株式会社デジタリフト 代表取締役社長 百本 正博

株式会社デジタリフトはデジタルマーケティングをワンストップで支援し、クライアントと共に課題に向き合いながら、時にはデジタルマーケティングの枠を超えて経営全般の課題解決にも取り組んでいます。

広告運用支援を軸に2012年に設立された同社は、ニーズの高まりに応じて事業を拡大し、現在では包括的なデジタルマーケティング支援を提供しています。同社の代表取締役社長である百本氏に、事業内容や仕事に対するこだわりについて詳しくお話を伺いました。

 

包括的なデジタルマーケティング支援で、クライアントの課題を解決

事業の内容をお聞かせください                 

当社は、包括的なデジタルマーケティング支援を提供しています。2012年の創業当初は、主に運用型広告の運用をしていました。当時は運用型広告がまだ普及しておらず、その分野を専門的に支援できる企業として成長してきました。

 

次第に広告運用以外のニーズも高まっていき、現在はマーケティング戦略の構築、SEO、制作、MAツールやCRM導入のコンサルティングなど、多岐にわたるサービスを展開しています。クライアントとの密なコミュニケーションと、広告結果の可視化によって信頼を築き上げてきたことが、事業の拡大につながったと考えています。

 

当社はデジタルマーケティングをワンストップで支援できる体制を整え、クライアントのデジタル施策全体を把握し、最適な予算配分を提案しています。幅広い支援を提供することで、クライアントが複数の取引先を個別に管理する手間を軽減できることが我々の強みです。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

自分が培ってきたスキルと市場の変化を考えた際に、大きなビジネスチャンスを感じたため、起業に踏み切りました。当時は、デジタル広告でできることが加速度的に広がりを見せ始めており、それに伴い広告に留まらないマーケティング全般の知識がデジタル広告領域で必要とされる市場環境となっていた時期でした。

 

私は総合広告代理店で幅広い業務を経験し、さらにデジタルマーケティングのコンサルティングにも携わっていたため、「自分のスキルを活かして世の中の役に立てるのではないか」と感じたことが、起業の大きなきっかけです。

 

新卒で総合広告代理店に入社した後、一度は全く異なる業界で働きましたが、タイミングや環境の変化が重なり、再びマーケティング業界に戻り起業しました。

 

広告代理店は厳しい環境でしたが、そこで結果にこだわる姿勢を培えたことが、事業を軌道に乗せる上で非常に役立ち、現在の仕事にも大きな影響を与えています。

 

クライアントに寄り添い、スピード感を持って成長を支える

仕事におけるこだわりを教えてください            

こだわりは、クライアント企業のマーケティングを「確実に成功させる」ことです。単に施策を提案するだけでなく、結果を出すことに強い責任感を持って取り組んでいます。

 

成果を上げ、クライアントの事業拡大に貢献することが私たちの使命であり、また個々の企業の成功をサポートすることが、日本全体の活性化にもつながると信じています。その視点を常に意識しながら日々働いています。

 

また、我々が大切にしていることの中核には「伴走思考」があります。広告運用のフェーズで利益が生まれるのは当然ですが、当社が目指しているのは、単に自分たちだけが儲けることではなく、クライアントのビジネス成長をサポートし、持続可能な関係を築くことです。クライアントの事業が発展していく過程で、規模や事業内容が変わっていく中でも、我々は常にその成長に寄り添い続けたいと考えています。

 

そのため、当社は外注に丸投げするのではなく、できる限り自社でコントロールできる体制を整えています。全体の設計から実行までをしっかりと自社で管理し、責任を持って対応することで、スピード感のある業務進行を実現しています。このスピード感と伴走する姿勢が、クライアントから信頼されている理由だと考えています。

 

 

経営者として大切にしていることはありますか? 

私は経営者として最も大切なのは「覚悟」だと思います。経営者がどれだけの覚悟を持って臨むかが、事業のすべてに大きく影響します。

 

覚悟がしっかりとできていれば、準備も進み、目標はより具体的になり、課題が出てきても前向きに対処できるはずです。もちろん自分たちではコントロールできない外的要因もあります。しかし、コントロールできる部分については、経営者の覚悟次第で多くのことを成し遂げられるはずです。結局、経営者と経営陣がどれだけ覚悟を持って事業に取り組めるかが、成功の鍵だと思います。

 

また、経営者は固定観念にとらわれすぎないことも大切です。従業員のマインドは世の中の情報や、会社内の雰囲気に大きく左右されます。その中で、経営陣も柔軟に価値観をアップデートし、状況に合わせて変化しなければなりません。しかし、柔軟に対応する中でも、会社の軸がブレすぎないようバランスを取ることが重要です。

 

特に、経営陣の意識や目標が統一されていないと、会社全体が迷走してしまいます。1人で経営している場合は自分だけが理解していればいいですが、複数の経営陣がいる場合は、「何を大切にするのか」「どこを目指すのか」をチームで統一することが非常に大切だと思います。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

一番の壁は会社設立後数ヶ月経った頃に、資金がほぼ底をついてしまったことです。特に厳しかったときは、口座残高が300万円台まで減りました。

 

資金を増やすには基本的に新たな受注を得るしかないため、必要なアクションを具体的に計画し、次に何をすべきかを細かく落とし込み、愚直に実行しました。

 

広告事業は大きな設備投資が不要なため、少ない資本で始められます。しかし、サービスをしっかりと形にしていく過程では時間がかかり、その間にキャッシュが厳しい時期もありました。営業活動を続けながら少しずつ立て直していきましたが、当時は私1人でその状況に向き合っていたため、振り返るとその時期が最も苦しかったです。

 

また、コロナ禍初期に売上が急減した時期も厳しかったです。売上が一気に10~15%落ち込むと収益バランスが崩れていきますし、さらにオフィスに皆が出社できない状況でしたので、広いオフィスで1人きりで1〜2ヶ月働いていたときは、「このままでは会社が潰れる可能性もゼロではないな」と本気で危機感を覚えました。

 

 

需要拡大に応じた成長と、新たな挑戦への積極的な取り組み

進み続けるモチベーションは何でしょうか?          

正直なところ、モチベーションを意識したことはありません。息をするように自然と仕事をしている感覚です。

 

経営者として大変な時期もありますが、仕事をする上で常に根底にあるのは「社員を守る」という強い責任感です。

 

社員とは多くの時間を共有しますし、金銭的な面も含めて、会社が従業員に与える影響は非常に大きいと感じています。さらに、従業員が扶養している家族にも影響が及ぶため、会社を安定的に存続させることが私の大きな役目です。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

デジタルマーケティング支援は今後も需要が増す一方だと思います。そのため、引き続きクライアントのニーズに沿い、伴走しながらワンストップで課題解決ができる会社として成長していきたいと考えています。

 

ただ、現状の体制を続けるだけでは効率性が低下するリスクもあるため、バランスをどのように取るかが今後の大きな課題であり、挑戦だと考えています。

 

当社はゼロからスタートした企業です。だからこそ、特定の領域に固執せず、興味を引かれることやビジネスチャンスがあれば、新たな分野への挑戦を積極的に行っていきたいと考えています。会社としても、個人としても、新しいチャレンジを常に大切にしていきたいです。

 

 

完璧を目指さずに挑戦することが大切

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

どんなことでも行動しなければ結果は生まれませんから、まず動くことが大切です。やる気があるなら、できるだけ早く行動に移した方がいいと思います。

 

ただし、何も考えずに急いで始めるのもおすすめしません。一定の知識を得たり、リスクヘッジをしたりすることも大切です。

 

一方、準備を完璧にしようとしすぎて、100%の準備が整わないと起業できないと思っている人もいます。しかし、100点を目指していると永遠にスタートできません。70点くらいで走り出しながら、100点を目指す方が現実的だと思います。

 

準備を完璧にしようとする慎重派の人が起業できれば、ベンチャー界隈が安定し、経済の面でもプラスになるでしょう。二の足を踏んでいる人こそ、思い切って起業に挑戦して欲しいです。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:百本 正博

日本大学商学部卒業。

1995年、株式会社大広に入社。営業局にて総合流通業(GMS)、通信事業、メガバンク、自動車メーカー、総合飲料メーカー、信託銀行などを担当し、ブランド開発、VI開発、コミュニケーション構造構築、メディアプランニング及びバイイング、イベントの企画立案・実施管理に従事する。

2005年に退社後、インターネット広告会社のコンサルタント、ITスタートアップのアドバイザーとして活動しながら、サラブレッドの輸入販売育成事業の立ち上げにも参加する。

2012年11月、株式会社デジタリフト(旧・株式会社電子広告社)を設立し、代表取締役に就任

 

企業情報

法人名

株式会社 デジタリフト DIGITALIFT Inc.

HP

https://digitalift.co.jp/

設立

2012年11月

事業内容

広告・コンサルティング領域:マーケティング戦略コンサルティング / 広告運用/テクニカルソリューション/マーケティングツール導入コンサルティング

ブランド・メディア領域:ブランドマーケティング/SEO /制作/アフィリエイト/インフルエンサー/SNSアカウント運用/ECモール支援

 

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