【#356】金融リテラシー向上で真の豊かさを!お金を学べる教育サービス|代表取締役社長 辻 侑吾(株式会社ABCash Technologies)

株式会社ABCash Technologies 代表取締役社長 辻 侑吾
中立的な初心者向け金融教育サービス「ABCash」や、中立的な投資特化型金融教育サービス「CASHUP」を提供する株式会社ABCash Technologies。代表取締役社長の辻侑吾氏は、学生時代の自身の経験がこれらのサービスを生むきっかけになったと語ります。今回は辻氏に事業立ち上げの経緯や、進み続けるモチベーションについてお聞きしました。
中立だからできる、本当の金融教育サービス
事業の内容をお聞かせください
弊社は一般の方々を対象として、金融リテラシーが身に付く教育サービス「ABCash」を運営しております。イメージとしてはジムのパーソナルトレーナーのようなマンツーマンの指導で、お金についての知識習得と資産運用までの習慣化をサポートするサービスです。
お金について学べるセミナーや相談会は多く存在しますが、そのほとんどが金融機関や保険会社などが運営主体となっているため、最終的には何らかの金融商品の宣伝につながっていきます。対して弊社は「お客様のお金に関する不安を解消すること」だけを目的として、完全に中立の立場から指導させていただくのが特徴です。
さらに、ただ知識を伝えるのではなく、実際に現在の収支を見直して経済的な余裕を生み出し、その余剰分で投資などの資産運用を実践するところまで伴走支援します。
「ABCash」の強みは、ここでしか得られない特別なテクニックをお伝えするというものではなく、基本的な金融リテラシーをしっかりと実生活に落とし込んで、成果を出すところまでサポートさせていただく点です。
例えば、積み立て投資を始めても、最初に設定した金額が負担となり、徐々に減額し、最終的に投資をやめてしまうケースは少なくありません。しかし、それでは十分な利益を得ることはできません。
弊社では、まず固定費や変動費の見直しからサポートするため、無理のない範囲で投資を続けることができ、3か月のプログラム終了時には自分に合った資産運用の仕組みが出来上がっています。
「ABCash」では担当のコンサルタントがお金に関する日々の相談と、週に一度の実践結果の振り返りで利用者の方を丁寧にフォローします。コンサルタントはコミュニケーション能力の高い人材を重点的に採用しており、これも弊社サービスの強みの一つです。
実はコンサルタントの多くは、金融業界未経験で入社しています。弊社には3か月で教えられるレベルの知識を習得し、半年でコンサルタントとして自立できる育成カリキュラムがあります。
「お客様の役に立ちたい、お金の悩みを解消して幸せになってほしい」と思える素直な気持ちさえあれば、誰もが活躍できる環境です。
現在、サービスの累計受講者数は7万人を超えました。今後ますます事業が拡大していくことを見据えて、新しくコンサルタントとして活躍してくれる人材を募集中です。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
金融業界未経験の私が、「ABCash」のような金融教育サービスを始めた経緯を説明するには、まず学生時代の経験からお話ししたほうがいいと思います。
私の実家は水産卸売業を営んでいたのですが、私が大学在学中に父が重い病気を患っていることが発覚しました。万が一父に何かあれば、私が大学で学び続けることは経済的にも難しく、中退して家業を継ぐ以外に選択肢はありません。このとき初めて「人生はお金によって大きく左右されてしまう」ということを、自分の身をもって体感しました。
幸い大学は無事卒業することができ、大手IT企業でエンジニアとして働くことになりましたが、その会社で奇遇にも、学生時代に私とよく似た経験をしたという同僚と出会いました。
お金に関する不安や、それが解消されるサービスを生み出すことができれば、きっと社会がより良いものになると思い、同僚からの誘いを受けて起業の道を探ることになりました。
当時こうした金融教育サービスは世間でほとんど知られておらず、周囲の友人たちに構想を話すと「詐欺に近いんじゃないか」などと誤解されたこともあります。しかし、漠然とした不安を抱えていたお金の問題も、正しい知識を身に付けて実践ができれば自分でコントロールできるというのは、私自身の実体験でもありました。
ユーザー目線で考えても金融教育の価値には確信を持っていたため、自分にとって完全に未経験の領域ではありましたが、同僚と共に今の事業を立ち上げることを決意しました。
決死のオンライン移行が生んだ、ハイブリッド形態
仕事におけるこだわりを教えてください。
私は、口に出したことは実行し、徹底的にやりきることを信条としています。「言うは易し、行うは難し」という言葉もありますが、ビジネスのアイデアも口にするのは簡単で、それを実現することにこそ価値があると思うのです。
「もっとこうしたらいいんじゃないか」など色々と意見を言う人はいますが、実行しないタイプの人はいつまで経っても口だけで、そのアイデア実現のために行動に移すことがありません。それでは、どのような理想も理想のままで終わってしまい、何の意味も無いでしょう。
私は、前職の会社が徹底的にやり抜くことを良しとする組織風土だったこともあり、そこでアイデアの実現を追求する姿勢を育ててもらいました。起業して経営者となった今は、会社に勤めていたとき以上に、自分自身の意思決定に大きな責任が伴います。そのため「言うは易し、行うは難し」を座右の銘として、覚悟を持って行動し続けています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
一番苦しかったのは、コロナ禍になってそれまで対面で提供していたサービスを一斉にオンラインに切り替えた時期です。
オンライン移行は私たちが本来目指していたサービス提供モデルではなく、緊急事態宣言が発出され感染拡大防止が必須であるという世の中の流れに合わせて、やむなく実施した形でした。
この単価のサービスが完全オンラインになって受け入れられるかも全く予想できない状態で、それでも何とか事業を維持するために寝る間を惜しんでオンラインモデルの成立に取り組みました。実際、オンラインに移行しても数週間は受注がなく、不安は募るばかりでした。
そこで弊社が注力したのが、サービス利用に対する不安を払拭するためのPR活動です。人気タレントをアンバサダーとして起用してWeb広告を展開し、ブランディングに取り組みました。
さらに実際にサービスを利用した人に「高品質のサービスだ」という印象を持ってもらうために、当時はまだ少なかったバーチャル背景を企業のオフィシャル画像に統一したり、マイクの性能にこだわったり、目線の位置や画面と人の距離など、細かなところまでユーザー目線でブラッシュアップをしていきました。
もう一つ、利用者の方の安心感を得るために工夫したことが、コロナ禍でもリアルの教室を維持し続けたことです。オンライン上にしかサービスが存在しないのと、実際に訪問できる教室があるのとでは、やはり利用者側の印象がまったく異なります。
当時は教室で授業をすることはありませんでしたが、現在また対面型のサービスを希望される方も増えてきました。そしてコロナ禍でオンラインの体制を整えたおかげで、現在は全国の方々にサービスを提供できるようになり、対面とオンラインの強みを活かした運営が実現しました。
日本を「心から豊かさを感じられる国」にしたいという想い
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
弊社は「お金の不安に終止符を打つ。」というミッションを掲げていて、私はその実現に人生を賭けています。
日本の平均年収が約400万円というのはよく知られる数値だと思いますが、年収300万円や400万円で将来の生活に不安を抱えている人が、この社会にはそれだけ大勢いるということなのです。
実際、弊社サービス「ABCash」をご利用いただいている方の多くは20代・30代で、まだ比較的若い年代であるにも関わらず、今のままで将来本当に暮らしていけるのかという不安を訴える方が少なくありません。
もし、金融教育を通じて資産運用やキャリアアップの知識を身につけ、結果として可処分所得が200万円向上し、年収500万円・600万円の生活が当たり前になればどうでしょうか? 人生の選択肢が広がり、将来への不安が軽減されることで、本当の意味で豊かさを感じられる人が増え、社会全体の活力も上がるはずです。
事業を通じて、日本をそんな前向きな社会にしていきたい。これこそが、今の私のモチベーションになっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
今後のサービス展開としては、「ABCash」で学んだ方が、その後もライフステージごとに安心して相談できる存在であり続けたいと考えています。
お金というのは、学んだその場で実行に移して終わりではなく、結婚をするときや家を買うときや相続をするときなど、人生のさまざまな場面で、新たな判断が必要になります。そのときに「ABCashに相談しよう」と思っていただけるような関係を築くことが目標です。
現在も、3か月のプログラム終了後も継続的に学び続けられるように、追加プランや手頃な月額プランを提供しています。さらにお金の安心を得るためにはキャリアアップのためのリスキリングも大切と考え、弊社からおすすめの学習サービスをご紹介することもあります。
私たちは「日本発のスタートアップとして世界に名前を轟かせたい」などという壮大な野望があるわけではありません。スタートアップの本質はその会社が有名になることではなく、スタートアップが生みだした新たなビジネスが社会や人々の生活をより豊かにすることにあると考えています。そのため金融教育の観点から日本社会を底支えして、より豊かな国にしていきたいというのが、事業に取り組むうえでの純粋な想いです。
そのミッション実現までは必ずやり抜く覚悟なので、共感していただける方がいれば、ぜひ仲間として加わっていただきたいと思っています。
スタートアップとして取り組むべき課題を見つける
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
スタートアップとしてビジネスに乗り出すからには、今世の中にある仕組みや企業では解決できない問題点を見つけ、それを自社のミッションと位置づけることが大切だと思います。
すでに多くの企業が事業化しているレッドオーシャンにスタートアップが参戦し、そこで多少の利益を得られたとしても、「自分たちだからできた」という達成感は得られないでしょう。起業の道は精神的にも辛いことが多く、自分たちの事業に社会的価値があるという確信がなくては、とても乗り越えられません。
一方で、課題を解決して社会をより良くするという決意さえあれば、心を強くもつことができます。ですから、まずはスタートアップとして自分たちが取り組むべき課題を見つけて欲しいと思います。
そして自分のビジョンを見つけることができたら、そのときは必ず起業して実行に移すと、心に決めておいてください。「やろうと思っている」と言う人は大勢いますが、実際に実行に移す人はごく一部です。やると決めたら起業までは必ずやり切ることが重要なのです。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:辻 侑吾氏
大学卒業後、2007年サイバーエージェントに入社。webアプリケーションエンジニアとして、課金システムのリプレイスを担当後、課金システム全体の責任者に就任。水産仲卸業者と水産専門商社を経て、2018年、当社のファウンダーである児玉隆洋のビジョンと経営方針に強く共感し当社に入社。2023年より代表取締役社長に就任。
企業情報
法人名 |
株式会社ABCash Technologies |
HP |
|
設立 |
2018年2月2日 |
事業内容 |
ABCash、CASHUP |
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