
株式会社High Link 代表取締役 南木 将宏
会員数80万人を超えるという「カラリア(Coloria)」。停滞していた香りの市場に新たなビジネスモデルで切り込んでいき、瞬く間に多数のユーザーを獲得。香水の初心者から愛好家まで幅広い層に支持され、今では市場そのものの拡大にも貢献しています。今回は運営元である株式会社High Linkの代表取締役・南木将宏氏に、事業を始めた経緯や今後の展望などをお聞きしました。
レビューを分析してAIが好みに合った香りを提案!新たな香水のサブスクリプション
事業の内容をお聞かせください
カラリアは「香りで世界を彩る」をミッションに掲げ、toCサービスを主軸に3つの事業を展開しています。
1つ目は、毎月違った香水を選んでいただけるサブスクリプションサービス「カラリア 香りの定期便」です。国内外の様々なメーカーの商品を約1,000種類取り扱っており、その中からお客様には香りの系統やブランド、さらに使用するシーンで検索して、気になる商品を選んでいただきます。
「カラリア」の強みは豊富なデータとAIを活用して、お客様のお好みにマッチした香水を表示したり、気に入っていただけそうな香水をおすすめしたりする機能です。これを可能にしているのが弊社のWebサイトに集まる圧倒的な数のレビューで、現在レビュー件数は70万件を超えています。
これにより、香りという目には見えない領域において、二次元であるオンライン上で求める商品と出会えるようになったことは画期的な進歩だと考えています。
また弊社のお客様の3割はそれまで香水を買ったことがない方々で、「カラリア」は市場の拡大にも貢献しています。現在は取り扱う商品の幅も広げてボディケアや入浴剤、ルームフレグランスなどの商品も拡充しているところです。
2つ目の事業は、香りに関する情報を発信するWebメディア「カラリアマガジン」の運営です。弊社ではWebメディアに加え、各種SNSを通じて香りにまつわるコンテンツを幅広く発信しており、SNSのフォロワー数は累計30万人を突破しました。
現在では、香り領域において高い影響力を持つメディアへと成長を遂げています。
そして3つ目の事業が「カラリア for business」で、定期便事業などで得たデータやマーケティングアセットを、フレグランスのメーカーを中心とした各社に提供するtoB事業です。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
「カラリア」の前に手がけていた事業がうまくいかず、半年ほど次の事業をどうするか考えていた時期がありました。その際に「自分が好きなジャンル」と「最初から売上が立つモデル」の2つを掛け合わせて事業を始めることにしました。
昔から香水が好きだったこともあり、まず香水のブランドを立ち上げたいと考えました。その頃はテクノロジーが急速に進歩し、視覚で判断できるジャンルに関してはユーザーの体験が飛躍的に良くなっていく一方、香りや味といった視覚化できないジャンルは遅れをとっていました。
様々考えていた際に、フレグランスという商品のもう1つの課題に意識が向きました。私自身香水をいくつも持っていましたが、それでも自分の好きな香りの解像度は低く、次にどんなものを購入するのが良いのか、自分が最も好きな香りはどんな香りなのかがわかっていませんでした。
そこに着目して「香り×テクノロジー」でユーザーの体験を変えることができれば世の中に大きなインパクトを与えられると考え、この領域での起業を決意したのです。
そこで、さまざまな香りを少量ずつ触れながら自分の好みが言語化されることで、よりみんなが香水を楽しめるようになっていくと考えました。
その発想から生まれた香りのサブスクリプションサービスが、現在の「カラリア」です。
市場規模の小さな領域での挑戦
仕事におけるこだわりを教えてください。
月並みかもしれませんが、とにかく早く行動に移すことが大切だと考えています。
これまで起業家の先輩方から、数多くの失敗事例を聞いてきました。しかし、同じような事業であっても、条件が揃えばしっかり成功するケースもありますし、結局のところ他人の経験則は絶対的なものではないと感じています。
それよりも、自分自身が一日でも早く行動し、現場でリアルな経験を積むことのほうが、圧倒的に学びが大きいと考えています。
仮に失敗したとしても、それを自らの力で乗り越えるプロセスこそが、本質的な力を育ててくれるはずです。他人の話から表面的に理解するよりも、自ら飛び込んで体感し、試行錯誤を重ねることで、より早く、より深く成長できる。これが私自身の信念です。
起業から今までの最大の壁を教えてください
「カラリア」の前に手がけていたサービスが失敗に終わったことが最初に直面した壁でした。この失敗が今の事業の立ち上げにも繋がったわけですが、当時はとても大変でした。
加えて、フレグランス市場そのものが決して大きな市場ではないため、出資を受ける際にはその点を懸念されることが多く、信頼を得ることに苦労しました。実際、私が『カラリア』というサービスを立ち上げる前は、国内のフレグランス市場はほとんど成長していませんでした。
そのためVCの方々からも『この規模の市場で、どこまでスケールできるのか』という点にはシビアな視線を向けられていたと感じています。
ただ、現在はフレグランス市場も拡大してきて追い風となっていますし、その中でも我々は独自のポジションを取れているのでそういった課題はクリアできていると考えています。
壁を乗り越えるときの快感こそが原動力
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
私の意識の根底には「常に成長するのが当たり前、昇っていくのが当たり前」という感覚がベースとしてあり、それ故にずっとモチベーションが高いタイプの人間でした。
さらに、会社の成長とともに志をともにする仲間が増えていくことに、大きなやりがいを感じています。事業を進めていく中では、いくつもの壁に直面しますが、それを仲間と力を合わせて乗り越えていく過程には、何とも言えない充実感があります。
また、ある瞬間に『これはいける』と確信することがあります。その感覚こそが、私にとって最大の原動力なのかもしれません。
そしてもう1つモチベーションとなっているのが、成長を実感できる喜びです。毎年その1年を振り返ると「もっとこうしておけばよかった」という反省が見えてくるのですが、どれもその当時の自分にとってはベストだと思えた選択です。
これは1年の間に自分や会社が大きく成長して見え方が変わったという証だと思っています。反省を通じて成長を実感できることがシンプルに楽しく、「もっと成長したい」という原動力になっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
最近、自社ブランド『Coloria Home』を立ち上げたばかりで、当面はこのブランドの展開に注力していく予定です。
私たちは定期便事業を通じて、膨大な香りのデータを蓄積してきた実績があり、それを活かした商品開発には大きな自信を持っています。まずはルームフレグランスの少量サイズを定期便で展開したところ、ユーザーの方々から非常に高い評価をいただきました。
現在では、大手総合ECサイトにて通常サイズの販売も開始し、販売開始直後からランキング上位に入るなど、幸先の良いスタートを切れたと感じています。
今後は、『香り×ライフスタイル』を軸に、ディフューザーやハンドクリーム、入浴剤など、日用品ジャンルでの展開を進めていく予定です。この自社ブランド事業は、定期便とは異なる新たな事業の柱として、今後さらに大きく育てていきたいと考えています。
求める人物像について教えてください
現在募集しているのは、定期便事業の責任者です。
定期便事業については、Webマーケティングを通じて一定の認知を獲得するところまでは達成できたと考えています。今後は、よりマス層に向けて認知を広げていくフェーズに入っていく見込みです。
そのため、求めているのは、事業規模を10倍、さらには100倍に成長させる力を持った方です。そうしたスケールのフェーズにおけるマーケティング戦略、特にPLが見れて、事業全体を把握でき、実行力を持つ人材が、次の成長の鍵になると考えています。
加えて私は組織づくりには強いこだわりを持っており、採用基準として「素直で人柄が良いこと」をかなり重視しています。やはり仕事においても「誰と一緒にやるのか」が重要で、最高の仲間と色々な経験ができることが幸せな人生につながると考えているからです。
弊社に興味を持っていただき、toC事業や香りの領域に関心のある方はぜひ一度お話させていただきたいです。
▼お問い合わせはこちらから
https://recruit.high-link.co.jp/
起業して努力した経験は、人生で必ず生きてくる
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
人から相談されたときには「起業したいなら、すぐに起業したほうがいい」と答えています。
事業を動かしていくうえでの日々の学びや、壁にぶつかって乗り越える経験値というのは、起業しない限りは絶対に得られないものです。ですから学生であろうと社会人であろうと、起業を思い立ったらすぐに行動するべきでしょう。
これまで多くの起業家と接してきましたが、壁にぶつかりながらも全力で向き合ってきた方の中で、人生そのものがうまくいっていないという人は、正直あまり見たことがありません。
もちろん、すべての人が事業で大きな成功を収められるわけではありません。しかし、たとえ経営者としては失敗したとしても、起業家としての挑戦や学びは、その後のキャリアや人生のさまざまな場面で確実に活かされていきます。
そういった意味で、人生単位で見れば、多くの起業家が結果的に成功者だといえるのではないかと感じています。
その人たちと同じように全力で取り組む覚悟があるのなら、今すぐ起業に踏み出すべきだと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:南木 将宏氏
早稲田大学創造理工学部経営システム工学科出身。大学在学中にビジネスに興味を持ち、ベンチャー企業2社でのインターンを経験。2017年6月に株式会社High Linkを創業。2019年1月より「カラリア」を運営。
企業情報
法人名 |
株式会社High Link |
HP |
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設立 |
2017年6月 |
事業内容 |
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