WellBe株式会社 代表取締役社長 佐々木 祐香

“日本の美容を、世界の感動体験へ。”──それが、私たちのミッションです。WellBe株式会社は、訪日外国人向けに多言語対応の美容サロン予約プラットフォーム「WellBe」を運営しています。

 

全国約180店舗のサロンと連携し、検索から予約、決済までを一気通貫で提供。言語の壁を感じさせない設計と、旅行者専用メニューの開発により、訪日観光客が安心して日本の美容サービスを体験できる仕組みを構築しています。今回は代表の佐々木氏に、WellBeが生まれた背景や、サービスの特徴、今後の展望について伺いました。

世界に届ける“日本の美容体験”──WellBeが創る新しい旅のかたち

事業の内容をお聞かせください

私たちは、訪日外国人向けに9言語対応の美容サロン予約プラットフォーム「WellBe」を運営しています。東京をはじめとした全国主要都市にあるサロンを、外国人旅行者が簡単に検索・予約・決済までできる仕組みを提供しています。

 

訪日外国人は2024年に3,600万人を超え、その市場規模は約8兆円と、自動車に次ぐ成長産業となっています。こうした旅行者が日本滞在中にヘアサロン、ネイル、リラクゼーションといったサービスを気軽に体験できるよう、プラットフォームを通じてつなぐことが私たちの使命です。

 

利用者の中心はアメリカやオーストラリアなど欧米圏の方々で、他にもヨーロッパ、アジア、中東の方々に広くご利用いただいています。主に30〜40代の女性が、日本旅行中の“特別な体験”として美容サロンを訪れています。

言語対応と旅行者専用メニューで“迷わない体験”を

当初はアジア圏からの訪日客を想定し、アジア言語を中心に対応していましたが、実際には欧米からの利用が想定以上に多く、現在はヨーロッパの言語も含めて約20言語対応に拡張予定です。

 

また、日本の予約サイトに不慣れな旅行者のために「旅行者専用メニュー」を用意しています。メニュー内容を簡潔に表現したり、お土産付きなどの付加価値プランを用意することで、選びやすく、満足度の高いサービスを目指しています。

 

さらに、サロンスタッフの多くは英語が堪能ではないため、通訳なしでもスムーズな対応ができるよう、オペレーションに配慮したメニュー設計の支援も行っています。

 

「WellBe」の認知を広げるためにコンテンツメディアを運営しており、約500記事を公開しています。例えば、日本の電車の乗り方、神社の参拝方法などのTipsや東京の美味しいお店情報など、より広い層に届く記事を通じて、「素晴らしい美容体験が日本でできる」ことを知ってもらうために、接点を増やしているところです。

実際にどのような店舗が導入していますか?

現在、全国約180店舗のサロン様にご加盟いただいています。中でもリラクゼーションやエステ系のサロンが多く、近年はヘアサロンの導入も急増中です。

 

お客様アンケートでは、「髪の悩みを解消したい」という声が多く、美容室の需要が高いことが分かっています。ヘアサロンは席数が多く、多くのお客様に対応できる点も魅力です。

 

特に欧米の方には、日本独自のヘッドスパが大人気です。トリートメントや髪質改善メニューも評価が高く、アジア人の髪質への憧れがニーズを生んでいます。

 

エリアとしては東京、大阪、京都、福岡といった主要都市を中心に、銀座・渋谷・新宿など外国人観光客の多いエリアに展開しています。現在、サロン様には無料の掲載プランで成果報酬型でスタートできるため、導入のハードルが低く、初期費用も数万円程度に抑えています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

10年ほど前から海外でサロン体験をするのが趣味で、ベトナムやタイのスパ、マッサージなど、言葉が通じない環境での施術にも多く触れてきました。その国の文化やホスピタリティを体感する中で、「この感動を日本でも提供したい」と思ったのが始まりです。

 

国内のサロンにヒアリングしたところ、最大の課題は“言語の壁”でした。技術力は世界でも高水準なのに、その魅力が伝わりづらい。そこで多言語対応と予約支援を通じて、その壁をデジタルで解消できるのではと考え、WellBeを立ち上げました。

 

私自身、施術者ではありませんが、“お客様側”として長年サロンに通い続けてきました。大好きなサロンが長く続くように、何か支援したいという思いも原動力になっています。

文化も言語も超えて、“日本の美”と出会う旅へ──WellBeがつなぐ体験価値

仕事におけるこだわりを教えてください。

WellBeの根幹にあるのは、「心地よさ」そのものを届ける体験設計です。

 

ただ髪を切る・整えるだけではなく、言葉や文化の壁を越え、“その国ならではの感動”を味わってもらうことを目指しています。

 

私自身、海外旅行中に母国語が通じず、サロン予約に不安を感じた経験があります。こうした体験こそが、WellBeにおける「分かりやすく、安心して予約できる仕組み」設計の原点になりました。

 

現在は、外国人向けに特化した導線設計やメニュー表現の改善、UXの細部にまでこだわった設計を行っています。また、外部予約システムとの連携を通じて、サロン側の業務負担を軽減する取り組みも進めています。

 

美容体験のクオリティはもちろん、予約から施術まで“ストレスゼロ”で完結する導線設計こそが、WellBeが提供する本質的な「体験価値」です。このような仕組みにより、お客様には安心感のある体験を、そしてサロンには無理のない形での外国人対応を実現しています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

起業当初、最も苦労したのは加盟店の開拓でした。言語の壁やオペレーション負担に対する不安から、すぐに導入を決断いただけるケースは多くありませんでした。

 

そこでまずは、自ら通っていたサロンを一軒ずつ訪問し、オーナーの声に丁寧に耳を傾けながら、サービスの価値を一つひとつ伝えていきました。こうした積み重ねにより、現在では全国180店舗以上に導入いただけるまでに成長しています。

 

そして今、私たちが直面している次の大きな壁は「人材」です。

 

営業・マーケティングの両面で組織力を高め、仕組みによって成長を再現性あるものにしていくために、プロフェッショナル人材の採用・育成に力を入れています。この体制強化を通じて、WellBeのスケールフェーズに向けた基盤を固めていきたいです。

採用ではどのような人材を求めていますか?

現在、WellBeは業務委託メンバーも含めて約10名体制の小さなチームで運営しています。一人ひとりが裁量を持ち、スタートアップならではのスピード感と柔軟性の中で挑戦できる環境です。

 

採用において重視しているのは「自走できる人」、すなわち自ら考え、動ける人材です。特に営業部門の体制強化を急務としており、その次にマーケティング部門の採用も視野に入れています。

 

業界経験の有無は問いません。未経験でも、新しいことに恐れず挑戦できる方、自ら課題を見つけて行動できる方に、ぜひジョインしていただきたいと考えています。

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

誰かが喜んでくれることです。たとえば「WellBeのおかげで日本に来る楽しみが増えた」というお客様の声や、「海外からの観光客がサロンに訪れてくれた」といった報告をサロン様から伺うたびに、WellBeが“出会いを生み出す場”になっていることを実感します。

 

サロン様からの「ありがとう」という声や、お客様からの「癒された」「旅の疲れが取れた」といった反応が、日々の原動力になっています。

「“美容 × 観光”の新たな出会いを、全国に、世界に。」─WellBeがつなぐ未来

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

今後は、地域ごとの観光資源と美容体験を組み合わせた新しい価値提案を広げていきたいと考えています。

 

たとえば、長野のスキーリゾートや北海道・ニセコ、温泉地などを想定し、旅行中に気軽に立ち寄れる美容サービスの導入可能性を探っています。昨年末に訪れた九州では、観光地の至るところで外国人旅行者の姿が見られ、地方でもインバウンド需要が確実に広がっていることを実感しました。

 

観光関連企業との協業では、WellBeのプラットフォームを活用したサロン紹介を旅行プランに組み込むなどの展開を検討中です。また、他の店舗型ビジネスとの連携やマーケティング戦略の共有を通じて、業界全体でインバウンド美容市場の可能性を広げていきたいと考えています。

貴社のサービスに興味がある投資家や企業へのメッセージをお願いします

“日本の美容を、世界の感動体験へ。”それが、私たちWellBeのミッションです。

 

私たちは、いま急成長している訪日市場の中で、まだ未整備な「インバウンド美容」という領域に挑戦しています。この分野は確立されたプレイヤーが少なく、だからこそ、今このタイミングで仕組みを築く意義があると考えています。

 

私たちが目指すのは、「美容 × 観光」の文脈で、日本の魅力を世界に届ける新たな仕組みをつくることです。将来的には、地域や観光事業との連携も進めながら、日本全国を舞台にした持続可能な美容インフラの構築に取り組んでまいります。

 

私たちのサービスに関心をお持ちの投資家や企業様がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご連絡ください。 

 

▽お問い合わせはこちらから

https://corp.realize-wellbe.com/#contact

 

迷ったら、小さく踏み出してみる。それがすべての始まり。

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

「完璧な準備が整うのを待つより、まず動いてみること」-何より大切なのは、この一歩です。

 

実際に行動して初めて、机上では気づけなかったニーズや課題に出会います。そこで学び、改善し、また進む。その繰り返しが、事業を強くしていきます。もちろん、覚悟は必要です。でも、計画通りにすべてが進む起業なんて、ほとんど存在しません。だからこそ、「好き」「こうありたい」という想いこそが、最後に自分を支えてくれるエンジンになると信じています。

 

私自身、「ウェルビーイング」への関心から始まった小さな想いが、幾度となく壁にぶつかっても立ち止まらない原動力になってきました。仕事とプライベートを分けるのではなく、「想いの延長線にビジネスがある」-そんな起業のかたちも、あっていいと思います。

 

迷っているなら、小さくてもいいので、まずは一歩踏み出してみてください。動き出すことで、自分でも想像しなかった未来が見えてくるはずです。

 

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:佐々木 祐香 氏

Web制作会社でディレクターとして経験を積んだのち、リクルートやRIZAPなどの大手企業に参画し、マーケティングや新規事業開発に携わった。「自らのサービスを創りたい」という思いから自身の旅中での経験を経て、2023年に訪日外国人向け美容サロン予約プラットフォーム「WellBe」を立ち上げる。日本のハイクオリティな美容技術を世界に届けることをミッションに事業を展開している。

企業情報

法人名

WellBe株式会社

HP

https://corp.realize-wellbe.com/

https://wellbe-asia.com/

設立

2023年

事業内容

インバウンド外国人向けのサロン予約サービスの開発・運営・メディア運営

 

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