株式会社Ballista 代表取締役社長 中川貴登

株式会社Ballistaを創業した代表取締役社長の中川貴登氏は、DAO(分散型自律組織)のコンセプトを活用した「プロフェッショナルギルド」の運営を開始しています。個人それぞれが自ら考えて行動し、挑戦し続けながら社会課題の解決に取り組んでいく、という日本ではあまり類をみない組織形態の会社です。今回は「日本をより良くしていきたい」と熱い気持ちをもつ代表取締役社長、中川貴登氏にお話を伺いました。

 

社会を変えるプロフェッショナルギルド

さっそくですが、事業内容をお聞かせください。

私たちの会社は、2022年8月に3人で設立し、今は20名以上在籍しています。その多くが大手コンサルティングファーム出身で、その中でも特に戦略領域に携わってきた方々が多数います。また、働く仲間も増え、デロイトのディレクターといった高いスキルを持つ優秀な人材が、ボードメンバーに加わっています。

 

そうした多彩なバックグラウンドを持つメンバーと、「社会を変えるプロフェッショナルギルドの創出」をミッションに掲げ、我々の経営勢力を軸にした「経営コンサルティング」やデータを活用した「新規事業開発」などを中心に事業展開しています。

 

我々のミッションにもある「プロフェッショナルギルドの創出」ですが、さまざまな分野のプロフェッショナルを集めてきて、いわゆる冒険者ギルドを作っています。ギルドには剣士もいれば、魔法使いもいますし、それぞれに役割がありますよね。そのギルドをDAO型(分散型自律組織)のコンセプトを活用して運営し、社会課題の解決に取り組んでいくのが我々の特徴です。

 

具体的には地方創生や一次産業のサポート、ウェルビーイングなどに取り組んでいます。それらに加えて、ギルドの仲間と一緒に、我々がプロジェクトマネージャーとなってクライアントの支援なども行っています。クライアントの企業価値の最大化を目的に、専門的なアドバイスやプロジェクト支援を行っています。

 

また、別の事業としてプロフェッショナルを育てる支援もしています。具体的にいうと、キャリアデザインへの資金援助やトレーニングの場の提供などをしています。仲間作りにも力をいれていて、さまざまな社会課題に対して知見のある方々を週に一回ほど集め、DAO的な会議も実施しています。

 

DAOについて詳しく教えていただけますか?

DAOは、従来のようにトップ(社長)がいてそこから意思決定をしていく組織とは異なり、個人の「やりたい」を起点として、個人またはギルドのメンバーが自律して取り組む組織です。

 

トップダウン型で私がやれといったことをやるだけの組織になってほしくなくて、実際に働く仲間の意見や考えを尊重したボトムアップ型の会社を作っていくことを理想としています。

 

従来の会社の形にとらわれない組織体系をしているので、意識的にBallistaに所属しているメンバーもいれば、3ヶ月に一回だけ出勤される方もいますね。また、現在フリーランス向けの事業も行っているのですが、運営開始から約1ヶ月ですでに100名程登録いただいています。これだけの人たちが、我々のビジョンに対して共感し、集まってくれているということは嬉しいですね。

日本にインパクトを与える事業を作りたい

航空宇宙工学科を卒業してから、なぜコンサルを始めたのか経緯をお聞きしてもいいですか?

自衛隊を卒業したあと、コンサルティングやマーケティングなどを経験してきたのですが、一貫して「日本にインパクトを与える事業を作りたい」と思っていました。

 

これまで新規事業開発や組織改革、マーケティング事業などさまざまなことを経験してきて、より高い視点で成長戦略を描けるようになったという自負があったので、これは面白い仕事を始められそうだと思い、起業しました。

「ラストマンシップ」を持つこと    

仕事におけるこだわりや譲れない軸がありましたら教えてください

我々はプロフェッショナルであり、アウトプットにこだわりを持っています。メンバー一人ひとりが知的生産者なので、彼らが「ここまででいいか」と上限を決めてしまえば、そこで終わってしまうんですよね。

 

あと、メンバーにも強く言っているのですが、クライアントの期待値をいかに超えていくか、といったところにもこだわっています。

 

何より特に大事にしているのは「ラストマンシップ」を持つことです。自分の後ろには誰もいないんだぞ、という意識を強く持つことで、一人ひとりが責任を持って働けると考えています。

 

一人ひとりが自律した個であることは、我々のあり方でもあるので、それをきちんと体現できるメンバーであってほしいですね。

スタッフとの別れと良い人材の確保。この2つは事業主としての永遠の壁

起業から今までの最大の壁があれば教えてください

壁ですか・・・。そうですね、やはり創業メンバーとの別れ・・・ですかね。一緒に取り組むにあたって大きなビジョンに共感してくれる人もいれば、そうではない人もいるので、そのあたりの価値観の違いは、ある意味壁でしたね。

 

あとは、我々の会社の特徴でもあるのですが、良い人材が揃っているんですよ。だからこそ、彼らを自分の会社に呼んでくるのは難しかったですね。

「日本をより良くしていきたい」

継続されるモチベーションは何でしょうか?

私のモチベーションは、創業当初からある「日本をより良くしていきたい」という気持ちです。

 

一人ひとりの報酬が上がっていくことと、会社が大きく成長していく可能性が高まることは比例すると思うんですよね。だからこそ、「個を覚醒」させていけるような会社でありたいですし、ギルドはそのためにあります。

 

今の日本は、サラリーマンか独立するかの二項対立だと思っています。そこにグラデーションを持たせたくて、一人ひとりが経営者になる、自分の人生に対して主人公になれるような、そんなあり方を可能とする社会を実現していきたいです。

 

例えば、自分の給料が上がれば、やりたいことが実現できる。報酬を得て、一人ひとりがやりたいことを実現して、自律できるような社会にしていきたいです。

 

個の覚醒にあたって何か工夫はされていますか?

一番は経験です。私自身も自衛隊出身で報酬が低かった時代があったんですけど、それでも経験によって、経営コンサルタントにも、起業家にもなれましたし、いろいろな可能性が出てきたわけなので。

 

私が一番実現したいのは、Ballistaをインキュベーション組織にすること。人材の可能性を孵化させていきたくて、それが例えば、コンサルワーカーだとかギルドでさまざまな方と関わることで実現できるのではないかと思っています。

 

会社から与えられた仕事で給料をもらい続けるよりも、自分の力で何かを実現していきながら、貢献度に見合う報酬を得ていってほしいと思っています。もちろん個の力だけだと難しいので、そこをちゃんとレバレッジできるような環境が我々のギルドなのです。

 

私にとって会社に所属する意味は、2つしかないと思っています。

まず一つ目は、ブランド力。

二つ目は、ケイパビリティーです。

 

自分一人では実現できないことをやりたいから会社に属する。それが実現できる組織であり、そのようなあり方ができる組織を今後も築いていきたいと考えています。

一番の社会課題は「個人のなかに希望が無いこと」

今後の展望を聞かせてください

やりたい事は、大きく二つあります。一つ目は、社会課題を解決すること。もう一つは、個の覚醒を実現する仕組みや制度を作っていくことです。制度に関しては、すでに人事制度やDAOの実装で始めていますね。

 

今後解決していきたい社会課題は何ですか?

一番の社会課題は、個人のなかに希望が無いことだと思っています。

希望って何だろうと突き詰めたときに、「何かが変化する可能性がある」のが希望だと思います。

 

具体的にいうと、自分のキャリアアップにつながる可能性があることや、報酬が上がる可能性があること、豊かな生活が実現できる可能性があること、今までできなかったことができるようになることなどが、希望につながると思っています。

 

個人の可能性を高めるためには、自分に使う時間や自分の情熱を燃やすことができるかどうかが、すごく大事だと思っています。そこが、社会課題の解決につながると思っていて。

 

地方創生や一次産業のサポートなども大事だとは思いますが、一番は個人の可能性を高めることに取り組みたいですね。

 

個人の可能性という話がでましたが、変化を拒む人もいると思います。そのような場合はどう解決しますか?

変化を拒む人の場合、何をもって変わりたくないと考えているのかを深掘りすることが大切だと思います。あとは、その人のやりたいことを見つけてあげるのが一番の解決策ではないでしょうか。

さまざまな課題に一緒に取り組める人が増えてほしい

起業しようとしている方へのメッセージをお願いします

私個人の考えとしては、一人または一社で何かを実現するということは考えていなくて。さまざまな課題に一緒に取り組める人が増えてくれたらいいなと思っています。

 

一緒に働きたい人物像があれば教えてください

自分のやりたいことを持っている人や、我々の価値観に共感してくれる人が入ってくれたら嬉しいですね。今はまだ能力がそこまで高くない人でもやりたいことがあったり、情熱を持っているのであれば、我々の会社に入社することで変わっていけると信じていますし、能力を開花させることもインキュベーション組織を目指す我々のあり方だと思うので。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

 

起業家データ:中川 貴登氏

防衛大学校 航空宇宙工学科卒業。デロイト トーマツコンサルティングやエクサウィザーズなどを経て現職。これまで新規事業開発、組織改革、マーケティングの3つの軸で、多数の支援実績や実行経験を有している。直近では、組織変革の戦略策定や実行、会社設立、新規事業の立上げなどのプロジェクトを担当。コンサルティングスキル、実行スキル、情熱を併せ持つ。

 

企業情報

法人名

株式会社Ballista

HP

https://ballista.co.jp/

設立

2022年8月

事業内容

・DXコンサルティング(プロジェクト型支援/プロフェッショナル人材活用)

・自社プロダクト開発

・プロフェッショナルギルドの運営

 

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