株式会社GACCI 代表取締役 若本憲治

 

同社若本社長は鳥取県で2014年に起業し、M&Aや事業継承をしながら、現在も数社の企業を経営しています。そんな中、ある出会いをきっかけに2021年2月株式会社「GACCI」を設立。建設業界の見積業務をデジタルの力を使って効率化することを着想してから2年。2023年4月シードラウンドで1億円資金調達を実施し、建設業の見積業務を行うSaaSプロダクト「GACCI」を開発・提供をスタートします。日本のアクセラレータープログラムの草分けである「Open Network Lab」に参加。DemoDayでは最優秀賞受賞。今、最も注目されるスタートアップ企業です。今回は、同社の代表取締役若本憲治氏に着想から業務内容、仕事への向き合い方をお聞きしました。

 

建設業の見積業務50%以上効率化するサービスが誕生

事業の内容をお聞かせください。

建設業界の見積業務を効率化するプロダクト「GACCI」を提供しています。

 

「GACCI」のサービス領域としては「プレコンストラクション」と呼ばれる、設計と施工の間に発生する膨大な事務作業のことをいいます。その中には、見積業務や原価管理業務、受発注など色々あります。

 

毎回行われる工事は違う場所、違うチームが集まって違うものを作る。ということを毎回繰り返しています。1社だけで仕事が成り立つ業界ではないので、元請け会社を中心にメーカーや専門業者、建設機材を提供する企業、材料を提供する商社などが数十社の企業がチームになります。なので、チームとしての効率化を図って行くことが、業界としての生産性を上げることにもなる。というのが「GACCI」のベースとなっています。

 

見積業務においての課題としては、業種ごとに見積内容をわけ、その都度、業者と電話のやり取りをし、どの業者が見積書を提出したか、できてない業者はどこか、などの確認業務に時間が取られていることです。一つの工事をする際に元請け会社が、見積依頼をする下請け業者は平均20〜30社あります。工事が大きくなれば100社にもなります。

さらに、現場と事務所を往復することも非常に多く、特定の方に業務の負荷がかかっていました。見積書をきちんと作ることに多くの時間が取られ、そのために経営判断や意思決定をする時間がないという業界課題がありました。

 

「GACCI」では、見積依頼や回収、原価管理などの領域を効率化するプロダクトを開発することで、建設業者様の本来の業務である設計や施工の部分に、できるだけリソースを確保してほしいという気持ちで取り組んでいます。

 

そこで「GACCI」で何ができるか、なのですが、元請け会社と下請け会社には同じシステムプラットフォームを使っていただきます。

設計書や内訳書を「GACCI」がアップロードするとデータを読み取り、それぞれ工事の種類ごとにわけて、そこから業者さんを選定し、一括依頼ができます。

その内容は各下請け会社に自動配信されます。

「GACCI」にアクセスすれば情報の共有と管理ができ、依頼を受けた業者は単価を入力し元請けに返信すれば完了です。

クラウド上で完結できることで「プレスコンストラクション」領域を圧倒的に効率化できるようになりました。

 

「GACCI」のメリットとしては、短期間で見積回収ができたり、見積状況をリアルタイムで共有ができ、見積・実行予算の精度を上げる時間の確保ができます。さらに、データを活用しスピーディに意思決定が可能になる、それが「GACCI」の提供価値となっています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

20年前に鳥取で起業し、さまざまな会社を事業継承してきました。そんな中、友人から廃業する事業を継承してもらえないかという話があり、当初はその事業を拡大するつもりでした。

 

継承した会社は未経験の業界で、鳥取県内の公共工事の入札情報を建設業界に対してWEBで提供するサービスを行っていました。その当時200社のユーザーからヒアリングしていくと、入札情報の話よりも「見積業務がとにかく煩雑で大変。効率化できないか。」という話が非常に多かったんです。

 

この業界課題を解決できないか。それが、今回の「GACCI」の着想にいたった経緯です。その後G’s ACADEMYでプログラミングを学び、同じスクールにいた仲間と一緒にプロダクトを作り始めました。

 

どんな困難も「情熱」があればすべてが楽しい

 仕事におけるこだわりを教えてください。

熱量を持って取り組めるものなのかどうか、でしょうか。

何かに取り組むとき、やるかやらないかの基準にもなります。とにかく仕事が好きで、楽しいからやっているという感じなんです。仕事とプライベートの境界線もなく、分けてもいないです。困難みたいなものはそもそもあるって、分かってやってるので、それ自体も楽しんでいるのかなとも思います。

世の中しんどいことはたくさんありますよね。仕事でつまずくことよりももっとしんどい人は絶対いますし。自分がやりたいと思ってやってはいてもしんどいことは勿論あるんですけれどね、結構すぐ忘れますね。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

何が最大の壁だったんだろう・・・

そうですね、一番難しかったのは 要件定義と設計の部分ですかね。 

こうやればできるっていう方法論を見つけるまでに、ものすごい時間がかかりましたね。見積の比較ができないとか、集計ができないとか、どうやっても必ず最後につまずいてしまうんです。そのルートを探すのがものすごく大変だったんです。なのでひたすらシミュレーションしました。全部絵に起こしたりしながら、どのパターンだったらできるのか。

今、現状行われている現場の作業が、このプロジェクト上で実現できるかっていうのはできるまで試し続けました。 

業界未経験からの新しい取り組みへの挑戦!

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

日本にとって、建設業界は絶対に必要ですよね。地震などが起きたときも、新しい建物を作るためにも必要。

 

業界内には、ITに苦手意識を持たれてる方は多いですが、必要だという気持ちはあるんですよ。上層部の方もデジタルツールを会社に導入することには、とても前向きです。実際、業務を行う方々は、30〜40代の方になるので抵抗は持たれてないと感じてます。

 

建設業界の課題解決に向き合い、「GACCI」を成長させていくことで、社会にも業界にも貢献できることが形となっていくのは、とてもやりがいを感じますね。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

着想から今日まで、「GACCI」に人がどんどん集まって来てくれて自分のできないことはチームのメンバーが補ってくれたり、お客様も含め協力してくださる方々がたくさんいます。その方々が、「GACCI」に関わったことで成長できた。業務が楽になった。

 

なんでもいいんです。何かしら恩返しができる形で、皆さんが今よりもっと良くなっていくことです。そうなると、僕は気持ちがいいです。

 

プロダクト「GACCI」は社名にもなっていますが、どんな思いがこめられているのでしょうか?

「GACCI」は、日本語の「合致させる」からきています。

 

プロダクト「GACCI」に関わる全ての方々と繋がるコミュニケーションツールだと思っています。それぞれの立場の方々の業務への想いがこのプロジェクト(工事)で「合致(GACCI)」してくれるといい、そんな思いをこめています。

 

ロゴに関しては、合体している。そんなイメージからです。

 

新しいことに取り組み続ける若本社長の魅力は何でしょうか?

※若本社長本人と広報の石井さまそれぞれにお聞きしました。

若本氏:自分では言いにくい話ですね、罰ゲームみたいですが。正直自分でもよくわかってません。ただ、周りからは、「若本と一緒に何かしたい、楽しそうだ」とは、よく言われます。あと、僕、できないことがめちゃくちゃ多いんですね。そこを埋めてあげなきゃってみんな思ってくれるみたいです。

 

石井氏:とってもおおらかで前向きな方です。たくさんの仕事が重なり忙しい時であっても、ひとつひとつ丁寧に対応してくださいます。ミーティングでは、毎回新しい構想が生まれるアイディアマンでもあります。また、人と人との繋がりも大切にしており、そんな人柄に魅力を感じ、この人と一緒に未来を作り上げたいと感じる人が集まってきているように思います。

 

「何がしたいか?」実現したいことを明確にする。

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします。

「起業したほうがいいよ。」と、起業することをどんどん進めるつもりはないのですが、やりたいことがあって、それを実現するための手段が起業ならばするべきです。

 

起業をしたいが目的になって、そこから一生懸命アイディアを探す人も、たくさんいますよね。大切なのは、自分は本当は何がしたいのか、なんで起業したいのか。

 

しっかり自分と向き合うことを、先にする方がいいと思います。

最後に読者にメッセージをお願いします。

現在、採用に力を入れています。積極的に進めています。スタートアップ企業や「GACCI」に興味をもってくれる人が増えてくれたら嬉しいです。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:若本 憲治氏

 

企業情報

法人名

株式会社GACCI

HP

https://gacci.co.jp/

設立

令和3年2月2日

事業内容

建設業の見積業務を最適化するクラウド型SasSサービス「GACCI(ガッチ)」を開発し、見積業務だけでは終わらず蓄積されたデータを活用します。

沿革

※サービスリリース、資金調達、採用、移転など

2023年4月シードラウンドで、デジタルガレージグループの株式会社DGベンチャーととOpen Network Lab・ESG1号投資事業有限責任組合を引受先とする第三者割当増資により、1億円の資金調達を実施。「GACCI」のサービス提供開始。

 

送る 送る

関連記事