株式会社Snack 代表取締役社長 藤村 彩乃

株式会社Snackは、スタートアップの成長を加速させる、新しい形のコミュニティ型スナックを運営する企業です。紹介制による厳選されたメンバーが集う特別な空間で、スタートアップ業界をはじめ、新規事業に携わる方、起業を目指す方、VCなど、挑戦するビジネスパーソンらが来店し、お客様同士の交流のサポートをしています。代表取締役社長の藤村 彩乃氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。

 

スタートアップの成長を加速させるコミュニティ型スナック

事業の内容をお聞かせください

スタートアップのコミュニティスナックを運営しています。

 

スタートアップ業界の方だけに限定しているわけではなく、大手企業の新規事業部門の方、士業の先生などスタートアップの顧問を務める方、スタートアップへの転職を考えている方、起業を目指す学生など、さまざまな方々にご利用いただいています。

 

「バー」ではなく「スナック」の形態にこだわっているのは、深い交流を大切にしたいからです。名刺交換だけで終わるのではなく、ボックス席やカウンターで落ち着いて話ができる空間をご用意しています。初対面の方同士でも、1〜2時間じっくり会話を交わすことで、より深い関係性が築けると考えています。

 

スタッフの9割がスタートアップで働いているメンバーで構成されています。スナック運営ということもあり、1割はスナック経験者です。店内での会話は8割ほどが仕事に関する話題です。ただし、愚痴や悪口ではなく、前向きで建設的な対話が自然と生まれる雰囲気を大切にしています。

 

事業内容としては店舗運営が中心ですが、スナックで出会った方々の人材紹介やVCとの橋渡し、M&Aの相談、事業アドバイザーの紹介なども行っています。これまで3年間は私1人で運営してきましたが、2025年からは共同創業者2名を迎え、株式会社Snackとして新たなスタートを切りました。今後は運営体制を整え、事業としての基盤をより強固なものにしていく予定です。

 

他のコミュニティとの大きな違いは、参加メンバーの質へのこだわりです。オープンして4年目になりますが、紹介制を採用し、コミュニティの質を保つことを最優先してきました。無闇矢鱈と大規模な集客を目指しているわけではなく、私たちのビジョンに共感していただける方々との出会いを大切にしています。

 

スナックを通じた印象的な出会いや成功事例を教えてください

特に印象的なのは、社会人2年目の方が当店のイベントに参加し、そこで出会った経営者から大きな仕事を受注できたケースです。

 

成功体験を活かして他社への営業活動も積極的に行うようになり、その結果、最年少でCOOに就任するまでに成長しました。これは当店での3年間で、最も大きな成長を遂げた個人の事例だと思います。

 

また、人材紹介の面でも実績があります。これまでに3件の採用が決まりましたが、中には当店のカウンターで直接内定が出たケースもありました。当店のスタッフが来店された経営者の方の目に留まり、採用に至ったケースもあるのです。

 

ビジネスマッチングの例もあります。大手企業の新規事業担当者同士が、当店で偶然出会うことがありました。普段であれば接点のない両者が、お酒を交わしながら話をする中で、お互いの目指す方向性が近いことに気づき、その場で業務提携の話が進んだのです。

 

このように、キャリアの飛躍的な成長や、新たな仕事との出会い、企業間の協業などさまざまな形で人生を変えるきっかけが生まれています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

前職のfor Startupsで、成長産業支援に携わったことがきっかけです。スタートアップ企業向けのヘッドハンティング業務を担当していました。正直、入社当初はスタートアップとベンチャーの違いもわからず、VCの言葉の意味すら知らない状態でした。



その中で、さまざまな商談や会食の場に同席させていただく機会が多くありました。目の当たりにしたのが、お酒の席で重要な人事が決まったり、内定が決まったりする場面です。「お酒×スタートアップの経営者」という組み合わせの可能性に気づきました。

 

同時に、スタートアップの人々の魅力にも惹かれていきました。周りの友人たちが、会社の愚痴や早く週末になってほしいなどの話をする中で、スタートアップの人々が持つ熱意や、前を向いて進もうとする姿勢に強く共感しました。

 

27歳のとき、自身の病気と向き合うことになり、女性として20代最後の3年間をどう過ごすかを真剣に考えました。そのままfor Startupsで上場を経験するのも良かったのですが、何か自分でやりたいとの思いが強くなり、会社を退職しました。具体的な案がない状態だったので転職活動もしましたが、就職といった選択肢に魅力を感じませんでした。

 

エンジニアでもなく事業開発の経験もない私が「私には何ができるだろう」と考えていたときに、「自分の経験を掛け合わせたら、大好きなスタートアップの為になるコミュニティができるかも」というアイデアが突然浮かんできました。20代の経験が30代、40代、その先の人生にどう影響するかを考えたとき、この選択に賭けてみようと決意しました。

 

相手の関心を察知し本音を引き出す

仕事におけるこだわりを教えてください。

「相手に気持ちよくなってもらうこと」です。

 

特に大切にしているのは、相手の本音を引き出すことです。ただ私が話し続けたり、お客様に話してもらうだけでなく、その方の興味や関心を察知して会話を深めていく。「この人、これが好きそうだな」と感じたことを試してみる。そういった細やかな接客や営業のスキルは、誰にも負けない自信があります。

 

このスキルは、両親からの教育は勿論のこと、大学時代のアパレル業や、スナックなどの夜職での経験や、営業インターンの経験で培ったものです。大学の4年間、遊びも勉強も、とにかく全力で吸収することを心がけていました。

 

そして、この姿勢の根底にあるのは、父親から学んだ「全ての物事には理由やロジックがある。感情にすら理由があり、それを掴めば何でもできる」といった考え方です。さらに、「想像力と危機管理能力が何よりも大事」との教えも、小学生の頃から叩き込まれてきました。

 

例えば、走ってくる赤ちゃんが頭を打ちそうな場面で、大人なら危険を予測できますが、赤ちゃんにはわかりません。そのときに、頭を打つかもしれないといった想像力と、最悪の事態を想定する危機管理能力が、咄嗟の行動を生むわけです。「物事の理由を追求する姿勢」と「想像力・危機管理能力」は、接客業に限らず、あらゆる仕事や生活の場面で活きています。

 


起業から今までの最大の壁を教えてください

今まさに壁を登っている最中です。日々の運営では、初期費用の返済に対するプレッシャー、お客様が0人の日のもどかしさ、深夜までの1人勤務など、さまざまな課題に直面しています。

 

しかし、最も大きな壁は、理想の「コミュニティづくり」の実現です。私のゴールは、スナックが毎日盛り上がり、常に新しい何かが生まれ続けている状態です。ですが、理想を10とすると、現状はマイナス2くらいの段階です。まだ「毎日盛り上がる」というレベルにすら到達できていません。

 

壁を乗り越える力になっているのが「仲間の存在」です。今日は誰もいなくても、明日はみんなが来てくれると思うだけで気持ちが全く違います。

 

出会った起業家に還元できる事業に育てたい

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

モチベーションは、自分で決めた目標にあります。特に大きな目標として、このコミュニティを成長させ、ここで出会った起業家たちに出資できるところまで育てたいと考えています。

 

具体的には、40歳までに少なくとも1社への出資を実現したいです。特に、店舗などの固定資産を持ち借金がある状態から始めて出資を成し遂げた女性起業家は、私の知る限りまだいません。そういった道を切り開いていきたいとの思いが、今の原動力となっています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

まず第一に「スタートアップのコミュニティスナック」という店舗としてのコミュニティを、盛り上げていきたいと考えています。

 

今までは私1人で精一杯で、どちらかというとボランティア的な要素が強かったのですが、これからは組織として成長していくために、きちんとしたマネタイズポイントを作り、皆様がメリットを感じられる仕組みを構築していく必要があります。

 

ただ、私自身は有名になりたいとか、スタートアップ界隈の中心で目立ちたいとは全く思っていません。決してそういった方々を否定するわけではなく、単にタイプが違うのです。実は私は人見知りで、接客も苦手で、大勢の人の前で話をすることは苦手です。ですが、コミュニティへの思いがあるから取り組めています。

 

私が目指すのは、このコミュニティが「場」として成長していくことです。接客も私個人に依存せず、スタッフが変わっても、「ここに来ればこういう出会いがある」「こういうものが生まれる」といった価値を提供し続けられる場所にすることです。

 

そのため「私のコミュニティ」である必要は一切ありません。コミュニティが成長したときに「創設者」として私の名前が残っていれば、十分だと思っています。最終的には、ここで生まれた利益を、新たな起業家たちへの投資の形で還元することを目指しています。

 

スナックの運営に注力すると同時に、スナックの理念や活動に共感してくださる方々とも繋がっていきたいと考えています。特に、イベントを一緒に盛り上げてくださる方や、企業間でのコラボなどができるパートナーを探しています。ご興味がある方はぜひ一度ご連絡ください。

 

▼ご連絡はこちらからお願いいたします

https://m.facebook.com/ayano.fujimura.52

 

いつでも方向展開してもいい。まずは始める

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

「やりたい」といった思いがあるなら、無理をしてでも覚悟を決めて始めることをおすすめします。うまくいかなければ方向転換もできますし、やめることもできます。



私も起業したばかりですが、人生での最大の資産は、一緒に何かを成し遂げようとしてくれる仲間たちだと実感しています。何をするにも1人での限界は必ず来るので、社内社外含め仲間が何より大事だと思っています。本気で向き合えば、本気の仲間が出来ると信じています。

 

インターネットの黎明期を作り上げてきた先輩方とご一緒させていただく機会もあるのですが、彼らの姿を見ていると本当に刺激を受けます。彼らが多くの人から尊敬され、憧れの対象となっているのは、自分が決めたことを成し遂げた上で、まだ成長をしようという気持ちがあるからだと思います。さらにその経験を若い世代にgiveする精神がある方が本当に多いのです。

 

ただ、全員が最初に思い描いた通りの道を歩んでいるわけではありません。何度も事業の方向性を変える人もいれば、1つの事業に徹底的に打ち込んできた人もいます。どちらが正しいというわけではなく、起業家それぞれのスタイルなのです。

 

また、VCやエンジェル投資家との関係についても、起業家が自分に合う投資家を選ぶ権利があります。資金を提供していただくことへの感謝は大切ですが、自分も主体的に選択するといった意識を持つことが大切です。

 

私自身、スタートアップ業界でさまざまな経験を積まれた先輩方と接する中で、安易に逃げてはいけないと実感しています。目標を持って本気で進んでいけば、必ず何かの道は開けます。はじめに決めたことを無理に長くやり続ける必要はないので、まずは始めてみてはいかがでしょうか。

 

そこで何かにつまずいたときには是非Snackにお越しいただき、お悩みを解決していきましょう!

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:藤村彩乃 氏

大阪府出身。同志社大学卒業後、新卒で人材会社に入社。16人目の社員として現for Startupsに転職。スタートアップ専門のヘッドハンターとして転職支援や採用支援に従事し、最年少でシニア昇格。広報の立ち上げなども担当。2021年に起業し、「Snack」をオープン。スナック運営や採用支援を始めとしてスタートアップに関わる幅広い活動に従事。

 

企業情報

法人名

株式会社Snack

HP

作成中

設立

2024年11月22日

事業内容

スタートアップのコミュニティスナックの運営

 

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