ココアンド株式会社 側瀬 千尋 氏
在学中にインフルエンサーとして活動していた経験をもとに、「個々と共に」をテーマに掲げ、SNSマーケティング支援を行っているココアンド株式会社 代表取締役 側瀬千尋氏。SNSのフォロワー数やいいね数などの表面的な支援だけでなく、お客様の本質に寄り添った支援が強みです。
また、「個」の強みを重視したチーム編成により、提供価値を最大化しているのも特徴。インフルエンサー業と兼業で、スキルアップと安定した収入を得られる働き場も提供しています。今回は、お客様にも働き手にも価値提供を行う同社の側瀬 千尋氏に、具体的な事業内容や事業を始めたきっかけ、今後の展望や起業する方へのアドバイスなどを伺いました。
「個々と共に」をテーマに掲げ、SNSマーケティング支援を提供
さっそくですが、事業内容をお聞かせください。
私たちは「個々と共に」をテーマに掲げ、SNSマーケティング支援を行っています。企業の個、ユーザーの個、仲間の個を大切にしているのが特徴です。
SNSは昨今の私たちの生活において最も身近なコミュニケーションツールです。休日のお出かけ先やライフハック術などの情報収集に加えて、就職活動や住まい探しといった人生の重要な局面まで、私たちはありとあらゆる出会いと選択をSNS上で繰り返しています。SNSで出会う情報により、ちょっとポジティブな気持ちになる人もいれば、運命の商品、運命のサービスとの出会いで人生が変わる人もいます。
そんなSNSにおいて、企業の想いがファンに届き、共に歩める関係を構築できるようお手伝いさせていただくのが私たちの役目です。具体的なサービス内容は、SNSの戦略設計や競合調査から始まり、企画、撮影、デザイン制作、アクション実行、分析、レポートなどです。施策として、キャンペーンやインフルエンサーのキャスティングを実施することもあります。
SNSにおいて、投稿すること自体は簡単ですが、ファンを増やすのは難しいものです。私たちは、「SNSを活用して事業を成長させたい」、しかし「最適な方法がわからない」「社内にリソースがない」という企業に対してサービスを提供させていただいています。
先ほど仲間の個を大切にしていると言いましたが、当社には動画の専門家や分析の専門家、特定業界の専門家など様々なプロが集まっているのも特徴です。中にはインフルエンサーもいます。
インフルエンサーとしての活動と並行して運用代行チームの一員として活躍しているメンバーもいます。自分もかつてインフルエンサー業だけで生きていこうとした過去があるので分かるのですが収入が安定しないんです。すごく稼げることもあれどリスクは多く立場は弱い、セカンドキャリアを築けないことも不安、止むを得ず違う仕事を選ぶ方もたくさん見てきました。
しかし、企業の支援をしていく中で、インフルエンサー業で培ったスキルがマーケティング支援に生きることを知りました。
私自身で言えば、学生時代毎日12時間ライブ配信をしていたその経験が企業のインスタライブコンサルをする際に活きたり、個人のInstagramアカウントで100万回再生級のバズを実現してきたそのノウハウを元にアルゴリズム優位な企画を考案できたりしています。
現役インフルエンサーのメンバーで言えば、例えば運用代行ご支援中の食品企業のアカウントに投稿するレシピ動画を作る際、レシピジャンルで10万人以上のフォロワーを獲得しているようなレシピ系インフルエンサーがプロとして企画から撮影まで担当するというようなこともあります。これは、他の業界・他の職種の場合も同様で、ご支援をする際、お客様の商品サービスや運用方針に合わせて最も最適な「個」を組み合わせたチーム編成を行うのも弊社の強みです。
現在の仕事を始めた経緯を教えていただけますか?
私は学生時代からSNSマーケターとして活動していまして、始めはライブ配信を行っていました。ミクチャ×関西コレクションlive配信コンテストで優勝したり、KDDIのライブコマースアプリ「CHECK」にて配信を担当したり、新興ライブ配信アプリの立ち上げ支援や飲食店のインフルエンサーキャスティング支援をしたり、そして卒業後はデジタルマーケティング会社でSNSマーケティング支援をおこなったりする中で、最終的に個人としてではなく「個」を結集させた組織を作り、企業と消費者の関係も、ブランドとファンという関係に替え、ポジティブなコミュニケーションを増やしていきたいと思ったんです。
もともと、「自分が生きていた価値を残したい」という理由から起業家に憧れていました。学生時代には、起業家である祖父の会社や父の会社が廃業、挑戦したアクセサリーショップもショート動画アプリ開発もインフルエンサー業も頓挫、起業は諦めて一度就職したものの、同年代起業家の活躍を見て居ても立っても居られなくなり、起業しました。しかし当社設立時は、再びショート動画アプリ開発を構想、資金調達を検討しており、SNS事業は運転資金集めの予定でした。ところが、法人設立の公表によって、前職や知人、SNS経由での相談が相次ぎ、その後お客様がお客様を呼び、営業0広告0で売上も右肩上がりに伸びたので、ニーズを感じました。「好きで、得意で、求められていること」。私の運命の事業は、原点でもある「SNS」なのだと気がつき、ここに全てを捧げてみることにしました。
現在は累計80社以上のSNSマーケティングを支援、監修した投稿の本数は1万本を超えます。当社メンバーも60名を超え、今期はよりお客様に求められるサービスにすべく、組織を磨くことに注力したいです。
SNSの運用だけでなくお客様の本質に寄り添う
仕事におけるこだわりや譲れない軸を教えてください。
私は、お客様と同じ目線で考えることを大切にしています。例えば、SNS運用の月次定例会では、当月の振り返りや施策提案等、分析改善のレポーティングを行うのが通常です。しかし、場合によってはマーケティングコンサルの時間に充てることもあります。
お客様が本来の目的を果たすために本当に必要なことは何か?を考えたとき、ただSNS運用をしていては果たせないことがあります。なので、「SNSで今こんなのが流行っている!次こんな商品を開発したらいかが?」「WEBサイトの導線はこうした方が良い」「自分はこの商品を愛用していてここが不便だった、SNSにもそんな意見が多いので、改善してほしい」などと、時には商品開発、WEBサイト、広告、モニター調査など、例えサービス外であったとしても定例会の60分は何に使うのも自由。同じチームとしてPJを成功させられるように、定例会では気になったことやお客様にとって有益だと思うことを話すようにしています。
お客様の本質は、SNS運用でフォロワーを増やしたいのではなく、「オウンドメディア集客を強化し、全体のマーケコストを抑えたい」「社内で新しい施策を推進する役割を担い、評価されたい」など目的があり、いずれにしても売上を上げる必要があります。ただ、SNSはCV(購入)=売上については間接効果となるため、私たちの行う施策のみでは断片的な成果となってしまいます。モノを売るに至る全ての導線を考えると、商品開発や他のマーケティング施策との連携が欠かせないわけです。
単なるSNS運用業者に留まりたくありません。お客様と足並みを揃えてPJを推進する役割を担えるよう、24時間365日マーケターとして考え、貪欲に学び続ける必要があります。
最大の壁は自分自身
起業から今までの最大の壁を教えてください。
私にとっての壁は自分自身かなと思っています。起業したての頃は私1人で仕事をするのが普通でしたが、メンバーが増えるに連れて、色々な業務を任せたり、指示を出したりする必要が出てきました。
ただ、メンバーのアウトプットが期待値よりも低かった際に、つい自分でやってしまうタイプで、お願いしたはずの業務を巻き取ってしまったり。これでは、リーダーでも経営者でもないですよね。メンバーは成長しないし自分だけオーバーワークになり、ご支援のキャパシティに限界が来る、本来やるべき経営ができなくなる、それでもお客様の期待を裏切りたくなくて普通の人の3倍働くという方法で乗り越えてきました。でも、それを続けていたら会社としての成長はないなと。倒れて救急車で運ばれる母に付いていかず、仕事を優先した日には、人間として大切なモノを失った気がしました。
少しずつ任せるというのを覚えた現在ですが、それでもまだ後回しになっていた組織のメンテナンス。最大パフォーマンスでの支援を、より多くの企業に、より多くのSNSユーザーにと考えたときに、成長基盤を磨き続ける必要があります。今期は組織コンサルとも契約したので、中長期的に戦える組織マネジメントを学び、プロが活躍できる環境を整えていく予定です。
モチベーションは常に目の前にある
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
モチベーションは常に目の前のことにあって、お願いされたらやる、自分の出すアウトプットが不完全なのは恥ずかしいという責任感が原動力になっています。「ありがとうの数を増やしたい」という思いで起業しているので、自分や自分のチームが提供した価値に対して、お客様に感謝されることもモチベーションの1つです。
弊社は営業もしていないですし、広告も出していないのにも関わらず、お客様がお客様を紹介してくれたことで大手企業からのお仕事も増えてきています。これは理想的な状態ですし、とてもありがたいご縁です。
そうしたご縁に感謝しながら、価値提供できるよう、日々アップデートしていきたいです。
紹介につながっている理由は何かありますか?
自分でいうのも恥ずかしいのですがお客様から期待されているのは大前提なので、その期待値を超えていくことを重視しています。SNS運用の成果はフォロワー数やいいね数など色々と指標はあるのですが、実際は数値だけでなくてどれだけ寄り添えたかも大事になってきます。私たちがいてくれないと困ると求められるのはとても嬉しいことですし、先ほど述べたような本質的に寄り添った提案やコミュニケーションが大事ですね。
今後やりたいことや展望を教えてください。
SNSマーケティング支援を行う会社として大きくなりたいのはもちろんですが、奥行きがほしいなと考えています。お客様を支援していくなかで商品開発に携わることもあるのですが、そこをもっと特化していきたいです。SNSで売れそうなものをしっかり制作する段階から始めて、マーケティング部分の支援も行うといった感じに幅を広げていきたいのです。
今後も変化することが予想されるSNSですが、どのように対応していきますか?
SNSの流れでいうとどんどんリッチなコンテンツになっていってるというのがあります。文字情報から始まって画像になって、そこから動画になって、その動画が短くなって。また新しい何かが来るかもしれないですが、先取りしすぎないでユーザーの多い媒体、かつお客様に合う媒体を選んで支援をしていけばよいと思っています。
SNSの変化は激しいですが、共通していることは、当社のミッションにもあるように「個」を考えるということです。お客様の「個」、SNSユーザー1人1人の「個」、仲間の「個」。その投稿を見たSNSユーザーのAさんはどんな人で、何を考え、どんな想いを抱きどんな行動をとるのか?それを考えれば自ずと答えは出てきます。人の心理に対する鋭い洞察と、各媒体のアルゴリズムやトレンド等の知見を掛け合わせればどんなSNSが生まれたとしても再現できるので、怖いものなしですね。
泥臭さや責任感も楽しいと思えれば起業すべき
起業しようとしている方へのメッセージをお願いします。
起業したい方はぜひ頑張っていただきたいと思っています。
ただ、キラキラして見えるものほど泥臭いことは忘れないでほしい。私自身、挑戦しない人生の方が幸せだったな、日常を犠牲にしてるなと思うこともあります。また、会社が大きくなるにつれて逃げられない責任も大きくなっていくので、そういったことを楽しいと思えるかどうかにかかっているかなと。どうしてもやりたい方は起業することをおすすめします。
目の前のことに向き合え続ければ、プラスな未来しかないと考えているので、私も頑張ります!
起業家データ:側瀬千尋 氏
明治大学商学部卒業。在学中よりSNSマーケターとして活動。
・ミクチャ×関西コレクションlive配信コンテスト優勝
・講談社や宝島社の雑誌にて読者モデル活動
・ライブコマースアプリ「CHECK」にて配信を担当
・広告会社社内勉強会登壇やPRコンサル等
ソウルドアウト株式会社に就職。
SNSマーケティング支援業務に従事した後、当社を設立。
SNS投稿累計1万本以上監修。
SNSマーケティング支援企業累計80社以上。
企業情報
法人名 |
ココアンド株式会社 |
HP |
|
設立 |
2021年5月31日 |
事業内容 |
SNSアカウント運用代行/インフルエンサー施策の実行/SNSアカウント運用コンサルティング/PRコンサルティング |
沿革 |
2018年 代表がSNS事業を開始。 2021年5月 当社設立。 Instagramアカウント運用代行サービス、Instagramコンサルティングサービス、インフルエンサーキャスティングサービスを開始。 2022年5月 Twitterアカウント運用代行サービスを開始。 2022年10月 TikTokアカウント運用代行サービスを開始。 2023年6月 商品開発コンサルティングサービスを開始。 |