株式会社Revitalize 代表取締役 片桐 豪志

株式会社Revitalizeは、「ビジネスプロデューサーネットワーク」を活用することで中小企業や中堅企業、スタートアップの成長を支援する会社です。新規事業開発や、売り上げ拡大でお悩みの企業様に、ビジネス創出が得意な人材を投入することで、日本経済の活性化を図ろうとしています。今回は、「子どもたちによりよい日本の経済社会を残したい」と奮闘する代表取締役の片桐豪志氏に、起業の経緯や事業の詳細などをお伺いしました。

 

ビジネスパーソン全体の上位約5%に入る優秀な人材ネットワークで中小企業・中堅企業を支援

事業の内容をお聞かせください

「ビジネスプロデューサー」と我々が呼称している人材を集めた「ビジネスプロデューサーネットワーク」を運用しています。

 

ビジネスプロデューサー(以下BP)とは、ビジネスパーソン全体の上位約5%に入るような成果や実績を有する人材のことです。そういった人材の中から主に独立している人たちに集結していただき、中小企業や中堅企業とおつなぎしています。

 

日本企業の大部分を占めているのは、中小企業です。しかし多くの中小企業は、縮小していく日本経済の中で、新規事業開発や、売り上げを上げ続けることに苦戦しています。そうした課題にビジネスを創出することが得意な人材を投入することによって、日本経済の活性化を図ることがRevitalizeの目的です。

 

大手コンサルティングファームとの違いはBPの活用にあります。腕力のある玄人のビジネスパーソンであり様々な専門性を持つBPの方を組み合わせて複数人投入することで、地域の中小企業の複合的な事業課題を解決します。

 

サービスの導入プロセスについては、まずはBPとクライアントの経営陣との面談の機会を設けさせていただきます。面談の際に自社と相性の良さそうなBPを指名していただき、そこから関係が始まります。各フェーズに合わせ、経営課題の変化に対応できるよう、会長・社長自らが「一緒にやりたい」と思えるBPを随時ご紹介します。

 

成功事例として、地域で長年経営されていた板金加工会社が印象に残っています。発注元企業の多くが国外に移り、事業の存続が厳しくなっていく中で、新製品の開発、認知、拡大を模索していました。

 

そこで、輸出のパイプをもったBPが海外に向け新製品の商談を行ったことでブレイクスルーに成功したのです。新事業の芽が育ち、企業の知名度が上がったことで、優秀な人材の獲得にまでつながりました。

 

ビジネスプロデューサーはどのように採用されているのですか?

BPに関しては、基本的に全員、私が面接して採用しています。人選において私が重視しているのは、主に3点です。

 

1番重視しているのは「志が高いかどうか」です。何をするにも、志の高さが必要だと思っています。

 

2番目は、「実力があるかどうか」です。これまで1億〜数百億円規模のビジネス構築経験がある方に限定しています。

 

そして3番目に掲げているのが、「リスペクトされる姿勢」です。多くの人がついていきたいと思える人物とは、やはり謙虚な人でしょう。個人的には、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」を体現する人が理想的なリーダーだと思います。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私は最初に入社した企業で、国の政策を企画する仕事にしばらく従事していました。社会保障政策や経済政策と向かい合うなかでいだくようになったのが、日本経済全体に対する危機感です。

 

日本の人口は今後どんどん減少していくと言われています。2050年には1億人を切り、2100年には5千万人を切り、2200年には1千万人を切ると見られており、日本国として今後も成り立つのかということ自体疑問に思います。そしてこの少子化の原因の一つが給料にあると考えています。

 

残念ながら日本人の給料は、バブル崩壊以降ずっと変化していません。しかし一方で、税金や社会保障費、生活コストは増え続け、手取りはより一層削られているのです。

 

日本には300万社以上の企業があるといわれていますが、そのうちの99%が中小企業です。また、30年以上日本の給料が上がっておらず、中小企業の売り上げも30年以上成長していません。この間、アメリカや中国などは、大きくGDPを伸ばしているなか、日本は3%程度の成長率に留まっており、日本のビジネスは全体としては伸び悩んでいるのが現実です。

 

ここから観察される事実として、残念ながら日本の中小企業の多くは、新しいビジネスを考えたり既存ビジネスを伸ばしたりすることが苦手なのだと思います。これまでの右肩上がりの世界とは違い、今後の下り坂の世界では戦略を変えなければならないのです。

 

ただ、平均年齢が70歳前後といわれている中小企業の経営者の方たちはこれまで培ってきたビジネスを守ることに精一杯で、いまから新たな取り組みに積極的に踏み出すのは難しいという事情があると思われます。

 

そこで我々が外部からBPを大規模に投入していくことで、いずれはマクロ経済に影響を与える規模まで経済を活性化したいと思っています。その結果として中小企業の売り上げが大きく上がることで、日本人の給料が上がり、生活で精いっぱいという状況から抜け出す人が増え、結婚出産が増えれば人口減少を食い止めることにもつながっていくと考え、起業しました。

 

多くの人と連携しながら、結果を出し続ける

仕事におけるこだわりを教えてください。

できるだけ多くの人と連携することです。

 

ビジネスという競争環境にいると、どうしても可能な限り多くの果実を獲得したい気持ちが芽生えてきます。しかし自社だけで仕事や利益を回すようなやり方をしてしまうと、次第に他社から連携してもらえなくなっていくでしょう。

 

その瞬間は採算が取れるかもしれませんが、次からは声がかからなくなり、だんだんと孤立して強みも陳腐化してしまいます。中長期的に考えると、やはり日頃から多くの人と連携しておくことが非常に重要でしょう。

 

コンサルタントという職業は、アドバイスで終わりがちな側面もあるでしょう。しかし本当にそれで終わっていると、お客様からも口だけだと言われ、信頼も結果も得られません。「一緒にやりましょう」と実践できることが、競争力や信用につながります。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

起業以前にも役員ポジションは経験しましたが、そこはあくまで給料は大企業から保証されているポジションです。そういった意味では、やはり本格的に独立してから「キャッシュが足りているか、大丈夫か」といった経験を何度かしたことが壁といえるでしょう。

 

今は乗り越えましたが、「この案件がうまくいかなかったら赤字になって解散するかもしれない」とドキドキしていた時期がありました。多くのスタートアップが、ベンチャーキャピタルなどから資金調達して事業を行っているかと思います。

 

しかし私はずっとビジネスパーソンとしてやってきた経験から、きちんと売り上げを増やしながら事業を回していくことを大事にしています。2年目の今は一定以上の売り上げを作れる見込みですので、3年目以降もより拡大していきたいです。

子どもたちによりよい社会を残したい

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

私には子どもが3人いますので、「子どもたちによりよい社会を残したい」と強く思っており、それがモチベーションとなっています。

 

よく「失われた30年」といわれますが、このままいくと40年、50年、60年と長引いていくことが予想されます。そんななかで子どもたちが苦しむ姿を想像するのは、とてもつらいことです。

 

せめて、「お父さんはできるだけ頑張ったよ」と言えるくらいには動いておきたいですし、できる限り子どもたち、孫たちが生きていく日本の経済社会をましなものにしておきたいといった社会人としての責任感があります。

 

個人的には、「日本はもうダメだから海外に逃がす」のではなく、私たちが育ってきたこの日本経済から逃げずに改善し、後の世代に引き継ぎたいです。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

目下の目標は、直近3〜5年で売上高を拡大し、Revitalize自身も中堅企業の大きさになることです。高尚なことを言って説得力を持たせるためには、ある程度の結果を出す必要があります。

 

また、現在、経済産業省中小企業庁では中堅企業を増やす施策を展開しており、私もこの方向性に賛同しています。日本には10〜100億円規模を売り上げる企業が10万社ほどあり、この層が中小企業で働く3,000万人のうちの多くを雇用しています。ですので、特にこの層の成長に力を入れ、スピーディーに拡大させていくことに貢献したいと思います。

 

さらに、なるべく早期に輸出を増やすことも重要です。人口減少が本格化してきた今、国内市場の成長は限界を迎えることは目に見えています。ですので輸出が得意なBPを活用し、日本の製品や技術力を、まだあまり知られていない国に展開していければと構想しています。

 

そしてこの事業を成功させる上で重要となるのは、BPを可能な限り増やしていくことにあると考えています。100人程度の規模ではアプローチできる企業数には限りがあるため、1万人くらいまでは増やしたいと思います。

アクセルだけでなく、ブレーキも踏みつつ挑戦すること

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

40歳を超えて起業した私からお伝えできるのは、「リスクをなるべく抑えた形で挑戦すること」です。

 

20代や学生のうちなら失敗して借金を背負ってもアルバイトで食いつなぐことができるかもしれませんが、家族や住宅ローンを背負ってからの起業は、なかなかそうもいきません。しっかりとしたビジネスプランを立てつつセーフティネットも用意するなど、ある程度準備をした上で、リスクを低減して起業する必要があります。

 

ただ、ビジネスパーソンとして脂が乗ってくるのは30代後半で、経験や人脈を活かせるビジネスができるのは、やはりその辺りの年齢からだとも思います。脂が乗っている状態を見越して準備をして、リスクをなるべく抑えた形で挑戦するのがよいと思います。

 

起業家には「アクセルベタ踏み」状態の方が多いかもしれませんが、個人的に手本にしているのは、「アクセルをベタ踏みしつつ、しっかりブレーキも踏んでいる」方々です。そしてこのアクセルとブレーキのコントロールが的確にできるようになるためには、たくさんの小さな挑戦と失敗を積み重ねる必要があります。

 

起業までに小さな挑戦を繰り返し、失敗からも随時学びを得ることで、リスクを取れる範囲がわかってくるでしょう。起業までにぜひ、小さな挑戦と失敗をたくさん経験し、その中でいくつか成功した経験をすることが大事だと思います。

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:片桐 豪志

・東京大学大学院新領域創成科学研究科博士課程単位取得退学(生命科学修士)

・株式会社三菱総合研究所、デロイトトーマツコンサルティング株式会社

・有限責任監査法人トーマツ パートナー

・マッキンゼーアンドカンパニーインコーポレイテッドジャパン アソシエイトパートナー

 

企業情報

法人名

株式会社Revitalize

HP

https://revitalizejapan.com/

設立

2023年4月

事業内容

日本経済の復活を目指し、中小企業・中堅企業やスタートアップの成長を支援するプラットフォームを提供。

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