株式会社B4A Technologies 代表取締役CEO 植松 正太郎

2021年に起業。自由診療領域の未解決の課題に着目しサービスを開発してきた株式会社B4A Technologies。事業を始めた経緯や最大の壁、起業家へのメッセージなどについてそんな代表の植松氏にお伺いしました。

これまでの仕事経験や人間関係があってこそ今がある、と語る植松氏。起業家としてはもちろん、人生において目標を達成するための重要なポイントを、ざっくばらんにお話ししてくれました。

自由診療領域でのワンストップのクラウドサービスを展開

事業の内容をお聞かせください

自由診療を提供するクリニックに対して、予約から決済までワンストップで対応できるクラウドツールを提供しています。

 

保険診療の分野は、既に他社が参入していました。しかし、自由診療はまだサービスが少なく、デジタル化が比較的遅れていました。

 

開発後、2年間で導入数で250クリニックを突破しました。3年以内に1000クリニックへの導入を果たし、自由診療領域のNo. 1プラットフォームの立ち位置になりたく考えています。

 

インターネットを繋げばすぐに使える上に、費用も毎月数万円程度で賄えるという導入までのハードルの低さも特徴だと考えています。

 

ちなみに、現在開発に力を入れているのは、金融領域のサービスです。オンラインの事前決済をソフトバンクグループと組んでやっています。事後決済、現地決済などのサービスは、他社の医療系システムにはほとんどないため、一定の需要が見込まれると考えています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

親が起業家だったため、自分も同じ道を歩むことを漠然と思い描いていました。ただ、最初はいくつかの会社でさまざまな経験を積ませていただきました。

 

社会人として初めて入社したのは、インターネット金融の会社です。1年目から裁量権を与えてもらえていました。2社目は医療×ITのメガベンチャーです。ビジネスのプロフェッショナルとしてのスキルが高い方と一緒に仕事ができたり、20代最後には子会社の社長として経営を任せてもらえたりなどの貴重な経験ができました。

 

しかし、グループ会社の社長と子会社の社長は、やはり仕事の規模感が違うと感じます。また、子会社はグループ会社の意向に従わなければならず、自由度に限りがあります。そこで、「自分の力で会社を立ち上げてみたい」という思いが強くなり、起業を決意しました。

 

ちなみに、医療×ITのメガベンチャーのあとはC2Cマーケットの会社に1年だけいました。M&Aを経験し、ひと段落してから起業へ着手しました。

 

補足すると、別に医療にこだわりがあったわけではありません。医療分野でのIT経験があったため、それを生かす方向で事業を展開しました。大企業や既存のサービスと差別化を図るべく、自由診療の領域でのサービス開発に努めました。

 

人材に投資をして成長スピードを高め、時代にマッチしたサービスを開発

仕事におけるこだわりを教えてください。

3つあります。

 

1つ目はスピードです。スタートアップが大企業と差別化できるポイントの1つが、スピードだと考えています。

 

短期的にスピードを上げるために、意思決定や行動をスピーディーにすることを意識しています。稟議のシステムを最小限にしてトップダウンでOKを出せるようにしたり、個人へ裁量権を持たせたり、その場で結論を出せたりというような仕組み化をしています。

 

中長期的なスピードを上げるためには、事業計画をしっかり立てることが大切です。なるべく回り道をしないように、プランニングに力をいれています。

 

また、スタートアップにとって、個人のスキルを上げていくことと企業の成長はセットです。開発スピードを上げるためのスキル磨きにも、お金と時間をかけています。

 

2つ目は、開発部門のレベルを高く保つことです。特に、エンジニアの採用を強化しています。リファラル採用がほとんどなので、エンジニアが他のエンジニアを誘いやすいように配慮し、募集水準を高めに設定しています。また、先進的な言語を取り入れたり、勉強に必要なお金であればどんどん承認して採用したりします。

 

3つ目は、フラットな組織づくりです。部門間の関係を対等とすることはもちろん、役職者を設けていません。私1人が取り締まり、社員同士はフェアな関係で仕事ができるようにしています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

主に2つあります。

 

1つ目は、事業転換した時です。以前は全く異なる事業をしていましたが、上手くいかない未来がみえていました。社内の雰囲気が悪くなり、「どうにかしなければならない」という焦りを感じていました。しかし代わりになる事業をすぐには生み出せず、しばらく模索しました。

 

その後現在の事業が軌道に乗り、大きく軌道修正をしました。社内の体制を整え、株主にも頭を下げて事情を説明し、なんとか理解を得られました。現在の事業が軌道に乗るまでの間は大きな壁の存在を感じていました。

 

2つ目は、資金調達です。シード期のプレシリーズAのような資金調達をしていたのですが、2022年から市況が悪くなり状況が一変しました。6、7月は特に危機的な状況で、ほとんど眠れていなかったと思います。

 

「スタートアップはシリーズAを突破するまでが厳しい」とよく耳にしていましたが、まさに言葉通りの経験をしました。

 

ちなみに、人材面ではあまり苦労していません。8〜9割がリファラル採用であるため、信用できる人が新しい人を連れてきてくれています。徐々に拡大していき、現在は約20名体制です。1〜2割は外部採用ですが、リファラル採用により良い人材が揃っているため会社の雰囲気が明るく、そこにマッチする人材が集まっていると感じます。

 

自社のテクノロジーを活かして他社様と共に新たなサービスを開発していく

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

モチベーションの有無に左右されていないように感じます。立場上、どうしても足を止める訳にはいきません。

 

サービスを利用してくださっているお客様がいて、その先には患者さんもいます。また当然ですが、社員一人ひとりに家族がいます。「大手企業の採用を蹴ってまでいく会社なのか?」と家族から問われたにもかかわらず、弊社を選んでくれた人たちもいます。

 

たくさんの人たちに日々助けられているにもかかわらず、僕だけが逃げる訳にはいきません。社長としての責任を果たさなければなりません。モチベーションという領域を超えて、絶対にやらなければならないことだと考えて、日々仕事と向き合っています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

1つの領域にちゃんとした軸足を置いて、バーティカルに事業を推進していきたいです。

 

次の柱として金融領域でのサービスを打ち出していますが、今後1〜2年間は力を入れていく予定です。

 

また、現在関わってくださっているステークホルダーないしは他の企業様の得意な分野と、弊社のテクノロジーを活かし、共同でより良いサービスを構築していきたいです。広く協力しながら、社会に対して利益還元していけたらと考えています。

 

日頃の考え方や行いの良し悪しは後から効いてくる

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

まず、起業家は社員と比べるとコストパフォーマンスが低いです。大企業の社員であれば、そこそこの成果を出せばたくさんの給料がもらえます。しかし、起業するとしばらくの間は収入額が少なくなります。僕も一定期間は役員報酬を増やせませんでした。

 

もちろん、やりたいことがあるなら、ぜひ起業するべきです。しかし起業家は孤独であり、辛いことが多いため、生半可な気持ちではやらない方が良いです。

 

また、信頼が大切なので、起業する前から敵を増やすような行動は避けるべきです。例えば資金調達の時に、「これまで所属していた全ての会社の上司や同僚からリファレンスを取得することが要件」と言われたことがありました。深い人間関係を形成できていたことに救われました。

 

仕事でたまたま元同僚と会うこともあります。その時に関係性や信頼が既に出来上がっていればスムーズに仕事が進みます。

 

成功確率を上げるためには、身近な人に対して礼節を弁えることがとても大切です。30代後半あたりから特に効いてくるので、若い人は特に意識すると良いかと思います。

 

共に成長していってくれる社員を募集しています

現在、採用に力を入れています。求める人材として、まずは人格が何より大切です。少人数でチームを組んで仕事をしているため、他の人と協力してより良いものを作っていける人材を求めています。スキルを習得する意欲や能力の高さ、責任感も持ち合わせていると良いです。

 

また弊社はクライアントワークが中心です。医療従事者と対等に話ができる人を求めているので、一定のロジカルシンキングやコミュニケーション能力も必要です。

 

さらに現在はコーポレートスタッフの採用にも力を入れています。会社が大きく成長しようとする段階にあるため、社内の体制づくりが急務です。チームで仕事をすることが好きな方や、業界の深い知見や経験のある方のご応募をお待ちしています。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:植松正太郎

 

大学卒業後、インターネット金融や医療IT企業を経ていく中で、製薬企業向けマーケティング事業の管轄やゲノム医療の会社設立・CEOを経験。

その後、複数社の経営を経験し、自由診療領域でのプラットフォームを創出すべく、2021年にB4A Technologiesを設立し、代表取締役に就任。

 

企業情報

 

法人名

株式会社B4A Technologies

HP

https://service.b4a.co.jp/

設立

2021.01.14

事業内容

自由診療クリニック特化型DXツール「B4A」の開発/販売

 

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