実行株式会社 代表取締役 新井 翔太

「思いついたらやろう、やったらもっと思いつく」を理念に掲げる株式会社実行は、TikTokを軸としたマーケティング総合支援企業です。業界トップクラスの150社以上のTikTok運用実績を持ち、建築業や製造業など従来の求人広告では応募が集まりにくい業種の採用課題を解決しています。代表取締役の新井 翔太氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。

 

TikTokを活用した採用支援で、不人気業界の人材確保を実現

事業の内容をお聞かせください

TikTokを活用した企業のマーケティング総合支援を行っています。アカウントの運用から広告、キャスティング、最近リリースされたTikTok Shopまで、TikTokを軸としたマーケティング支援を包括的に行っています。

 

その中で力を入れているのは2つです。1つ目がTikTokを活用した採用支援「ハヤリク」、2つ目が最近公開されたTikTok Shopの支援です。

 

TikTok Shopについては、海外の仕様は把握していますが、日本国内でユーザーがどう動くかは正直まだ未知数です。

 

そこで現在、自社で運営しているアパレルブランドと、友人が手がける食品会社の2社で実証実験を進めています。完全成果報酬型の形で、どんな施策がインパクトを生むのかを探っているところです。

   

TikTokを活用した採用支援は、どのような企業が導入していますか?

幅広い業種の企業に利用いただいていますが、割合として最も多いのは建設業です。

 

建設業や製造業、運輸業など、一般的な求人ではなかなか応募が集まりにくい業種・業態からご相談をいただくことが多く、そうした企業の採用活動を支援しています。

 

背景としては、一般的な採用手法である求人広告や人材紹介などでは選ばれにくいことが挙げられます。3K(きつい、汚い、危険)と言われて印象が悪く、華やかではないイメージを持つ方が大半です。

 

新しい採用手法を探している中で、「TikTokで採用できるらしい」という噂から問い合わせをいただき、そのようなお客さまからのご紹介で今は広がっています。

 

導入企業の方には、基本的に4つのことだけをお願いしています。ミーティングへの参加、動画内容のチェック、動画への出演や撮影協力、そしてコメントやDMへの返信対応です。

 

これらを除けば、運用に関わる業務は全て弊社で代行いたしますので、企業さまの負荷を最小限に抑え、SNSに関する知識が全くなくてもしっかり成果を出すサービスを提供しています。

 

また地方企業とTikTok採用の親和性が高いことから、今後は地方企業の採用課題解決に注力したいと考えています。

 

競争が激しいマーケ業界で、他社とどのように差別化していますか?

他社との一番の違いは、私がインフルエンサーではないことです。

 

他社はインフルエンサーの方が支援を行っていたり、インフルエンサー出身の方が代表をやっている企業が多いです。

 

インフルエンサーをベースにしたアプローチでは、アカウントの成長やバズを重視するあまり、PDCAサイクルが「どのようにアカウントを成長させるか」に偏りがちです。

 

しかし、私たちはマーケティングやビジネスの視点を大切にしており、アカウントの成長が必ずしも成果に直結するわけではなく、実際の成果を重視する考え方で取り組んでいます。



私たちは、成果を迅速に上げるためのPDCAサイクルを回すことや、要素を的確に分解し、細かく分析して再現性のある形でマニュアル化することを得意としています。

 

その結果、担当者が誰であっても一定の成果を出すことができるようになっており、これが他社との差別化ポイントだと考えています。

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

最初は1人会社でInstagramのマーケティング支援をしていました。しかし1人でやるには限界があると感じ、自分が直接支援に入らなくても事業が回る仕組みを考えた時に、TikTokが浮かびました。

 

試しに取り組んでみた結果、うまく流れに乗ることができ、集中してからは急速に成長を遂げました。半年で約20クライアントを一気に獲得し、その後は右肩上がりの成長を続けています。



また、以前の人材紹介事業での経験が現在の事業に大きく影響しています。事業立ち上げ期には、求職者を集めるための紹介チャネルを0から構築しました。

 

さらにコストをかけずに、どのような訴求や伝え方で、第三者を介して情報を伝えられるかを検証し続けていたので、その経験が非常に活かされています。

 

TikTokという媒体を通じてユーザーに伝えることも、本質的には変わらないと考えています。求職者が何を求めているか、どのような行動をとるかという基礎知識があるため、それに合わせた施策を展開できることが強みです。

 

お客さまと提供側が幸せになる関係性

仕事におけるこだわりを教えてください。

1つ目は、お客様と私たち提供側の双方が幸せであることを大切にしています。お客様に喜んでいただくことはもちろんですが、支援する私たちが満足できない場合は、お受けしません。

 

双方の幸福度が向上することを最優先にしています。

 

例えば、お客様の関わり方によってこちらが辛くなるような場合は、コミュニケーションの取り方の改善をお願いしています。

 

法人支援においては、双方が向き合って進んでいくことが不可欠だと考えているからです。

 

2つ目は、スタッフが同じ情熱を持って働けるかどうかを重視しています。採用時には、技術的なスキルよりも、同じ熱量で仕事に取り組めるかどうかを最優先にしています。

 

何事も、長く続けるためにはお互いの熱量が重要です。せっかくのご縁を大切にするために、この点は非常に重要だと考えています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

キャッシュフロー含む財務面の管理です。以前は十分な管理ができておらず、3年連続で資金不足に陥りました。売上は順調に増加していたものの、資金面での課題が常に付きまとっていました。

 

財務管理が不十分だったため、計画性の無い投資や人への還元などを行い過ぎてしまい、結果的に資金調達に走り回るという期間が発生しました。

 

同じ失敗を繰り返すことが続き、非常に苦しい思いをしました。しかし、今はその経験を通じて資金管理の重要性を深く認識しており、現在ではしっかりとその管理に取り組んでいます。

 

今後の課題としては、会社の認知度を上げることが挙げられます。これまであまり広く知られていなくても事業はうまく回っていましたが、更なる成長や新たな挑戦を進めるためには、会社の認知度を高めることが不可欠だと感じています。

TikTok Shopを入り口に地方創生に取り組む

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

仕事が楽しいことが原動力になっています。私はRPGゲームが好きで、ビジネスにおいてもその感覚を大切にしています。

 

たとえば、ボス戦で「これは強敵だな」と感じるように、ビジネスの中で直面する大変なことも、同じように挑戦と捉えています。

 

根本的に考えれば、人はいつか必ず死を迎えます。私は、死ぬまでに何かを成し遂げたいというよりも、「どうせ死ぬなら満足して死にたい」と思っています。

 

そのため、今できることや、楽しんで取り組めることに挑戦し続けることが大切だと感じています。

 

また、スタッフのモチベーションについて、管理は特別に行っていませんが、真剣に話すべき時はしっかり向き合い、何をやりたいのか、どんなスキルが必要かを都度コミュニケーションを取るようにしています。

 

その上で、成長を適切に評価し、サポートしていくことを心がけています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

地方創生に取り組みたいと思っています。


東京でできるビジネスはIT、AIなどが多いですが、私たちは地方に眠っている資源に可能性を感じています。

 

例えば、日本の伝統工芸品は使う人が減少していますが、その技術は依然として素晴らしいものです。私たちはこうした活用されていない資源を開拓していき、縮小している事業の価値を再構築し、グローバル展開も視野に入れ、市場に再投入したいと考えています。

 

また、、地方にある日本の貴重な資源が外資に買われてしまう現状は国力低下という観点で見ると非常に危険な状態だと捉えています。資金力がないために売らざるを得ない状況ではありますが、地域や企業がそれぞれ力を持つことで、この流れを食い止めることができるはずです。

 

その入り口として、TikTok Shopを全国展開し、採用も地方から始めてバリューアップ支援を包括的に行います。GAFA出身の強力なパートナーもいるので、本格的な支援が可能です。

 

一方で、地方ではSNSやTikTok Shopなどの新しい手法への理解が進んでおらず、導入ハードルが高いのが現状です。また、地方には「機能よりも人」の文化があります。

 

そのため、まず人間関係を築いて信頼を得ることを重視し、その後に課題解決の手段としてTikTokを提案するアプローチを取っています。

 

地方企業の特性上、実際に現地に足を運んで営業活動を行っており、現在は主に熊本を中心とした九州エリアで展開を進めています。

お金と管理と信頼関係の構築が何より大切

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

まず、お金の管理を徹底することが非常に重要です。私自身も、利益を増やすことに意識が向きがちですが、稼いだお金を使いたくなる気持ちは分かります。

 

しかし、使ってしまったら意味がありません。お金を使わずに残しておくことが、ビジネスの鉄則です。

 

次に、信頼関係を築くことも大切です。私が困ったときに助けてくれたのは、何年もの長い付き合いがある人たちでした。日々の業務で一つひとつ丁寧に信頼を積み重ねていくことが、いざという時に大きな支えとなります。

 

最終的には、何をビジネスとして選ぶかよりも、この2つが最も重要だと思います。個人でもいくらでも稼げる時代です。

 

そのスタートラインに立つために必要なのは、お金の管理と人との信頼関係だと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:新井 翔太

営業代行会社に入社。主に店舗向けのマーケティングツールの営業に従事。SEVENRICH Groupに転職。人材紹介事業部(現:株式会社BOX)の創業メンバーとして、求職者のマーケティング領域の統括として従事。その後実行株式会社を創業。代表取締役CEOに就任。

 

企業情報

法人名

実行株式会社

HP

https://zikko.co.jp/

設立

2018年1月11日

事業内容

  • TikTokを活用した総合マーケティング支援
  • TikTokを活用した採用支援「ハヤリク」

 

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