株式会社TRULY 代表取締役 二宮 未摩子

男女ともに悩まされる更年期の不調。「疲れやすい」「肩こり・腰痛・手足の痛み」といったものに悩まされるケースが多く、企業では社員のプレゼンティーイズムに影響します。株式会社TRULYは、更年期をきちんと理解して自分自身の状況を見つめてみること、そして正しいケアができることなど「更年期をポジティブなイメージに捉えられる文化の醸成」をゴールにさまざまなサービスを展開しています。今回は、二宮氏に事業内容や展望などを詳しくお聞きしました。

 

オウンドメディア「TRULY」やホルモン検査など更年期の理解促進につながるサービスを提供

事業の内容をお聞かせください

公式メディアサイト「TRULY」を運営し、”更年期”をテーマに、男女の更年期における不調や悩みをサポートする事業を展開しています。「TRULY」を通して女性に限らず男性の更年期やカラダ・ココロについてさまざまな角度から知識や体験談を発信しています。デリケートな内容を取り扱うため、すべての記事に専門家の監修を入れて正しい情報が発信できる体制を整えていることが特徴です。

 

また、基本的な知識だけではなく、リアルな体験談や当事者の声を数多く盛り込んでいることもポイントです。身近な友達や家族には話せない悩みであっても、記事を通じて同じ悩みや乗り越える方法があると知ることで、更年期への意識を変えていけるのではないかと考えています。

 

最近始めたものに、BtoB・BtoC向けのホルモン検査サービス「MENOPO CHECK」があります。毛髪から男性のテストステロン、女性のプロゲステロンの量を調べることで、身体の不調の原因を探ったり、年齢ごとの基準値と照らし合わせてセルフケアへの意識を高めたりすることができます。検査結果を知るだけではなく、専門家へのLINE相談や更年期について理解できるコンテンツの配信や商品レコンメンドなど継続的にサポートする体制を整えています。

 

そのほか、企業の福利厚生の質や生産性の向上につなげるためのサービス「TRULY for Business」も展開しており、メーカーやメディア、小売、流通など幅広い業界の方々のサポートを行っています。具体的には、更年期に関する動画・記事コンテンツの提供やヘルスケアリテラシー向上に役立つeラーニング、職場環境改善に向けたセミナーを実施しています。

 

加えて、専門家にLINEでチャット相談できるので、導入企業からは社員の「病院に行く目安を知りたい」「職場の産業医には少し相談しにくい悩みがある」といったニーズに応えられると評価をいただいています。

 

「更年期は女性の課題」と感じられていることが多いですが、問い合わせいただくのは必ずしも女性比率が高い企業だけではありません。近年は、男性の更年期についても関心が高まっているのを感じます。

 

そのほか、大企業や自治体とともに、弊社のアセットを利用して、実証実験や新規事業のマーケティングや調査、開発をサポートする取り組みを進めています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

前職は、広告代理店に勤務していました。新規事業の開発部門で女性の美容・健康に関するクライアントの方々と仕事する機会が多く、自分自身もその領域に深く関心がありました。

 

ある時、社内ベンチャーを立ち上げる企画があり、そこで起案したことが今のTRULYの原型となるサービスです。当初は、美容に力を入れた内容で進めていましたが、もっとテーマを絞って社会の課題に応えられるものにならないかと考えた末に、辿り着いたのが「更年期」なのです。

 

私自身、15年ほど前に妊娠・出産を経験したのですが、つわりがひどく水も飲めない状況に陥りました。予想外の妊娠期を過ごしたことで、女性ホルモンの威力を初めて痛感しましたし、キャリアをストップせざるを得なかったり、パートナーシップに支障が出たりとあらゆる壁にぶつかりました。この原体験によって、「次は更年期でホルモンの影響があるのかもしれない」といった漠然とした不安を抱くようになりました。

 

加えて、更年期について調べたところ、日本ではイメージが古めかしく情報も乏しいことを痛感しました。イギリスなどの更年期先進国では「更年期をポジティブに過ごそう」といったメッセージ性が強く、乗り越えることで楽しい未来があるというイメージが根付いているのです。

 

この日本に足りていないポジティブなイメージをもっと広めたいと思うようになったこともあり、TRULYとして事業を進めていくことを決意しました。

 

性差なく悩みに向き合えるよう、真実と生の声を発信

仕事におけるこだわりを教えてください。

ミッションに「閉ざされた悩みに向き合い、​男女が理解し合える社会へ」を掲げており、更年期を軸に伝えていくメッセージが女性に特化した訴えにならないように、男女の相互理解やパートナーシップといった文脈を常に意識するようにしています。

 

一般的に更年期というテーマでは「女性の辛さを理解してほしい」「男性はなぜ分かって

くれないのか」といった悲鳴にも似たメッセージ性が強く、男女を隔てる構図となっていることを感じます。もちろん女性として苦労した点もありますが、良かったことも数多くあります。それは、男性にとっても同じだと思うので、お互いに理解してそれぞれの強みを活かせる社会になることが大事だと考えています。

 

そして社名のTRULYは「本当の・真実の」を意味しています。デリケートな情報を取り扱う以上は、絶対に正しい情報を届けなければならないと考えています。誤った情報から被害を受ける方が出ることのないように、自社メディアなどでは医療監修を必ず入れており、正しい情報発信に注力しています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

最大の壁は、起業した時の資金調達です。いわゆる大企業でサラリーマンをしており、起業したいと希望していたわけでもありませんでした。そのため、経営のことをよくわかっていない状態で資金調達のための交渉に臨んだこともあって、振り返ると無茶をしていたなと感じるところもあります。資金調達以外でも、お金の問題というのは今でもつきまとう壁ではありますが、その都度最適解を見つけて乗り越えられるように努力しています。

 

もうひとつ壁を感じるのは、やはり人です。ビジョンに共感してともに働いてくれていても、しばらくすると違う方向を向いてしまっていたり、チームワークが思うように構築できなかったりすることもあります。組織づくりの難しさは感じますが、大事なことは逃げずに現実と向き合うことです。同じ失敗が起きないように、そして次に活かせるようサイクルを回し続けることを心がけています。

 

周囲の期待や励ましが歩み続けるパワーに

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

一緒に働いてくれるメンバーや投資家の方々など周りの人々が応援してくれることが原動力になっています。経営者という立場になると怒られることはあっても、褒められることはありません。そのため、時にはくじけそうになったり、モチベーションが下がったりすることもあります。

 

ただ、本当に助けが必要な時にはスピード感を持って対応してくれたり、一緒に考えてくれたりするので、味方がいると再確認できます。口に出して褒めてくれることはなくても、信じてくれているのだなと感じると、あらためてがんばろうと思い直すことができます。

 

そのため、こういった周囲の励ましや期待が、自らのモチベーションを作り出すのに必要だなと強く思います。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

更年期という「閉ざされた悩み」に対して、男女ともに理解し合えるようになるというビジョンを達成したいと考えています。言い換えると、更年期をポジティブなイメージに変えていけるように、社会にインパクトを与えていきたいです。

 

また、社内の環境整備にも取り組んでいきたいです。日々慌ただしく事業を進めているため、落ち着いた状況の中で社員全員がプロダクトの開発などに集中できる環境をつくりたいと思っています。

 

また、リモートワークを採用しているため、なかなか社員が一堂に会する機会が少ないのが現状です。全員で集まって、事業について考える場を増やしていきたいです。

 

まずは一歩踏み出してみること

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

私自身も不安を感じながら事業を始めた立場ではありますが、「起業しなければよかった」と思ったことは一度もありません。挑戦してみたいことがありましたら、すぐにでも起業してみるのがよいのではないかと思います。”起業する”ということ自体が非常によい経験になるため、まずはチャレンジしてみることが一番です。

 

TRULYを利用しようと検討している方にメッセージをお願いします

健康経営に取り組むというと堅苦しく感じる方もいるかもしれませんが、更年期の不調を感じながら仕事している従業員を助ける職場環境づくりをすること、誰もが助け合える風土を築いていくことは、どの企業にとっても共通の課題であり、求められていることだと考えています。

 

そこで、例えば会社では相談しにくい悩みや体験談を知れるメディア「TRULY」を活用したり、社員一人ひとりのヘルスリテラシーを高める「TRULY For Business」や、健康状態やリスクを把握するためのホルモン検査サービス「MENOPO CHECK」を導入することで、職場の相互理解やコミュニケーションが活性化したり、魅力的な職場づくりにつなげられるはずです。

 

また、企業が更年期に寄り添う姿勢を見せることで「この企業に貢献できるようにもっとがんばりたい」といった”愛社心”を育むといった派生効果も期待できるのではないでしょうか。

 

職場環境改善や社員の悩みに応えたいと考えている方は、ぜひご相談ください。TRULYがよりよい職場環境づくりの一助につながれば幸いです。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:二宮未摩子 氏

2007年に博報堂に入社。営業職として通信キャリア、大手エステティックサロン等を担当。自身の妊娠時の経験から、女性の心と体は女性ホルモンの影響を強く受けることを痛感した。職場復帰後、社内の事業開発部門で女性向けの商品開発プロジェクトを発足。2020年更年期の課題解決に取り組む「TRULY」を起業し独立。

 

企業情報

法人名

株式会社TRULY

HP

https://www.truly-japan.co.jp/

設立

2019年11月21日

事業内容

インターネットを利用した情報提供サービス業 、インターネットのコンテンツの企画,制作,運営及び販売

 

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