
株式会社VAST 代表取締役社長 宇野 広大
常時人手不足に悩まされている建設現場において、十分なスタッフを抱え、竣工美装/雑工の依頼にスピーディに応える株式会社VAST。「社会のニーズ」という一点に着目して現在の事業を選択したという代表取締役社長の宇野広大氏に、同社に人が集まる理由や起業の経緯についてお聞きしました。
業界屈指のスピード感で対応!若い人も集まる建設業
事業の内容をお聞かせください
弊社は「竣工美装」といわれる、工事現場の美装と、「雑工」といわれる、工事現場の補助的な業務を担当するサービスを手掛けています。
竣工美装とは、新築の建物が建てられる際に大工さんたちの作業で汚れた場所を清掃していき、建物の完成時には綺麗に最終の仕上げをするという仕事で、雑工とは、資材の運搬・整理、工具の準備や片付け、足場や養生の補助、職人のサポート(手元作業)をするという仕事です。
弊社はこの竣工美装と雑工をメイン事業として、他にビルのエントランスや共有部の定期清掃、店舗の清掃、自宅のハウスクリーニングなどの業務もご依頼があればスポットで対応するという形になっています。
竣工美装の現場というのはどこも圧倒的な人手不足に悩まされているというのが現状です。清掃の会社というとホテル清掃やビルメンテナンスが主流となっており、竣工美装の専門会社もありますが、若い人たちにはあまり存在を知られていません。
そのため弊社がその領域に参入し、人手不足という業界全体が抱える課題解決を担いたいと考えて、この事業を始めました。
弊社は多くのスタッフを抱えているため、この業界の中では群を抜くスピード感で依頼に対応できるのが強みとなっています。多くのスタッフが集まる理由は、現場で働く人たちの労働環境を見直し、「働きやすい」と思ってもらえるような職場づくりに取り組んでいるからです。
従来、建設現場などはパワハラが多く、福利厚生なども不十分であるというのが一般的なイメージでした。しかし弊社はそれを覆し、現場仕事としては説明も丁寧で福利厚生もしっかりしているという環境を整えて、多くの人材の確保に成功しています。
一般的なホワイトカラーの職場では活躍できなかった人も、仕事に対して真面目で素直であれば、竣工美装の現場では正しく評価されます。
人手不足が嘆かれている今、そうした人たちが活躍できる場を作ることが重要なのです。弊社では従来の建設現場における価値観とは異なるスタイルによって人を集め、業界のニーズを満たしていきたいと考えています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
実は元々プロのサッカー選手を目指していたのですが、大学進学後に違和感を覚えました。自分の中でもっと深く世の中に影響を与えたいという思いがあり、そのためにはスポーツの認知度や発信力よりも、直接経済を動かす力が必要だと考えて起業へと徐々に舵を切り始めました。
そこで、まずは経営力とお金を稼ぐということに主眼をおいて18歳で起業し、当初はありとあらゆる事業に着手しました。
そのうちに「頑張った分だけ積み重ねになるような事業を手がけたい」という思いが強くなり、1本の軸となる事業を作ろうと考えたのです。
事業内容を選ぶ基準となったのは、サービスの価値自体が一定で残り続けるものであること、そして現状で大きなニーズが見込まれることです。
そこで目を引かれたのが建設の現場、その中でも特に清掃業/雑工で、昔から存在して今後もずっと残るだろうというところが魅力でした。
また現状で非常にニーズが高く、工事現場は常に人手不足の状態で、自分がこの分野に参入することで社会課題の解決にもなると思い、今の事業を始めることに決めました。
当たり前のことを真面目にやれば評価される仕事
仕事におけるこだわりを教えてください。
第一のこだわりとしては、やはりチャレンジすることだと思います。
世の中に今までなかったことをやろうとするわけですから、やはり多くの反対意見が起こります。しかしそのような反対意見に負けず、一度チャレンジしたことはやめないというのが私の信念です。途中で変化していくことはありますが、逆境も乗り越えて必ず継続していきます。
また、よく従業員に対して伝えているのは「真面目に取り組むこと」の重要性です。我々のやっていることは決して間違ってはいない、真面目に継続すれば必ず評価はついてくると話しています。
この言葉を大切にしている背景には、時代や社会の流れの中で、建設現場や美装業といった仕事が正当に評価されにくい状況が長く続き、「やりたい」と思う人が少なくなってきたという現実があります。
その結果、若い世代が真面目にこの仕事に向き合い、誇りを持って続けていくことが難しい時代もありました。
ここでは、「当たり前のことを真面目にやる」という姿勢そのものが、きちんと見られ、しっかりと評価される文化があります。
その価値観は、どんな仕事であっても大切にされるべきだと私たちは考えていますが、例えばIT業界など、別の価値基準がある職場では、同じように響くとは限らないかもしれません。
起業から今までの最大の壁を教えてください
どのスタートアップやベンチャーでも同じだと思いますが、最大の壁は常に更新されていき、次々に新しい高い壁が現れるという状態です。
それでも特に労力や時間がかかったという意味であえて1つ選ぶとすれば、やはり「人」の問題は大きいです。一人ひとりが働きやすい職場を理想としているのですが、どうしてもその方針に合わせることができない人もいます。
こうした「人」に関する課題を解決し、足並みを揃えて誰もが働きやすい職場をつくっていくためには、就業規則をしっかりと整備することが重要です。
弊社では、実態に即したルールを運用できるよう、就業規則を継続的に見直しをしながら更新もしています。
ただそれだけではなく、スタッフの意見を取り入れることも重視しています。特に現場の文化にアプローチしていくことで、働きやすい環境を新しく作ることは重要です。
そうすることで、これまでの現場の文化を変えていけるようにとコミュニケーションを重ねて努力しているところです。
この社会の終わりのないニーズを満たし続けるため
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
人々のニーズを大いに満たし、世の中の役に立ち続けることがモチベーションにつながっていると思います。
企業経営はニーズがあって初めて成り立つものですから、私たちが努力して改善した結果は、自ずとニーズを満たして人々の役に立つことにつながります。
苦労しながらも事業を継続しているのは、この社会の終わりのないニーズを満たし続けるためです。
もしもいつの日かこの社会のすべてが充足して、自分たちが満たすべきニーズが無くなったら、そのときは私も経営の仕事を辞めるかもしれません。
ですが現状ではそのような日が来るのはまだまだ遠い先のことで、だからこそ私も事業を続けられます。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
直近では、まず拠点数の増加に向けて動き出しています。
私の地元である福岡、そして高校時代を過ごした広島には人材管理を任せられる知り合いがいるため、その2か所に新しい事業所を置くべく準備を進めているところです。私のやり方はあまりベンチャー的とはいえないかもしれませんが、まずは自分が現地に行って土台を築くという泥臭い戦略を取っています。
広島の事業所はすでに試験的に運用を始めていて、福岡も今年中には進出する予定です。我々としては需要がある限りは拠点を増やし続けるつもりで、まずは西日本から事業を広げていくことになるでしょう。
それに伴い、当然ながらスタッフの拡充も必要となってきます。将来的には従業員数は150人程度に増員する計画です。
また清掃業以外の事業への進出にも関心があり、地元の小規模ビジネスとして何か始められないか検討もしています。
最終的には自分で判断し、自分の意思で進むこと
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
私自身が失敗した経験からお話しさせてもらうと、人に意見を求める段階というのはある程度期間を区切ることが大切かなと思います。
人の意見を聞くこと自体が悪いと言っているわけではありません。起業家は自分の意見ばかりに固執するのは危険ですから、多くの情報をインプットすることは大切です。
ただインプットの期間が長すぎると、反対にあまりに多くの違った意見を耳にするようになり、どれも正しく思えて選べなくなってしまいます。
結果的にスピード感をもって進むべきときに進捗の遅れがでてしまうので、適切な時期に判断を下すよう意識しなくてはなりません。人の意見をある程度聞いたら、最終的には自分で決断し、自分の意思で進むのだという心構えが大切だと思います。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:宇野 広大 氏
企業情報
法人名 |
株式会社VAST |
HP |
|
設立 |
2022年10月 |
事業内容 |
清掃事業 |
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