株式会社テクノア 代表取締役 山﨑 耕治

製造業 をはじめ日本の中小企業をデジタル面でサポートする株式会社テクノア。代表の山﨑氏は創業者から直々に バトンを渡され社長に就任し、社員の成長を通じて社会へ還元できるよう日々奮闘しています。

 

今回の記事では、事業をする上でのゆずれない軸や最大の壁、ベンチャー企業がものづくり業者とデジタルでつながることができるサービス「プラッとものづくり」の魅力などをお話しくださいました。

 

事業の内容をお聞かせください

岐阜に本社をおく、独立系IT企業です。業務用のパッケージソフトウェアの比率が8〜9割を占めます。

 

中小製造業向けの生産管理システムやAI画像認識を活用したIoTソリューション、クリニック・小規模病院向けの健康診断支援システム、スポーツユニフォームメーカー向けのウェブのカスタムシミュレータ事業、ものづくりに特化したビジネスマッチングサービスなどを提供しています。

病室で創業者から「社長をやってくれ」と言われ即決

代表に就任した経緯をお伺いできますか?

 

私は、2000年に中途入社し、生産管理システムの営業を行っていました。 

2015年に先代である創業者が腎臓がんステージ4だと発覚し翌月に摘出手術をしましたが、他に転移している状態でした。

 

そして、2016年1月、病室で私は「社長をやってくれ」と言われました。お世話になった方が病を患って目の前に横たわっている、その状況で「考えます」とは言えませんでした。「とにかく安心させたい」という思いで、継ぐことを即断即決しました。

 

先代には「大丈夫、俺が育てるから」と言ってもらったのですが、2016年の5月に社長に就任して、16日後には亡くなってしまいました。
先代はまだ会社のことを心配していたと思いますが、私が社長に就任した姿を見届けていただくことはできました。

 

先代は、外から経営者が来ることを、おそらく避けたかったのではないかと思います。長年、会社にいた人間であれば、企業が何を大切にしているかを分かっている。だからこそ、社員である私を選んだのではないかと思います。

 

いち社員として働いていた当時の私にとって、ここまでの出来事はまさに青天の霹靂でしたね。

まずは社員とのご縁を大切にすること

仕事におけるこだわりを教えてください。

社長として社員を幸せにすることです。

 

先代が、亡くなる前に私に残してくれた唯一の教えです。厳しくも愛情深い人でしたので、私もその考えを大切にしたいと思い、社長としていかに社員を幸せにするかを考えて仕事をしてきました。 

 

また「縁があった企業や人々を幸せにする」という経営理念を会社で掲げているので、縁あって繋がれた社員を幸せにしたいと純粋に思います。社員の幸せが、お客様の幸せに回り回って結びつくと考えます。

 社長就任して5年後から、企業としていろいろな賞をいただくことが増えて、先代が伝えてくれたことや、これまで手探りでやってきたことは間違っていなかったと感じました。

 

 実際、社員が長く幸せに働くとスキルやノウハウが蓄積され、結果的にお客様に喜んでいただける仕事ができます。このようにしっかりと社会貢献活動をできていれば、自然と会社が成長し、社員のお給料を上げるなどの社員のための環境投資に回せるようになるという循環を念頭に置いています。 

また、理念研修にも力を入れています。企業として、ITを通じてお客様の事業変革をすることが目的なので、売上利益にこだわらないようにしています。目的と手段を履き違えないことが大切ですね。

 

さらに、資格手当やサークル活動、バースデイ会食など、組織の中で一定の幸せを感じられる取り組みをいろいろやっています。サークルは20ほどあり、約350人が活動しています。食事会補助として、会社が社員1人あたり月1回4000円を負担し、親睦を深めてもらおうと考えています。現在、リモートと出社が混在しているため、オンラインとオフラインの両方のコミュニケーションを大切にしています。

起業から今までの最大の壁を教えてください

振り返ると、社長就任直後に、最大の壁に直面していたのかなと思います。代表を任されてからすぐに先代が亡くなってしまったので、全て自分で決めなければなりませんでした。 

もし、生きていてくれたら、甘えたり相談できたかもしれません。しかし、自分で進むしかなかった分、経営者としての腹がすぐに決まりました。 

もちろん、社員にもたくさん助けてもらいました。自分一人では到底乗り越えられません。ただ、最終的な結論は自分で出しました。

ものづくりをしたい人と町工場をつなぐITプラットフォームを

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

何より、事業の社会貢献性の高さが、モチベーションの源泉です。日本の中小製造業が現在苦しい状況下にあるので、我々がデジタル面で支えようという志を持っています。

話は変わりますが、後藤新平の格言に「金を残して死ぬ者は下だ。 仕事を残して死ぬ者は中だ。 人を残して死ぬ者は上だ。」というものがあります。

私の事業承継時から生産管理システムはすでに日本一でしたが、先代が人を残せたかどうかは我々にかかっています。成長発展を遂げなければ「創業者は人を残せず亡くなった」と言われてしまう。それを避けたいという思いもモチベーションとなり、進み続けられています。

4月にリリースした御社の「プラッとものづくり」の開発経緯や魅力をお聞かせください 

プラッとものづくりサービスサイト:https://platto.technoa.co.jp/

 プラッとものづくりでは、ものを作りたい人と町工場をマッチングします。新しいプロダクトやサービスを作ってもらえる場です。

 

例えば、図面がない段階でも構いません。ものづくりで起業したい、プロダクトとして形にしたいなど、ものづくりに関してどう動いて良いか分からない方も、ぜひ気軽に相談して欲しいです。

開発経緯としては、もともと、東京都大田区のI-OTA合同会社様が、1社ではできないものづくりを近隣の町工場とともに行う仲間回しをデジタル化する実証実験をやっており、その中核企業が、我々のお客様でした。このデジタル仲間回しを実現するためにはITツールが必要という話を伺い、お力になりたいと思ったことがきっかけです。去年まで実証実験を行い、2023年4月から全国に広げました。

 

サービスの登録は無料です。既存の仲間で仕事を回すのは無料でできます。新たな仲間、新たな仕事を得るためのサービスは有料です。

 

サービスの魅力は、構想段階からものづくりをしやすくなったことです。製品を作りたくても依頼先が分からず、かたちにできないという問題を解決できます。 

また、開発相談の段階にいる方は、ものづくりの団体が伴走してくれます。最終的にどのような作り方が妥当なのかを一緒に決められます。

 

さらに、仲間内の経営者が廃業した際のサプライチェーンの再構築、パートナー探しなども可能です。

 

試作開発を繰り返して良いものづくりができ、製造業界の中小企業の未来が明るい方向に向かっていくことを願っています。

今後やりたいことや展望をお聞かせください

日本の中小製造業と海外の企業に繋がってもらい、試作開発やすり合わせなどの技術を活かしたものづくりをしてもらえるようサポートしたいです。

 

そのために、日本の中小製造業がマーケットを海外まで広げるお手伝いができればと考えています。海外から依頼を日本で受けて、量産の一歩手前までサポートする体制を整えたいですね。日本の中小製造業が、国内マーケットでパイを取り合って価格の叩き合いをするのではなく、グローバル市場へ乗り出し潤っていくのが理想です。 

 

また、製造業向けにデジタルツールを開発するIT系スタートアップ企業とも、ぜひ共に成長していきたいです。同じ志を持つ仲間として、連携しながら製造業をサポートしたいと考えています。

 新たなご縁によって可能性を広げてもらいたい

サービス利用者へのアドバイスをお願いします

ものづくりで起業を考えている方には、新たなパートナーシップ、出会いを求めて、ぜひ登録をしていただきたいです。

1社で抱えている問題も、チームで仕事を取りにいったり、パートナー探しをしたりすることによって、より良い方法で解決できる可能性があります。

 

また、ものづくりを行う製造業の皆様も、1社ではできない仕事を仲間と一緒に獲得できれば、下請けから脱却して高い付加価値のあるものづくり企業になっていけます。登録は無料なので、ぜひ気兼ねなく登録いただけたら幸いです!

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:山﨑 耕治

 入社後一貫して主要製品である生産管理システムの営業職に従事

 2008年より事業部長、営業統括部長を歴任

 2014年執行役員、取締役を経て2016年より現職就任

 

法人名

株式会社テクノア

HP

https://www.technoa.co.jp/ 

設立

昭和60年10月

事業内容

ビジネスプラットフォーム『プラッとものづくり』の提供開発。

その他、中小製造業様向けパッケージソフトウェアをはじめ、医療機関様向け、カスタムECサイト様向けなどの各種パッケージソフトウェアを提供しています。

また、業務用ソフトウェアの受託開発や、IT経営コンサルティングサービスなども行っています。

自社で開発、販売、運用支援、サポートまで行い、お客様のDX実現をサポートしています。

沿革

1985年 10月 株式会社テクノア設立

1993年 7月 建築石材専用CAD『PIETRA』を発売

1994年 4月 東京支店(※現:東京本部)を開設
6月 生産管理パッケージソフト『TECHS-S』を発売

1996年 5月 大阪支店を開設

1999年 5月 仮想縫製システム『i-Designer』を工業技術院物質工学工業技術研究所、岐阜県製品技術研究所、岐阜県生産情報技術研究所と共同で発表

2000年 7月 仮想縫製システム『i-Designer』を発売

2001年 8月 総合健診支援システム『iD-Heart』を発表

2003年 3月 生産管理システム『TECHS-BK』を発売

2006年 3月 九州支店を開設

2010年 6月 健診システム『健診レポ』を発売

2014年 3月 プライバシーマークの認証を取得

2015年  1月 フリーデザインシミュレータを発売

5月 3Dシミュレーションシステム『i-D Web クラウド』を発売

10月 設立30周年を迎える

2016年 1月 総合健診支援システム『iD-Heartストレスチェックシステム』を発売

5月 代表取締役社長に山﨑耕治 就任

7月 デザインシミュレーションシステム

 i-DESIGNERシリーズ『TEAMWEAR』『GOODS』『GOODS2D』を発売

2017年 12月 経済産業省より「地域未来牽引企業」に選定される

2020年 3月 AI画像認識を利用した工場の見える化システム

『A-Eyeカメラ』を発売

6月 中小製造業のIT経営推進を支援する新サービス

『IT経営プロジェクト』を提供開始

9月 「つなぐITコンソーシアム」に会員として加盟
(事務局:特定非営利活動法人ITコーディネータ協会)

    特定非営利活動法人ITコーディネータ協会に

ゴールドスポンサーとして参画

10月 位置×実績 見える化システム『Ez-Bee』を発売

12月 第54回(2020年度) グッドカンパニー大賞

「グランプリ」に選出

2021年 1月 KAIKA Awards 2020「特選紹介事例」に選出

3月 第11回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞にて

「審査委員会特別賞」を受賞

5月 連携型検査・工程実績収集システム

『Ez-Collect(イージー・コレクト)』を発売

12月 経済産業省・中小企業庁

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選出

2022年 2月 「岐阜県ワーク・ライフ・バランス推進エクセレント企業」

に認定

4月 見積業務のDXシステム『AI類似図面検索』を発売

7月 大田区、産業振興協会、I-OTA合同会社、テクノアの

4者で、中小製造業のためのデジタル受発注マッチングの

仕組みを構築することを発表

9月 クラウド対応型生産管理システム『TECHS-S NOA』を発売

10月 Webシミュレータシステム『ラシム』発売

12月 令和4年度「おかやまIT経営力大賞」にて「特別賞」を

受賞 ※2016年より通算6回受賞

2023年 3月 「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に初認定

4月 ものづくりDXプラットフォーム

『プラッとものづくり』全国サービス開始

7月 生産管理システム『TECHSシリーズ』が2022年度

出荷本数№1を達成 ※2016年より7年連続

 

 オフィスデータ

住所

岐阜本社:岐阜県岐阜市本荘中ノ町8-8-1

東京本部:東京都中央区日本橋小伝馬町15-14 日本橋F ビジネスキューブ 2階

大阪支店:大阪府大阪市北区堂島浜1-4-4 アクア堂島東館 7階

九州支店:福岡県福岡市博多区冷泉町4-17 博多祇園NKビル2階

アクセス

岐阜本社:JR東海道本線「西岐阜駅」より徒歩8分

東京本部:東京メトロ日比谷線「小伝馬町」駅1番出口 徒歩2分JR総武線快速「馬喰町」駅2番出口 徒歩2分
都営地下鉄新宿線「馬喰横山」・都営地下鉄浅草線「東日本橋」駅A2出口 徒歩4分

大阪支店: JR「北新地駅」出口より徒歩6分

地下鉄「西梅田駅」出口より徒歩7分

九州支店:地下鉄「祇園駅」2番出口より徒歩1分

JR「博多駅」博多口より徒歩12分

規模・人数

353名(2023年4月1日現在)

 

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