【#503】事業拡大まで伴走する税理士事務所。税務を超えた経営支援で中小企業の資金繰り課題を解決|代表税理士 末松 侑樹(E.カレッジ税理士事務所)

E.カレッジ税理士事務所 代表税理士 末松 侑樹
E.カレッジ税理士事務所は「志ある経営者の写し鏡として、共に企業の未来を考える」を経営理念に掲げる葛飾区の税理士事務所です。単純な税務処理を超え、資金繰りの改善、資金調達支援、ITやAIを活用したDX支援まで提供し、経営者が本業に集中できる環境を整えています。代表税理士の末松 侑樹氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
中小企業の資金繰りまでサポートする税理士事務所
事業の内容をお聞かせください
税務相談や申告書作成などの税理士業務を行っています。
ただし現在、中小企業の約7割が赤字企業と言われています。赤字の会社は税金を払わないため、単純な税金計算だけでは本当の支援になりません。赤字企業が最も困っているのは、資金繰りの問題です。
そこで私たちは、税務処理だけでなく資金繰り改善や資金調達といった経営部分まで税理士としてサポートしています。中小企業では人員が限られ、社長が営業から経理、雑務まで抱えがちです。
とくに経理は専門外になりやすく、後回しが資金繰りや意思決定の遅れを招きます。当事務所はITと生成AIを活用し、経理を「簡・正・速」で回す仕組みを設計・運用します。
創業支援、税務顧問、DX導入、融資支援、経営支援まで一気通貫で伴走。定型化できる業務は仕組み化して最小時間化し、そこで生まれた時間を雑談も含めた密なコミュニケーションに充てます。
経営者の考えや現在の悩み、将来の不安を深く理解し、税理士としての打ち手を設計し、実行まで伴走します。
他事務所との違いは、私自身も経営者として人やお金の悩みを経験しているところです。だからこそ税務や会計だけでなく、資金に関する悩み相談の解決や伴走支援を提供できると考えています。
ご紹介での契約が増えているそうですが、どのような点が信頼に繋がっているとお考えですか?
お客様から一番信頼していただいているのは熱量を持ってアドバイスをしてくれるという点です。従来の税理士業務では、税務処理が中心で、事務的な連絡で終わってしまうことがあります。
しかし私たちは税金が高いと感じる経営者の感覚をしっかりと受け止め、できる限りの提案をします。期中における納税予測と事前の節税対策、資金繰りが厳しそうであれば事前に銀行からの資金調達などもセットで提案し、税金が払える状況を整えておきます。
経営者様の感覚を大事にしながら、他人事ではなく自分事としてお話しさせていただく姿勢が、お客様からの信頼に繋がっていると感じています。
また、税理士業界は平均年齢が高く、ITツールやAIの活用に抵抗がある事務所もあります。そうした中で、柔軟に対応できる税理士を探している企業様からお問い合わせいただくことが増えてきています。
税務以外にAIやDXの勉強を積極的に行う理由を教えてください
常に危機感を持っていることが一番の理由です。
経済誌などで税理士業界がAIに淘汰された記事をよく見かけますし、実際にそうした状況が近い将来起こる可能性があると考えています。しかし、現状に甘んじているわけにはいきません。
AIに取って代わられる側ではなく、AIを使いこなす側に回る必要があります。そのために、税務知識だけでなく最新のITやAIについても積極的に学び、まず自分たちの業務効率化に活用しています。
その過程で得た知識やノウハウをお客様にもフィードバックしていくことで、より価値のあるサービスを提供できると考えています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
高校生の頃から税理士を目指していましたが、そのきっかけは、母が勤める運送会社が経営危機に直面し、その回復までを見た経験があったからでした。
当時の顧問税理士と顧問弁護士が協力してその運送会社の企業再生を実行し、現在でもその運送会社で母は勤務しております。この話を母から聞いて税理士という職業に興味を持ちました。
大学で会計を学び、新卒で税理士事務所に入社し、30歳頃に税理士になりました。当初は独立を考えておらず、専門性を高めてお客様により良いサービスを提供したいと思っていました。
しかし、この業界には長時間労働が当たり前とされる風潮があり、多くの同僚がプライベートを犠牲にすることを強要され、業界を辞めていく姿を見ました。
私は税理士業界が好きですが、周りの人たちが業界に嫌気を刺して転職していく現状に納得がいきませんでした。この状況を変えたいと思いましたが、組織の中からでは難しく、自分がトップとして働きやすい組織を作るために独立を決意しました。
方向性を断言し顧客目線のコミュニケーションを重視
仕事におけるこだわりを教えてください。
中小企業の経営者は、税金の知識を持って起業するわけではありません。
そういった方々に難しい税務をわかりやすく伝えることが重要だと考えています。法律の条文をそのまま説明したり、AIで出したような文章を送っても理解していただくのが難しいのが現状です。
私は難しい知識をわかりやすく噛み砕いて説明し、時には誤解を恐れずこの選択をした方がいいと断言することもあります。お客様の立場に寄り添って、信頼関係のもとで明確に方向性を示すコミュニケーションを心がけています。
もう一つのこだわりは、会社の成長段階に応じたサポートです。起業1年目の会社も大企業も基本的には同じ法的ルールですが、中小企業にはリソースの制約があります。
そのため、どこを優先して守るべきか、今後どうやって体制を整えていくべきかのロードマップを一緒に描くことが重要だと考えています。
まずは大枠を押さえるというスタンスで取り組んでいただき、会社の規模が大きくなり経理担当者が加わったタイミングで整え、さらに従業員が増えていけばより強固な管理体制を築くように、成長の段階に合わせて数字面から具体的なステップをご提案しています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
日々新しい課題に直面しています。
税務の知識は非常に奥深く広範囲で、すべてを学んでから独立するのは現実的ではありません。私にも経験の浅い分野があります。だからこそ、不得意な分野は専門家と連携してお客様にサービスを提供しつつ、自分自身も学んで対応できる範囲を広げるよう努めています。
様々なお客様と向き合う中で、知識の不足を実感することがあります。新しい分野の相談を受けるたびに勉強の必要性を感じ、セミナーに参加したり学習に取り組んだりします。
1つ身につけても、また別のお客様から未知の分野の相談があり、まだまだ勉強の余地があるなと毎日のように気づきがあります。
事業拡大までサポートできる経営者に伴走する
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
私のモチベーションは「成長し続けたい」という想いです。
経営者としての器が最初から備わっているのではなく、経営する中で壁にぶつかり、その度に学びながら身についていくものだと感じています。私自身もまだまだ成長の途中です。
現在は5名のスタッフとともに働いており、マネジメントの難しさも日々実感しています。組織が大きくなるほど、より高いマネジメント力やサービス品質が求められ、同時に自分が学んだことを次の世代に伝えていく責任も増していきます。
不安を感じる瞬間もありますが、お客様や仲間のために諦めるわけにはいかないという気持ちが、前に進む原動力になっています。毎日新しい課題に直面しますが、それを成長のチャンスと捉え、必ず乗り越えられるという信念を持って取り組むことが、私にとって最大のモチベーションです。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
葛飾区で一番の税理士事務所を目指すのは当然ですが、それだけでなく専門性をさらに高めていきたいと考えています。
多くのお客様を見る中で、成功している会社と苦戦している会社の違いを間近で観察してきました。この経験を活かして、売上アップや利益向上の施策を一緒に考えていける存在になりたいと考えています。
税理士に依頼する業務は、基本的にコストになります。契約したから売上が上がるわけではありませんし、税金が安くなり手残りが増える程度の効果にとどまります。
単なる税務処理を行うだけではなく、事業拡大のための経営支援ができるよう、コンサルティングの部分を磨いていきたいです。契約してからさらに利益が出るようになったとお客様に言っていただける存在になれたらと思っています。
時間は取り戻せない。迷うなら今すぐ起業を
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
私も起業を考えた時、自分に実力があるのかと不安になり、なかなか踏み出せませんでした。
ですが、完璧に準備してから起業しようとすると、非常に時間がかかります。40代、50代で独立するより、20代、30代で挑戦する方が、その後の時間の価値が全く違うのです。
若い時の失敗はリスクが小さいです。40代、50代で借金を背負って失敗すると、立て直しするチャンスが限られてしまいます。ですから、20代、30代で失敗を恐れず起業する方が価値があると思います。
ただし、今この瞬間が一番若いのも事実です。40代、50代の方にもっと早く独立しておけば良かったのにと言っても意味がありません。時間は取り戻せないので、迷っているなら、今すぐやった方がいいでしょう。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:末松 侑樹 氏
高校生の頃から税理士を目指し、立教大学経済学部会計ファイナンス学科に入学。会計に関する知識を学ぶ。同時に専門学校にも通学し、税理士資格取得に励む。卒業後、新橋の会計事務所に9年ほど勤務し、幅広い中小企業の税務会計に関する実務を学びながら、引き続き税理士資格の取得を目指し、令和3年に税理士登録。その後、令和4年に独立、E.カレッジ税理士事務所を開業。
企業情報
法人名 |
E.カレッジ税理士事務所 |
HP |
|
設立 |
2022年6月 |
事業内容 |
税理業務 |
関連記事