株式会社Leading Startup Square 代表取締役 御幡 勇気

2023年12月に設立された株式会社Leading Startup Squareは、日本発・世界を目指して日々挑戦を続ける成果協創型のスタートアップコミュニティです。企業価値の向上に直結する成果を重視し、世界で通用する企業の育成とエコシステムの構築に取り組んでいます。今回は創業者の御幡 勇気氏、小笠原 匡隆氏に加え、北村 俊樹氏に事業の詳細や、今後の展望をお聞きしました。(上記写真は、左から北村 俊樹氏、御幡 勇気氏、小笠原 匡隆氏)

 

交流の場を超え、成果にこだわるスタートアップコミュニティ

事業の内容をお聞かせください               

御幡氏: メイン事業は、スタートアップ向けのコミュニティ「Leading Startup Square(以下LSS)」の運営です。LSSは、世界で活躍できる起業家や企業を輩出することを目的に立ち上げました。

 

経営の成果を追求するには、単独での取り組みでは限界があります。そこで、このコミュニティでは、競い合いながらも支え合い、それぞれのリソースやアセットを共有し、高め合う環境を提供しています。設立時のパートナー企業は14社で、現在は約170社が参加しており、そのうち85%はミドルからレイターステージのスタートアップです。

 

また、39社の上場企業をはじめ、VC、金融機関、証券会社、監査法人、インキュベーター、アクセラレーター、オープンイノベーション支援機関、地方自治体などをグロースサポーターとして迎え、包括的なエコシステムを構築しています。

 

他のスタートアップコミュニティとはどのような違いがありますか?

御幡氏:LSSの最大の特徴は、ROI(投資対効果)を徹底的に重視している点です。そのため「売上拡大」「株価向上」「資金調達」「人材採用」など、我々が定めた10の目的を持つ、志のある方のみにご参加いただいています。

 

さらに、専門家による手厚いサポートが充実しているのも大きな違いです。創業者の小笠原は法務の専門家、北村はコンサルティングの専門家として、それぞれの知見を活かしながら、会員に寄り添いハンズオンで支援しています。

 

メンタリングやアドバイザリー、ビジネスマッチングをリードし実践的なサポートを提供することで、コミュニティの成長を加速させている点も、他のコミュニティと大きく違う点です。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

御幡氏:最初のきっかけは、2023年5月に上場企業の経営者を招待し、食事会を始めたことでした。東京ベイコート倶楽部で小規模の食事会を月に1回開催していたのですが、徐々に参加者が増えていき、コミュニティを立ち上げることにしました。現在も食事会は続いており、開催頻度を下げながらも2週に1回は開催しています。

 

北村氏:もともと御幡や小笠原とは、食事会を通じて親しくなりました。御幡からコミュニティの構想を聞いた際、彼の理念に共感し、何かサポートできればと思い創業に携わることになりました。

 

本業のライズ・コンサルティング・グループで培ったノウハウを活かせば、コミュニティの構想を具体化できると感じましたし、コミュニティのネットワークが我々のビジネスにも大きなシナジーを生むと考えました。社員にとっても、スタートアップコミュニティに携われることはキャリアのプラスになると感じたことも、参加した理由のひとつです。

 

御幡氏:ライズ・コンサルティング・グループのサポートがなければ、LSSは実現しませんでした。HPの制作も彼らに手掛けてもらいました。

 

小笠原氏:自らが創業した法律事務所ZeLoのクライアントの多くがスタートアップ企業であり、企業同士の横のつながりを築きたいという思いから、LSSの立ち上げを決めました。

 

また、アメリカ等に比べると、日本ではスタートアップのエコシステムが未熟であると感じていました。起業から次の起業が生まれ循環する仕組みがあればよいなという想いがあり、スタートアップに特化したコミュニティの必要性を強く感じたことも、参画の動機の一つです。

 

私自身、スタートアップである株式会社LegalOn Technologiesを創業者として立ち上げているため、事業成長を経験した知見を活かし、コミュニティのメンバーとの間でシナジーを生み出していければと考えています。

 

メンバーの質を重視し、双方向コミュニケーションで目標達成を支援

仕事におけるこだわりを教えてください

コミュニティメンバーのクオリティに徹底的にこだわっています。コミュニティとして一体感を持つためには、メンバー同士の視座や方向性、事業ステージが合っていることが不可欠です。そのため、紹介制かつ入会審査を設けるなど、質の担保に細心の注意を払っています。

 

また、運営側からの発信のみにならないよう、双方向のコミュニケーションを大切にしています。会員の目標達成を支援するために、1on1を実施し、抱えている課題や今後のマイルストーンをヒアリングし、その上でアドバイザリー、メンタリング、ビジネスマッチングなどの具体的なサポートを提供するようにしています。

 

これまでの活動を通じて、産業へ与えたポジティブな影響についてぜひお聞かせください

海外実践ツアーを開催し、日本の優良スタートアップと世界中の企業をつなげています。「実践ツアー」と呼ぶのは、単なる海外視察ではなく、明確な目的を持った経営者が参加する実践的なプログラムだからです。

 

エクイティファイナンス、アライアンス、海外進出、セルサイドM&Aの4つの目的を掲げ、海外で財閥、VC、大企業に対してピッチを行い、具体的な成果を創出しています。

 

直近では、日本のスタートアップのCEO十数人とともに、タイのバンコクに出向き、それぞれの企業がエクイティ・ファイナンスを受けたり、アライアンス等を実現することができました。

 

我々はクロスボーダーの架け橋となり、グローバルで通用する企業を数多く育成し、その実現のためのエコシステムを構築することを目指しています。

 

その一環として、食事会にとどまらず、起業家や経営者同士の交流を生み出すさまざまなイベントも開催しています。これまでに100名規模の交流会を14回実施し、カンファレンスや新卒採用イベントなども展開しています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください 

最も苦労したのは、起業当初の会員集めです。正直なところ、1年で500〜600社は集まると見込んでいましたが、実際には思うように集まりませんでした。

 

会員費を払うという点が入会のハードルとなり、思った以上に参加する企業が少なかったのです。大企業にも参加を呼びかけ、何度も面談を重ねましたが、なかなか賛同を得ることができませんでした。

 

振り返ると、当初はコミュニティのベネフィットや価値を十分に伝えきれていなかったと感じています。現在は、海外進出やスタートアップと大企業とのアライアンスの加速、質の高い経営者同士の相互交流の促進、といった価値に重きを置いてサービスを提供しており、この点について繰り返しメッセージを発した結果、多くの会員が集まってくれています。

 

仲間と共に日本一、そして世界一を目指す

進み続けるモチベーションは何でしょうか? 

「やるからには1位を取りたい」という強い思いです。LSSで影響力のあるコミュニティを築き上げ、最終的には人と人、企業と企業をつなぐ「スタートアップ界のフィクサー」としての役割を果たしたいと考えています。目指すのは、国内にとどまらず、世界とのネットワークを日本一持つコミュニティです。

 

志を共にする素晴らしい仲間が集まってくれたからこそ、責任を持ってこのコミュニティを発展させ続けなければならないという使命感が、企業当初よりも強くなっています。皆のためにも、LSSがコミュニティ内でシナジーを創出できる強固なプラットフォームとして、日本のトップにならない限り辞めるわけにはいかないと感じています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

我々は3つのフェーズで事業を進めています。フェーズ1では「Community Engagement」としてコミュニティ運営を行い、現在はフェーズ2の「Operational Support(オペレーションサポート)」に移行し始めています。この段階では、会員の成長に必要なリソースを我々が提供し、皆で一緒に事業を構築します。CxO人材の提供やM&AやIPOを積極的に支援します。エグゼキューションにおいては会員様にも積極的に参加してもらいたいと考えています。

 

最終的にはフェーズ3の「Growth Program(グロース プログラム)」に移行します。我々は、プライベート・エクイティ・ファンドを運営し、企業価値の向上に課題がある企業の株式を取得して我々や会員様の知見・サービスを総動員して経営に関与し、その企業の企業価値を引き上げることで、日本の株式市場を活性化することを目指しています。

 

それによって生まれたキャピタルゲインを次世代の起業家等に託し、日本のスタートアップエコシステムをさらに、強固にしていきたいと考えています。

 

行動し、レベルの高い環境に身を置くことが大切

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします 

北村氏:私自身は経営者ですが、まだ起業はしていません。ただ、将来的には起業も視野に入れていますので、他の2人と異なる視点からお話しできると思います。

 

起業を目指す多くの方が、漠然とした不安を抱えているのではないでしょうか。すでに成功した他の起業家に憧れながらも、実際に行動に移せずにいる人が多い印象です。

 

特に、起業前の段階では、情報やネットワーク、ノウハウが不足していることが壁となり、挑戦への一歩を踏み出せないケースが多いと感じています。しかし、LSSのようなコミュニティに参加することで、新たなつながりを得るきっかけが作れるはずです。

 

もちろん、厳正な審査を経る必要はありますが、まずは認知を広げ、接点を作ることで、一人でも多くの方にチャレンジして欲しいと考えています。

 

小笠原氏:起業したいと思っても、いろいろと考えすぎて進めないことがよくあります。しかし、最終的には行動あるのみです。考えることも大事ですが、まずは思い切って動き出してみてください。

 

今あるものを全部捨てて、とりあえずやってみる。一度やってしまえば、後戻りできなくなりますから。そして続けていると、周りの人も自然とついてきてくれます。

 

御幡氏:私からは3つあります。1点目は「習うより慣れろ」です。頭で一生懸命考えたり情報収集したりしても、リスクばかりに目がいき余計踏み出せなくなります。考えるのではなく、思いたったら即アクションすることが大事です。

 

2点目は、背伸びをすることです。私は背伸びをすればするほど、本当に背が伸びると思っています。我々も壮大なビジョンを掲げていますが、そうすることで自分たちの目標に追いつこうと行動するようになります。

 

3点目は、レベルの高い人と交流することです。LSSのようなコミュニティもそうですが、レベルの高い人が集まる所にいると、次第に自分の視座も上がっていきます。

 

今はレベル1でも、レベル10の人に囲まれることでいつしか、自分のレベルが上がっていくことを体感できると思います。自分と同じレベルの人とだけ集まっていても、成長は見込めません。最初はレベルの高い人を模倣するだけかもしれませんが、背伸びをしながら成長できる環境に身を置くことが大切です。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:御幡 勇気氏

レイズ・キャピタル・ジャパン株式会社 代表取締役。 前職は病院経営と医療コンサルティング会社を設立。 戦略系コンサル、新規事業設立支援、海外進出・日本進出支援、資金調達支援、M&A支援に従事。 大手外資系企業の日本進出にビジネスデベロップメントとして多く携わる。2023年12月株式会社Leading Startup Square創業とともに同社代表取締役に就任。

 

起業家データ:小笠原 匡隆氏

法律事務所ZeLo代表弁護士。 株式会社LegalOn Technologies取締役共同創業者。2012年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。2013年森・濱田松本法律事務所入所。2017年法律事務所ZeLoと共に、AI契約審査プラットフォームなどを開発する株式会株式会社LegalOn Technologiesを創業。弁護士としては、web3、AIなど最先端領域のビジネスを立ち上げからIPO後まで支え、経営者視点を生かしたアドバイスが強み。

 

起業家データ:北村 俊樹氏

株式会社ライズ・コンサルティング・グループ 代表取締役社長。フューチャーアーキテクト、野村総合研究所を経て、ライズ・コンサルティング・グループに参画。金融・製造・官公庁を中心に、IT活用戦略を中心としたコンサルテーションと業務改革、構想策定に多数従事。当社参画後は、CIOアジェンダのアドバイザリー業務に加え、AI・ロボティクス・ブロックチェーンなどの先端テクノロジーを活用した業務改革、組織再編、新規ソリューションの立ち上げを牽引。2021年3月から現職。

 

企業情報

法人名

株式会社Leading Startup Square

HP

https://lss.events/

設立

2023年12月

事業内容

コミュニティエンゲージメント事業、オペレーショナルサポート事業、グロースプログラム事業

 

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