サクルート株式会社 代表取締役 下村 風香

AIを活用した採用支援に取り組むサクルート株式会社。採用代行、組織コンサルティング、SaaS「サクルートAI」の3本柱で、日本企業が直面する採用課題の解決を目指しています。「かゆいところに手が届くサービス」を信条に、現場に寄り添った仕組みづくりを進める代表取締役の下村 風香氏に、起業までの経緯や事業へのこだわり、今後の展望について詳しくお伺いしました。

 

柔軟に寄り添い、採用課題を共に解決

事業の内容をお聞かせください

当社の事業は、大きく3つの柱で構成されています。

 

まずは、ダイレクトスカウトを中心とした採用代行です。次に、企業に深く入り込む組織コンサルティング。そして今、最も注力しているのが、ダイレクトスカウトとAIを組み合わせたSaaS「サクルートAI」の開発・運営です。

 

ダイレクトスカウトの特徴として、求人を出して応募を待つのではなく、企業側から積極的に人材にアプローチしたり、ターゲットを絞ったうえで相手に刺さるスカウト文面でアプローチができるので、”効率的な”採用活動ができます。

 

SaaS「サクルートAI」では、企業が人材要件を登録しておくと、応募者の履歴書やPRをもとに、AIがマッチング度を測定する仕組みとなっています。経歴、スキル、雇用条件といった複数の観点で、それぞれ定量的に図ることができます。

 

さらには、人材一人ひとりに合ったスカウト文面を自動生成し、相手の魅力を踏まえたスカウト理由を伝え、相手に刺さる会社との親和性を訴求します。

 

加えて、求人別・テンプレ別・送付タイミング別などでデータ分析を行い、スカウトの改善提案までをAIが行う機能も実装予定です。

 

そして、導入のハードルが低いのも大きな特徴です。ブラウザの拡張機能を用いることで、既存の求人媒体と掛け合わせてすぐに利用でき、規約違反にもならない形を実現しました。

 

初期コストも手間もほとんどかからないため、予算や人手をかけにくい中小ベンチャー企業様でも簡単に導入できます。全国の企業様に広く届けていくことを目指しています。

 

私たちの代行サービスについては「そこまでやってくれるんだ」と驚かれることが多く、マニュアル化されていないところまで配慮して動くので、柔軟性とコストパフォーマンスが評価されています。

 

この点は、全社員がダイレクトスカウトの実務経験を有し、また社内には組織コンサルの知見も有するからこそだと思います。母集団形成後の面談課題や内定後のフォローなど、採用活動の現場で出てくる様々な課題についても解決に並走することができ、この取り組みは高く評価され、お客様と長く並走させていただいています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私は新卒で組織コンサルティング会社に入社し、採用に限らず研修や人事制度の構築、理念策定といった幅広い領域に携わってきました。その中で強く感じたのが、日本企業の多くが人手不足に直面し、採用の課題を解決したいとの声が増えていることです。

 

そこで、採用に特化して事業を展開する意義があると考え、事業を立ち上げました。

 

もともと私自身、組織づくりに強い関心を持っていました。それまでの人生を振り返ると、一人で努力していた時期よりも、チームで何かに集中して取り組んでいたときの方が充実感を覚えていました。

 

ただ、良いチームもあればそうでないチームもあり、これは企業の組織においても同じだと感じます。組織のありようで、個人の人生の充実度も、組織全体のパフォーマンスも大きく変わります。その再現性を学びたいと思い、最初のキャリアに組織コンサルティングを選びました。

 

起業に至った背景には、私自身の人生のテーマである「豊かさ」があります。ここでいう豊かさとは、仕事やお金だけでなく、人生経験や失敗も含めて多様な経験を積むことです。

 

起業すれば、新たな出会いや課題に向き合い、喜びも苦しみも含めて自分を豊かにしてくれると考えました。失敗してでもいいから挑戦したい。そんな思いがキャリアのターニングポイントとなり、少しずつ起業の選択肢が自分の中で広がっていきました。

 

実務と成果に直結。かゆいところに手が届く仕組みづくり

仕事におけるこだわりを教えてください。

まず、プロダクト開発において大切にしているのは、実務と成果に直結し、かゆいところに手が届くことです。現場で実際に使う人が、本当に使いやすく、かつ成果を出せる仕組みにこだわっています。

 

そしてだからこそ、「こだわりを尊重する」ということもこだわりです。ある人にとって「細かい」「重要ではない」ということも、当人がこだわりたいことを曲げるのは意欲や誇りの低下にもなりうるし、細部に神を宿していく姿勢や視点は長期的に「かゆいところにも手の届く、期待を超えるサービス」には必須だと思っています。

 

また、事業全体でいえば、常に最終的な目的に立ち返ることを軸にしています。私自身、これまでの経験で、手段が目的化してしまうことがありました。

 

その反省から、仕事への取り組み方やお客様の支援において、最終的なゴールに向けて目の前の選択ができているか、自分自身に問いかけるようにしています。

 

この姿勢はチームの中でも同じです。スタートアップだからこそ、何を最終ゴールに置くのかを確認し合う必要があります。幹部メンバーとの議論でも「そもそも今のゴールは何か」「そのために今すべき選択は何か」という問いを大事に、足並みを揃えています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

まだ駆け出しの段階なので、大きな壁と呼べるものは経験していません。

 

ただ、立場や視点や価値観による意見の違いは、想定よりも多く、擦り合わせの重要性を実感しています。部署ごと、時間軸、事業と組織、理想と現実、リスクとリターン、あとは個人の志向性や嗜好性などによる相違です。

 

優秀なメンバーが集まっている中で、それぞれの考えを場に出して、建設的に議論することは大切にし続けたいです。

 

事業面でいえば、差別化をどう伝えるかが課題になります。他社にはないこだわりや特徴があっても、それを限られた接点の中でどう相手に理解してもらうかは常に試行錯誤です。

 

特に営業やマーケティングにおいて、短い言葉や視覚的な工夫でどう差別化ポイントを伝えるかが問われます。

 

さらに、大手企業への導入においては、実績の有無が大きく見られるからこそ、まずは足元で確実に成果を出し、実績を積み上げていくことが重要だと考えています。

 

志を力に。SaaSで日本中の採用課題を解決

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

モチベーションは一つの観点だけに頼らず、いくつかの軸を持つようにしています。

 

一つ目は「志」です。当社の理念・ビジョンとも重なりますが、日本中の企業が抱える採用課題を解決し、組織成長を支援したいとの思いが原点にあります。

 

採用代行やコンサルは人の手で動かす以上、どうしてもキャパシティに限りがあります。私は地方創生への関心が強く、後継者不在や人手不足で悩む企業を全国で支えたいと考えています。

 

二つ目は「人」です。ジョインしてくれた仲間、応援してくださる先輩方やお世話になっている方々に、しっかり成果で応えたいと思っています。

 

三つ目は「学びと成長」です。結果だけでなくプロセスを楽しみ、失敗から何を学べたかを確認することで、自分自身の成長をモチベーションに変えています。

 

また、チーム全体のモチベーションも意識していきたいです。承認や感謝、仲間との交流、成長や成果など、メンバーごとに心が動くポイントや大切にしたいことは異なります。

 

それを把握した上で、定例会議や日々のコミュニケーション、そしてイベント企画などに反映し、一人ひとりが一層前向きに取り組める組織づくりをしていきたいです。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

我々のサービスを日本中に展開したいと考えています。日本のあらゆる地方に、素晴らしい企業や産業があり、それらが盛り上がるよう我々がお役に立てたら嬉しいです。

 

新たに開発しているSaaS「サクルートAI」を中心に、採用代行や組織コンサルティングといった深く入り込むサービスも並行して展開していきます。地方の企業様の中には、コンサルティング費用をかけづらいところもありますが、まずは本サービスを通じて信頼や期待をいただき、その上で必要に応じてコンサルとして深く支援していく、といった形を目指しています。

 

そのために、地方展開のきっかけをつくる企業との連携も視野に入れています。一部の自治体とはつながりもあるので、イベントの企画や無料相談会の開催といった取り組みも進めていけたらと思います。

 

失敗も豊かさに。挑戦でみえてくるもの

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

起業しようとしている方には、ぜひ一歩踏み出してほしいと思います。

 

もし迷いがあるようであれば「なぜ起業したいのか、それはどれほどの強い想いか」、「何を懸念しているのか、それはどれほど恐れるべきものか」を言語化し整理してみてください。

 

日本では一度起業に失敗しても大きなリスクを背負うことはほとんどありません。実際にやってみれば、想定通りに進まず失敗も経験すると思いますが、その試行錯誤の先にしか成功はないと感じています。

 

挑戦することで初めて見えてくるものがあり、そのすべてを人生の豊かさとして楽しんでしまえば良いと思います。もちろん私も、起業を選んだことを後悔していません。今後たくさんの方々と、豊かなエピソードを語り合えると嬉しいです。

 

サクルートAI(SaaS)に興味がある方へメッセージをお願いします

現在、サクルートAIは、お客様自身が自律自走型のAIでご活用いただくものと、私たちが採用代行まで担う方法の2通りをご用意しています。

 

料金プランは、月額2万円弱からご利用可能で、今後もお客様の声を反映しながら柔軟に拡充していく予定です。

 

また、そもそもダイレクトスカウトを導入すべきかどうかの段階からご相談いただけます。採用戦略やターゲット人材のポジショニング、メッセージ設計といった上流部分のご支援も可能ですので、まずはお気軽にご相談いただければ嬉しいです。

 

▽サクルートAIの詳細はこちらから
https://ai.sakuruit.com/

 

▽メディアサイト サクルートマガジンはこちらから

https://dream-up.co.jp/sakuruit/

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:下村風香

京都大学卒業後、新卒で株式会社リンクアンドモチベーションに入社。中小ベンチャー企業様を中心に、IT・人材・Webマーケ・小売・エンタメ・出版・介護など、幅広い企業様の組織コンサルティングに従事する。その後、株式会社hakumeiに組織コンサルタントとして参画。これまで、理念の策定から浸透・採用の戦略策定から実行・若手育成・マネジメント強化・人事制度構築など、多様な課題やニーズに対応。複業として、様々な企業様の採用戦略策定・ダイレクトリクルーティングを支援した後、サクルート株式会社を創業。

 

企業情報

法人名

サクルート株式会社

HP

https://sacruit.co.jp/

設立

2025年7月2日

事業内容

  • スカウト AI SaaS「サクルートAI」の運営
  • スカウト代行サービス「サクルート」の運営
  • 組織コンサルティングの実施

 

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