【#082】「勉強が続かない」「生徒の学習状況が把握できない」を解決。学習者が目標を達成し学ぶ喜びを感じられるきっかけを提供する。|代表取締役 廣瀬 高志(スタディプラス株式会社)
スタディプラス株式会社 代表取締役 廣瀬 高志
学習の習慣化をサポートするスタディプラス株式会社。代表の廣瀬氏は、自身の学生時代の経験を活かして、学生たちが目標を達成するためのサポートをしています。
今回は、事業内容や仕事におけるこだわり、進み続けるモチベーションについてお伺いしました。現在は大学受験生の2人に1人が使われているといわれるサービスが誕生するまでの経緯や、乗り越えてきた壁なども詳しくお話してくれていますので、ぜひ最後までご覧ください。
学生が勉強へのモチベーションを保てるようなサービスを開発
事業の内容をお聞かせください
弊社では2つのサービスを提供しています。
1つ目はスマートフォンのアプリ、「Studyplus(スタディプラス)」です。大学受験生などの学習者に向けたツールとして開発し、運用しています。
Studyplusでは、学習記録の管理やSNSでの共有、励まし合いができます。学習者が目標を達成するためには、モチベーションを維持し続けることが必要不可欠であると考え、サポートできるようなサービスを展開しています。
実際に使用していただいたユーザーの方からは、モチベーションややる気を維持できるようになったり、成績が上がったりしたというお声をいただいています。
2つ目は、「Studyplus for School(スタディープラス フォー スクール)」です。塾や予備校、学校などの教育機関へ向けたサービスです。生徒の成績アップや、生徒の退塾率低下などの効果があったという声をいただいています。
サービスを導入することで、生徒が自主学習をするようになったり、しっかり予習復習をするようになったりといった変化が期待できます。また、生徒の授業以外での学習状況が把握しやすくなり、先生と生徒のコミュニケーションがスムーズになります。さらに、オンラインでいつでも繋がれるため、コミュニケーションの量を増やすことも可能です。
先生が生徒の毎日の学習状況を把握し、きめ細やかに支援するためには、膨大な時間と工数を割く必要があります。「Studyplus for School」はその工数を大幅に削減し、生徒とのコミュニケーションの質と量を向上させることができます。結果として生徒の成績の伸び率を高め、退塾率低下を実現できたというお声を多くいただいています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
2010年、大学3年生のときに株式会社ネットプライスドットコム(現:BEENOS株式会社)主催のビジネスプランコンテストに出場したことがきっかけです。現在のStudyplusのベースとなる案を提案したところ、優勝することができました。
そして、副賞でインキュベーションオフィスを1年間、無料で使用できる権利をいただきました。もともと起業に強い関心があったため、このチャンスを活かし、2ヶ月後には創業しました。
2011年3月には「studylog(スタディログ)」というサービスを開発しました。studylogはStudyplusの前身のサービスで、ユーザー同士で繋がり、励まし合うことができるSNSの機能がない点が異なります。
弊社は「学ぶ喜びを全ての人へ」というミッションを掲げています。学ぶことは、本来人にとって喜ばしく、楽しいものであるはずです。しかし、教育のしくみによって、学ぶことに苦しみや辛さを感じる学習者が多いように感じます。
そこで、我々は教育のしくみを変え、学ぶことに少しでも喜びを見出してもらえるようなサポートをしたいという志を持ち日々事業を運営しています。
一貫して学習者の抱える問題の本質を突くサービスを展開する
仕事におけるこだわりを教えてください。
学習者が抱える問題の本質を考え、そこを解決するためのサービスを提供することです。ビジネスプランコンテストへ出場した2010年から現在まで、向かうところは一貫しています。教育は、常に学習者のためにあるべきであり、教育者が満足しているだけでは意味がありません。
学習者の一番の課題は、学習を続けることの難しさだと考えています。そこで、モチベーションを保ち続けるための記録管理やSNSでの共有というサービスを開発し、本質的な問題を解決することを目指しています。
ちなみに、教育といえば授業や教材を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現在は映像授業が普及していますし、非常に安価で良質な教材も多く販売されています。一方で、モチベーションを保つための支援が足りていません。当社はその課題に取り組んでおり、事業の目的はぶらさないことにこだわっています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
Studyplusのユーザー数が増えるまでの期間が壁でした。100万人に到達するまで4年ほどかかり、マネタイズするまでに時間を要しました。
そもそも、Studyplusは学習する人しか使わないサービスです。主なユーザーは大学受験をする学生です。毎年大学へ進学する学生は60万人程度しかいないため、急激にユーザー数を伸ばすことが難しいのです。
しかし、アプリの評価自体は良いものであったため、ユーザーはじわじわと増えていきました。現在では累計ユーザー数が800万人に至りました。サービスを浸透させるためには、とにかくユーザーファーストを意識することが大切だと実感しました。
受験生時代の原体験により教育の在り方を変えることを決意
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
大学受験の際の原体験がStudyplusが生まれたきっかけであり、モチベーションの源泉です。
合格するためには一定量以上の自主学習が必要であるにもかかわらず、学校や塾、予備校では業務が多忙なこともあり、授業以外のサポートが十分ではないケースも少なくありません。私は、受験生だったころに、このような世の中の教育の在り方にとても疑問を持ちました。この問題を解決していきたいという意欲が沸き、現在まで取り組んでいます。
社員のモチベーションを保つために意識していることは、会社のミッション、ビジョン、バリューを伝え続けることです。また、特にホワイ(Why)の部分は意識して伝えることを心がけています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
学習記録をつけたり、活用したりすることを当たり前とする世の中を目指します。
我々は「学習記録✖コミュニケーション」の大切さを謳っています。教育とは学習者のためにあるものであり、学習の支援です。学習の支援において、現在足りていないのはコミュニケーションだと考えています。学習者が学習を達成するためには、学習者と教育者、もしくは学習者同士のコミュニケーションが欠かせません。そして、学習記録は、学習者の成果を伸ばすためのコミュニケーションの起点となります。
また、学習記録をつけることや、学習記録をベースとしたコミュニケーションによって、目標を達成するだけではなく、学ぶ喜びを知る人が増えることを願っています。
将来的には海外へ展開していくという目標はありますが、まずは日本の教育にフォーカスしていきます。
起業をして成し遂げたいことがあるなら一緒に頑張りましょう
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
私は起業はしたものの、まだまだ道半ばです。達成したい目標に向かって、ぜひお互いに頑張っていきましょう。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:廣瀬 高志
1987年生まれ。2010年、慶應義塾大学法学部在学中にスタディプラス株式会社(以下、スタディプラス)を創業、代表取締役に就任。
企業情報
法人名 |
スタディプラス株式会社 |
HP |
|
設立 |
2010年5月 |
事業内容 |
学習管理アプリ「Studyplus」 および 教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」の運営 |
沿革 |
2010年 5月 東京都渋谷区に株式会社クラウドスタディ(現当社)を設立 2011年 3月 学習継続支援サービス「studylog」リリース 7月 エンジェル投資家などより1000万円の第三者割当増資を実施 12月 エンジェル投資家などより1500万円の第三者割当増資を実施 2012年 3月 学習管理SNS「Studynote」リリース 7月 「Studynote」から「Studyplus」へと名称変更 8月 株式会社アマナホールディングスなどより計3,300万円の第三者割当増資を実施 12月 Studyplus累計会員数5万人突破、「Studyplus」Android版をリリース 2013年 4月 Studyplus累計会員数10万人突破 5月 株式会社ミクシィより7,200万円の第三者割当増資を実施 9月 Studyplus累計会員数20万人突破 2014年 1月 Studyplus累計会員数30万人突破 3月 会員制自習室「STUDY LOUNGE」を渋谷にオープン 5月 「ラーニングドラゴン英単語3300」をリリース 6月 Studyplus累計会員数50万人突破 2015年 2月 Studyplus累計会員数100万人突破 3月 リクナビ進学と業務提携 5月 フェムトグロースキャピタル、朝日新聞社より1億8500万円の第三者割当増資を実施 2016年 1月 オフィスを代々木に移転 4月 教育機関向け学習管理プラットフォーム「Studyplus for School」をリリース 10月 Studyplus累計会員数が200万人を突破 2017年 12月 Studyplus累計会員数が300万人を突破 2018年 3月 広告事業部大学広告グループを新設し、大学に向けて広告商品の直接販売を開始 5月 Spiral Ventures Japan 有限責任事業組合、DBJキャピタル株式会社、アイ・マーキュリーキャピタル株式会社より約5億円の第三者割当増資を実施 10月 Studyplusが公益財団法人日本デザイン振興会主催「2018年度グッドデザイン賞」を受賞 12月 オフィスを現在の東京都千代田区神田に移転 StudyplusがRuby biz グランプリにて大賞を受賞 2019年 2月 株式会社増進会ホールディングスと業務提携 9月 電子参考書サービス「ポルト」のサービスを開始 2020年 1月 RFIアドバイザーズ株式会社が運営するファンドを中心に複数のベンチャーキャピタル、教育系事業会社、一般事業会社、個人投資家を引受先とする約5億円の第三者割当増資を実施 3月 Studyplus内にて有料会員サービス「Studyplus Pro」を開始 2021年 2月 Studyplus累計会員数が600万人を突破 4月 ポルトが電流協アワード2021 電流協大賞を受賞 6月 Google for Education「Appreciation for Excellent Partnership in 2021」を受贈 2022年 1月 「ポルト」のサービス開発を終了し、電子参考書プラットフォーム「Studyplusブック」としてリニューアル 4月 Studyplus累計会員数が700万人を突破 8月 RFIアドバイザーズ株式会社運営ファンド、株式会社増進会ホールディングス(Z会グループ)、フィデリティ・インターナショナルより第三者割当増資を実施 2023年 6月 Studyplus累計会員数が800万人を突破 |
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