みらいパートナーズ 代表 三浦修

みらいパートナーズは、平成20年に熊本で設立された社労士事務所です。同事務所は社会保険の手続きや給与計算、労務管理、リスクマネジメントなどの多岐にわたる業務を代行し、従業員が心地良く働ける環境の構築をサポートしています。手続き代行のみに留まらず、企業が抱える人事・労務の課題を深く理解し、実効性のある解決策も提案していることが同事務所の大きな特徴です。代表の三浦修氏に詳しい事業内容や今後の展望をお聞きしました。

 

社労士事務所の枠を越え、DX支援も手がける

事業の内容をお聞かせください  

我々は幅広いサービスを提供しており、その一つが社会保険労務士(以下、社労士)の顧問サービスです。社労士とは、労働基準法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法などの社会保険に関するあらゆる法律を学び、国家資格を取得している人を指します。

我々の仕事には顧客企業の従業員が心地よく働ける環境を整えることに加え、企業のリスクマネジメントも含まれています。具体的には、横領などの不正行為が発覚した際の適切な懲戒免職の提案やハラスメント防止のための指導、さらに効果的な就業規則の策定などもおこなっています。これらの取り組みは結果的に顧客企業を守ることにも繋がっているのです。

ほかにも、社会保険の手続き代行や離職票の作成、労災申請のサポートもおこなっています。給与計算や年末調整を支援することもあり、過去には何百人分もの給与計算を代行したこともありました。

さらに厚生労働省が管轄する助成金の申請サポートや、人事、給与、勤怠システムを企業がスムーズに導入できるよう、DX支援もおこっています。

ITに精通している社労士事務所は珍しく、労働法規と給与計算プロセスに詳しい我々が人事や労務のDX支援をおこなうことにより、顧客に特別な価値を提供できていると自負しています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

今から15年前の話ですが、以前勤めていた会計事務所を退職した後、知人と一緒に社労士法人を立ち上げたことがありました。しかし、結局数か月でその事務所を離れることになり、私は独立せざるを得なくなったのです。

その時、共同経営の難しさを痛感しました。他の企業でも共同経営がうまくいかない例を多く目にしてきましたので、知り合いから相談されると「共同経営は想像より厳しいですよ」といつも伝えています。

私は起業前に税理士として働いていた4年間で、あることに気が付きました。それは、多くの税理士が税や会計についての深い知識を持っていないということです。しかし、その経験のおかげで私は税理士事務所がサポートしきれていない「隙」を見つけることができ、その領域を自分の事務所で支援することにしたのです。

 

幸せな職場環境の構築をサポート

仕事におけるこだわりを教えてください    

仕事のこだわりは、顧客企業の従業員が幸せを感じられる職場環境を作ることです。社員にも「顧問先で働く従業員の幸せを最優先に考えろ」と常に伝えています。収益はそれに次ぐものです。

我々はこの理念を理解し、共感してくださる顧客にのみサービスを提供しています。ある意味、顧客を選んでいるとも言えるでしょう。

我々からお客さまに契約解除を申し入れたこともありました。

そのお客さまは地方のある有名な歯科医院だったのですが、そこでは若いスタッフと院長との間に軋轢がありました。私が事情を聞いたところ、決してそのスタッフに悪意があったわけでなく、若さからくる未熟さがトラブルの原因でした。スタッフも自分の行動を反省していたのですが、徐々に院長が強硬な態度を取り、そのスタッフに圧力をかけ始めました。

関係修復のためのアドバイスをしましたが、結局院長が我々のアドバイスを受け入れることはありませんでした。このような状況になってしまった場合、契約解除を申し入れるしかありません。なぜなら我々がハラスメントに加担するわけにはいきませんから。

有名企業や大企業であろうとも、一緒に働く上で我々の価値観に合わないと判断した場合は契約解除を申し入れるようにしています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

これまで様々な困難に直面してきましたが、ここ数年で最も壁だと感じたのが社員教育です。

私は社員教育において、環境が最も重要だと考えています。東京にも拠点を置くことにしたのは、チーム全体としてレベルアップを図るためです。東京は上場企業やスタートアップが集まる場であり、求められる仕事内容のレベルも高いため、東京で顧客を増やすことは我々の成長にも繋がると考えました。

しかし、東京に来てから予想外のことが起きてしまいました。

顧客から求められる業務レベルが上がり過ぎて、それまで10年以上勤務してくれていた4人の社員が「これ以上ついていけない」と言って退職してしまったのです。これは私にとって大きな壁でした。

前向きに言えば、事務所としてのレベルが上がったことで我々は脱皮できたのかもしれません。しかし別の見方をすれば、社員教育が追い付かなかった結果として大切なメンバーを失ってしまったとも言えます。

昔、会社経営にはヒト・モノ・カネが大切だという考え方がありました。しかし私は経営に大事なのは、ヒトとカネだと思っています。そもそも資金繰りがうまくいかなければ事業は成り立ちません。そして、資金があればモノは手に入ります。しかし、ヒトはそう簡単にはいきません。

現在は社員1人ひとりの能力向上を目指し、社内教育を見直しています。顧客の高い期待に応えるためにも、個々の社員に適した教育を施すことが必要だと感じています。

 

業界のモデルケースとなる理想的な組織を構築する

進み続けるモチベーションは何でしょうか?       

以前は東京に進出することと東京で成功を収めることが大きなモチベーションになっていましたが、現在は業界、そして社労士のお手本となるモデルケースを構築することを目指しています。

これは私だけの目標ではなく、社員にも「我々は他の社労士事務所にお手本を示せる存在であるべきだ」と伝えています。実は最近まで社員にそのプレッシャーを与えることをためらっていました。

しかし私がこの想いを伝えたところ、特に管理職の社員は高いモチベーションを持って受け入れてくれました。

私は事務所の目標として、単に規模を大きくすることや拠点数を増やすことが答えではないと思っています。大切なのは、どのような価値を社会に提供できるのか、どのような存在であるべきかを見つめ直し、それを追求することです。

トライアンドエラーを繰り返しながら、社員一人ひとりがそのモデルケースの構築に貢献してくれています。簡単な道のりではありませんが、共に理想を追求することでより強固なチームを築き上げていけると信じています。

 

「社労士はカッコいい」のイメージを根付かせたい

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

熊本と東京に続き、つい最近福岡にも新たな拠点を設けました。拠点を増やすこと自体が目的ではありませんが、将来的には北海道や沖縄、さらには海外展開への興味もあります。

先ほどの話にも出ましたが、我々は社労士の理想的な姿を追求し続けています。洗練されたイメージの弁護士とは異なり、多くの人は社労士に対してカッコいい職業というイメージを持っていないのではないでしょうか。

そのイメージを変えるべく、我々はまずオフィスから変えていこうと考え、スタイリッシュなインテリアや内装を施したオフィスを構えています。

私の個人的な目標は、「みらいパートナーズがいれてくれるなら会社も安定だ」と顧客に信頼される事務所を築くことです。

一般的に、企業が10年間生き延びる確率は10%以下だと言われています。厳しい環境の中で、我々が信頼できる経営サポーターとなり、事業の長期的な成功に寄与したいと思っています。

結局、顧客企業の存続が我々の事務所の存続にも直結しているのです。

私は経営者として顧客の成長を支援し、共に未来を築くことが重要な使命だと捉えています。そのためにも、ビジネスに役立つ最新情報を常に収集し、実行可能なアイデアがあれば迅速に取り入れるようにしています。

「最新情報に詳しいですね」とよく驚かれることがあるのですが、情報収集は私自身の知識を深めるためだけでなく、顧客と共に成長するための努力の一環です。

 

最後に起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします  

諦めずに自分の理想を追求してください。まずは理想的な自分の在り方や、理想の事業や社会像を明確にしましょう。そしてあなたのビジョンに共感してくれる仲間を集め、理想を実現するために行動を起こしてください。



採用情報
「みらいパートナーズ」では、みらいに向かって一緒に進み続けてくれる仲間を募集しています。詳しい採用情報は下記まで。

URL:https://mirai-ptns.jp/recruit/

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:代表 三浦修

 

昭和50年 大阪府茨木市生まれ

平成10年 熊本学園大学卒業

平成10年 学校法人順心学園(熊本フェイス高校)の学校事務として6年間勤務

学校法人補助金の手続き、および会計監査等で行政(国・県・市)との折衝を経験。公益法人会計という分野で決算業務まで一連の会計業務を担当。また社会保険労務士の業務である諸手続き、年金業務、給与計算などを担当し、社会保険労務士の資格を知る。

平成15年 社会保険労務士試験合格

平成16年 岡野会計事務所(現税理士法人熊和パートナーズ)に監査担当として4年間勤務

会計事務所の職員(医療介護ほか20件程度担当)として、税務(所得・法人・消費)会計、資金繰り対策、および経営についてのアドバイス業務を行う。

監査業務の傍ら、社会保険労務士業務(給与計算、諸手続き、就業規則作成、助成金の申請ほか)、医療法人設立コンサルティング(8件)の業務を行う。

平成20年 8月にみらいパートナーズの開設、現在に至る。

医療・介護事業所を中心に社会保険・労働保険の諸手続き、給与計算等の業務を基本業務とし、労務管理・労務リスクに関するリスクマネジメントの提案を行なっている。

また、就業規則やルールブックを基盤として、法令遵守と企業のモラル、スタッフのモティベーションなど全体のバランスがとれる仕組み(提携講師と共に接遇研修・FP研修など福利厚生)作りの提案も行なっている。

 

企業情報

法人名

みらいパートナーズ

HP

https://mirai-ptns.jp/

設立

平成20年8月

事業内容

■顧問契約

人事・ 労務管理体制の構築支援・ 相談、 労働・ 社会保険諸法令に基づく手続き代行、 給与計算代行、 行政機関対応

■人事労務コンサルティング

就業規則・ 諸規定作成・ 見直し、 助成金の申請、 定期労務監査、 人事労務に関するクラウドシステムの導入、 募集採用支援/ 教育研修、 講演 、 許認可申請、 年金相談・ 裁定請求

 

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