株式会社セールスコムズ 代表取締役社長 牧野貴宏

「中小零細企業を強くしたい」というミッションのもと、COBというコミュニティを運営するセールスコムズ。月額1万円で営業支援やビジネスマッチングを受けられる破格のそのサービスは、導入コストを抑え、中小零細企業の力になりたいという牧野社長の強い想いによって実現しました。コンビニ店長からフリーターを経て起業。その裏には、華美なサクセスストーリーではなく、泥臭い人間ドラマが溢れていました。

 

「君の1年半はまったくの無駄だった」先輩経営者からの叱咤激励

事業の内容をお聞かせください

「日本全国の中小零細企業を強くする」をモットーに、「COB」というブランドでビジネスマッチングコミュニティを運営しています。そしてそのコミュニティの登録者にリード獲得などの営業支援と会員制のマッチング支援を行っています。

 

営業支援というとテレアポ代行などで特定の商材をゴリゴリ売っていくイメージが強いですが、我々はソーシャルセールスを主軸としていて自社のコミュニティやSNSを活用してニーズのある方を探してご紹介するという形式です。

 

「人脈を使ったリファラル営業」というとイメージがつきやすいかもしれません。月額1万円と安価ですが、商談の確度と先方の温度感が高いことが特徴であり強みですね。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

もともと大きな志があってということではなく、なんとか会社員以外の働き方ができないかと模索していました。某コンビニチェーンの店長やSVとして勤めていましたが、転勤も多く、福島から2週間後に京都に行ってくれと言われたこともありました。その会社は辞めたんですが、辞めた後もすぐに起業するわけではなく、1年半ほどフリーターをしながら本を読んだりYouTubeで勉強をしていた…、つもりでした。

 

そして、いざ動き出そうと思った時、ある経営者の方に相談したんですが「とにかく人に会いなさい」とアドバイスをもらいました。そもそもビジネスの知見がなさすぎると。

 

すぐにFacebookやTwitterで経営者の方を探して「会ってくれませんか」とお願いして回りました。本当にさまざまな言葉をかけてもらいましたが、一番印象に残っているのは「(本やYouTubeで勉強していた)君の1年半はまったくの無駄だったね」というものでした。

 

初対面で言われたこともあり、ショックもありましたが今思えばその通りでした。やはり行動して初めて得られることがほとんどで、当時の勉強で役に立ったのは簿記の知識くらいですね(笑)

 

その後、営業代行を始めたんですが、最初はテレアポでゴリゴリ責めていくような営業支援を行っていました。ですが、アライアンス提携や人脈形成、課題解決といった企業間の「マッチング」に大きなニーズがあると感じ、月額性のコミュニティを中心に置いたビジネスマッチングを生み出すサービスにシフトしてきました。

 

月額1万円だからこそ中小零細企業を救える

仕事におけるこだわりを教えてください。

ビジネスモデルとしてはコストが安く、中小零細企業でも取り組みやすい形をとることです。COBのコミュニティは月額1万円の会員費が固定費で、それ以外は出来高での後払い変動費です。

 

そもそも営業代行は営業リソースの提供という形で月20-30万円かかる固定費の大きいサービスが多いですが、そこを我々は「月々1万円から始められますよ」という形をとりました。中小零細企業の力になりたいという想いは強いです。

 

私個人としてはそれほどメンタルが強いタイプではないので「極力仕事を楽しいものにすること」と「身体のメンテナンス」は大事にしています。

 

前者は、もちろんつらい仕事、嫌な仕事もありますので、例えば好きな仲間や先輩方と一緒にできるものはそういう枠組みを作って楽しいものに変えていくという感じです。

 

後者は、基本的なところですが睡眠や食事、運動はしっかりするよう心がけていて、睡眠やランニングに毎日ノルマを課しています。

 

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

やはりtoBでの営業経験がなく営業代行を始めた創業当初ですね。月額1万円での営業代行ということで興味を持って導入して下さる企業は多いのですが、結果が出せずに継続していただけないということが続きました。

 

それを改善するために、自身の営業スキルを高めることはもちろん、「活動の透明度を上げること」にも注力しました。営業代行は実際にどれくらい動いてくれているのか見えづらいという声も聞いていたので、定期的に契約企業へ相談の電話を入れたり、商談レポートを毎回作ったりと信頼関係を作っていくことも意識しました。

 

経営にダイレクトに貢献できる喜び

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

中小零細企業の会員様が多いですが、例えば営業支援でも1件の貢献がその企業の予算達成に大きく貢献できることがあるんです。僭越ながら、その企業様の助けになれていると感じられるのは嬉しいというか、モチベーションになります。

 

他にも、COBコミュニティは無形商材を扱われる企業様も多いのですが、先日は親和性のありそうなマーケティング関連の企業をお繋ぎしたところ、共同で交流会を始められたと伺い、そういった機会を作れる喜びもありますね。

 

あとはこれは使命感にも近いですが、社員や業務委託のメンバーが全国にいて、その方たちが日々頑張ってくれているから、自分もしっかりやらないとというのは大きなモチベーションです。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

現在、会員様へのサポートは営業支援が大半となっていますが、今後は採用面やバックオフィス、資金調達などもラインナップに追加していきたいと思っています。今後はさらに会員様も増えていきますので、業種や必要な支援によってコミュニティの中でもグループをさらに分けて、それぞれのグループでより効果のあるサービスやサポートを実現していきたいです。

 

先輩が体を張って乗り越えてきた「失敗体験」こそ宝

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

最初は当然ですが知見が圧倒的に足りないので、SNSやビジネスマッチングのサービスを使って先輩起業家の方とたくさん話してメンターを作った方がいいと思います。私の場合はその出会いがなければ今の私はないと思いますので。

 

そして「成功体験」はもちろん「失敗体験」をたくさん教えてもらうことをおすすめします。「成功体験」はその方や状況によって千差万別ですが、起業や経営における「失敗体験」はある程度パターン化されていると思います。

 

そしてそれは先輩起業家が体を張って乗り越えてきた生きた経験なので、とても参考になります。ただ、私も最初少し苦労しましたが、たくさんの経営者に会えば会うほどそれぞれの意見が食い違ってくることもあるので、教えていただいたことを全て取り入れるのではなく、自分の状況にあったものを取捨選択することも重要ですね。

 

あとは、その時はその人の言っていることがわからなくても、言われた通りやってみたら半年後にその意味がわかるということも私の場合はありましたので、まずやってみるという姿勢も大切かと思います。

 

あ、もちろん私にも何か聞きたいことがあれば当時の私が経営者の諸先輩方に相談させていただいたように、声をかけてもらえればと思います。

 

また、クレジットカードもある程度は持っておいた方がいいと思います。我々のような中小零細企業では黒字倒産は珍しくなく、売上が立っていても回収できなければキャッシュフローが尽きて、すぐに倒産してしまうこともありますので…。

 

最後の手段というか、本当に困ったときの命綱ですが救われる時が来るかもしれません。私も創業当時はそういった時がありましたので(笑)

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:牧野 貴宏 氏

2018年4月-2020年11月 ミニストップ株式会社 店長、SV

2022年12月-2022年3月 フリーター

2022年4月 セールスコムズ・ドットビズ合同会社入社

2022年8月 代表就任

 

企業情報

法人名

株式会社セールスコムズ

HP

https://www.salescomms.co.jp/

設立

2020年5月

事業内容

ビジネスマッチングコミュニティ運営 

営業代行

会員制ビジネスマッチング

沿革

2020年5月 セールスコムズ・ドットビズ合同会社設立
2021年7月 事業休止
2022年4月 現代表の牧野が参画、会社の立て直しを行う
2022年8月 株式化 株式会社セールスコムズに社名を変更し、正式に代表に就任する。

 

 

 

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