株式会社Essencimo 代表取締役 杉田龍惟

株式会社Essencimoは、少数精鋭の専門家チームによる補助金・助成金申請支援サービス「補助金オフィス」を提供しています。代表取締役を務めるのは、杉田龍惟氏。東京大学経済学部在学中に起業し、現在も事業拡大に向け邁進し続けている若手起業家です。
順風満帆そうに見える杉田氏ですが、起業してからは予期せぬトラブルに直面したことも。学生時代に起業した理由も含め、詳しくお話を伺いました。

美容家電の販売代理店から補助金申請支援サービスに事業転換

事業の内容をお聞かせください

弊社は、公的資金調達制度と呼ばれる補助金や助成金などの調達支援サービスを提供しています。経験豊富な専門家チームが、事業計画書作成などの事前準備から補助金交付後の報告書の作成まで一貫して支援するのが特徴です。

 

依頼があれば融資やエクイティファイナンスの支援も行いますが、現在軸となっているのは事業計画書の作成です。業種で言うと、広義の経営コンサルティングに入ると思います。

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

実は創業時、今とはまったく別の事業をしていました。

 

当時、大学の友人に韓国からの留学生がいまして、その友人と韓国語を活かせるビジネスを一緒にしようという話になり、美容家電の輸入販売を始めることにしました。韓国から美容家電を輸入し、専売店として日本で販売するというビジネスです。今でも隣の倉庫に在庫が眠っています(笑)。

 

最初は順調でしたが、大学在学中に起業したこともあり、段々と学業とのバランスを取るのが難しくなっていきました。せっかく起業したのに、100%事業に専念することができない。結果、潰れるのではないかという状態にまで追い込まれてしまいました。そこで大学を1年休学することに決め、事業の立て直しに注力することにしたんです。
食い繋ぐためにも何とかしなければと思い始めたのが、現在行っている補助金申請支援サービスです。

 

なぜ美容家電の販売からこの事業に転換したのかと言うと、大学在学中に補助金のコンサルサービスを提供していた会社で一通りのノウハウを学んだ経験が関係しています。そのお陰で、この領域に馴染みがありましたし知見も深められたため、お世話になった会社とはサービス領域が被らない範囲で補助金申請サービスを始めました。

 

最初はこの事業でキャッシュを貯めて美容家電事業を立て直す計画でしたが、利益率を見てみると、こちらの方が圧倒的に良かったんです。そこで2期目の終わりに本格的にピボットしました。

補助金を必要とする企業に届くよう、支援を続ける

仕事におけるこだわりを教えてください           

少し話がずれてしまうかもしれませんが、こだわりと言えるのは我々が補助金制度の最適化を図り、補助金を必要とする企業に行き渡るよう支援し続けることです。

いま特に目指しているのは、補助金の最適化です。補助金は生産性向上や事業拡大に向け、スタートアップにも使われるべきものですが、実際のところ補助金自体の認知度がそれほど高くありません。結果、届くべき会社に補助金が届いていないという状況を招いています。「補助金制度を知らなかったから使えなかった」という状態は、特にスタートアップにとって損失につながります。

そういった損失を避けるためにも、資金調達の選択肢として補助金がより多くの企業に認知されるよう今後も取り組んでいきたいと思っています。さらに言うと「スタートアップが補助金申請を相談するなら、Essencimo」と想起してもらえるよう、会社の認知度も拡大させていきたいです。

起業から今までの最大の壁を教えてください

一番壁に感じたのは、売掛金の回収ですね。以前、売上を作ろうと焦っていた時期があり、半ば無理矢理案件を取ったこともありました。なかには契約書をきちんと結んでいなかったこともあったり。結果、売掛金の回収に苦戦し、一部は回収できないまま終わってしまいました。いま振り返ると、当時私はまだ学生だったため相手から舐められていたのだと思います(笑)。

 

売掛金を回収しようとこちらも動きましたが、無い袖は振れない。相手側に支払い能力がなければ、回収しようがないわけです。

その経験を活かして、今では支払い能力がない企業とは契約しないことを徹底しています。もちろん、契約書を結ぶのは大前提です(笑)。

 

目標は顧客へ本質的な価値を届けられる組織になること

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

会社をさらに大きく育て、顧客へ本質的な価値を届けられる組織にしたいという想いがモチベーションになっています。

 

長期的な目で見たとき、お金を稼ぐだけの事業に私はあまり興味がありません。たとえ10億円規模の事業に成長して、金銭的な安定を手に入れたとしても「稼ぐ、消費する」だけの生活には楽しさを見出せないなと。そういった意味で、理想とするのは消費から解放された生活です。

 

そのためにも、お金を稼ぐことだけに焦点を当てた企業ではなく、お金だけでは評価できない価値も生み出せる組織にしていきたいと考えています。社名に本質という意味の「Essence」を入れたのは、その想いからです。

 

現在行っている事業は本質的な価値を届けるサービスというより、誰でもできることを時間と情報の非対称性を解消するためにやっている側面が大きいといえます。どちらかと言うと「10を50にする」事業です。

大前提として、今後もこの事業を会社を成長させていく上のエンジンとして育てていきますが、将来は本質的なものを生み出す他の事業も横展開していきたいと考えています。

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

すごく先の話になってしまいますが、いま一番興味があるのは中小企業で素晴らしいプロダクトを持っているのに伸び悩んでいる企業を買収し、コンサルティングの観点で立て直す、といった事業です。コンサルティングを軸に買収した企業の業績を伸ばし、付加価値を付けて売却、またはホールディングス化するなどして再建支援に携わっていきたいです。

 

そのためにも、社内でコンサルティング領域と人材を強化しなければなりません。この1年で優秀なコンサルタント人材を採用できるよう、採用活動に力を入れていくつもりです。

とにかく「辞めないこと」が大事

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

アドバイスとして言えるとしたら、辞めないことでしょうか。

 

私が起業した際は、一部外部資本を入れていたこともあり途中で簡単に辞められませんでした。私のようなケースでは、一度起業したら戻る選択肢はないと言えます。

 

起業してたとえ売上に困ったとしても、BtoBで営業を頑張れば会社が潰れない程度の資金は稼げるはずなんです。なので、トラブルや困難に直面しても、逃げずに試行錯誤を繰り返して乗り切るという姿勢が大切かと。最低限の資金をどう稼ぐかを徹底して考えていれば、会社は潰れないと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:杉田龍惟 氏

東京大学経済学部出身。

2年生より補助金の申請支援を始めとした経営コンサルティング・資金調達支援業務に携わる。リクルートを始め数社におけるマーケティング業務での経験を基に、より実現可能性にこだわった事業計画策定に強みを持って支援を行う。2019年4月に株式会社Essencimo創業。

 

企業情報

法人名

株式会社Essencimo

HP

https://hojokin-office.essencimo.co.jp/

設立

2019/04/15

事業内容

「補助金オフィス」の運営を軸に主に新規事業実施における補助金・助成金活用の総合的な支援サービスを提供。

中小企業・スタートアップを対象として、活用可能な制度のリサーチ・提案、活用計画の策定、申請支援・事業化支援まで、各企業様が最も必要としている工程を分析し網羅的にサポート。

 

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