株式会社ITサポート 代表取締役 根本 雅文

SES(システムエンジニアリングサービス)事業と介護・福祉業界に特化した単発バイトマッチングサービスを手がける株式会社ITサポートは、代表取締役である根本 雅文氏がご自身の経験から得た「さまざまな業界の”人手不足”を解消したい」という思いを社会実装するべく日々まい進されています。今回、同氏に事業内容やこれまで乗り越えた壁、今後の事業についての展望、そして起業したい方に向けたメッセージなどをお聞きしました。

 

SES事業は”エンジニア人材”、「ケアリンク」では”介護・福祉業務をサポートする人材”を必要とする事業所へ派遣

事業の内容をお聞かせください

当社の主な事業は「SES(システムエンジニアリングサービス)事業」と「単発バイトマッチングサービス『ケアリンク』の開発・運営」の2つに分かれます。

 

SES事業は、簡単に言うと他社のシステム開発サポートをします。お客様の開発のリソース不足などさまざまなご要望に合わせて、自社の開発力を提供する仕組みです。

 

最近の傾向として、開発に携わるリーダーやPM(プロジェクトマネージャー)は自社の社員が担い、その他のメンバーをアウトソースするといったケースが多く見られます。したがって、エンジニアが不足しているといった状態が常であり、我々はそのような方々をサポートできる体制を整えています。

 

我々の強みとしては、エンジニア経験が3年以上でニーズの高い言語に対応できる、加えて要件定義から基本設計、詳細設計や開発テスト、そして運用までワンストップで対応できる人材がそろっていることです。現在、8〜10名のエンジニアがご依頼いただいた各々の企業で活躍しています。

 

大手から中小企業まであらゆる業界の方々からご依頼をいただいており、これまでに、ECモールの在庫管理システムや幼児教育アプリの開発なども手がけました。お客様からは「いつも助かっている」といった評価の声をいただいています。

 

そして、2024年2月にサービスの提供を始めたのがもう一つの事業である「ケアリンク」です。

 

「ケアリンク」は、いわゆる単発バイトマッチングサービスなのですが、特長は高齢者の介護施設と障害者の福祉施設の仕事に特化している点です。リリース後から利用される方が増えていき、現在は法人でみると約110、事業者ベースだと約350の方々に利用していただいております。

 

企業側は、求人の掲載からワーカーとの契約など全てオンライン上で手続きすることができます。単発の仕事は1日当たり1時間から設定でき、「未経験でも可能」「経験者であれば可能」「有資格者のみ」の3つに分けて募集できるようにしています。そのため、業務内容や該当する日に依頼したい仕事内容に合わせて求めるワーカーを選定することができます。

 

ワーカーは、現在約3,800名が在籍しています。約7割の方が介護施設等で勤務した経験があり、かつ有資格者の方々です。もちろん資格のない方でも、食事の配膳や部屋の清掃といった得意なことを活かせる仕事に応募して活躍されています。

 

実際のアクティブユーザーは、本業で介護施設や福祉施設で働いている人が、休日等を活用して働くといったような副業・ダブルワークとして活用しているケースが多い傾向にあります。また、就職や転職の際に職場の雰囲気を知ったり、介護・福祉の現場で必要なスキルを確認したりといった目的で利用することもできます。

 

働きやすさを実現するためにも、「ケアリンク」を通して働いた場合の時給は国が定める「地域別最低時給のプラス50円」に設定しています。

 

ワーカー側は深夜手当・残業手当と併せると一般的なアルバイトより報酬が高めになります。企業側は、人手が足りない業務をピンポイントで経験のある方にお願いすることができるため、双方にとってメリットのあるサービスとなっています。さらに、ワーカー側の無断欠勤等が発生しないようにサポートできる体制を作っています。

 

サービスの対象地域としては関東(東京・千葉・埼玉・神奈川)と静岡・愛知ですが、今後は全国へと拡大していく予定です。

 

【ケアリンク】

▼働きたい方はこちら

https://worker.care-link.website

介護事業者の方はこちら

https://client.care-link.website

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私は格闘技をやっていたのですが、その時に所属していたジムが介護施設の運営を行っていました。そのことがきっかけで、介護業界に携わるようになりました。

 

現場で介護のあらゆる業務や管理者という立場などを経験していく中で、「人手が足りない」と感じることが多々あり、次第に業界全体の人手不足にアプローチできる方法はないかと考えるようになりました。そこで作りたいと思いついたのが「ケアリンク」のような人材を誘致できるアプリです。

 

そこで、実際にアプリを制作できるようになりたいと考え、システム開発を行う企業に転職しました。開発エンジニアとして従事した後に、2021年7月にITサポートを立ち上げました。

 

はじめは、SES事業を展開しながら利益が得られるように私自身も含めて開発エンジニアとして働いていました。そしてある程度売上が確保できた2023年7月から本格的に「ケアリンク」の開発に着手しました。そして、2024年2月にサービスを提供するに至りました。

 

私自身、「起業したい」という思いはずっと持っていましたし、介護施設で働いている時から社会の課題解決につながるアプリを作りたいと考えていました。今はSES事業がメインとなっていますが、今後は「ケアリンク」を軸により弊社を発展させていきたいと考えています。

 

まずはIPO。サービス拡大に向けてさまざまな角度からアプローチ

仕事におけるこだわりを教えてください。

我が社のミッションである”システム開発を通して、企業と働く人々が発展できる機会を作る”やビジョンとして掲げる”理念のもと改革し、社会に必要とされ続ける会社を創る”といったものを貫くことは当然のことだと考えています。

 

その上で、達成すべき目標を「IPO(新規上場)する」に定めているため、上場するために「ケアリンク」のサービスを拡大することに注力している状況です。したがって、今は収益性を上げることだけではなく、緊急度・重要度の高いものに分類して仕事を進めることにこだわっています。

 

新規顧客の開拓については、既存のクライアントの方からご紹介いただいたり、テレフォンアポイントメントを活用してアカウント登録まで結びつけたりといったさまざまな角度からアプローチしています。今後はDMや問い合わせフォームなどの活用を広げて、試行錯誤しながら新たな関係の構築につなげていきたいです。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

今大変だと感じること(壁)は、それを乗り越えることによって成長し、次のフェーズではもっと高い壁(課題)が出てきて以前大変と感じていた壁は壁だと感じなくなります。

 

そのような中でも、直近の最大の課題は資金調達でした。今回、ランウェイ(会社の資金がなくなるまでの期間)が1〜2ヶ月に迫った時点でようやく調達することができました。

 

そのために問い合わせた件数は100件を超え、面談を行った数も50回を超えています。自己資金の投入も行い、半年ほど時間を要しましたが、ファーストラウンドにおける資金調達の壁を乗り越えることができました。

 

介護現場の人材不足を身をもって経験したからこそ、未来を変えたいと歩み続けられる

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

モチベーションは、自分自身に逃げ道をなくしていることです。自己資金もかなり投入しましたし、ある意味では、起業してから進むべき方向に取り組み続けるしかない状況に自らを追い込んでいます。ただこれは私に限ったことではなく、誰でも成し遂げなければならない状況に置かれると、このようになるのではないかと感じています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

会社の目標は、まず上場することです。上場して最終的にはスタンダード市場・プライム市場へと発展していきたいと考えています。

 

そして、達成したいことはやはり介護業界の人手不足を解消することです。「ケアリンク」のワークシェアリングを通して全国の介護施設、障害者施設が抱える「人の手が足りない」といった課題を解決していきたいです。

 

学ぶことは起業してからでも遅くない。必要な知識を積極的に取得することが大切

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

会社の規模としてもまだ小さく、アドバイスできるような立場ではありませんが、やはり逃げ道を作らずに進んでいくことが大切だと思います。

 

また、自らがシステム開発などエンジニアリングの経験があることで事業全体をつかみやすくなった点が良かったと感じています。ですから、起業してからも都度必要な知識やスキルなどを自らキャッチアップしていくことが大事だと感じています。

 

『ケアリンク』を通してつながりたいと考えている方々、ならびにともに働いてほしいメンバーに向けてメッセージをお聞かせください

介護/福祉関係のサービスを提供している企業様や介護・看護業界向けの記録・請求ソフトを展開している企業様、そして介護事業者の方を紹介してくださる金融機関様などさまざまな方と関わる機会があります。そのため、今後は同じ業界の課題解決やさらなる発展を目指して協業して、シナジーを生み出していけたらいいなと思っています。

 

そして、『ケアリンク』のサービス拡大に向けてともに働く仲間を増やしていきたいと思案しています。具体的には、これから役員レベルの人材や営業、カスタマーサクセスのメンバーを募集していく予定です。「ケアリンク」をはじめとする事業内容やミッション、バリューなどに共感してくださる方とのご縁がつながれば嬉しいです。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:根本雅文 氏

千葉工業大学工学部卒業

大学1年からキックボクシングを始め、大学卒業後も介護施設に勤めながら選手として活動(リングネーム:アーサー雅仁)

28歳で選手を引退後、建設会社を経て30代半ばでITエンジニアに転職。 実務経験を経て36歳で株式会社ITサポートを設立

 

企業情報

法人名

株式会社ITサポート

HP

https://it-support.co.jp/

https://client.care-link.website/

設立

2021年7月1日

事業内容

  • SES(システムエンジニアリングサービス)事業
  • 【介護・福祉特化型】単発バイトマッチングサービス『ケアリンク』の開発・運営、システム開発事業に関わる業務全般、WEBサイト運用・更新・保守

 

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