世界を驚かす」をテーマに、アニメーション製作やSNS動画、またVtuberのキャラクターデザインなど、デザインを起点にしたエンタメコンテンツで企業のマーケティングを支援しています。
得意とするのはモーショングラフィックスやキャラクターデザイン、ウェブCM製作で、また、最近はニーズが高まっていることもあり、SNS動画の受注も増えました。映像を通じていかにクライアント企業のファンを増やせるかを日々考えながら、ワクワクしてもらえるコンテンツを作っています。
幅広い分野の映像制作を手掛けているので、マーケティング以外の映像を作ることもあります。たとえば、ビジネスシーンでの好ましくない風潮や習慣をアニメーションを通じて問題提起するなど、ただ「楽しい」だけでは終わらないコンテンツも制作しているのが特長です。
ほかにも、子どもたちの道徳心を育むための教育にもアニメーションを活用できると考えているので、「Vtuber×教育」をコンセプトとした新たな領域にも挑戦していく予定です。教育分野ではこれまでとは違ったインパクトを世の中に残せるのではないかと期待しています。
以前は通信会社で働かれていたとのことですが、そこから現在の映像事業を立ち上げられた経緯をお聞かせください
ひと言でいうと「ニーズがあったから」です。新卒で入社した通信会社で働いていた時に、WEBマーケティングに携わった経験があったことから、独立してからも「昔マーケティングやってたなら、映像製作もできる?」と相談されることが増えました。もともと、アニメやエンタメにずっと興味があったので自分が好きなことで、なおかつニーズがあるなら映像製作をやってみようと思い、起業しました。
実は、独立した当初はまったく別の事業を計画していて、仙台で地域創生の事業を立ち上げたのですが、あまり上手くいきませんでした。
私は気仙沼の出身で、震災の影響を受けた地元の活性化に貢献したいという想いがあり、その関係でイギリスの大学院で環境開発学を学びました。大学院で学んだことを活かして地方創生に貢献したかったのですが、いま思うと東京から来た私が突然仙台で事業しても、上手くいくはずがありませんでした。
ただ、魅力あふれる地方都市の活性化に貢献したいという願いは変わらず持ち続けているので、今度は我々の強みである映像製作を通じて、その土地の魅力を発信するブランディング動画や、アニメファン向けの聖地巡礼動画を作り、違うかたちで貢献していきたいと考えています。
こだわりは「運気のいい場所」で働くこと
仕事におけるこだわりや譲れないことを教えてください
まず大事にしているのは、道徳心、仁義、倫理観の3つです。自分のなかに確固たる理想があるので、映像を作る際にもその理想や軸を常に意識しています。
あと「運気がいい場所」で働くことも重要視しています。これまで運気が良さそうという理由で池袋、麹町、池之端の順にオフィスを移してきましたが「さらに飛躍できそうなのはどこだろう」と考えたときに、六本木が思い浮かび、ここに引っ越しました。六本木はクリエイティブの会社との相性が良さそうでしたし、この辺りの雰囲気がすごく良かったので我々の運気も上がる気がします。
日本橋あたりも”気”がよさそうなので、次はそのあたりかもしれません。
一方で「利益が出ていないのに、自分の好きなことばかりをすべきではない」という考えもあるため、オフィスの中は必要以上に飾らず、一部のみパーティションを入れたり、少し手を加えたりする程度に留めています。
成長に応じて、徐々に内装もアップデートすることにしています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
壁はこれまでに本当にたくさんありました(笑)。
まず思うのは、自分のなかに大きな壁があるということです。たとえば、経営の意思決定をするときに「人を信じるか、信じないか」の壁があり、誰をどこまで信じるのか、そのバランスが難しいと感じています。
以前は自分の直感を信じていましたが、残念ながら過去に散々な結果になってしまったことがあったので、今では「直感にだけ従う」ということはやめました。
いわゆる「論語とそろばん」の考え方ですが、経営では道徳心を持ちながら財務もしっかり気にしないといけない。ですが、自分の優柔不断さから、意思決定のときにそのバランスを上手く保てなかったり、弱さが出てしまうことが私にとっての壁です。
日本発信のコンテンツで世界に挑戦!ピクサーを超える映像会社に
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
私は死生観が強く、常に人生一度きりだと思っているので主導権をしっかり握り、人生をコントロールしていきたいという強い想いがあります。そういった意味ではモチベーションというより、「やらなければいけない」という使命感が原動力になっているのかもしれません。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
映像分野で事業をやっているからには、ピクサーを超えたいと思っています。
弊社は「ピクサーを超え、ディズニーの船に乗る」をビジョンに掲げているので、将来的にはグローバルマーケットへ進出し、日本を代表する企業に成長することが目標です。
そのためにも、人を魅了する映像を作れるプロ人材を引き続き採用する予定です。
また、私は以前より日本人のモラルや道徳心を世界に発信していくことに興味がありました。
今後はその分野にも力を入れ、エンタメだけに終わらず教育分野でも多くの人に感動や良い影響を与えられる映像を作りたいと考えています。
打算的ではないビジネスのあり方を考える
最後に起業をしようとしている方へのアドバイスをお願いします
これは過去の自分に向けたメッセージでもありますが、一番伝えたいのは「論語とそろばん」の大切さです。
やはり倫理観がないと、資本主義社会で経営がきちんと回らないのが現実です。
利益を追求するだけでなく、企業としてのミッション・ビション・バリューを反映した、打算的でないビジネスのあり方を考えることが大切だと感じています。
あと私もそうでしたが、起業当初の計画とはまったく違う事業でうまくいくケースもあるので、計画に固執せず柔軟性を持って、自分にとっての最適解を見つけて欲しいと思います。
本日は貴重なお話、ありがとうございました!
起業家データ:村上 卓斗 氏
宮城県気仙沼市出身。University of Leeds卒業。
大手通信会社に入社し、経営幹部として戦略、採用、マーケティングの業務に携わり次長職を経験。その後、映像とマーケティングのGiveeギビー株式会社を設立し独立。
「動画で世界を前進させる」をモットーに、企業のマーケティング支援×動画制作でTVCM、企業PR、Youtube運用支援なども行う。また自身もビジネス系Youtubeのインフルエンサーとして動画制作や働き方に関して動画を投稿している。
企業情報
法人名 |
Givee株式会社 |
HP |
|
設立 |
2020年4月 |
事業内容 |
映像制作/Web制作/マーケティング支援 |
沿革 |
2020年4月 池袋にて事業開始 2021年4月 社員採用開始 2022年4月 事業拡大のため上野移転 2022年10月 事業拡大のため六本木移転 2023年1月 自社VTuber事業・アニメ事業開始 |
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