妊娠前デトックスラボ株式会社 代表取締役社長 松田 絢子
妊娠前デトックスラボ株式会社は、「妊娠前デトックス」という新しい予防的ケアの文化を創造・実践する企業です。妊娠前からの身体づくりをサポートすることで、母子の健康な未来と、日本の少子化問題の解決に貢献します。代表取締役社長の松田絢子氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
「妊娠前デトックス」で健康な妊娠・出産・子育てをサポート
事業の内容をお聞かせください
私たちは「妊娠前デトックス」や、その文化を広げる事業を展開しています。
目黒に実店舗を構え、赤ちゃんを授かりやすい身体づくりのため、身体のケアと食生活の改善、そして気持ちの面でのサポートを行っています。また、地域や時間の制約を超えて多くの方にサービスを提供できるよう、オンラインでの学習プログラムも展開しています。
事業の核となるのが、体内の有害重金属のデトックスです。水銀やヒ素、カドミウムといった有害重金属は、現代の生活の中で、空気や水、食べ物から知らず知らずのうちに体内に蓄積されます。これらは不妊の要因になるだけでなく、赤ちゃんの発育にも影響を与える可能性があるのです。
具体的なサービスとして、「オリゴスキャン」という特殊な光を当てることで体内の鉱物の反射を読み取る機械で体内の有害ミネラルを測定し、詳細なレポートを作成します。
そして重要なのが、その方の生まれ持った体質分析とそのときの身体のダメージ分析を組み合わせた、オーダーメイドのカウンセリングです。2020年に日本未病学会と生殖医療学会にデータを提出していますが、妊活中の女性の多くに亜鉛不足が見られることがわかっています。
これは、単に栄養を摂取すれば解決する問題ではありません。体質や生活習慣によって、吸収できていない場合や、吸収しても消耗してしまっている場合があるからです。
デトックスの方法としては、特殊な足湯クリーナーやフルボ酸を含むサプリメントを使用します。フルボ酸には有害物質を吸着して体外に排出し、必要なミネラルを補う効果が期待できます。通常3〜6ヶ月程度で有害重金属の数値が下がっていきます。
当社の特徴は、妊活用のサプリメントやアプリを提供するだけではなく、お客様の生活に寄り添って、本当の意味での生活習慣の改善をサポートすることです。これは不妊治療とは異なり、問題が起きる前の予防的なケアです。
将来的には、妊娠前のケアだけでなく、生まれた赤ちゃんが本来持っている能力を最大限に発揮できるような育児のサポートまで、サービスの範囲を広げていく予定です。これは単なる事業の拡大ではなく、健康な次世代を育み、日本の未来を支える取り組みだと考えています。
「妊娠前デトックス」の普及活動はどのように行っていますか?
メディアでの情報発信やSNSでの発信を行っています。また、学校での特別授業も実施しており、女性のキャリアと妊娠・出産に向けた身体づくりについて講演を行いました。
医療面では、産婦人科医と未病ケアの専門医に顧問として参画いただき、プログラムの監修を受けています。さらに、鍼灸師とのセミナーや産婦人科医を招いた講演会なども開催し、多角的な情報提供に努めています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
もともと美容健康産業で、女性専用フィットネスの立ち上げメンバーとして働いていました。当時は朝7時から夜10時まで働くハードな環境でしたが、仕事は本当に楽しかったです。ただ、身体には確実に負担がかかっていました。
29歳で結婚し、92歳の祖母にひ孫を抱かせたいといった思いから、すぐに妊活を始めました。しかし、3年ほど不妊治療を続けても結果が出ず、一度身体を休めようと思ったときに自然妊娠したのです。
ところが、出産後2週間で息子がひどい乳児湿疹にかかりました。原因を調べていくうちに、有害重金属の可能性を知ったのです。さらに調べると、有害重金属は湿疹だけでなく、脳障害や奇形の原因にもなり得ることを知り、怖くなりました。そして「妊娠前に知っていれば対策できたのに」と強く思いました。
有害重金属の視点から自分の不妊の原因を振り返ると、説明がつくことが多かったのです。そこで、7ヶ月の育休中に「妊娠前デトックス」の文化を広めようと起業を決意しました。最初は手作りのチラシを配ったり、SNSで発信したりする小さな活動でしたが、友人の紹介で妊活雑誌に取り上げていただいたのをきっかけに、少しずつお客様が増えてきました。
その後、コロナ禍で一時は事業を縮小しましたが、2023年に大手ヨガスタジオの運営企業の社内ヘルスケアのお手伝いをする機会があり、それが転機となりました。当初は社内の福利厚生として始まった取り組みが、2024年3月に大手ヨガスタジオの運営企業の新会社として、本格的に立ち上げることになったのです。
自分の中に幸せを見出せる人を増やす
仕事におけるこだわりを教えてください。
絶対的な軸は「自然の恵みとリズムを感じて生きる」ことです。
世の中には「これをしなければならない」「これは悪いからダメ」といった制限やジャッジが溢れています。例えば、デトックスの話をすると「添加物は悪い」「加工品はダメ」「自炊でないとバツ」といった白黒つけるような評価がされがちです。
ですが、その考え方だと本当は身体のために良いことをしているのに、苦しくなってしまう人がいます。私たちが大切にしているのすは、ジャッジのない自分軸です。自然の恵みとリズムを感じながら、自分で選択します。たとえばポテトチップスでも、少し添加物の少ないものを選んだ自分を認める、それは「怖いから避ける」のではなく「自然に近いものを選びたい」といった前向きな選択なのです。
特に妊活で悩んでいる方は、毎日自分に「マル・バツ」をつける日々を送っていることが多いです。しかし、私たちが目指すデトックスは、有害重金属だけでなく、気持ちの浄化であり、溢れる情報からの解放でもあります。そして、自分の選択を愛し、それを正解として受け入れ、自分の中に幸せを見出せる人を増やしていきたいと考えています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
最大の壁は、実はまだ乗り越えられていません。それは、「妊娠前にデトックスをする」という概念が世の中に存在していないことです。
本来であれば、妊娠を考えている方が「デトックスしたい」と思ったら、自然と「妊娠前デトックス」というキーワードにたどり着けるはずです。でも、その概念自体が社会に根付いていません。
ただ、これは私たちにとってはむしろチャンスだと捉えています。この壁を乗り越え、新しい価値を創造していくことこそが、私たちの企業としての評価につながっていくでしょう。
子どもたちが幸せに暮らせる社会を作る
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
今11歳になる息子と、これから生まれてくる子どもたちが、幸せに暮らせる社会を作ることです。
息子が小学4年生のとき、社会科見学でゴミ処理場を訪れた後、「50年後には町中にゴミが溢れるかもしれない」という話を聞いて泣いていたのです。息子は、SDGsの授業で環境問題や貧困について学ぶたびに、将来について不安を抱えていました。
その息子に「それを変えようと行動している大人がたくさんいる。母ちゃんもその1人で、明るい日本を作るために今の仕事をしているんだよ」と伝えました。
2100年には、今当たり前の水道インフラさえ、人手不足で維持できなくなるかもしれないといった予測もあります。しかし、私たちの世代が変わることで、子どもたちの未来は変えられます。息子や、これから生まれてくる子どもたちが、希望を持って生きていける社会の実現に向けて、今できることを積み重ねていきます。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
妊娠前デトックスの文化を広げることで、元気な赤ちゃんと健康で豊かな人生を送る幸せな家族でいっぱいの社会を作ることです。
ただし、私たちの活動の目的は日本の少子化対策や医療費削減ではありません。目の前の一人ひとりの幸せに寄与することが、何より大切だと考えています。そして、私たちらしく、お客様と真摯に向き合い、自然の恵みとリズムを感じながら活動を続けていきたいです。
その結果、出生率の向上に繋がるなど日本の未来が変わる手応えを実感できることを目指しています。
「日本を変革する」「日本の未来を担う」といった大きな言葉ではなく、「妊娠前デトックスラボと出会えて幸せになれました」という声が1万人に広がれば、社会は変容していくはずです。妊娠前デトックスが当たり前の文化として定着すれば、生まれてくる命も、大人たちの幸せも、より豊かなものとなっていくでしょう。
そして気づいたときには「日本は、本当に素晴らしい国になった」と自然に実感できる社会が実現している。これが私たちの願いであり、野望です。
頭で考えすぎず心の声に従い行動する
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業家のエネルギーこそが、最も価値のあるエネルギーだと私は思っています。それは、自分の人生すべてをかけて「こういう社会を作りたい」といった思いにチャレンジするエネルギーには、とても価値があるからです。
やりたい思いがあるなら、思いを叶えるために行動を起こしてください。その欲求に従って、自分を連れて行きたいところへ連れて行くのです。私も「100億企業の社長になる」という目標を持って、今も努力を重ねています。結局、自分を行きたいところへ連れて行けるのは自分しかいません。自分が「自分を連れて行く」と決めることが大切なのです。
失敗や借金のリスクばかり考えてしまう方も多いと思います。ですが、最初の一歩では大きな借金は背負えません。自分の身の丈に合った事業からしか始められないものです。リスクを考えすぎることは、単なる行動しない言い訳になってしまいます。
大切なのは、頭で考えすぎないことです。起業への思いは心から湧き出るものですから、その声に従って一歩を踏み出してください。そうすれば、必要なものや進むべき道は、自然と見えてくるでしょう。
貴社の事業を応援したい方へのメッセージをお願いします
妊娠前デトックスは、これから生まれる命とそれを取り巻く多くの人たちを幸せにする事業です。これは一人ひとりの幸せに直結し、不必要な悲しみを減らすことができる取り組みだと考えています。
ただ、まだ「妊娠前デトックス」の概念自体が社会に根付いていないため、なかなか広がりづらい現状もあります。そこで、この概念を広げるにあたって、皆さまからのアドバイスやご意見をいただけましたら幸いです。これから生まれる赤ちゃんがより健やかに育つ社会を作るため、皆さまのお力をぜひお借りできればと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:松田絢子氏
企業情報
法人名 |
妊娠前デトックスラボ株式会社 |
HP |
|
設立 |
2024年3月15日 |
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