STOCK POINT 株式会社 代表取締役社長 土屋清美

ポイントで疑似投資体験ができることで、今注目されているサービス『StockPoint』。運営元のSTOCK POINT株式会社が、2016年に株価連動型ポイントのビジネスモデルで特許を取得してから9年。この間にポイント市場は急速に拡大しました。「それでもポイントサービスでできていないことはまだ沢山ある」と語る同社の代表取締役社長・土屋清美氏。今回は土屋氏に詳しい事業内容や、今後の展望についてお聞きしました。

 

個別企業の株価の値動きに連動する、ユニークなポイント運用サービス

事業の内容をお聞かせください

我々が提供するのは、株価連動型のポイント運用サービス『StockPoint』です。

 

現在ではポイントの市場が拡大し、何か買い物をするとポイントがついてくるというのが当たり前の感覚になっていると思います。

 

その中でも我々は、自社のポイントを積極的に発行するのではなく、ユーザーが獲得したポイントを金融商品の値動きに連動させ、実際にポイントの増減を体験できる「ポイント運用」に特化したサービスを提供しています。

 

大手のポイント事業者でもポイントを金融商品に換えるサービスは提供していますが、我々のサービスは個別株の値動きとポイントを連動させられるという点が強みです。

 

これにより、ユーザーは自分が保有する銘柄の値動きに合わせてポイントが増減するという、実際の株式投資に限りなく近い体験ができます。証券口座を開設する必要もなく、アプリの中だけで株価に連動したポイントの増減を楽しむことができます。

 

STOCKPOINT for MUFG

 

金融商品というのは値動きがあるため、上がることもあれば下がることもあるのが前提で、リスクは付きものです。リスクを理解したうえで短期で得られる利益を追うのか、中長期的にじっくりと資産を運用するのかは、どちらも間違いではありません。

 

大切なのは、実際の経験を通じて自分に合った投資スタイルを見極めていくことです。その点、『StockPoint』はリアルな投資に近い体験ができるため、初心者のお試し投資として最適だと言えます。

 

実際に当社の取引先企業は、「ポイントを活用して株価の値動きを気軽に体験してもらいたい」と考える銀行や証券会社が多く、それが当社の特徴の一つとなっています。

 

ユーザーの皆様にも『StockPoint』を通じて、初めての投資体験にチャレンジしていただきたいです。株式だけでなく、ビットコインと連動するサービスなど様々なサービスを用意しており、楽しく気軽にポイント運用に取り組んでいただけると思います。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私は最初からポイントサービスや金融系の進路を考えていたわけではありません。大学では原子力の研究をしていました。周りの同級生はそのまま原子力分野で就職する人が多い中、自分がそのような仕事をするイメージがつかず、最初は化学メーカーに研究員として就職しました。

 

しかし、実際に働いてみると何かが自分には合っていないと感じ、本当にやりたいことは何かを改めて考えることにしました。当時はバブル期で、日本の金融機関が続々と海外に進出していました。

 

理系出身だった私はコンピューターに多少の自信があり、ちょうどインターネットが普及しネットワークが急速に広がり始めた時代に、縁あって金融機関の海外進出を支えるシステム関連の仕事に携わるようになりました。

 

その後、友人から「会社を立ち上げようと思う」という話を聞き、自分が起業するわけではありませんでしたが、新しい事業の立ち上げを手伝うのは面白そうだと思い、勤め先を退職して友人のベンチャー企業に参画することを決めました。

 

ベンチャー企業では何もかも一から自分たちで進めなければならず、これまでとは全く違う環境でしたが、私はその状況を常に面白いと感じていました。

 

そこから「自らの意志で事業を立ち上げたい」という思いを強く抱くようになり、最終的には友人が経営するベンチャー企業からスピンアウトする形で起業することになりました。

 

信頼関係がないところでは、ビジネスは成り立たない

仕事におけるこだわりを教えてください。

ビジネスでは、何においても信頼関係が非常に重要だと考えています。ビジネスは信頼関係がないところでは成り立ちません。そのため私も信頼を持って周りの方々に接するようにしていますし、それが自分自身の仕事のスタイルであり、譲れない軸なのだと思います。

 

もう一つ、従業員に対して意識しているのが、現状の会社の課題をしっかりと全体で共有することです。当社は組織としては小規模ですから、働いているメンバーも全員が全員をよく知っています。だからこそ会社が直面している問題についても、全員で取り組むように心がけています。

 

ベンチャー企業として常に何かしらの課題は抱えていますが、日々の積み重ねによって協力して乗り越えていくという意識づくりはできているかと思います。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

信頼を裏切られた時です。

 

先ほどの話にも通じるところがあるのですが、信頼関係を重視しているからこそ、それが失われたときの精神的な打撃は大きいです。

 

もちろん、人間関係はどちらか一方だけに責任があることのほうが稀です。信頼を裏切られたと言っても、私のコミュニケーションの取り方にも問題があったのだと考えるようにしています。

 

ただ、ビジネスの世界ではどうしても互いの立場というものがあり、それ故に相手の行動が言っていた話と違う結果になることがあります。それはある意味でやむを得ないのだと頭では理解していますが、非常に残念だという気持ちを抑えることはできません。

 

そうした感情があるからこそ、私自身は今も信頼を裏切らないことを重視して仕事をしているのだと思います。

 

 

会社の将来についての経営者としての責任

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

私は起業した以上は会社をどの方向へ導くのか、その将来を描き続ける責任があると考えています。

 

経営者として、その責任を従業員やお客様、株主といったステークホルダーの皆さまに常に示していくことが、私の行動を突き動かす原動力になっています。

 

ありがたいことに、当社のステークホルダーは温かい方々ばかりで、励ましの言葉をよくいただきます。そのように支えてくださる方々のお気持ちに応えるためにも、必ず成果を出していきたいという思いが、私を前に進ませています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

当社が創業した9年前と比べると、ポイント運用サービスは一般ユーザーに広く普及し、認知度も高まったと感じています。

 

この9年間でポイントサービス市場は着実に拡大しており、今後もその傾向は続くと予想されます。その中でも、大手企業のポイントサービスにより、ポイント市場は寡占状態で、今後もそのシェアは揺るがないと思われます。

 

一方で、ポイントサービスには大手が発行する「共通ポイント」とは別に、各企業が独自に発行している「ハウスポイント」と呼ばれるものがあります。

 

今後これらの「ハウスポイント」をどのように活かしていくかには、まだ大きな可能性が残されています。ポイント市場全体が「共通ポイント」と「ハウスポイント」に二極化していく中で、当社としては「ハウスポイント」の分野で存在感を出していきたいというのが狙いです。

 

販促物としてのポイントを、自社の経済圏から外に流出させることなく、自社のサービスや商品の購入に還元することでファンを増やし、ゆくゆくは個人株主に育てていく――そんな、日常の消費行動が自然に投資につながる社会の流れを作りたいと考えています。

 

 

いざというときに頼れる人脈づくりを

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

起業にも色々な形があるため、必ず当てはまるかは分かりませんが、私個人は最終的には人脈が重要だと思っています。

 

資金調達という面においてもそうですし、より広い意味でも起業には様々な困難がつきものですから、メンターとして頼れる人がいるかどうかが鍵になります。経験の豊かな方のアドバイスを聞くことはとても大切です。

 

もちろん、まずは自分自身の力で事業計画を立てて仲間を集めてやっていかなくてはなりません。ただ、いざという時に相談できたり、力になってもらえたりするような人脈を築いておくのは必要だと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:土屋清美

東京工業大学理学部応用物理学科卒業。小西六写真工業(現コニカミノルタ)、電通国際情報サービス、クォンツリサーチを経て、2006年株式会社 Sound-F(現Sound-FinTech)を創業。2016年STOCK POINT 株式会社を創業

 

企業情報

法人名

STOCK POINT 株式会社

HP

https://www.stockpoint.co.jp/

設立

2016年9月12日

事業内容

株価連動型ポイント運用システムの開発・提供

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