株式会社トークナビ 代表取締役 樋田 かおり
株式会社トークナビ は、女性アナウンサーによる広報支援やコミュニケーション研修など、コミュニケーションにまつわる幅広い事業を手掛けています。代表取締役を務めるのは、 日本テレビ系列青森放送にてアナウンサーとしてご活躍されていた、樋田 かおりさんです。アナウンサーから起業家への転身。その経緯や、起業家として働くなかで直面した困難、また働くモチベーションなど、詳しくお話を伺いました。
女性アナウンサーが企業の魅力を発見し、社会に発信
事業の内容をお聞かせください
弊社は、伝えることを軸に「女子アナ広報室」という広報の代行事業を展開しています。
具体的には、弊社各地に在籍する約70名アナウンサーが広報活動に悩みを抱える企業の魅力を引き出し、プレスリリースを作成します。私たちがメディアへのアプローチも代行し、これまで以上に多くの取材を誘致できる企業へとブランディングしていきます。
他にも、声にまつわる研修を行っています。たとえば、短い時間で的確に情報を伝える力を磨くエレベーターピッチ研修や、コミュニケーション研修です。コミュニケーション研修では、出会ったばかりの人ともスムーズにコミュニケーションを取るための、質問力についてもお伝えしています。
アナウンサーは初対面の人でも、すぐにインタビューをしなければなりません。その際に必要とされる、相手に興味を持ち背景を想像しながら話を引き出すコツなども研修に取り入れています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
20代はテレビ局のアナウンサーとして働き、28歳でフリーランスになりました。アナウンサー時代は、ディレクターやカメラマン、照明さんなどとチームとして働いていたのですがフリーランスになった途端、当然ですがチームがなくなりました。
フリーランスとして働いて感じたのは、一人で成し遂げられる仕事には限りがあるということです。また女性アナウンサーは結婚や出産で離職した後、アナウンサーとして働きたくても働けないと悩んでいる人がたくさんいました。
そこで、私自身のためだけではなく、同じくフリーランスとして働くことを選んだアナウンサー達が、これまでに培ったスキルを活かしてセカンドキャリアを築ける場所を作るために、株式会社を立ち上げました。リモートワークを活用し、地方局出身のアナウンサーが在宅で「女子アナ広報室」や研修の仕事を行える環境も整えました。
何よりもコミュニケーションを大切に
仕事におけるこだわりや続けている習慣を教えてください。
弊社はコミュニケーションの会社ですので、社内のみならず取引先やビジネスパートナーなど、関わってくださるすべての方とのコミュニケーションを大切にしています。
習慣としては、メンタルを良い状態に保つためにも時間が空いたときには発声練習をするようにしています。発声練習は仕事の一環でもありますが、自律神経を整える効果があるため、時間が空いたらやるようにしています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
コロナで日常生活や仕事環境が変わってしまった時期が、一番大変だったかもしれません。
2020年3月のことです。会社設立5周年のパーティを開いた直後に緊急事態宣言が発令され、社内の士気が一気に下がってしまったことがありました。設立記念パーティーで皆のモチベーションが上がった矢先のことでしたので、その反動もあったのかもしれません。
緊急事態宣言が発令された直後の2ヶ月間は在宅ワークに切り替えたのですが、メンバーの中には、メンタルの不調を訴えたり、成果がなかなか上がらなくなったり、座りっぱなしの時間が多くなったことで腰痛を抱えてしまったりする人がいて、皆の活力がなくなっていくのを感じました。
そこでまずはメンバーの体調を整えようと、オンラインでラジオ体操や「エビカニクス」という子どもたちに人気の体操を毎日実施しました。オンラインでつながる時間を増やし、みんなで笑い合う瞬間を共有したことで士気が好転していったのを覚えています。
この経験からメンバー同士がつながることで会社としての成果が出ていたことを実感し、チームでいることの大切さや可能性にも気付けました。弊社の強みはチーム力であることを再認識できたことで、チーム力を活かした事業展開を考えるようになりました。
また、よりコミュニケーションの大切さを意識するようになりました。
生涯やり続けると決めた「声の仕事」
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
好きなことを仕事にしているので、会社が大変な状況になったとしてもあまりストレスを感じません。
もともと自分のなかで「声の仕事を生涯続ける」と決めていて、10代の頃からこれまで20年以上に渡って、声にまつわる仕事を続けてきました。好きなことをやり続けることが、ある意味モチベーションかもしれません。
実は子供のころは、話すことが嫌いだったんです。
ですが、高校生の時に放送部に入部したことがきっかけで、徐々に話すことが好きになりました。当時、高校野球のウグイス嬢を務めていたのですが、気持ちを込めて声を届けると喜んでくださる方が多くいらっしゃって、「自分の声でこんなにも人を喜ばせられるんだ」と実感し、それから話す訓練を本格的に始めました。
高校時代の経験がアナウンサーとしてのキャリアにもつながっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
今後もアナウンサーの聞き出す力や伝える力が活かせる「女子アナ広報室」の事業を成長させていきたいですね。広報活動や採用に困っている中小企業の経営者が多くいらっしゃるので、そういった方々をサポートできる存在になりたいと思っています。
また、「声で、未来を変える」をビジョンに事業を拡大していきたいと考えています。そのためにも現在、採用に力を入れています。特にチャレンジ精神が強く、事業を成長させることに関心のある方や、管理職としてチームをまとめることができる方の採用を強化するつもりです。
自分がやりたいことよりも、社会から求められていることが大切
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業する際は、「やりたいこと」より「できること」に目を向けた方がいいのではないかと思います。
人はやりたいことばかり意識しがちですが、まずは自分ができることを分析し、そのスキルを社会でどう活かせるのかを考えるのがおすすめです。
シンプルに言うと、「自分がやりたいことより、社会の役に立てること」でしょうか。そうして考えていくと、社会からさらに必要とされる事業を作れると思います。
私自身、一人で営業し司会の仕事を増やしていく形でフリーランスを続けることもできました。しかし、ほかにも多くの女性アナウンサーがセカンドキャリアに悩んでいる現状を知り、みんなが頑張れる場を作ることが、私の役割だと認識したんです。
その方が「伝える喜びを多くの人に届けたい」という想いも実現できると感じ、会社を作ることにしました。
自分のためだけではなく、社会に求められることを実行した結果、現在の会社の形があると言えます。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
採用情報
株式会社トークナビ では、さまざまなポジションの採用を強化中です!ご興味がある方は、ぜひ下記より詳細をご確認ください。
https://talknavi.co.jp/recruit/
著書のご紹介
著 樋田 かおり氏「社長の伝え方には会社を変える力がある」
数々のベンチャー企業やスタートアップ企業、老舗会社社長の“話し方”をマンツーマン指導した経験から、この時代に勝ち抜く会社の魅せ方、聞かせ方をまとめた1冊。売上好調、社員が伸びる会社の「聴覚情報」の整え方とは? ビジネスパーソンとして、コミュニケーションスキルを磨きたいすべての方、必見です。
起業家データ:樋田 かおり(といだ・かおり)氏
2008年、日本テレビ系列青森放送にアナウンサーとして入社。
報道番組のお天気キャスターやニュースキャスター、7時間生放送のラジオパーソナリティなどテレビ・ラジオの放送現場を経験。
28歳で独立し1年後、株式会社トークナビを設立。リモートワークを活用し、研修講師業、広報代行業、司会業を行う。
会社設立のきっかけである「結婚や出産で離職した女子アナのセカンドキャリアをつくること」に尽力し、5年で全国各地に女子アナを約70名抱える、類を見ないユニークな企業に成長させた。
企業情報
法人名 |
株式会社トークナビ Talk Navi Inc |
HP |
https://talknavi.co.jp/ |
設立 |
2015年3月19日 |
事業内容 |
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沿革 |
2015年3月 株式会社トークナビ設立 2016年 研修事業部発足 2017年 司会部発足 2018年 クラウドスタジオ*開始 *在宅でナレーションを録音しスマホで納品できるサービス 2019年 女子アナ広報室発足 2020年 女子アナ人事室発足 女子アナ広報室オーディション開始 2021年 日本アナウンサーキャリア協会設立 2022年 司会部を女子アナ司会部として始動 |
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