株式会社ココロミル 代表取締役 林 大貴

「株式会社ココロミル」は不整脈や睡眠時無呼吸症候群 (SAS)、睡眠の質、ストレスの兆候を、医療機関でも使っている高精度なウェアラブル心電計を使って可視化するサービスを提供しています。代表取締役を務める林大貴氏は、ストレスが原因となる病気でご家族の命が奪われた経験から事業を始めました。今回は事業内容や起業の経緯、今後のビジョンについて詳しくお伺いしました。

 

突然死をどうにか止めたい

さっそくですが、事業の内容をお聞かせください

弊社では世界初の自宅で測定できる「心臓ドック」というサービスを提供しています。具体的には小型のウェアラブル心電計「duranta」を用いた事業です。

 

日本には大学病院が82か所あり、そのうち23か所がこの心電計を使用しています。また大学病院以外の全国150以上のクリニックなど、日本のトップレベルの医療機関で約30%使われているウェアラブル心電計です。

 

現在日本ではほとんどの方が健康診断を受けているにも関わらず、7分に1人の割合で心臓病による突然死が起こっています。「突然死をどうにか止めたい」、「多くの人が一日でも長く生きられるようしたい」という思いで、自宅でできる心臓ドックの提供をしております。

 

ウェアラブル心電計にはどんな強みがありますか。

弊社の使用するウェアラブル心電計は医療従事者ではなくても、だれでも簡単かつ綺麗に心電図を測ることができます。胸元にシールを貼り機器を装着し、心電図をはかります。機器とスマホが連動し、そのデータをもとに専門医師・臨床検査技師が解析し、質の高いレポートの作成が可能になっています。装着負担感が少なく、簡単な操作で心電図を測れるところが大きな強みです。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

2019年に母がストレスに起因した突然死をしたことをきっかけに、ストレスによる死因を減らしたいという思いから始めました。

 

一緒に夜ご飯を食べた翌日の朝に「母が血を吐いて倒れている」と、父親から連絡を受けました。結局母は、そのまま意識を取り戻すことなく10日後に59歳で他界しました。

 

原因は心臓からくる脳の病気でした。お医者さんから言われたのは「母親の脳の血管年齢が80代後半で、相当ストレスのかかる生活をしていたのではないか」ということです。実年齢に対して非常に大きな年齢差がありました。その原因となる要素がストレスだと知り、驚きました。「ストレスは万病の元」とは聞きますが、本当に命を奪うことになるのです。

 

 しかしそのストレスとは何なのかお医者さんに質問しても、よくわかっていないと言われました。そのよくわからないストレスで、母が亡くなったことがとても悔しかったです。それからストレスや医療に興味を持ちはじめ、調べる中で、ウェアラブル心電計「duranta」と出会いました。

 

この機械があれば、心臓病を未然に防ぐきっかけになり、交感神経、副交感神経の状態からストレスの可視化もできるとわかり、2021年に事業を進めていこうと決心しました。

 

G7(主要国首脳会議)に属する国で10代の死因の1位が自殺なのは日本だけです。そして自殺の原因の6割がうつ病だと言われています。ストレスの可視化を用いることによって、自殺も減らしていきたいと思ってます。

 

全ては自分の経験から生まれた事業

事業において意識していることやこだわりを教えてください

我々が仕事の手を止めたら、一つの命を失ってしまうかもしれないということを、社員に伝えています。「昼休憩するな」というような意味ではなく、弊社の営業担当がたった7分手を止めたら、一人死ぬことにつながるかもしれないと常に問いかけています。

 

こだわりは、全て自分の実体験から事業を作っていることです。母親の死を経験したからこそ、今のサービスにつながっています。やはり自分の経験を元に「誰かのためになりたい」という思いは強く持ち続けています。

 

「正しいことは正しい」と言い続ける

進み続けるモチベーションは何でしょうか? 

モチベーションとは少し違うかもしれませんが、「正義かどうか」を判断基準にして進み続けています。例えば、怪しいけれど明日1000万円入る仕事と、正しいことが明らかな10万円の仕事の2つがあったとしたら、絶対に後者を選びます。

 

 正義がないと判断した時点で、その仕事はやらないと決めています。

 

なぜならこの「人の命を守る」という正しい仕事を通して、「正しいこと・正しい努力をしている人が報われる世の中」にしたいからです。

 

 「正しいことは正しい」と言い続けますし、正しいと思っているからこそ、苦しいことがあってもずっと進んでいきます。

 

「正義かどうか」この価値観に至った経緯についてお伺いしたいです。

きっかけは2つあり、1つ目は学生時代いじめられた経験です。その理由が納得できませんでした。

 

高校二年生の時にアルティメットというスポーツで日本代表に選ばれ、カナダで行われる世界大会に参加しました。

 

 そもそもアルティメットというスポーツはほとんど日本では知られていません。アルティメットとは7人ずつ敵・味方に分かれて一枚のディスクをパスしながら運び、エンドゾーンを目指す競技フライングディスクの団体競技です。

 

世界大会に行くために学校に10日間ぐらい休みをもらうことを先生に話したのですが、休みを認めてもらえませんでした。先生からは「アルティメットというスポーツは聞いたことがなく、日本代表も存在しないのではないか」と疑われたのです。 

 

それがきっかけでいじめられました。しかし、こちらは調子に乗っているわけではなく、ただ好きなスポーツをしているだけでした。

 

 いじめられないために、アルティメットをしていることを隠すのは簡単です。しかし、隠したらアルティメットに関わっているすべての人を否定することになると思います。

 

なので「私はアルティメット日本代表です」「私は好きでやっています」と言い続けていました。

 

きっかけの2つ目は、大人は嘘つきだと思った経験です。

 

 私の小さい頃の夢はサッカー選手でした。中学2年生ぐらいまでは親も応援してくれていましたが、高校生になると「いつまで夢を見ているのか」と態度が変わっていきました。

小さいときは夢をみることを応援してくれていたのに、大人になってくるにつれて諦めることを私たちに言ってきます。

 

その理由はその大人たちが夢を叶えていないからです。夢を叶えた人は夢を叶えることを教え続けるはずです。

 

 しかし99%の大人が夢を諦めてるからこそ、私たちにも諦めろと言ってくるのだと思います。夢を叶えようと思って進むことは誰にも迷惑をかけていないのに、「なぜ諦めないといけないのか」と、とても悔しく思っていました。

 

ですので私も夢をずっと追いかけています。自分が夢を叶えることができれば、10・20代の若者にも、夢は持っていいんだと伝えられるだろうなと思って進み続けています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

会社の展望としてはアメリカで上場をしたいです。

 

また個人的な展望としては、いまの会社が上場した後に、ラスベガスにホテルを建てることです。きっかけは2013年にアメリカに語学留学した時の経験からきています。

 

アメリカでは語学学校に通っていて、私は英語がまだ話せなかったので、ボディランゲージで海外の方とコミュニケーションをとり仲良くしていましたが、他の日本人は取り残されていました。他の日本人も誘ってあげようよと提案してみると、「シャイでなにも話さないからつまらない」と断られ、少しバカにしているようでした。

 

そんな中、2013年の12月に和食が無形文化遺産に選ばれ、それがきっかけで周りから「和食ってすごい」と言われました。しかし日本人が評価されたのではなく、和食や寿司がおいしいと賞賛されている現状でした。

 

 そこでどうにかして日本人の価値を上げたい一心で、日本の魅力を発信するような動画を作り、1年間ロサンゼルスの語学学校の授業で使ってもらいました。しかし語学学校だけでは影響は小さいと思い、他の方法はないかと考えました。

 

 そんなときにロサンゼルスの語学学校から比較的近いラスベガスに4回ほど行く機会がありました。その時に、観光地として世界的に有名なラスベガスに、アジアのモチーフの建造物がないことに気がついたのです。

 

 例えば、噴水で有名な「ベラッジオ」は北イタリアがテーマのホテルですし、「ルクソール」は、古代エジプトのピラミッドやスフィンクスを模した巨大なホテルです。

 

しかしアジアをモチーフとしたホテルが1つもありませんでした。万里の長城や富士山があってもおかしくはないのにもかかわらず、存在していないことに対して世界規模でアジアの評価は低いと感じたのです。

 

 そこで調べたところ日本人でラスベガスにホテルを作った人は今までいませんでした。だったら私がホテルを作れば、「日本人はすごい」と話題になるだろうと考えました。私がラスベガスにホテルを作ることで、日本人の地位が上がり、そして日本人がもっと夢を持ちやすいようにするのが私の夢です。

 

早く行動しよう。失敗しても取り返しが早い。

起業しようとしている方へのメッセージをお願いします 

やりたいことがあったら今すぐに行動した方がいいです。30代で起業に失敗するより、20代で失敗する方が、取り返しは早いです。

 

方法がわからないのであれば、考え方が面白そうと感じる起業家さんに、ひたすらメールを送り、教えてもらうのも手です。時間を作って会ってくれる方もいると思います。私も大学生の時に、3か月で100人の社長さんに会いに行きました。いろんな方の話を聞いた結果、自分でもできると確信して起業しました。

 

学生のうちから起業を考えられる方も多くいると思いますが、まだやりたいことが決まっていない場合は、この人の夢なら一緒に叶えてみたいと思える人に出会うことをおすすめします。

 

一緒に働く仲間を募集中です。

株式会社ココロミルでは採用に力を入れています。私たちと一緒に仕事をしましょう。ご応募お待ちしております!

HP: https://kokoromil.com/

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:林 大貴 氏

大学在学時より起業し、これまで個人事業主を含め代表取締役3社、取締役4社、顧問として3社の経験をもつ。

日本のみならず2017年6月にはカンボジアにて会社を起業。

社会貢献活動にも尽力。

2019年11月に実母がストレスが起因する病気で亡くなったことからストレスというものに興味を持ち、自分のように「病気で後悔する」人がいなくなることを願い、2021年11月株式会社ココロミルを設立。

 

企業情報

法人名

株式会社ココロミル

HP

https://kokoromil.com/

設立

2021年11月(サービス開始2021年4月)

事業内容

①自律神経及び不整脈を解析する健康情報提供サービス

②医療機器のレンタル業務

③心電図データの情報収集、処理及び管理業務

④心電図データの分析業務

⑤ヘルスケア関連事業

沿革

2021年4月 kokoromil®サービス開始

2021年11月 東京都新宿区で株式会社ココロミルを設立

2023年7月 業務拡張に伴い、本社を東京都新宿区に移転

2024年1月 第二種医療機器製造販売業の許可を取得

 

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