株式会社TOKUMORI 代表 岡見 悠平
「可能性に満ち溢れた世界を創造する」をミッションに掲げる株式会社TOKUMORIは、HR支援・マーケティング支援・インフラ支援と多岐にわたる事業を展開しています。特に注力しているHR支援では、年間約1万人の学生との面談を実施するなど、求職者の視点を深く理解した独自のアプローチで業界に新風を吹き込んでいます。今回は、代表の岡見悠平氏に詳しい事業内容や今後の展望をお聞きしました。
3つの視点で実現する次世代のHR支援
事業の内容をお聞かせください
当社の事業は、大きく分けて3つの領域で展開しています。HR支援、マーケティング支援、そしてインフラ支援です。1番注力しているのはHR領域、特に新卒採用の支援です。
この分野に注力するようになったのは、私が就職活動に取り組む中で、学生と企業の間のミスマッチや情報格差の問題に気づいたという自身の経験が大きく影響しています。
私は、従来の就職活動のやり方を変えたいと考えています。例えば、人材紹介ではない新しいアプローチや、全国どこからでもリモートでインターンシップができる環境を提供しています。
学生がキャリアにおいて正解を「 探す」のではなく、正解を「創る」というスタンスの醸成を目指しております。弊社では実践型の長期インターンシップを通じて、即戦力人材を多く輩出できていると思っています。仕事のバリエーションも多いこともあり、自分が好きな仕事/得意な仕事なども理解してもらいつつ、未来がより良くなるようにサポートをしていけると嬉しいです。
HR支援の具体的な内容としては、新卒・中途採用支援、企業の人事部門向けの採用サポート、人事コンサルティングなどがあります。
また、当社の強みは、マーケティングの視点を取り入れた定量的アプローチです。チームには広告や人事のバックグラウンドを持つメンバーが多く、データを活用した独自の問題解決手法を提供しています。また、採用代行などの人事サービスも提供しており、業界内でも競争力のある価格設定が特徴です。
マーケティング支援については、私のキャリアがインターネット広告の分野から始まっていることもあり、広告運用やSNS運用の支援をおこなっています。
インフラ支援は少し変わった取り組みで、伝統工芸の支援などをおこなっています。例えば、靴下の染色ビジネスや、不要になったものをリサイクルする取り組みなど、社会のインフラ構築といった意味合いも込めています。
このように、HR、マーケティング、インフラといった3つの柱で事業を展開していますが、特にHR、その中でも新卒支援に力を入れているのが現状です。
競争が激しいHR業界でどのような差別化を図っていますか?
他社との差別化について、当社には3つの大きな特徴があります。
一つ目は、当社が求職者目線を持っていることです。具体的な数字で言うと、2025年卒業予定の学生については約1万人との面談を実施しました。2026年卒業予定の学生に関しては、目標として3万人の面談実施、7万人のデータ登録を目指しています。
中途採用においても、まだ規模は小さいですが、年間約5,000人との面談をおこなっています。このように当社では求職者と接点を多く持ち、その視点を理解しています。
二つ目は、人材紹介エージェントとの連携です。新卒分野では約35社のエージェントと連携しており、ほとんどの主要エージェントとパートナーシップを結んでいます。そのため、エージェントの視点も理解しています。
三つ目は、企業の人事部門との連携です。現在約150社の人事部門と連携しており、企業側のニーズや課題も深く理解しています。
このように、求職者、エージェント、企業の人事部門といった3つの異なる視点から情報を収集できているHRデータカンパニーは、あまり存在しません。当社ではこれらのデータを集約し、独自の価値を提供しています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
大学時代から自分で事業をしたいと思い、実際に小規模ながら挑戦していました。ですが、当時はあまり事業を大きくできませんでした。
その後「もう一度大きな挑戦をしよう、世界を取りにいこう」との思いで、サイバーエージェントに新卒で入社しました。そこでも一定の挑戦をさせてもらえましたが、改めて自分で挑戦したいといった気持ちが芽生えてきました。
起業を決意したきっかけは、いくつかありました。親族の死、自分自身が20代後半に差し掛かり人生で大きな挑戦をしたいとの思い、そして次世代に何かを残したいといった思いです。
この事業領域を選んだ理由については、私が課題だと感じていた「日本の活力の低下」や「挑戦する人が少ない」といった現状に対して何かできないかと考えたからです。大学時代に世界一周をする中で、逆に日本の可能性を感じた影響もありました。
特に新卒採用の分野は、既存の大手人材紹介会社が広告産業的なアプローチをしている中で、未来に対してメスを入れていく取り組みが必要だと感じました。誰もやっていないからこそ、自分が挑戦する価値があると思ったのです。
結果を出すことが社会貢献につながる
仕事におけるこだわりを教えてください。
私は、成果を残すことに強いこだわりがあります。
どれだけ頑張ったとか、挑戦したといった言葉を使っても、実際に成果を出さなければ、世の中に対して1ミリも貢献できていないのと同じだと考えています。
単なるエゴで終わらせるのではなく、お客様に対して1パーセントでも多くの価値を提供すること、そして仲間たちにできる限り多くの成長の機会を届けることを常に意識しています。
また、幸せについても独自の考えを持っています。世界中を旅しているときに、幸せとは「感じる心」だと気づきました。
私自身、晴れだから幸せを感じるといった、シンプルな幸せの感じ方をすることがあります。ただ、そういった幸せを感じる力が弱まるときもあります。人によっては完全に失ってしまう場合もあるでしょう。
この「幸せを感じる心」をどう育むか、それが私にとっての大きな命題だと考えています。仕事を通じて自分自身はもちろん、周りの人や関わる人たちがこの「幸せを感じる心」を育めるように取り組んでいます。
起業から今までの最大の壁を教えてください
正直、壁ばかりだったように感じています。
その中で特に印象に残っているのは、新卒支援サービスを始めて1年ほど経った頃の出来事です。サービスが急成長する中で、予期せぬバッシングにあいました。
本質的ではない批判だったのですが、当時はインターン生や若い社員も多かったため、組織の崩壊やインターン生の離反といった深刻な影響がありました。その鎮火作業に1ヶ月ほど費やしたのは、大きな壁でした。
ただ、それ以外にも日々多くの課題に直面しています。起業して3年経った今でも、理想とする姿にはまだまだ追いついていません。
今後もさまざまな壁が待ち受けているでしょう。例えば、ライバル会社との激しい競争や、社内での予想もしない意見の違いなどの可能性が考えられます。
ただ、どのような問題が起きても、どうにかなるだろうといった気持ちでいます。結局のところ、壁は起業の過程では当たり前のものだと考えています。
自分が「やるべきだからやる」という使命感
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
私自身、モチベーションは非常に高いと自負しています。ただ、それは単純に「やりたいからやる」よりも、「やるべきだからやる」といった感覚に近いです。
例えば、甲子園で頑張る高校球児を見ると、彼らは走りたくて走っているというよりも、強くなるために必要だから走っている、そのような感覚に近いかもしれません。
私は、世の中に可能性を届けたい、人々のキャリアを支援したいといった思いがあります。これは私にとって「やるべきこと」なのです。もちろん、大半は厳しく大変な仕事ですが、それでも一種の使命のように感じています。
世の中を変える仕事は他の誰かにもできるかもしれません。ですが、その「誰か」が自分であるといった自覚を持って挑戦していますし、その意識が、私のモチベーションの源です。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
特に注力しているのは新卒の領域です。
現在、年間約50万人の新卒者が就職活動をする中で、当社では3万人から7万人ほどの会員登録を目指せるところまできています。しかし、まだまだ足りていません。
当社の目標は大手就職サイトを凌駕し、最終的には50万人の新卒すべてにリーチすることです。キャリアに迷った方々が私たちのサービスに触れることで、解決の糸口を見出せるような頼りになる存在になりたいと考えています。
具体的に言うと、現在130人ほどのインターン生を年内に300人体制に拡大する予定です。さらに来年は700名体制を目指し、全国47都道府県に支部を設置したいと考えています。現在は8支部ですが、北海道から沖縄まで網羅する体制を整えていきます。
また、企業の人事担当者の方々へのサポートも当社の重要なミッションだと考えています。
人事という職種は、会社の中で数も少なく孤独を感じやすい立場です。私たちは単なる口先だけのアドバイスではなく、実務レベルで一緒に肩を組んで共に挑戦し、企業の生産性向上に貢献したいと考えています。
同時に、各都道府県のさまざまな企業の人事部門にアプローチし、新卒採用や中途採用、人事すべての課題解決をサポートできるよう取り組んでいます。
採用に関する悩みは尽きないと思いますが、少なくとも「どうすればいいんだろう」といった漠然とした悩みを解消し、明確な問題解決の道筋を示せるようになりたいです。
起業に大義名分は不要。まずは始めること。
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業したいと少しでも思っているなら、まずは行動してみてください。
事業のこだわりや規模感にとらわれすぎる必要はありません。結局のところ、個人のエゴや願望が事業を始めるきっかけになるのです。
もし途中で違うと感じたら、方向転換したりやめたりするのも全然構いません。大切なのは、小さな一歩でも良いのでアクションを起こし続けることです。
踏み出せない方へのアドバイスとしては、あまり深刻に考えすぎないことをおすすめします。1日24時間ある中で、少しずつでも取り組める時間は必ずあるはずです。特に若いうちは、挑戦する価値が大いにあります。
わくわくする気持ちや、やりたい気持ちを原動力にスタートを切ってもいいのです。まずは一歩を踏み出すことから始めましょう。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:岡見悠平氏
株式会社サイバーエージェント インターネット広告事業本部(新卒)
株式会社リッチメディア(現:シェアリングビューティ)人事
株式会社TOKUMORI
企業情報
法人名 |
株式会社TOKUMORI |
HP |
|
設立 |
2021年6月1日 |
事業内容 |
・インフラ支援(アップサイクル事業、メディア事業) ・マーケティング支援(WEB広告運用サポート、SNS運用サポート) ・人事コンサルティング(HR支援事業、コーチング) |
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