【#437】ベンチャーのオフィス課題を解決。少ないキャッシュで理想の空間を実現するオフィス構築・移転「CLAS Biz」|代表取締役社長 久保 裕丈(株式会社クラス)

株式会社クラス 代表取締役社長 久保 裕丈
株式会社クラスは、家具や家電などの耐久消費財を手頃な月額で利用できる「CLAS(クラス)」を個人・法人向けに運営する企業です。契約期間の縛りがなく、いつでも返却・交換・購入が可能な自由度の高いサービスが特色で、少ないキャッシュで理想のオフィスや住空間を実現できます。
特に法人向けのオフィス構築・移転「CLAS Biz」は、ベンチャー企業の移転や働き方の変化に柔軟に対応し、オフィス構築の負担を大幅に軽減しています。代表取締役社長の久保 裕丈氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
少ないキャッシュで理想のオフィスを実現
事業の内容をお聞かせください
循環型の家具と家電のレンタル・サブスク「CLAS」を個人・法人向けに運営しています。「借りる・返せる・買う」とサイトで記載しているように、私たちが扱っているものはインテリアを中心とした耐久消費財です。
従来の家具・家電の購入やレンタルにあった不便さや課題を、すべて解消できる仕組みを提供しています。現在は、法人向けの方が若干多く、ベンチャーなど、特に成長企業のオフィスで使っていただいています。
これまでオフィス構築に必要な什器は、買う選択肢しかありませんでした。しかしベンチャー企業は、オフィス作りに慣れていませんし、体制の変化や移転、働き方も変わっていきます。そういった変化に、今までの購入やレンタルでは対応できませんでした。
弊社のサービスであれば、最初に必要なものを借りて揃えられます。一括購入に比べて、キャッシュの負担を大きく抑えた状態で理想のオフィスを構築できます。不具合が出てきたら、その都度要望に合わせて、空間をアップデートすることも可能ですし、使い勝手が良いと感じた時点で購入も可能です。
それに加え、インテリアコーディネートも行なっています。法人のオフィスを作る時のデザインはもちろん、最近では大阪万博で長期滞在される関係者向けのお部屋作りに対して、コーディネート提案を含め、物件を簡単に「家具付き賃貸」にできるサービスを提供しています。
私たちと同じサービスを提供している会社は、他にありません。いつでも返却や交換ができ、さらには購入もできるというような、自由度の高いサービスを提供しながら、品揃えも豊富なのは当社のみです。
競合他社がいないと断言できる根拠は何でしょうか?
当サービスの大きな特長は、「契約の満期」を設けていない点にあります。契約期間の制約に縛られずに利用できることは、サービス立ち上げ時から重視してきた理念のひとつです。必要なときに必要なものを使い、不要になったらいつでもご返却いただけるような柔軟な利用スタイルを実現しています。
契約期間がないので、月額料金を払い続けるか、購入するかを選んでいただけます。レンタルを継続いただく場合、長期利用に応じた大幅な割引が適用されます。一定額のご負担は継続的に発生しますが、不要になった際はご連絡いただくだけで、速やかに回収を手配いたします。
また回収した家具や家電は、専門のチームが完全にリファービッシュします。傷があったら再生させて、次のお客様にお送りするという工程を取っています。このような仕組みを支えるために、現在、大型・小型のものまで含めると、在庫数で約20万点を抱えています。そのうち8割以上がお客様にご利用いただいております。
CLASを利用することで、お客様がSDGsに貢献する仕組みを大切にしているとお聞きしました。
当社では、お客様から返却された家具や家電をできる限り再生し、次のお客様にご利用いただくことを大切にしています。
返却時に傷がついているケースもありますが、そのままの状態で提供してしまうと、お客様にとっての満足度やサービスへの信頼に影響を及ぼしかねません。そのため、再生やクリーニングの技術向上には日々注力しています。
賃貸マンションでも、内装や設備が整っていれば、中古であっても使用感はさほど気にならないものです。オフィスにおいても、必ずしも「新築であること」が絶対条件ではないように、家具・家電も同様の価値観が広がればと考えています。
このような価値観が浸透すれば、環境負荷の高い耐久消費財が簡単に廃棄されることもなくなり、持続可能な循環型社会の実現にもつながると信じています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
私自身が「こんなサービスがあればいいのに」と強く感じたことにあります。
私自身引っ越しが多く、新しい家にフィットする家具や家電の買い替えの負担や、金銭的な無駄が多いと感じていました。
また、ベンチャー企業にとって、オフィス家具の購入は非効率です。私自身も1社目を立ち上げた際には頻繁にオフィスを移転しましたし、現在の会社ではリモートを中心としながらも、倉庫は複数回移転しており、そのたびに働き方や設備のあり方も見直す必要がありました。
移転の度に、オフィスの内装や必要なものを変えるのは難しいです。今の業態、働き方、体制、オフィスで、この先10年、20年継続する企業であれば、購入してもいいと思います。
ですが、もっと成長したい企業がいきなりオフィスの什器を買ってしまうのは、時に不要な負担になりかねません。そのような企業の皆さまにこそ、私たちのサービスをご活用いただきたいと考えています。
1社目の起業で学んだことをお聞かせください
「インフラファースト」であることの重要性です。
会社のサービスや成長だけを最初に求めると、どこかで破綻します。まずは、会社の仕組みやお客様にサービスを届けるためのインフラを盤石に整えること。そのインフラに乗った上で、次の規模を目指し、必要に応じてインフラをアップデートし続けることが必要です。
インフラファーストでなければ事業は成長できないですし、最終的にお客様に十分なユーザー体験をお届けできないと考えています。
ユーザーファーストが企業成長の原点
仕事におけるこだわりを教えてください。
「ユーザーを見続けること」です。
ユーザー様がいま直面している課題に対して、本質的な解決策を提供することが、企業として最も重要な使命だと考えています。その本質に向き合わずして、真の成長はあり得ません。
私たちが提供しているのは「サービス」であり、そこには必ずお客様が存在します。だからこそ、常にユーザーファーストの視点を持ち、真に求められる価値を届け続けることが、事業の根幹であると信じています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
常に投資が必要な事業にも関わらず、資金調達が非常に難しい点です。
私たちは、在庫を大量に持たなければならない商売です。ですが現在、在庫の8割以上が稼働しているため、在庫を増やし続けない限り成長できません。
在庫を取得するためには、常に資金調達をしなければなりません。その際に、私や経営陣は、事業の成長の確実性や利益が成り立つことを信じていますが、投資家にうまく伝えきることができておらず、成長と利益の両立の確実性がありながらも、実績として出ていない場面では、資金調達で苦労する局面が今までに何度かありました。直近では財務状況の改善に従い、デットを含めた資金調達は以前よりも安定的にできつつあり、ハードルは徐々に下がってきています。
現在でも、2025年4月の売上高は前年同期比で50%近い成長をしており、営業利益が黒字化した今でも疑問を持たれることがあります。投資家に対して納得感のある未来像を提示し、理解を得ることは、今も変わらず大きな挑戦であり、継続的な努力を要する部分です。
日本から圧倒的な社会インフラを生み出す
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
起業や経営する際のモチベーションは特になく、食事のようなものだと思っています。なぜなら、私は経営をしていないと、生きられないと思っているからです。
ただ、食事と同じで、摂りすぎると体調を崩すこともあります。その時は控えめにするなど、調整が必要な時もあります。
社員のモチベーションについては、画一的な管理手法に頼ることは考えていません。それよりも、一人ひとりの目標設定と、それに対するフィードバックを最も重要なことだと捉えています。
その人の人生のゴールや目標に近づくために、最も適した目標を持ってもらうことが理想的だと考えています。会社としての計画や目標もありますが、それよりもキャリアの中で何を目指しているのか、今どういう目標を持つとよいのかを重視します。
目標設定や評価のタイミングでは、全経営陣が集まって社員1人ずつに対し、目標が適切か、評価は公平か、適切にフィードバックされているかを確認するようにしています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
CLASを社会インフラにすることです。
Googleのような海外発の優秀な社会インフラを日常的に使っていますが、現在の日本の企業では生み出せていません。日本は過去に鉄道といった素晴らしい社会インフラを作り上げた実績があるように、私たちも匹敵するものを作っていきたいです。
現在の売上規模は数十億円前半で、この規模では明日なくなっても世の中はそれほど困りません。社会インフラとして認められるには、最低でも1,000億円規模が必要だと考えています。その規模になって初めて、世の中の人たちや投資家からも注目されるようになると思います。まずは1,000億円規模を目指すことが、私たちの当面の目標です。
理想のオフィス構築を実現する唯一の手段が「CLAS Biz」
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
自分の原体験を大事にしてください。
起業して経営を続けることは、楽なことではありません。だからこそ「なぜ起業したいのか」「なぜこの事業がやりたいのか」といった強烈な原体験がないと、辛いだけで終わってしまうでしょう。またそこに付き合う社員も不幸になりかねません。
起業したいと思うのであれば「なぜ自分がそれをやりたいのか」という原体験を大事にしてもらいたいと思います。
貴社のサービスに興味がある企業へのメッセージをお願いします
想像してみて欲しいのですが、自社で開発したサービスを、一度も改善することなく、PDCAサイクルも回さず、リリース当初のまま運営し続けることが果たして可能でしょうか。実際には、UXを高めるために日々トライアンドエラーを繰り返し、最適なUIを模索し続けているはずです。
しかし、従業員にどのような体験を提供したいのかという視点が欠けたまま、インターフェースの更新が行われていない状態が少なくありません。サービスに置き換えて考えれば、これは極めて不自然なことであるとお分かりいただけると思います。
オフィスもサービスと同じです。どのような従業員体験を実現したいか、そのためのインターフェースを作るのがオフィス構築です。常にPDCAを回さない限りは、理想の従業員体験は絶対に実現できません。
それを可能にする唯一のサービスが私たちのCLASです。生産性の高い従業員体験を提供したいと考える経営者の方に、ぜひ弊社のサービスを使ってもらいたいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:久保 裕丈氏
東京大学工学部卒業、同大学院新領域創成科学研究科修士課程修了。2007年ATカーニーに入社。2012年にミューズコー株式会社を設立、年商20億円規模まで成長させ、2015年売却。その後2018年に株式会社クラスを設立。
企業情報
法人名 |
株式会社クラス |
HP |
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設立 |
2018年4月 |
事業内容 |
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