レジリエント株式会社 代表 小林 史弥
レジリエント株式会社が、2023年11月16に提供を開始したバックオフィス支援サービス「オフィス番」は、経営者がバックオフィス業務に時間を取られることを避け、本来重要視すべきサービス開発などに注力することを可能にします。また、ITツールを活用することで業務効率を図るDX(業務改善)サービスも同時に提供しています。
今回は、新サービス「オフィス番」の提供開始間もないレジリエント株式会社の代表 小林史弥氏に、起業の経緯や今後の展望、そして具体的なサービス内容についてうかがいました。
中小企業の悩みを解決することを目的に開発されたバックオフィス支援サービス「オフィス番」
さっそくですが、事業内容をお聞かせください。
当社では、バックオフィスBPOのサービスとBCP策定コンサルティングの2つを主に手掛けています。リリースしたばかりのBPOサービス「オフィス番」は、中小企業の悩みを解決することを目的としており、主にバックオフィス業務の改善や業務代行をしています。
自社の業務の切り分けがなかなかできず外部に任せられない、慢性的な人手不足で困っている、ITツールを導入していても使いこなせていない企業にお使いいただきたいサービスです。例えば、休職や育休・産休などで一時的に人員不足が生じた場合にも、当サービスが最適だと思います。
「オフィス番」には3つのサービスがあります。1つ目は「アシスタントプラン」といって営業や人事、経理、総務などを幅広く対応することが可能です。2つ目は「DXプラン(業務改善)」といって業務改善についてコンサルタントが個別にお話を伺い、おすすめのITツールや削減可能な業務の提案などに対応しています。3つ目は「IT顧問(情シス代行)」といって、使いこなせていないITツールに関する問い合わせの窓口を用意しています。
当サービスには、3つの特長があります。1つ目は、平日の夜間や休日に対応していることです。特にスタートアップやベンチャー企業などは、9時~5時で業務が終わることはなかなか難しいのではないかと思います。そのような場合、バックオフィス業務もそれに合わせて稼働してくれれば助かる。当サービスは、そのような課題を支援することを目指しています。例えば、金曜日の夜に資料作成を依頼し、月曜日に完成されていれば、お客様の負担はかなり軽減されるのではないでしょうか。
2つ目は、DX(業務改善)ができることです。当社としては、長時間ご利用いただくほど時給単価が上がりありがたいのですが、お客様の立場としては、少しでも時間を減らしてコストを抑えたいとお考えになるでしょう。
このような矛盾に対し、業務代行をお受けする前に業務改善を行うことで、当社も効率良く作業ができ、お客様もコストを抑えられるため双方にメリットが生まれます。
3つ目は、お客様企業専任のIT担当者をご用意するサービスです。いずれの企業様でもよくあることですが、新たに社員が入社するたびに、都度ITツールの使い方を説明するのはスムーズな業務進行の妨げになります。その点、当社の「IT顧問サービス」をご利用いただければ、ITに詳しいメンバーが使い方をレクチャーします。
当社のサービスを気軽に試せるように、1万円のトライアルプランもご用意しています。
バックオフィス支援の必要性について教えてください。
会社の規模や状況によって異なりますが、例えばスタートアップを支援しているなかで、経営者が入金チェックや請求書作成などのバックオフィス業務に時間を取られていて、本来重要視すべきサービス開発などに手が回っていない状況を多く目にしてきました。
これは、新卒で入った商工会議所で担当した中小企業でも同じでした。そのような経験からも、バックオフィス支援の必要性を強く感じています。
平日夜間や休日でも対応可能
競合他社に負けない強みはどのような点でしょうか?
先述の通り、平日夜間や休日でも対応可能だということです。対応できる時間帯が長いことで融通が効くことが当社ならではの強みだと思います。また、業務改善の支援まで行っている会社は少ないため、コンサルティングとBPOの両方を必要としている企業にもおすすめです。
現在の事業を始めた経緯を教えてください。
私は、京都産業大学経済学部卒業後、京都商工会議所に就職しました。商工会議所とは、半官半民をイメージしていただくと分かりやすいのですが、中小企業や個人事業主向けの経営支援が仕事内容です。
たくさんの中小企業や個人事業主と仕事をするなかで、とても良いサービス・商品にも関わらず、世の中に知られていないことに歯がゆさを感じたこと、そして、そういう企業を支援する仕事にやりがいを感じたことが、起業を考える1つのきっかけになったと思います。
アメリカのビジネススクールに進学するために商工会議所を退職しましたが、コロナの影響で渡米を断念せざるを得ませんでした。会社の資産とは『ヒト・モノ・カネ・情報』と言われますが、自身の商工会議所での経験を通じて、やはりヒトが一番大切だと痛感していたので、日本に留まり、人材派遣会社の執行役員兼管理部門の責任者に就任したのです。
入社して5ヶ月ほどで執行役員になり、実務的なバックオフィス業務を経験しました。これが起業のスタートラインとなり、働きながら副業という形で個人事業主の開業届出を出し、初めは商工会議所でおこなっていた補助金の申請業務を受注していました。
その後、人材派遣会社を退職し、個人事業主としてスタートアップを支援する業務が増えてたことから、法人化することにしたのです。
学生時代から起業したいと考えていましたか?
私は経済学部のゼミの活動で企業研究や地域活性化の取り組みをしていたのですが、その際に、老舗の社長やベンチャー企業の社長、大手企業の社長などたくさんの経営者とお会いする機会があったので関心はありました。しかし、正直に言って、自分自身で起業することまでは考えていませんでした。
クライアント企業様に対してどれだけ貢献できるか
仕事におけるこだわりや譲れない軸を教えてください。
常に、「クライアント企業様に対してどれだけ貢献できるか」を意識しています。これまで応援してきた企業に対し、自分自身がどれくらい力になっているかを実体験として感じているので、当社のサービスを使う必要がないお客様には、それを正直にお伝えします。そういう姿勢で真摯にお客様と向き合うことで、末長くお付き合いできるような関係を築きたいと思っています。
社名の「レジリエント」にも何かこだわりがあるのでしょうか。社名の由来についても教えてください。
レジリエントには、「回復力や適応力、危機的状況からいち早く立ち上がる」という意味があります。近年世界中で起こっている大規模災害やコロナウイルス感染などの影響で、多くの企業がダメージを受けました。それらの企業が一日も早く復活するための体制を築くには、まず守りが大切です。レジリエントという社名には、そういう想いがこもっています。
起業から今までの最大の壁を教えてください。
バックオフィスBPOはゼロベースからの立ち上げだったため、そこが少し大変でした。
事業規模はまだ小さく、2期目に入ったところなので、社員採用の面ではまだ苦労していません。一部を業務委託していますが、人材には恵まれていると思います。
資金調達については、まだ本格稼働の段階ではないのでそこまで苦労はしていません。商工会議所のときに補助金や融資のサポートをしていたので、その時の知識を活かして対応できています。
応援したい会社や社長と関われることがやりがいに
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
自分が応援したい会社や社長と関われることがやりがいになっています。バックオフィス支援をすると、財務や経理の面からクライアント企業様の成長を見られるため、一緒に成長するという気持ちで係れることに興味があります。
会社によって成長スピードなどが異なり、目指す方向が変わることもあります。起業し、様々なお客様と係ることで、自社として、そして個人としてもさまざまな経験をさせてもらえることがやりがいです。
BPOサービスのその先を目指す・採用にも力を入れたい
今後の展望をお聞かせください。
BPOサービスを立ち上げたばかりなので、まずは「オフィス番」の拡大を目指します。とはいえ、現在のところは走りながらサービスを作っている段階なので、ここからお客様とたくさん接点を持ち、ニーズを拾っていきながら、その先のサービスを作りたいですね。
それがBPOサービスに関連するものか、全く違うものになるかは分からないのですが、もう一段違ったサービスを作っていくことは検討しています。現在のトレンドだとAIの利用が考えられますが、何かお客様企業の負担を軽減できるサービスを生み出せればと思います。
また、業務委託や副業の方の採用も予定しています。BPOは、さまざまなお客様のバックオフィス業務に関われる点が面白いと思います。当社では、キャリアアップのステージも用意しています。バックオフィス人材は、営業職やエンジニアと比べると年収は低くなりがちですが、係ってくれるスタッフの皆さんの成長機会を創出し、高い報酬を提示できるような仕組みづくりもしていきます。
バックオフィスの単純作業から、マネジメントを行うリーダーのようなポジション、コンサルタントなどレイヤーを分けているので、頑張るほど役職が上がり、高い報酬を得て、当社で培ったスキルを正社員業務に役立ててもらえればと思います。
起業しようとしている方へのメッセージをお願いします。
私は、26歳で個人事業主に、28歳で会社を起業しました。理由は、20代のうちに何かに挑戦したかったからです。やりたいと思ったら、まずは挑戦してみる。若いうちにやってみてダメだったら、会社員に戻ればいいのです。そうすれば、将来また起業するチャンスもあるでしょう。
私は、副業という形でセーフティーゾーンを確保しつつの挑戦でしたが、学生時代から起業したいといった気持ちが生まれていたら挑戦していたと思います。これを読んでいる学生の皆さんも、今、やりたいことがあったら、恐れずに挑戦してみてください。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:小林史弥 氏
京都産業大学経済学部卒業。新卒で京都商工会議所に入所、中小企業の経営支援や検定試験の運営を経験後、海外のビジネススクールに進学を予定していたが、コロナの影響で断念。その後、人材派遣会社にて執行役員兼管理部門の責任者を経験。関西学院大学専門職大学院に入学。2022年、在学中にバックオフィスBPOやBCP策定コンサルティングサービスを提供するレジリエント株式会社を設立し、現在に至る。
企業情報
法人名 |
レジリエント株式会社 |
HP |
|
設立 |
2022年10月 |
事業内容 |
バックオフィスBPO、BCP策定コンサルティング |
沿革 |
2022年10月14日 レジリエント株式会社 設立 2023年11月16日 バックオフィスBPO「オフィス番」のリリース |
関連記事