【#486】日本企業にイノベーションを。大手企業の新規事業を成功に導く「カテゴリーデザイン」の威力|代表取締役社長 小川卓真(株式会社EXIDEA)

株式会社EXIDEA 代表取締役社長 小川卓真
株式会社EXIDEAは、20年以上のSEOノウハウとAI技術を融合させ、大手企業の新規事業開発を一貫支援する企業です。市場に参入する際の戦略設計から実行まで、マーケティング・テクノロジー・クリエイティブの3領域で唯一無二の価値を提供しています。代表取締役社長の小川卓真氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
大手企業の新規事業開発を一貫サポート
事業の内容をお聞かせください
主に3つの事業を展開しています。
1つ目は、Webメディア事業で、20年以上にわたるSEO対策の実績をもとに立ち上げた比較サイトとなっています。検索ユーザーのニーズに応える質の高いコンテンツと、使いやすさを重視した設計により、正確で役立つ情報を提供しています。
そのSEOのノウハウを基に、2つ目に始めたのがSEOツール事業です。現在はAIのトレンドも急速に伸びているので、AIを活用して自動的にSEO対策ができるツールを開発・提供しています。
そして3つ目が、大手企業のBtoB部門に対して、「カテゴリーブランディング」というサービスを提供する事業です。
当社は、20年以上培ったSEOノウハウを活かした比較サイト運営を起点に、マーケティングの枠を超えた「カテゴリーブランディング」サービスを提供しています。
近年、スキマバイトやインテントセールスなど、従来にない新しい市場を切り拓く企業が登場しています。
アメリカのシリコンバレーでもライドシェアや民泊など、全く新しいカテゴリを生み出すことで業界を変革してきました。こうした背景には「カテゴリーデザイン」という思考法があり、当社はこれを日本の大手企業向けにアレンジして提供しています。
従来の改善型のアプローチではなく、まったく新しいカテゴリーを構想し、認知を獲得するための支援を通じて、新規事業に挑む企業から高い評価をいただいています。
クライアントには金融、教育、人材業界などの大手企業があり、特徴としてBtoC向けの事業を行っている企業が多いです。
これらの企業がBtoB事業に参入を強く希望する理由に、BtoB市場にはまだ多くのビジネスチャンスがある中で、BtoC事業は人口減少により市場規模が縮小している現状が挙げられます。
BtoC企業がBtoB事業に参入する際、従来のマス広告の手法が使えないため、どのように新規事業を立ち上げるかで悩んでいます。そこで私たちは、カテゴリー創出からマーケティング、ブランディングまで一貫して支援をしています。
Webメディア運営において、御社ならではの強みを教えてください
私たちの強みの1つは、私自身が20年以上にわたって培ってきたSEOおよびWebメディア運営の知見をベースに開発した独自のSEO対策ツールを持っていることです。
さらに、当社の副社長は動画制作業界のトップ企業をゼロから立ち上げた実績を持ち、動画マーケティングの領域でも深い専門性を有しています。
現在は、SEOコンテンツをXやYouTube、ショート動画といった他チャネルへ展開できるコンテンツリサイクリングツールの開発を進めています。
私自身のように、発信者固有のエンティティ情報をベースにAIがコンテンツを生成することで、他と差別化された、Googleにも評価される独自性の高いSEOコンテンツを自動的に量産できる仕組みです。
この仕組みを起点に、SEO・動画・SNSを連動させたオム二チャネル型コンテンツ展開の自動化を実現しようとしています。
加えて、当社にはSEOやコンテンツマーケティングの専門家が在籍しており、アメリカ拠点を通じて常に最新のグローバルトレンドを取り入れながら、戦略設計からプロダクト開発までを一貫して行える体制が整っています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
大学時代からWebマーケティングの仕事をしており、一度大手企業で働いてみたいと思い、3年ほど勤務しました。
その中で、インターネット領域の可能性を再確認し、インターネット関連で起業したいと考えるようになり、25歳で仲間と共に起業しました。
その時に選んだビジネスモデルがSEOでした。当時はまだSEOがほとんど知られていない時期で、SaaSという言葉も存在しなかった頃でしたが、サービスを開発して会社を設立し、事業は順調に成長していきました。
しかしその後に、経営陣間で意見の相違が生じ、結果的に一緒に続けることが困難になったため、ゼロからやり直すことを決めて新しく会社を立ち上げました。
自分で様々なことに挑戦したいと考えていた時期でもあったので、タイミングとしては良かったと思います。
熱中できることを探求し続ける
仕事におけるこだわりを教えてください。
心から関心を持てるものに熱中することです。
私はAIやコンテンツ、SEOといった領域で新しいイノベーションを生み出すことに強い関心を持っています。私自身は経営者という立場上、常にその探求だけに集中することはできませんが、他のメンバーには自分の興味ある分野に深く集中し、専門性を磨いてほしいと考えています。
そのため、自分が熱中できる領域を見つけてほしいと普段からメンバーにも伝えています。当社にはマーケティング、テクノロジー、クリエイティブといった3つの分野があるので、この3つの中には必ず熱中できる領域があるでしょう。
その中から2つの領域を選んで、自分のオリジナリティを掛け合わせます。例えば、マーケティングとクリエイティブを選択し、そこに自分独自の視点や経験を加えて組み合わせると、他の人がやっていない独自のカテゴリーになります。
今後は企業だけでなく、個人も一人ひとりが独自の専門性や強みを持たなければ、AIに取って代わられる時代が必ず来ると考えています。だからこそ、カテゴリー作りを一人ひとりができるよう、熱中できることを見つけることに重点を置いています。
また、誠実であることも大切にしています。どんなサービスであっても、お客様の期待に真摯に応える気持ちを持って作り上げられるかどうかが何よりも大切だと考えています。
嘘をつかない、ごまかさないなどの誠実さを持って物事に向き合えるかどうか、相手のために自分を尽くせるかどうかが、サービスを生み出す上での第一条件であり、それがすべてと言っても過言ではありません。
このように誠実であることにこだわることで、ビジネスでも成功できるのだと思っています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
壁を感じたことはありません。ただ、事業を進める中で大きな困難に直面した経験はあります。5年前、上場に向けて3年間かけて準備を進めていた最中、申請のタイミングでコロナ禍に直撃しました。
倒産するほどではなかったものの、経営者として会社が潰れるかもしれないという現実的な恐怖を感じました。その時、自分が長年追い求めてきたのは他人に勝つことや期待に応えることだったと改めて認識しました。
しかしその発想だけでは、予期せぬ環境変化には対応できないと痛感し、自分が何のために、どこを目指して事業をしているのかを問い直す転機となりました。
それ以来、上場や規模の追求にとどまらず、本質的に価値のあるものを生み出すことを事業の軸に据えるようになりました。
とは言え、会社は非常に厳しい状態にありました。そこからの2年間は、まさに必死の再建期間でした。徹底した見直しと実行を繰り返し、結果として業績も回復させることができました。
この経験は、危機を乗り越える中で事業の本質を見つめ直す貴重な機会にもなりました。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
まだこの世の中にない新たな市場カテゴリーを再現性高く生み出せる会社になることです。
当社が探求している分野は、マーケティング、クリエイティブ、テクノロジーの3つであり、引き続きこれらの分野の最先端を探究し続けます。
これらの技術を融合したカテゴリーデザインを行い、日本から多くのイノベーションが生まれるようにしていきたいと考えています。
起業せずともやりたい事業はできる
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
人生は一度きりなので、挑戦したいと思っているなら、若いうちに起業することをお勧めします。
私は25歳の時に、失うものが何もない状況でチャレンジしました。だからこそ、能力を身につけることができ、今こうして続けられています。これを40歳から始めようと思ったら、踏み出せなかったかもしれません。
一般的な価値観で物事を捉える人にとっては、会社員として働く方が幸せかもしれません。
まずは会社員として実力を磨きながら、「この事業は絶対に成功する」と言えるレベルまで準備することが大切です。ビジネスモデルの緻密さと熱意があれば、社内でチャンスを得ることも可能です。
つまり、能力・プラン・情熱があれば、起業という形を取らずとも活躍の場は得られます。逆に、その準備が整っていない状態での独立は、成功が難しいでしょう。
実際、起業で成果を出せるのは、会社の中でも実力を発揮できる人です。特にベンチャー企業では、起業家と同様の能力が求められます。まずは組織の中で結果を出すことが、成功への確かな一歩となります。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:小川卓真氏
企業情報
法人名 |
株式会社EXIDEA |
HP |
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設立 |
2013年5月27日 |
事業内容 |
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