株式会社Dooox 代表取締役 久保寺 亮介

株式会社Dooox(ドゥークス)は「行動で世の中を変えていく」というコーポレートメッセージのもと、人々の行動を促し、世の中に変化を起こす取り組みを進めています。その活動は、経営者のアイデアを形にする支援から、地方活性化のプロジェクト創出・推進まで、多岐にわたります。

 

同社が目指す”セカイ”は、「明日も”自分のドラマ”に熱狂できるセカイを創る」こと。今回は、「行動(Do)」こそが新たな価値を世の中に生み出すという信念を持つ、同社の代表取締役 久保寺亮介氏にインタビューしました。

 

経営者のアイデアの実現から地域活性化の支援まで。行動で新たな価値を生み出す

事業の内容をお聞かせください                

我々の事業の核は「Do」、つまり行動を起こすことにあります。社名の「Dooox」には、「素晴らしいアイデアや計画があっても、それを実行に移さなければ何も始まらない」という私の信念が込められています。



具体的には「特命社長室®」というサービスを通じて、経営者の持つ漠然としたアイデアや課題をとにかく”前に進める”ために具体化し、実現に向けてワンストップで支援しています。、経営層の方々に対しては現状や向かう先の言語化から施策のタスク化までを行い、頭の中の整理を支援します。一方、実行役となる社員の方々に対しては、プロジェクト推進から検証・改善と、その後の仕組み化までを、それぞれの担当社員さんのタスクや置かれている状況まで寄り添い、一気通貫でサポートしています。

 

サポート期間は、3ヶ月から2年以上にわたるものまで様々ですが、サービスの立ち上げからこれまでの3年弱で、100社以上の支援を行ってきました。

 

また、もう一方の事業として地域の活性化を目指す「街盛プロジェクト」も展開しています。現在、青森の十和田市や埼玉の春日部市など全国50ヶ所以上で地元の方々と一緒に会社や社団法人を立ち上げ、あらゆる方向性で地元の活性化につながる事業を構築しています。

 

「街盛プロジェクト」の目的は、地域にあるポテンシャルを活かして、地域の人々が主役となった持続可能な仕組みを築いていくことで地域を持続的に活性化していくことです。この事業では、新しい事業や取り組みがしっかりと定着するまで、持続的な支援を行います。支援先の皆さまが自走できるまで我々がサポートし、持続可能な事業を一緒に築いていく点では「特命社長室®」と事業内容が似ています。

 

また、各地域の一次産業にも着目し、カスタムメイド型の事業支援だけでなく、弊社側で一次産業の課題解決をしながら地域活性化につながるプラットフォーム、サービスを現在トライアル中です。一次産業に関わるハードルを下げ、ビジネス構造を変える狙いがありますので、乞うご期待ください。

 

当社の基本方針として、他社の方々がやっていることと、少しでも良いので工夫してオリジナリティを出し、世の中に価値を提供しよう、という考えがあります。常にオリジナリティを大切し、新しい課題解決のアプローチを追求しながら、独自のサービスを生み出そうとしていることが我々の独自性の一つです。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

会社を立ち上げたのは2021年6月3日で、それまでは電通で3年、プルデンシャル生命保険で7年間働いていました。

 

電通に入社したのは、大学時代にラグビーをやっていた関係で「スポーツで日本を盛り上げたい」と思っていたからです。電通では非常に鍛えられましたし、仕事は楽しかったのですが、自分が「どのレベルで日本の役にたつか」と考えた時に、目の前のクライアント様の商品を頑張ってプロモーションするだけでは、範囲が狭いと思うようになりました。


「このままこの仕事を続けていて、本当に自分は世の中の役に立てるのか」と感じていた頃に、偶然にもプルデンシャル生命からヘッドハンティングがありました。

 

面接の際に支社長から「目の前の人だけを考えて、自分が良いと思うものだけを提案すれば良い仕事だ」と言われました。プルデンシャルは完全歩合制のため、それで良いとのことでした。

 

最初は正直「そんな仕事が本当にあるのか」と半信半疑でしたが、支社長が自信を持って断言する姿を見て衝撃を受け、即日プルデンシャルに入社することを決めました。

 

起業のヒントを得たのは、プルデンシャルで働いていた時でした。当時、私は事業承継支援に携わっていたこともあり、数多くの中小企業のオーナーや経営者との出会いに恵まれました。

 

経営者の方々の話を聞いていると、実現したい素晴らしいアイデアや計画があるのに、数年経ってもそれらを形にできていない方が多いことに気付きました。そこで、私がアイデアを実現するためのサポートを提供できたら、その方々の熱量やアイデアが社会に反映されて、日本社会の活性化にも貢献できるのではないかと考えました。エネルギーに溢れる経営者たちのアイデアが社会に反映されたら、必ず世の中にとってプラスになるはずだ、という確信もありました。

 

ただ、そうした思いはあったものの、具体的にどうすべきか悩んでいました。そんな時、某大手企業の創業者の側近として働いていた人物から、興味深い話を聞きました。彼いわく、その創業者は1週間のうち火曜から金曜の13時から15時までの間、15分刻みでのみ人と会い、残りの時間はひたすら事業について考えているとのことでした。そして、直轄に30名くらいのチームがあり、考えがまとまったものを最優先で実行してもらうというお話しでした。

 

そして、集中的に思考する時間があり、思い付いたアイデアをすぐに直轄のチームに伝えることができ、それにより次々と新しいプロジェクトを実現できているそうです。その企業がグローバル規模で成長を続けている今でも、創業者が意図的に確保している「考える時間」と「直属の実行チーム」が新たな挑戦を生み出しているのです。

 

その話を聞いた時に私はピンときて、すぐにプルデンシャルを辞め、起業することにしました。


私は常に思いついたらすぐ行動に移すことにしています。特に新たなチャレンジはやってみないとわからないことだらけにも関わらず、考えすぎると論理的な思考が先行してしまい、行動しない理由ばかりが見つかるようになってしまいます。一旦考え始めると、これまでの経験に基づく答えが頭を占め、新しいアイデアを出すことが難しくなりますし、やらない理由を考えるくらいなら、実際に行動してみてその結果を見た方がずっと効率的だと思うのです。

 

「思いついたらすぐ行動する」というスタンスが、起業へと進むきっかけにもなったと思います。

 

仕事は世の中を変えるための手段

仕事におけるこだわりを教えてください            

私は世の中を変えるための手段として、仕事をしています。社員にも「ただ作業する」「生活のためにやる」という姿勢ではなく「世の中を変える」という志を持って、仕事に向き合って欲しいと伝えています。そうした姿勢を大切にしています。

 

我々が仕事を通じて創りたいのは、自分自身のドラマに熱狂する人で溢れる世界です。そうした人々が集う世界は、より魅力的で刺激的な場所になるはずだからです。

 

行動すると、必ず良い結果と良くない結果が出ます。しかし、波のないドラマは誰も見ないのと同じで、人生も行動の結果として波のあるドラマのような人生が魅力的だと思っています。

 

現代社会ではインターネットやSNSの普及により情報の洪水が起き、メリットもある一方で、人々が他者の意見や他者との比較に流されやすくなっています。しかし、もし全ての人が自分の志・夢や好奇心に従って、本当にやりたいことに挑戦できれば、他人の目を気にすることもなく、他人軸で生きることもなく、人の足を引っ張ることに時間を浪費することもなくなるはずです。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

常にさまざまな壁に直面していますが、特に印象深かったのは創業初期のエピソードです。起業あるあるではありますが、初期に加入したメンバーが会社を去らざるをえない状況になったことですね。

 

起業してから最初の5ヶ月間は私1人だったのですが、しばらくして採用を徐々に進めていきました。その中で、思いもよらない出来事が起こり、そういった状況になりました。

 

この出来事自体は残念でしたが、当時その壁を一緒に乗り越えてくれたメンバーたちは今や、会社の中心的な存在として活躍してくれています。また、非常に勉強になった出来事でもあります。



過去に囚われていても、何の得にもなりません。過去ではなく未来に集中するためにも、第二期目から新卒採用を開始しました。

 

経営上、壁に直面することは多々ありますが、私はネガティブな出来事を引きずらず、起きた問題を成長の糧、目的に辿り着くために必要な壁と捉え、いま必要なことに集中して取り組むよう常に心がけています。

 

世の中を変えるために「絶対にやりきる」

進み続けるモチベーションは何でしょうか?          

私は世の中を変えるために会社を立ち上げました。ですから価値あるサービスを通じて今後も世の中にプラスの影響を与え続けるためにも、立ち止まったり諦めたりするなどマイナスの選択肢はありません。これは一般的なモチベーションとは異なるかもしれませんが、「絶対にやりきる」という意志で日々働いています。何が起きたとしても、常に行動(Do)するのみです。

 

もちろん、支援先の企業や地域の方々から感謝されたり、喜ばれた時は嬉しい気持ちになります。ただ、それがモチベーションにつながるというよりは、感謝されることで提供するサービスやチームメンバーへの誇りがさらに深まる、という感覚に近いです。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

今後さらに力を入れていきたいと思っているのは、日本企業の海外進出支援と海外企業の日本進出支援です。計画としては、2040年までに100カ国に取り組みを拡げていきます。直近では、日本とインドをつなぐパイプラインを構築する計画を進めています。

 

インドには現在、約1,400の日本企業が拠点を置いていると言われています。しかしインドと同等の人口を持つ中国に進出している約3万8000社と比較すると、この数は非常に少ないです。

 

その大きな理由として、インド市場に関する情報が不足していることが考えられます。このことが原因で「リスクが高い」「うまくいく訳がない」といった先入観が形成されてしまい、多くの人が実はインド市場に興味を持っているにもかかわらず、実際に挑戦する企業は少数派に留まってしまっているのが現状です。

 

そこで我々は、インド市場の情報とネットワークを共有できるビジネスパイプラインを構築する計画を打ち出しました。1社のみで市場に挑むのはハードルが高いかもしれませんが、200社、2,000社、将来的には20,000社規模のパイプラインが形成されれば、企業側も「テストマーケティングをしてみよう」「上手くいかなければ撤退したらいい」と気軽に考えられるようになると我々は考えています。

 

また、私は日本人とインド人の思想には共通点があるという仮説を持っています。たとえば、日本人とインド人はビジネスにおいて相手から一方的に搾取するのではなく、どうしたら全体の総和を膨らますことができるのかを考えられる国民性があるのではないかと感じています。これには仏教の考え方が影響している可能性がありますが、このような国民性は他の国々とは異なる特徴です。私はインドでの取り組みを通じて、この仮説を検証しようと思っています。


将来的にはインドだけでなく、中南米や台湾など世界中にも同様のパイプラインを構築する予定です。グローバルなネットワークを形成することで、日本企業の海外進出支援を推し進めていきたいと考えています。

 

起業したいのなら、すぐに行動(Do)を 

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします     

起業を考えているなら、すぐ「Do」してください。これを読んだらすぐ、開業届を出してください。

 

事業を継続的に成り立たせることは難しいですが、起業自体は届を出せば良いので誰でもできます。結局、まずは行動すれば、後は何とかなります。大切なのは、どういう志を持って起業するのかという問いのみです。とにかく一度、行動を起こしてみてください。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:久保寺亮介 氏

2007年:人生で転機となったDo。ドラゴン桜を間に受けて東大へ

  • 岐阜県出身・両親は中卒。ドラゴン桜に影響を受け東京大学工学部を受験
  • 同大学入学後は運動会ラグビー部で活動。社会基盤学科にて景観を研究

 

2011年 : 株式会社電通へ入社

  • 主にBtoC企業向けのセールスプロモーション施策/イベントの企画や運営、プロジェクトマネジメントに携わる

 

2014年:プルデンシャル生命保険株式会社へ転職

  • 事業承継、相続を中心としたオーナー企業向けの業務に従事
  • 入社当初から新人としての史上最高業績を記録するなど、多くの中堅・中小企業オーナー向けにソリューションを提供

 

2021年:株式会社Doooxを設立

  • 経営者と関わる中で「緊急ではないけれど重要なこと」を受け⽌め、伴走支援する社⻑室が必要と考え起業を決意。
  • 株式会社Doooxを設立し、代表取締役を務める。
  • 特命社長室®と地域活性化事業「街盛PJ」を軸として事業を展開。

 

その他主な役職:

  • 熊本市スタートアップメンター、IU大学客員教授
  • 静岡県小山町行政アドバイザー、静岡県南伊豆町政策アドバイザー

 

企業情報

法人名

株式会社Dooox

HP

https://dooox.co.jp/

設立

2021年6月

事業内容

「明日も”自分のドラマ”に熱狂できるセカイを創る~行動を常識に。挑戦を身近に。~」を”目指すセカイ”として掲げ、世の中の新たな挑戦を多方面で支援。

企業の新たな挑戦や緊急ではないが重要な領域において、現状の整理からプロジェクト推進、検証・改善までを支援する「特命社長室®」日本全国の地域の方々が主役となり、自走可能な地域活性化事業を0から創出する「街盛PJ」を軸として、新たなDoが加速するサービスを複数展開。

沿革

2021年6月 本社を東京都港区に設立

2023年2月 本社を東京都千代田区に移転

 

送る 送る

関連記事