【#296】女性にキャリアの新しい選択肢を。新時代のコミュニティSNS「CORE」で繋ぐ、働く女性の未来｜代表取締役　尾崎莉緒（株式会社CORE）

2024.11.22

起業家インタビューインタビュー

株式会社CORE　代表取締役　尾崎莉緒

株式会社COREは、働く女性のためのコミュニティSNS「CORE」を運営しています。。「CORE」はキャリアに前向きな女性たちをつなぐ、新しい形のプラットフォームです。同じ悩みを持つ仲間との出会いや、先を行く女性との対話を通じて、自分らしいキャリアを築いていけるよう支援しています。「日本の女性管理職やリーダーの数を増やしたい」と語る代表取締役の尾崎莉緒氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。

働く女性の新たなキャリアステージを支えるCOREの取り組み

事業の内容をお聞かせください

当社では「CORE」という、働く女性のためのコミュニティSNSを運営しています。主なユーザーは20代後半から30代前半の、結婚・出産などのライフイベント前の働く女性の方々です。特にビジネスサイドの営業職や、人事、コーポレート部門の方々、最近ではデザイナーの方々にも多くご利用いただいています。

世の中には子育て中の女性向けのサービスは数多くありますが、その前段階であるライフイベントを控えた働く女性の悩みに応えるサービスはまだ少ないのが現状です。私自身も既婚者ですが子どもはおらず、「これからのキャリアと人生のイベントをどう両立させていくか」といった悩みを抱えていました。そのような経験から、同じ悩みを持つ女性たちが集い、思いを共有できる場をつくりたいと考えました。

COREの特徴は、同じような立場や職種の女性たちが、フラットな関係で出会えることです。実際に、この場をきっかけに新しいビジネスが生まれた例もあります。女性起業家同士が出会い、スクール運営者と食品販売者がコラボレーションして新商品を開発したり、SNSマーケティング人材として協業が始まったりと、新たなキャリアの可能性が広がっています。

サービスの展開は、当初は利用者からの口コミによって広げていました。COREでは毎週オフラインイベントを開催しており、毎月100名以上の働く女性にご参加いただいています。、その良さを実感した方々が知人を紹介してくださるといった流れが生まれています。

また、自社メディアではさまざまなロールモデルへのインタビューや、働く女性向けのキャリア情報を発信し、それらをきっかけとした新規のユーザー様も増えてきました。

創業以来、私はCOREに登録してくださった方とコミュニケーションを取ることを心がけており、これまでに約1,000人とお話させていただいています。この直接的な対話を通じて、よりユーザーの皆様のニーズに寄り添えるサービスを目指しています。

日本で女性がキャリアを築く上での課題は何だとお考えですか？

日本では、ここ5年間で72万人も働く女性が増え、共働きが当たり前となっています。それにも関わらず、女性管理職の割合は1割程度です。働く女性が増えていますが、会社の重要なポジションで働く女性は増えていません。

このような状況が続いている理由は、女性がキャリアで悩んだ時に相談できる場所が非常に少ないからと考えています。

だからこそCOREは、働く女性同士が気軽に悩みを打ち明け、発散できるプラットフォームとして、展開していきたいと思っています。「一人じゃない」と感じられる場所があれば、もっと多くの女性が自分らしいキャリアを築いていけるはずです。そのような思いで日々運営に取り組んでいます。

サービスを大きくリニューアルされたとお聞きしました。

これまではマッチング機能を中心としたサービスでしたが、より充実したコミュニティSNSへと進化させるため、11月末に大幅なリニューアルを行いました。

きっかけは、ユーザーの皆さまからの声でした。従来の30分で1on1で会話をする形式では時間も限られ、相手のことを十分に知る機会も少ないといった課題がありました。また、いきなり1on1はハードルが高いといったご意見も多くいただいていました。

タイムライン機能を大幅に強化し、より使いやすい仕様に生まれ変わりました。投稿へのリアクションの種類を増やしたり、ライフイベントやキャリア、子育てなど、カテゴリー別の絞り込み機能を追加したりと、自分の興味や悩みに近い投稿を見つけやすくなっています。

また、新たに募集投稿機能を追加しました。採用情報に限らず「サウナでキャリア相談」や「渋谷でランチ」といった気軽な交流の呼びかけもできるようになっています。このリニューアルを通じて、同じ立場の仲間や、将来のロールモデルとの出会いがより自然な形で生まれる場を目指しています。

事業を始めた経緯をお伺いできますか？

事業を始めたきっかけは、前職のスタートアップ企業での出来事でした。直属の上司が会社で初めての産休・育休を取得することになり、当初は3ヶ月で復帰する予定でした。しかし実際に復帰してからの様子を見ていると様々な困難を抱えているようでした。

子育てが始まり時間が制約される一方で、スタートアップならではの仕事のスピード感や次々と増えるタスク、めまぐるしい情報の流れについていくのが難しくなってしまっていたのです。この経験を通じて「女性のライフイベントは、こんなにキャリアに影響するんだ」と、強く心に残りました。

何か解決策はないかと海外の事例を調べていくと、女性管理職向けの会員制クラブが大きな成功を収めているのを見つけました。ですが、日本の女性管理職比率はまだ1割程度で、日本で同じことを始めるにはもう少し時期を待つ必要があると感じ、さらに調査を進めました。

そこで目に留まったのが、海外で人気のママ友マッチングサービスです。育児中の母親の孤独が話題になる中、同じような孤独感は働く女性のキャリアでも起きているのではないかと気づいたのです。そこで2年前、働く女性同士が出会い、キャリアのヒントを見つけられる場として、COREを立ち上げることにしました。

実は、私自身はこれまで起業したいと思っていたわけではありません。ですが、上司の産休をきっかけに社長直下で働く機会をいただき、情熱を持って働く人々の姿に触れたことで、起業の道を選ぶことにしました。

自ら動き仲間と一緒に成長し続ける

仕事におけるこだわりを教えてください。

「チームワーク」と「率先して行動すること」の2つです。

私自身はエンジニアでもマーケターでもないため、できることに限りがあります。だからこそ、適切な人材を巻き込み、一緒に世の中に大きなインパクトを残していくことが重要だと考えています。

元々人事部出身ということもあり、一緒に働く方には単なる業務遂行だけでなく、当社のビジョンに共感し、強い熱量を持って取り組んでもらいたいと考えています。それぞれの専門性を活かしながら、一緒に会社を成長させていける仲間との出会いを大切にしています。

その上で、最も重要視しているのが、私自身が真っ先に行動することです。リーダーである私が積極的に動くことで、自然とチーム全体の意欲も高まっていくと思っています。自ら行動し、多くの仲間を巻き込みながら、組織全体で成長していくことが、私の仕事に対する姿勢であり、こだわりです。

起業から今までの最大の壁を教えてください

会社設立からわずか2週間で共同創業者が辞めてしまったときです。

突然の出来事で、会社存続の危機に陥りました。一人で会社を経営していく覚悟はその時点では十分ではなく、本当に厳しい状況でした。

当時はサービスを始めて間もない時で、ユーザーはまだ30人ほどでした。その中で、航空業界で働いていた一人のユーザーさんとの出会いが転機となりました。コロナ禍でフライトがなくなり、転職を考えている彼女のキャリア相談をしました。後日「転職が決まりました」との報告をもらったときに、このサービスの可能性を感じ、続けていこうと決意しました。

人生とキャリアに良い変化をもたらす

進み続けるモチベーションは何でしょうか？

最大のモチベーションは、ユーザーの皆さまの声です。

定期的に開催しているオフラインイベントでは、多くのユーザーの方々と直接お会いする機会があります。その中で「COREで人生が変わりました」という声を直接聞くことが私の原動力となっています。

このような出会いや反応を通じて改めて実感するのは、当社がつくっている場が確実に必要とされていることです。ユーザーの方々の人生やキャリアに寄り添い、良い変化をもたらしているといった実感が、私の活動を支える最大のモチベーションです。

今後やりたいことや展望をお聞かせください　

直近のビジネス展開として、人材紹介や採用支援の分野でのマネタイズを計画しています。

また、将来的に取り組みたいことが創業当初からの目標である女性管理職限定の会員制クラブを日本でつくることです。女性管理職やリーダーの数を増やし、彼女たちが集いつながることのできる場を提供することが、私たちの最も大きな目標です。

また、今年12月に大規模なカンファレンスイベント「Women’s Career Conference」を開催します。約200名の働く女性たちをお招きし、キャリアへの意欲をアップデートできる場にしたいと考えています。このイベントを成功させ、以後も定期的な開催を通じて、女性たちのキャリア形成を支援していきたいと思います。