【#459】営業は”物売り”ではない。リファラル営業で真のニーズに応える営業マッチングプラットフォーム『side bizz』(代表取締役社長 佐野 雅也(ウェブエックス株式会社)

ウェブエックス株式会社 代表取締役社長 佐野 雅也
ウェブエックス株式会社は、営業フリーランス特化のマッチングプラットフォーム「side bizz(サイドビズ)」を運営する企業です。営業人材不足に悩む企業と優秀なフリーランスを繋ぐことで、従来の代理店制度の課題を解決し、新しい営業の形を創造しています。代表取締役社長の佐野 雅也氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
代理店制度の課題を解決する、営業フリーランス特化型のwebプラットフォーム
事業の内容をお聞かせください
「side bizz」というWebプラットフォームの開発・運営を展開しています。営業に特化したフリーランス人材データベースで、現在約15,000人の営業フリーランスが登録しており、セールスアウトソーシングを求める企業様とのマッチングを行っています。
クライアントは累計1,000社ほどで、営業人材の採用に困っている企業や、新規開拓営業を強化したい企業、代理店展開をしたい企業などです。
この事業のテーマは「代理店展開」、特に「紹介代理店」の仕組みにフォーカスしています。つまり旧態依然の紹介代理店という仕組みをアップデートしたことになります。紹介代理店とは、見込み客を紹介して受注に至ったら紹介者にキックバックを支払う、いわゆるリファラル営業の仕組みのことです。
ただ、この仕組みには大きな問題があります。販売代理店は、数社と深く組み徹底的にサポートするのが効果的なのですが、紹介代理店の場合には、紹介者であるパートナーの数が多ければ多いほど良いのです。しかし、紹介者を増やすと事務手続きも最大化してしまうため、結局は周りの知り合いだけに口頭で紹介依頼を出すような小規模な運用になってしまい、全くワークしていませんでした。
前職で代理店展開の構築支援をしていた時に、このギャップに気づきました。独立後、2018年の副業解禁のタイミングで、「今がチャンスだ」と思ったのです。営業の副業として日常的にでき、本業にも繋がって、お客様も喜び、収入にも繋がる仕組みを考えました。
営業職の人脈ネットワークを可視化して、企業に新規リードを供給する。従来必要だった契約手続きをwebプラットフォームにすることで無くし、報酬支払いまでを一元化する。それを実現したのが「side bizz(サイドビズ)」です。
個人的には月10万円ぐらいの副業収入が稼げるようなサービスになることを想像していました。しかし蓋を開けてみると、昼間働いている普通の営業マンでも月20万円~30万円、多い人では月100万円以上を片手間で稼げているので驚きですよね。
時給換算では10万円というのが実績なので、正直インパクトが強すぎて、もはや副業詐欺と疑われるレベルだと思います。これは手前味噌なのですが、人々の想像を超えるようなサービスが創造できたと思っており、結果的にイノベーションが起こせたと自負しています。
「side bizz」の特徴や強みを教えてください
最大の特徴は、完全成功報酬型のリファラル営業プラットフォームであることです。これが実現できるプラットフォームは、私の認識では日本でside bizzだけだと思います。
他のプラットフォームでリファラル営業を依頼する場合、固定報酬やアポイント報酬といった成果ベースの報酬が必須で、いわゆる報酬の前払いをしなければなりません。
しかし当社では、受注/成約時の完全成功報酬型で依頼できます。実際にお客様からも「こういうサービスは他にない」と言われることが多いです。
当社のような「経営者=大株主」といったオーナー企業が、プラットフォームを自力で立ち上げた場合にしか採用できないビジネスモデルで、非常にリスクも高いのですが、それが差別化要因になっています。
また、様々な営業アウトソーシングに対応できる柔軟性も特徴です。販売まで一貫して任せする、テレアポのみ、クローザーとしてのインサイドセールスなど、幅広い形での依頼に対応可能です。
下記リンクよりご確認いただけます。
営業フリーランス特化型の人材データベース|side bizz(サイドビズ)
https://www.sidebizz.net/
「営業は物を売る仕事ではない」と考えているとお聞きしました
その通りです。お客様には、求人に困っている、会社を移転したいなど、必ず何らかの課題があります。その課題感に対してソリューションを提供するのが本来の営業活動です。
ただ、多くの営業はコピー機や求人媒体など、1つのソリューションしか持っていません。そのため、お客様の全ての課題に対応できないのです。
そこでリファラルの出番となります。「求人にお困りなんですね。私は扱っていませんが、ご提案できる会社をご紹介します」と伝えると、お客様から非常に感謝されますよね。そうすると、「ホームページを作り直したいんだけど、良いところ知らない?」というように、お客様が困った時に連絡が来るようになります。これが目指すべき顧客主体の営業活動です。
これは、会社といった枠を超えて営業マン個人が事業運営できている状態です。これがトップセールスのやり方であり手法なのです。リファラルは、トップセールスほど実践していることは有名な話で、積極的に取り組んでいる傾向があります。
そのため、当社の登録フリーランスもトップセールスの方が大半です。各社で年間MVPや社長賞を取っている優秀な人たちが集まっているのです。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
それは前職での経験が大きく影響しています。
新卒で大手証券会社に入社後、IT系企業へ転職し、代理店募集サイトの運営に携わりました。そこで私は代理店募集構築のコンサルティングを担当し、累計2,000社に及ぶ大手からベンチャー企業まで、幅広いビジネスモデルに触れる機会がありました。
代理店募集を支援するにあたり、各社の商材やビジネスモデルを深く理解する機会があり、「ぜひ御社のビジネスモデルを教えてください」と直接ヒアリングできる貴重な立場でした。
その中で気づいたのは、各業界ごとに代理店制度の仕組みが異なっており、通信、美容、健康食品、人材など、それぞれが独自の仕組みを持ちながらも、他業界の事例をほとんど知らないという実態でした。
一方で私は、業界を横断的に見る立場だったため、既存の代理店制度に共通するギャップを発見することができました。業界内では見えにくい課題も、横断的な視点を持つことでそれが可視化され、そのギャップを埋めるべく、現在の事業を立ち上げるきっかけになりました。
発想や想像を軸にビジネスを生み出す
仕事におけるこだわりを教えてください。
あまり深く考えたことはないのですが、面白いことをやりたいです。
私はマーケットインは、あまり好きではありません。世の中のニーズに合わせるよりも、プロダクトアウトの方が好きです。自分の発想や想像から生み出す、芸術家のような側面があるのかもしれません。
起業家は世の中とは関係なく、「これを実現したいからやる」「こっちの方が正しいからやる」という表現者だと私は思っています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
最大の壁は、コロナ禍でCTOが長期離脱を余儀なくされ、業務が停止したことです。当時は私とCTOの2名で事業を進めており、彼はフルスタックエンジニアとしてシステム構築を一手に担っていました。そのため、同じレベルの後任をすぐに見つけることは困難でした。
色々試行錯誤した結果、最終的にオフショア開発する決断をしましたが、CTOも私自身もオフショア開発で成功した事例を見たことがなく、それは大きな挑戦でした。しかし何も挑戦せず廃業するよりも、挑戦してから事業を潰した方がすっきりするので、完全なる独断で実施しました。
当初は思うように進まず、半年くらいは厳しい状況が続きましたが、徐々に成果が出始め、事業を継続することができました。この時期が、これまでで最も大きな壁だったと感じています。
自分がやるしかないという使命感
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
いくつかありますが、1つは確信があったという点です。市場のギャップを理解していたので、そこを埋めれば上手くいくだろうと考えていました。
もう1つは、この領域を前職から長年手がけてきているので、誰よりも詳しいといった自負があったことです。もちろん競合は存在するのですが、競合他社と比べて知識や知見、経験で負ける気はしません。
私は仕事が楽しいから続けるというモチベーションは低くて、「天命を全うしたい!」といった思いの方が強いです。世の中は挑戦者が動くからイノベーションが起りますし、それをやるべき人は決まっていると思うのです。そう考えた場合、この領域なら絶対に私がやるべきだという使命感を持っています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
現事業については、ビジョンが明確であり、大きな方向転換を行う予定はありません。ただ将来的には、社会課題の解決に取り組みたいと考えています。
現在のWebプラットフォームには構造的な課題があり、特にフリーランスの方々にとっては、報酬支払いへの不安が常につきまといます。一定の規模に達した段階で、株式上場や大手企業グループへの参画など、より強固な信頼基盤の構築が必要になると考えています。
その信頼性を確立し、資金的にも余裕ができたタイミングで、社会性のある事業にも取り組んでいきたいと考えています。
具体的には、NPO的な社会課題解決事業を検討していますが、助成金や補助金に頼る形ではなく、事業から生まれる営業キャッシュフローを原資として、自己資金で持続可能な運営を実現したいと考えています。
これは大きなチャレンジですが、個人的には実現できると思っています。
情熱を持って取り組める内容を選択する
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
私は「独立/開業」と「起業」という言葉を使い分けています。
独立/開業は既存のビジネスモデルに収まっていくことを意味していて、例えば人材紹介業を立ち上げたり、フランチャイズに加盟することなどがそれに当たります。つまり既存の成功事例に乗っかるだけというのが、私にとって独立/開業のニュアンスです。
例えば、人材紹介業や不動産業、ラーメン店の開業など、既に市場が確立され再現性のあるビジネスモデルであれば、競合はあっても十分に成功できる可能性があるでしょう。
それと比較して起業というのは、世の中にないものを創造(イノベーション)することを定義としています。つまり創造と破壊を同時に行うので、当たり前ですが外敵を作りやすいです。
きっと抵抗勢力もたくさんできますし、相手の想像をはるかに超える話をするので、「そんなことは無理だ」と馬鹿にされることもあるでしょう。そのような観点からも、起業は大変辛いことだと思っていますが、その分大きなやりがいや成長の機会があります。
私のように前例のないものをゼロから創り上げる起業は、困難も多いですが、その分大きな挑戦であり、自分の情熱や可能性を形にできる素晴らしい機会だと考えています。そして人間には寿命がありますが、会社には寿命がありません。
もしあなたが日本を代表するような会社を創業して、その会社が300年後も残っていれば、その創業者として会社内にあなたの顔が飾られていることでしょう。
プレゼンする時に営業社員があなたの創業秘話をお客様に話したり、あなたの想いを語り継いでくれると思います。それが続く限り、あなた自身は亡くなっていたとしても、みんなの記憶から忘れ去られることはありません。
それはもはや不老不死になったのと同義だと思っていて、歴史上の偉人と同じだということです。独立/開業でそのような偉業を成し遂げることは難しいと思いますが、起業であれば実現可能です。
挑戦にはリスクも伴いますが、死ぬこと以外はかすり傷です。それを乗り越えた先には必ず大きな成長と達成感が待っていると思うので、ぜひ勇気を持って一歩踏み出してほしいと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:佐野 雅也氏
企業情報
法人名 |
ウェブエックス株式会社 |
HP |
|
設立 |
2017年6月1日 |
事業内容 |
webプラットフォームの開発、webメディアの運営、セールスアウトソーシング、webコンサルティング |
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