株式会社マツリカ 代表取締役CEO 黒佐 英司
株式会社マツリカは、法人向けにクラウドサービスを提供し、営業支援やマーケティング活動を効率化するツールを展開しています。黒佐氏は、営業現場での豊富な経験とIT技術への深い理解を活かし、これまでにない新しいプロダクトを生み出しました。
現場の実際のニーズに寄り添った「使いやすい」ツールを提供することをビジネスビジョンに掲げる黒佐氏に事業内容や今後の展望なども含めて、詳しくお聞きしました。
現場の声をもとに生まれた営業支援ツール「Mazrica」の進化と展開
事業の内容をお聞かせください
株式会社マツリカは、法人向けにクラウド型の営業支援および顧客管理ツールを提供しています。主力製品である「Mazrica」は、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)を中心に、マーケティングオートメーションやBIを組み合わせた、企業全体の営業・マーケティング活動を支援するプラットフォームです。
このツールを使うことで、法人の営業チームは、顧客とのやり取りや訪問活動、商談の進捗を一元管理し、各営業プロセスの効率化を図ることができます。
さらに、私たちのシステムはノーコードでのカスタマイズが可能で、専門知識がなくても簡単に自社の営業フローに合わせて設定でき「誰でも使える・誰でも成果を出せる」ことが特徴です。これにより、企業ごとの特性に合わせたシステム構築が可能となり、多くの企業が導入を検討しています。
また、外部ツールとの連携もスムーズに行えるように設計されており、さまざまなシステムとの統合をサポートしています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
私が事業を始めたきっかけは、営業の現場で感じていた課題を解決したいという思いからでした。
以前の職場で使用していた顧客管理ツールは、管理者にとっては便利なものでしたが、現場の営業担当者には使いづらい部分が多く、実際の業務にはあまり役立っていませんでした。
具体的には、営業担当者がツールの操作に時間をかけすぎてしまい、本来の業務である顧客とのコミュニケーションに十分に集中できないなかったのです。”管理”ツールという名の通り、管理する側にはメリットが感じられるが営業担当者にとってはメリットが感じられないことが強い課題であると認識しました。
こうした現場の問題に対応するため、営業担当者が本当に使いやすいツールを作ろうと決意し、株式会社マツリカを立ち上げました。
当初は少人数での開発でしたが、営業現場のニーズに基づいてプロダクトを設計し、次第に多くの企業からフィードバックを受けることで、プロダクトを改善してきました。現在は日本の営業現場で直面する課題に取り組み、業界のデジタル化を進める役割を果たしていると感じています。
営業現場を革新する「使いやすさ」と継続的な改善へのこだわり
仕事におけるこだわりを教えてください。
私が仕事で最も大切にしているのは、やはり「現場の声に耳を傾けること」です。
私たちが提供しているツールは、営業支援や顧客管理の機能を提供しています。これらを実際に使うのは現場の営業担当者です。そのため、営業担当者が無理なく、そして効率的に使えることが最も重要だと考えています。
ツールの設計段階から、ユーザーインターフェースを直感的に使えるように工夫し、誰でも簡単に操作できるようにしています。
例えば、営業担当者がツールを使って訪問活動の進捗を管理する際、いかに少ないステップで入力が完了するか、どれだけ視覚的に分かりやすくデータが表示されるかを徹底的に追求しています。
また、私たちのシステムはノーコードでカスタマイズできるため、企業ごとに異なる営業フローや商談の進め方に合わせた設定が可能です。
これにより、大企業から中小企業まで幅広く対応できる柔軟性が生まれています。特に、営業活動が複雑な業界では、このカスタマイズ機能が大きな強みとなっています。
もう一つのこだわりは、「常に進化し続けること」です。
テクノロジーの進化は非常に速く、私たちが提供しているツールも日々改善が必要です。顧客の声や市場のトレンドを取り入れながら、常に新しい機能を追加し、システムのパフォーマンスを向上させています。
私たちは、顧客との長期的な関係を大切にし、定期的なアップデートを行うことで、常に最新の技術を提供しています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
起業してからこれまで、最も大きな壁となったのは「プロダクトの開発にかかる時間とコストの問題」です。
特に、私たちが提供しているようなBtoBのサービスは、導入する企業の業務に大きく影響するため、品質や機能が非常に重要です。しかし、最初にリリースしたプロダクトには、当初はSFAやCRMをスコープに入れていなかったこともありCRM/SFAとして見ると必要最低限の機能しか備わっておらず、思想やプロダクトの方向性については大きな賛同をいただく一方で、機能としては顧客からの期待に応えられるものではありませんでした。
そのため、リリース後に熟考した結果としてCRM/SFAとしてのマーケットニーズを受け入れることを決め「差分開発」と呼ばれるプロセスを取り入れ、他社のツールと比較しながら、必要な機能を一つひとつ追加していくことにしました。
具体的には、他のCRMシステムにはあるが、私たちのツールにはない機能をリストアップし、それらを順次開発していくという地道な作業を続けました。これには非常に多くの時間とコストがかかりましたが、結果として、現在では多くの企業に受け入れられる製品へと成長させることができました。
この過程で学んだのは、「最初から完璧なプロダクトを目指すのではなく、常に改善し続けることの重要性」です。
お客様のフィードバックを元にプロダクトを改善し、それが結果的に信頼と顧客満足度の向上につながっていくのだと実感しました。
営業現場を支えることで「人とビジネスを成長させる」原動力
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
私の進み続けるモチベーションは、自分の信念に基づいて行動することでありそれがマツリカのビジョン達成にも繋がっていることです。「創造性高く遊ぶように働ける環境を創る」というビジョンの元、「ユーザーが本来やるべき、やりたい業務に集中できる環境を作ること」に向き合っています。
私自身、営業の現場で多くの時間を過ごしてきたため、営業活動の中で発生する無駄な作業や効率の悪さを痛感していました。
特に、手動でのデータ入力や煩雑な管理作業が多いと、営業担当者は顧客とのコミュニケーションに十分な時間を割くことができません。こうした問題を解決し、営業担当者がより創造的で戦略的な活動に専念できるような環境を提供したいと考えています。
プロダクトを通じて、企業が抱える課題を解決し、営業活動の効率化に貢献できることが、私のモチベーションの源となっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
将来的には、さらに多くの企業に私たちのツールを導入していただき、営業活動を効率化するだけでなく、企業全体の生産性向上にも貢献していきたいと考えています。具体的には営業やマーケティング担当者などのフロント業務を行う方々の支援だけではなく、ミドルバック領域への支援なども含めた企業全体への支援を行っていきたいと考えています。
また直近では、デジタルセールスツールとしての「DealPods」もリリースしており、売る側のSellerだけではなく買う側であるBuyerの支援が出来る機能をより強化し、BtoBにおける商取引全体のデジタル化を推進していきたいと思います。
また、日本国内だけでなく、海外市場にも積極的に展開していく予定です。具体的なものがあるというよりは、国ごとに独自のルールや商習慣がある領域以外については言語や通貨屋以外のローカライズは必要ないため、敢えてマーケットを小さく捉える必要はなくグローバルに展開していくことは必然であると考えています。
今後の採用に関する方針についてお聞かせください
現在、当社は100名程度の規模で業務を展開していますが、さらなる事業拡大に伴い、優秀な人材の確保も重要な課題となることが予想されます。
特に、営業や開発部門における専門知識を持ったメンバーや、柔軟な発想力を持つ人材を求めています。採用においては、スキルセットだけでなく、私たちのビジョンやミッションに共感できるかどうかも重視しています。
マツリカでは、単にスキルを持つ人材を採用するのではなく、「共に成長し、企業の未来を創造していける人材」を探しています。
当社のビジョンである「創造性高く遊ぶように働ける環境を創る」という思いに賛同し、前向きにチャレンジできる方と一緒に働きたいです。特に、営業やマーケティングの現場を支えるツールを作り上げるため、実際に現場で課題に直面している方や、現場を改善したいという情熱を持った方の応募をお待ちしています。
また、採用時には「オープンなコミュニケーション」を非常に大切にしています。私たちは、会社のビジョンやバリューを明確に伝えるだけでなく、応募者の方が気になる点や不安を率直に聞いてもらえる環境を心がけています。
面接の場でも、応募者の方にはどんな質問でもしていただけるようにし、会社やプロジェクトに対する理解を深めてもらうことを目指しています。ですから、私たちが大事にしているオープンな社風や、双方向のコミュニケーションを体感していただければと思います。
特に、面接の際には「私たちのチームに加わることで、どのように貢献できるかだけではなくどのように自分自身が成長できるか」をしっかり考えていただきたいと思っています。
私たちも、メンバーが自由にアイデアを出し合い、それを実現できる環境を提供することを目指していますので、自ら主体的に行動できる方には最適な職場だと自負しています。
挑戦を恐れず「信念を持ち続ける」
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業を考えているなら、迷っている時間があるなら、すぐにでも最初の一歩を踏み出すべきです。準備をしすぎるより、まずやってみることが大事です。失敗しても、それで終わるわけではなく、やり直すこともできるし、何度でも挑戦すればいいんです。起業に必要なのは、とにかく一歩踏み出す勇気です。
成功させることは簡単ではないものの、起業自体のリスクなんて知れていますし、リスクを取ることで得られる成長の機会は大きいものです。だから、成長するためのレバレッジをかけて、今すぐにでも起業したほうが良いと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:黒佐英司 氏
ニューヨーク州立大学バッファロー校卒業後、積水ハウス株式会社にて個人向けの企画提案、法人・資産家向けの資産活用提案、海外事業開発において企画営業及びマネージャーに従事。
2011年に株式会社ユーザベースに入社し、営業開発チームの立ち上げを担当。以来、営業部門、マーケティング部門及び顧客サポート部門の統括責任者を歴任し、SPEEDA販売促進・保守、営業・マーケティング戦略の立案及び執行を担当した後、2015年に株式会社マツリカ(Mazrica Inc.)を共同設立。
企業情報
法人名 |
株式会社マツリカ |
HP |
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設立 |
2015年4月30日 |
事業内容 |
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