【#159】IT部門の専門知識を持つ4社が連携し、複雑化していくデジタル社会を、官民産学の英知を合わせて乗り越えていく|佐野 英文/高橋 邦治/出久根 芳樹(株式会社Co-TechLab)
株式会社Co-TechLab 佐野英文/高橋 邦治/出久根芳樹
公共機関や企業、研究機構などの様々な関係者と一緒に研究開発・事業支援を行う株式会社Co-TechLab。目まぐるしく変わっていくデジタル社会に対応するため、1つの機関では出来ないことを他の機関と行うことで社会課題を解決しています。今回は、株式会社Co-TechLab代表取締役の佐野英文氏、創立者でADVISERの高橋邦治氏、取締役の出久根芳樹氏のお三方に、事業内容や起業の経緯、今後のビジョンについてお伺いしました。
補完しあえるのが4社共同運営企業の強さ
事業の内容をお聞かせください。
佐野氏:
研究機関や大学の教育機関、企業、省庁や自治体と連携し、AIを中心に社会課題を解決していく事業をしています。各機関のもつ英知を集めて新しい技術をつくり、ビジネスに展開できるように進めています。弊社自体もIT分野で専門性を持つ4社からなる共同運営企業です。
4社共同経営のよさはお互いに足りない部分を補完し合えるところです。1社で事業をされているベンチャー企業は得意な部分は強いですが、それ以外はわからないので対応できない場合もあると思います。しかし弊社はそれぞれ専門性も異なるので不明な点もお互いにカバーしながら対応できるのが強みです。
千葉工業大学とAIとメタバースの分野で連携研究を開始
具体的にどういった支援をされていますか?
出久根氏:
大きな支援は2つあります。1つ目は学生に対しての教育活動です。リアルな企業のデータを使ってデータ分析を教えたり、私がAIのプログラマーとして活動しているので、自分の知識やノウハウを学生に教えることもあります。
2つ目は学生の卒業研究の支援です。どうしても学生だけではできない研究を当社と一緒にやることで、より研究レベルを上げられるという強みがあります。
高橋氏:
千葉工業大学の方々はとても協力的に動いて下さり、学校側も様々な知見を集めてくれます。ただ、最新技術を学生が知らないこともあるので、ベースを出久根が一生懸命教えています。
しかし、おそらく学生は今、遊ぶことしか考えてない人が多いと思います。私も学生の時はそうだったのでよくわかります。ただ大学で社会勉強をいかに実現できるかが、非常に重要です。
大学に入学したらすぐに会社を作るくらいの勢いがほしいと思っています。そうしないと世界との差も広がるばかりだと思います。そこで弊社と組むことで、学生に研究課題を出しつつ少しでも世界を意識してもらえたらと願っています。
プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000134664.html
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
高橋氏:
4社が集まれば1つの大きなことができるのではないかと思ったのが始まりです。リソースの問題も各社で分担すれば解決できると考えました。
出久根の会社は研究に非常に力を入れています。佐野の会社は企業や省庁との申請やコネクションを豊富に持っています。私の会社はコンサルティング事業をしているので金融機関を中心としたお客様がいます。
一年前くらいから徐々に話し合いを始め、その中で社会課題、最新技術などのキーワードがあがりました。そこに対して自分たちが結集したら何ができるのかを、話し合ってきました。そして4社を合同の法人にすることにしました。お客様が抱える課題から研究機関や大学との繋ぎ合わせで中堅中小企業の強みを生かし他社との差別化を図れると良いと考えています。
起業する以前の3人の関係性について教えてください。
佐野氏:
高橋とは元々同じ会社で働いており、出久根は取引先という関係でした。仕事を通じそれぞれが意気投合するなかで「1社では出来ないことも各社の得意分野を組み合わせることで大きな事業になる」という思いのもと一緒に起業しようとなりました。
佐野様の大手小売業業務改革責任者のご経験が今に役立っていることはありますか?
佐野氏:
「案件を具体的にまとめる」ことに役立っていると思います。
最新技術がわからなくても、ベースとなるお客様のニーズを掴むことはできます。具体的な技術部分は出久根に相談して「どうやってシステムをはめて実現していくか」をまとめるスキルは前職の経験が活きています。
また業務改革をずっとやってきたので、お客様のもつ課題感は聞くだけでわかります。例えばDXの問題はどの企業も似たような課題を抱えているので、少し話を伺うだけで全体像を掴めるようになりました。
お客様を大事に、楽しく仕事をする
事業において意識していることやこだわりを教えてください。
佐野氏:
お客様を大事にすることです。これは営業担当時の経験からきています。お客様に提案をすることがとても面白くやりがいを感じました。お客様のニーズを聞きながら、具体的に提案書を作っていくのが楽しかったです。その経験からお客様のニーズを必ず形にすることを信条としています。
出久根氏:
「真面目だけれど、ふざけていたい」と思って仕事をしています。面白いアイデアや研究はゼロから一を作ることです。その時に真面目な部分だけだと、どうしても新しいアイディアは生まれないと思っています。そこで一部分少しふざけるといいますか、楽しんで取り組めたらよりいいものができると考えています。
高橋氏:
佐野が話したように、「顧客を大事にする」ことが一番のポリシーです。あとは出久根が言った、「楽しく仕事をする」ことも重要だと思っています。少しでも世の中のトレンドに対して面白さを求め、さらに技術を追いかけたいです。
起業から今までの最大の壁を教えてください。
佐野氏:
技術の進歩が非常に速いことです。去年の今頃に「先進的な技術だ」と議論していたことが、一年後には何百と事例が出る世界です。先駆的な知見をいかに早く集めていくかが大変なところであり、重要なところでもあります。
出久根氏:
大学との産学連携で言うと、大学と企業のポリシーが違うので、そこを合致させることが大変です。しかし求めるものをお互いに一致できれば素晴らしい関係づくりができるはずです。
今回の千葉工業大学との取り組みは、うまくいってると感じています。これから様々な大学と組んでいく中でも、うまく利害を一致させてまとめていきたいです。
お客様のニーズを超えたサービスを提供したときが楽しい
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
佐野氏:
まだ必ずしもビジネスにすぐに直結していませんが、最新技術をキャッチアップしているという満足感がモチベーションです。
出久根氏:
仕事に対してあまり苦しいとか辛いとか思うことがありません。お客様が求めているものよりも、はるかに超えたアウトプットを出せた時が楽しいです。いろんな人にサプライズをするような感覚が楽しいので、それを味わいたいがために無我夢中で仕事をしています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください。
佐野氏:
年内かけて産学連携で大きいプロジェクトを成功させたいです。大まかには大きい市場が見込まれる特定の分野のソリューションの話が大学からいくつかでています。しかし資本が足りないので、経産省からの支援を受けることを検討しています。
高橋氏:
企業のDX化にかかせないAIなどの研究課題や最新技術は集めておくのが大事だと思っています。その役割を弊社が行い、知らないことに対して我々が答えられるようになることが理想です。
それができれば大企業にはないスピード感をもって、クイックの世界で実現できれば弊社の強みにもなり、世の中の役に立てると思っています。
夢は口に出して言う
起業しようとしている方へのメッセージをお願いします。
佐野氏:
実際に小さな会社で社長をする場合は、営業と資金繰りが大きな仕事になります。社長業として経営の方に行くか、それとも技術を極めるか、うまく相乗効果が生まれるように考えるのがいいと思います。
出久根様:
私は営業や資金繰りをやったことがなく、プログラマーをずっとやってきました。やらないことを決めて、そのやらないことをフォローしてくれる人と組むことをおすすめします。
高橋氏:
若くして一人で起業するのはなかなか難しいと思います。だからこそ仲間を連ねて、それぞれの役割をはっきりさせることがとても重要です。あとは絶対に夢を口に出して言うことです。思うだけではどうにもなりません。口に出すことで夢や目標に関する情報が寄ってきやすくなると思います。
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本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ
- 佐野英文 氏
大手小売業でCIO兼業務改革責任者を勤めた経験を生かし、現在は流通系企業の業務改革提案やシステム開発営業を展開している。
- 高橋 邦治 氏
1991年NTT入社、2020年にプレソフトシステムコンサルティング株式会社設立、4社共同で設立したCo-TechLabでは CFOと事業推進するためのアドバイザーとして従事。また、会社理念である社会課題を最新技術を駆使し解決することに注力している。大学などとの連携も推進している。
- 出久根芳樹 氏
1996年生まれの埼玉県出身。学生時代にWebとAIの開発会社である株式会社キングポケットを設立。大小さまざまなAI開発プロジェクトにAIエンジニアとして参画し、その分野での経験を積む。そのあと、Co-TechLabを共同設立し、取締役CTOに就任。 Co-TechLabでは、企業のAIプロジェクトの支援はもちろん、大学生にAIプログラミングの教育も行う。
企業情報
法人名 |
株式会社Co-TechLab |
HP |
|
設立 |
2023年7月 |
事業内容 |
省庁・企業・研究機関などの多様なステークホルダーとともに研究開発・事業支援を行う |
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