【#090】アパレル業界が抱える社会問題を解決するDXツールを。DXツールのデジタルファションは他の産業と結びつきアパレルの可能性を広げていく。|代表取締役 野田 貴司(株式会社GOOD VIBES ONLY)
株式会社GOOD VIBES ONLY 代表取締役 野田 貴司
アパレル業界が関わる社会問題の解決や、業務の効率化のためDXツール、並びにDXツールで生成したデジタルファッションを用いた新たな事業を展開する株式会社GOOD VIBES ONLY。
今回は代表の野田氏へインタビューし、事業内容や最大の壁、今後の展望などをお伺いしました。日々の雑務から革新的なサービスが生まれた経緯や、アパレル業界の価値を再構築している特有の社内環境などについても、詳しくお話ししてくれました。
アパレル業界のDX化で社会問題を解決しつつデジタル領域で可能性を広げる
事業の内容をお聞かせください
我々は、衣類破棄ゼロを目指して日々仕事へ取り組んでいます。世界で2番目に環境汚染をしているのがアパレル業界といわれており、衣類破棄をしなくて済むような仕組みづくりが必要だと考えました。
そこで、我々が今までに開発したプロダクトは2つです。1つ目は、アパレル業界の業務効率化を進めるためのDXツール「Prock」です。2つ目がProckで作成したデジタルサンプル、通称デジタルファッションの可能性を広げていく「Web3 Digital Fashion」です。
Prockの製作には、自社のブランド運営の経験が活かされています。洋服を作り続ける中で、アパレル業界のサプライチェーンを抜本的に変革する必要性を感じたことが出発点です。衣類破棄を防ぐために自社で約4年間かけてテストを繰り返した結果、Prockが生まれました。
Prockは商品企画から生産や販売までの過程で活用できる、高品質な3Dサンプルを作れます。詳細な生地データを保有しており、力が加わったり動いたりした時の洋服の状態などを再現できるため、洋服の作成にかかる時間や費用などのコストを、大幅に削減することが可能です。また、AIの需要予測システムによって、在庫を生まないしくみづくりができます。
自社の2つ目のプロダクトは、生成したデジタルファッションを活用するためのMDツール[Web3 Digital Fashion」です。ゲームなどのメタバース上で着用できたり、人気のデジタルファッションを商品化できたりすることにより、アパレル業界の可能性を広げることを目指します。
そして、2023年4月よりNFTプロジェクトとして「OBAKE_Shoppers」というコミュニティーを運用しています。現在は1,500名ほどが所属しています。
コミュニティー内では、ファッションだけではなく社会問題についても熱く議論されています。衣類破棄に関する各ブランドのお知恵もお借りしながら、共同で運営しています。コラボ商品を販売したり、ゲームキャラクターのコーディネートを3DCGで作成したりなど、デジタルファッションを浸透させる取り組みを行っています。
アパレル業界のDX化によって社会問題を解決し、作成したデジタルファッションが新たな産業で活用されることによってアパレル業界の可能性が広がる、というサイクルが定着することを目指しています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
さまざまな仕事に携わる中で、たまたまアパレル業界と出会ったことがきっかけです。
私を含め、3名でアパレルの会社を立ち上げました。私はアパレル業界が未経験であったため、裏方としてサポートしていました。ブランド運営の雑務をこなす中で、無駄がたくさんあるように感じたことが、今の事業の始まりです。
まず、ブランドが成長していく中で、インフラ整備が追いついていませんでした。しかも、雑務にかけられる時間が減っていっていたため、システムを構築する必要に迫られてきたのです。
また、在庫を適正に管理する仕組みも必要だと感じました。最終的には、これまで運営してきたブランドを売却することとなったのですが、なんと、在庫の洋服が4億円分程度残っていたのにもかかわらず、全く価値がないと判断されたのです。
アパレル業界が在庫に関わるさまざまな問題を抱えていることも踏まえて、そもそも在庫をつくらないような仕組みが必要だと感じました。そこから、まずはProckの大元となるシステムを作り始めました。
さらに、ファッション業界が新たな市場へ進出する方法も考えました。デジタルファッションをメタバースなどへ活用し、マネタイズすることを目指した結果、Web3 Digital Fashionが生まれました。
メンバー全員で全体像を共有することで一気通貫のサービスをつくれる
仕事におけるこだわりを教えてください。
アパレル業界の業務において、一気通貫でDX化することを目指しています。一部分をDX化しただけでは、根本的な解決にはならないためです。
そこで、社内ではチームの全員が複数の業務に関わり、全体像を把握していられるような体制にしています。もちろん、マルチタスクを抱えることには、スピードが落ちるなどのデメリットもあります。
しかし、一人ひとりが全体の中での自分の役割を理解しているからこそ、業務全般をDX化できるサービスを提供し続けられていると感じます。
起業から今までの最大の壁を教えてください
創業してから、Prockの開発に力を入れるべく舵を切った時期です。この頃は、資金繰りに難儀していました。
当時、自社のアパレルブランドを7つ立ち上げていたものの、4つが黒字で3つは赤字でした。一応、全体ではなんとか黒字で回せていました。しかし、アパレル運営からシステム開発に移行するためにたくさんの人を採用し、資金調達を実施したものの、社員の統括がうまくいきませんでした。
その後は、離職者が出てしまった上に、黒字だったブランドが赤字に転落するなど、災難が続きました。キャッシュフローが減る中でも、とにかくシステム開発に力を入れ、リリースまでなんとか辿り着きました。
しかも、苦労はここで終わりません。この頃、60名だったチームが6名にまで減少しており、Prockの成果をこれから出していかなければならないにもかかわらず、全員のモチベーションは低いままでした。
まずは、モチベーションを持ち直して、体制を変えました。もちろん、すぐにはうまくいかないことも多かったです。ここの立て直し期間も大きな壁でした。
アパレルブランドの価値を活かした新たなビジネスを提案し続ける
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
モチベーションを頼りにしていません。創業したものの、目標を達成していなかったため、やり続けるという選択肢しかありませんでした。
会社としては、デジタルファッションの領域でとても良いポジションを取れているため、今までどうにか生き残れたと思います。周囲の人たちからも「国内から世界へ展開していけるだけのポテンシャルがある」と評価していただけていることも、皆のモチベーションの源だと感じます。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
アパレル業界の抱える衣類破棄の問題を解決していくことは、当然のミッションとして掲げています。
他には、アパレル業界が新たな価値を創出できるような事業を展開していきたいです。消費者の出費や商品の単価が減っている中で、各ブランドは生き残りをかけています。
小売で粗利をとるビジネスモデルを肝としながらも、これまで培ってきたブランド力を新しい領域で発揮するための提案をし続けていきたいです。
また、より広く海外展開することも検討しています。国は、ベトナムやバングラデシュなどを想定しています。特に、バングラデシュはインドに近く、繊維産業が伸びています。国の優秀な人材も集まっているのですが、基軸となるシステムは未だ存在していません。
基幹システムとして国で活用していただけるように、今後も検証を重ねていきます。
やれることを見つけて深掘りしたらサービスが生まれる
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
「起業に興味はあるけれど、何をすれば良いのかが分からない」という方も多いのではないでしょうか。まずは、夢中になれるものと出会うことが大切です。僕自身は、誰よりも多くのバイトを経験しました。「石の上にも3年」といいますが、まずは続けられるものに出会うことがスタートです。
もし、興味のあるものに出会えたら、次は深掘りするフェーズです。与えられたことを誰よりもプロフェッショナルにこなすことができたら、もっと頼られるようになります。すると、いろいろな情報が入ってきて、改良を重ねるうちに新しいサービスが出来上がります。
僕も雑用から始め、気がつけば今の仕事が誕生していました。例えば、印刷や取材など、どのようなことでも良いかと思います。いろいろな仕事と出会い、深掘りして、プロと呼ばれるくらいに仕事をこなしてみてください。すると、起業してサービス化するところにたどり着けるかと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
採用情報
仕事にも趣味にも全力投球なあなたの応募をお待ちしています
事業の拡大に伴い、一緒に仕事をしてくれる人材を募集しています。求める人材は、自分が楽しめる趣味をもっている人です。
以前、会社が危機的な状況に直面した時、社員の絆を深めるべくフットサルやランニングを一緒にしました。煮詰まったときこそ、身体を動かしたり、好きなことをしたりする時間が必要だと感じた貴重な経験でした。
仕事に真摯に向き合うことも、もちろん大切です。しかし、自分がここぞという時に力を発揮するためには、オンとオフの切り替えができる趣味などを持っていると良いと考えています。
ちなみに、私はスポーツが好きです。現在は、トライアスロンの大会の出場を目指して、仕事の合間にトレーニングに励んでいます。
我々と一緒に、アパレル業界の新たな可能性を追求していきたい方や、やる気のある方のご応募を心よりお待ちしています。
起業家データ:野田 貴司
1992年、福岡県出身。大学を経て上京し、22歳で3minute Inc.に入社。
D2Cの先駆けであるD2Cファッションブランド「eimy istoire」の立ち上げに貢献。
2017年11月に同社を退社し、GOOD VIBES ONLYの立ち上げに参画。
デジタルプロモーションを中心とした広告企画、商品企画、商品開発、
事業戦略設計全般をプロデュースし新規事業立ち上げなど幅広く事業を展開。
企業情報
法人名 |
株式会社GOOD VIBES ONLY |
HP |
|
設立 |
2018年4月 |
事業内容 |
Prock Apparel DX Web3 Digital Fashion |
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