
talentbook株式会社 共同代表取締役 大堀 航
talentbook株式会社は、働く社員をロールモデルとして発信し、企業の採用力向上を支援する企業です。社員インタビューAI搭載の採用広報ツール「talentbook」を展開し、従来の求人サイトや口コミサイトとは異なる第3世代の採用手法を提供しています。
その独自の手法と圧倒的な成果により、日経225銘柄の20%を含む多くの大手企業から支持されています。共同代表取締役の大堀 航氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
働く社員のロールモデル化で「選ばれる企業」へ
事業の内容をお聞かせください
私たちの事業は、社員インタビューAIを搭載する採用広報ツール「talentbook」を通じて、求職者が就職や転職活動でロールモデルとなる先輩と出会える場をつくることです。
企業にとっては、自社の社員をロールモデルとして発信することで、採用へとつなげることができます。
当社の信念は「一人のキャリアが、誰かの人生を動かす。」です。
様々な出会いがあると思いますが、「この先輩のようになりたい」「この先輩のこういう部分を参考にしたい」というような出会いを増やしていきたいと考えています。
これまでは求人サイトや人材紹介が主流で、近年はスカウトや口コミサイトも登場してきました。私たちは第3世代として、ロールモデルでの就活・転職を当たり前にしていきたいと考えています。
現在、パーソルキャリアの調査によると入社直後の4月に転職サイトに登録した新社会人は、2021年と比べて31倍になっています。さらに、中途採用の比率も大企業を中心に大幅に増加しており、2010年は年間1万人だった大手企業の中途採用が、現在は12万人近くまで増えているという日経の調査結果もあります。
また、大手企業であっても、従来の選ぶ採用から選ばれなければ採用できない状況になっており、働く社員を積極的に発信する方向に転換しています。
従来もエース社員の紹介はありましたが、当社では、働く人の人生をコンテンツ化したり、プロジェクトでの困難な経験など、人間性を深く掘り下げた情報をコンテンツ化している点が特徴です。
企業様は「talentbook」を契約いただくことで、システムを使って記事を作成できます。AIを活用したインタビューも可能ですし、当社の編集者がお客様の社員の方のもとに伺って取材することも可能です。
AIを使用する場合でも、登場する方が異なるため記事内容は変わりますし、私たちは、その方ならではの個性や苦労した経験がしっかりと表現されているかを大切にしています。そのため同じ内容になることは決してありません。
また、夏以降には自分にマッチした「ロールモデル」に出会うための新機能をリリース予定で、従来はサークルや友人、大学のキャリアセンター経由でしか先輩と接点を持てませんでしたが、その機会を当社が提供いたします。
記事が頻繁に更新されているのに驚きました
特に大手企業は社員数が非常に多く、様々な職種があり、働いている世代もライフステージも異なります。そのためロールモデルは無数に存在します。
企業様も積極的に発信したい、できれば全員を紹介したいといったモチベーションでスタートされるため、継続的に発信したいという企業様が多いです。
そこで私たちがリソース面でサポートし、AIも活用して月4〜5記事を発信している企業様もいらっしゃいます。従来の取材インタビュー記事は企画から取材まで含めると時間がかかりますが、社員インタビューAIを使用すれば最短1時間で完成します。
現在「talentbook」では毎月150記事程度が公開されており、そのうち約20%がAIで作成された記事です。
私たちとしては、各企業様の社員の方をコンテンツとして発信していただくことが、サイトを利用する方の価値向上にもつながるため、AI化は重要だと考えています。
ベンチャー企業の利用も増加しているとお聞きしました
現在は大手企業のみならず、社員数数百名規模の中小企業や成長スタートアップ企業様にも多くご利用いただいています。
月額10万円以内で、AIを活用して毎月5名程度の記事を作成できるため、1記事あたりの制作単価は約1.4万円です。ライターへの外注よりも低コストで、自社制作が可能な点が評価されています。
2024年よりAIを活用したサービスを本格展開し、累計は1200社以上となっています。年間40〜50社のペースで増加しており、今後さらに加速すると見込んでいます。
事業戦略としては大手企業を軸にしつつ、AIへの抵抗が少ないベンチャーやスタートアップにも積極的に導入いただきたいと考えています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
元々はPR会社に勤めており、企業の広報をコンサルティングから実行まで行う仕事をしていました。
その後、オンライン英会話サービスを運営する会社に広報立ち上げ担当として転職しました。ベンチャー起業であったため、新しいニュースよりも、情報発信として働く社員やお客様のコンテンツを発信していました。
記者や採用候補者の方からは「こんな人が働いている会社なんですね」といった声を多くいただき、働く人の物語が人の心を動かす力を持っていることを改めて実感しました。
そこでの経験を経て、働く人の物語を発信する場所を作ろうと思い、現在の事業をスタートしました。
顧客ニーズを軸に事業を展開する
仕事におけるこだわりを教えてください。
自分たちがこうしたいということよりも、お客様や読者、ユーザーの方々の思いを重視することです。
わからないことがあればお客様のところに聞きに行く、新しい機能について迷ったら直接意見を聞くといったことを心がけています。
顧客ニーズとずれてしまう原因の多くは、自分たちの思い込みや、不要なこだわりにあります。過去にはこういうサービスを作りたい、投資家に評価されるサービスを目指したいといった思考に陥ったこともありましたが、その結果、顧客のニーズとかけ離れてしまいました。
お客様が購入しにくい価格設定になったり、満足してもらえないサポート体制になったりすると全く意味がありません。そのため、お客様が発注しやすく、購入しやすいものになっているかどうか、常に意識して仕事に取り組んでいます。
起業から今までの最大の壁を教えてください
コロナにより、企業の採用活動が一時停止した時です。
売上を伸ばし事業を成長させるために、大手企業との取引が必要になったターニングポイントでした。
それまではtalentbookに載せる記事しか制作しないと言っていました。しかし大手企業との取引が進む中で、採用サイトやオウンドメディア、広告、動画制作など、より幅広いニーズに応えることの重要性を実感しました。
すべてのニーズに対応するようになってから、大手企業から多くの案件を受注できるようになり、記事制作だけにこだわる姿勢は不要だったと反省しました。
社員の方のロールモデルを発信していくためには、記事に限らず、あらゆる手段で支援することが必要だと気づいたのです。
自分らしい就活・転職をする場所を作る
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
お客様のフィードバックが私の原動力になっていると思います。
特にお客様からの感謝の言葉や期待の声が、私たちの大きなモチベーションになっています。それさえあれば、道に迷うことなく進み続けられると感じています。
昨年はじめて開催した顧客向けの感謝祭では、多くのお客様と直接お話しする機会があり、とても楽しく、心に残る時間となりました。
こうした瞬間こそが、事業を続けていくうえでの何よりの原動力になっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
新しい転職・就活のポジショニングとして、「ロールモデル」就活・転職という新しいジャンルを作っていきたいです。
talentbookを口コミサイトやスカウトサービスとは異なる形で、こういうサービスが欲しい、嬉しいなどと思ってもらえるものを目指しています。
直近では、夏以降に職務経歴書やガクチカをベースにおすすめのロールモデルを提案する機能をリリース予定です。
これを皮切りに、talentbookが「自分らしい就活・転職をする場」として認知されるフェーズに入っていくと考えています。
「多様なロールモデル」との出会いが成長につながる
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業は私の経験上とても大変だったので、積極的におすすめはしませんが、良かった点は関わる人のバリエーションが増えたことです。
広報を担当していた頃は、関わる相手といえば広報・メディア関係者や社内のメンバーが中心でした。
しかし起業してからは、資金調達の話をする機会が増え、エンジニアとサービス開発について議論する場面も多くなりました。さまざまな人と関わる中で、この人のようになりたい、この考え方は尊敬できると思えるロールモデルが増えていきました。
ロールモデルが多い人生はとても楽しく、まるで兄や姉がたくさんいるような、心強さを感じます。
起業によってロールモデルが増え、兄や姉のような先輩から多岐にわたるアドバイスをもらえることが、事業成長につながるでしょう。
貴社のサービスに興味がある企業へのメッセージをお願いします
「社員インタビューなら、talentbookに」と思っていただけるよう、私たちは日々取り組んでいます。
おそらく日本で最も多くの社員インタビューを手がけている会社だと自負しております。社員の魅力を引き出すインタビューでしたらお任せください。
現場の社員の方々の中には、「インタビューを受けるのは初めて」と緊張される方も少なくありません。
そんな時に大切なのは、丁寧に寄り添い、安心して話していただける場づくりです。そういった点も含めて、当社は得意としております。
ぜひ一度、お気軽にご相談いただければと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:大堀 航氏
大手総合PR会社の株式会社オズマピーアールを経て、国内最大のオンライン英会話サービスを運営する株式会社レアジョブに入社。PRチームを立ち上げ、2014年6月に東証マザーズ上場に貢献。2014年12月には、弟の大堀海と株式会社PR Tableを共同創業し、現在に至る。趣味はキャンプやゆるめのフェスに行ってリラックスすることです。
企業情報
法人名 |
talentbook株式会社 |
HP |
|
設立 |
2014年12月12日 |
事業内容 |
社員インタビューAIを搭載した採用広報ツール「talentbook」を提供し、企業の魅力を社員のストーリーを通じて発信することで、採用ブランディングを支援 |
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