
株式会社ビルベイス 代表取締役 佐々木 健人
株式会社ビルベイスは「専門工事業」と「建設DXの窓口」の事業を展開している岡山県の建設ベンチャー企業です。現場のリアルを体現し、次世代のスタンダードを創り出すために、2025年に創業しました。代表取締役の佐々木 健人氏とエンジニアの赤木 孝臣氏に、事業内容や今後の展望などを詳しくお聞きしました。
建設ベンチャーを設立!本質的な建設DXの支援で建設業に変革を起こす
事業の内容をお聞かせください
佐々木氏:現在は、建設業において2つの事業を展開しています。1つ目が主に設備関係を手がける「専門工事業」です。2つ目が建設会社様にとって、最適なDXツールやサービスを紹介する「建設DXの窓口」のサービス提供です。
「建設DXの窓口」では、建設会社様に無料でヒアリングを行い、中立的な立場で本当に役立つサービスを紹介しています。上場企業を含むさまざまなパートナー企業様と提携し、成果報酬型で運営していますが、建設会社様にとって本当に良いと思ったものだけを紹介するという方針を貫いています。
建設DXが進んでいない理由は、現場を知らない人が現場向けのツールを勧めているからなのではないかと考え、「建設DXの窓口」をスタートしました。
今では、多くの建設会社様からの相談をいただいており、人材やコミュニケーションなど、課題の入り口はさまざまですが、本質的な建設DXの支援につなげていけるように、サービスを展開しています。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
佐々木氏:大学の学費を稼ぐために、建設業に飛び込んだのがきっかけです。
3年間で29業種中20業種を経験し、建設業のおもしろさと同時に数々の課題があることに気づきました。そして「この課題を自分で解決したい」と思い、学生のうちに起業することを決意し、今年4月に法人化しました。
個人事業ではなく法人化を選んだのは、自分だけが成果を上げても意味がないと感じたからです。同じ志を持つ仲間と共に、全員が成長し勝てる環境を整えたかったのです。
最初に現場を教えてくれた社長に「自分で全部やれ」と言ってもらったおかげで、自ら仕事先を開拓し、20業種もの施工経験を積むことができました。
また、大切な友人を失ったことで好きなことに熱中できる人生とは何かを改めて考え、自分が本当に好きなのは建設業だと確信したことも、建設業で企業を決めた理由の一つです。
幼少期からショベルカーのおもちゃを手放さず、祖母に連れられて現場をピクニック気分で見学していたことや、祖父が建設省の職員だった偶然もあり、建設業に運命を感じています。
赤木氏:実は、佐々木と初めて出会ったのは3か月ほど前、岡山市のスタートアップ支援拠点「ももスタ」でした。。もともと私はエンジニアとして、建設業のIT案件に関わっていて、建設業に魅力を感じていました。
そんなときに佐々木と出会い、彼の本気で建設業を変えたいという熱にあてられ、彼と一緒に事業をしたら、おもしろいことが起こりそうと、協業を決意しました。
佐々木氏:赤木はITに強いので、私が現場で拾ってきた課題を持ち帰るとこうしたら良いのではないかと、物事を整理してくれます。お互いに得意分野が違うので、すごく相性が良いと思っています。
赤木氏:実は、私もエンジニアとして自分の会社で事業をしているのですが、建設業には数々の課題があるので、今後は現場とITをつなぐ役割ができたら良いなと思っています。
建設業をぶち上げる!現場のリアルを活かし、次世代のスタンダードを創り出す挑戦
仕事におけるこだわりを教えてください。
佐々木氏:「建設業をぶち上げる」という強い志を持ち、次世代のスタンダードを築くことを目指しています。
現状のスモールスケールではなく、社会にインパクトを残すスケール感が必要だと考えているため、『専門工事業』『建設DXの窓口』『プロダクト開発』の三本柱で事業を展開しています。
現場経験のある私の強みは「建設DXの窓口」としての役割だと自負しています。現場運営は主任の小林に一任し、私はITと組織づくり、外部連携に注力しています。小林は現場管理を通じて、私とは異なる視点から現場を支えてくれています。
私のポリシーは、「みんなで勝つ」ことです。誰かを出し抜いたり、誰かだけが得をしたりするのではなく、私が関わる全員が良くなることを考えています。
また、建設業は挑戦する人に応えてくれる業界だと実感しており、実際に大手ゼネコンの社長から研修誘致をいただいたこともあります。
周りの人に助けてもらった分、今度は自分が誰かの力になれたらと思っています。「みんなでぶち上げよう」という強い気持ちは、これからも大事にしていきます。
起業から今までの最大の壁を教えてください
佐々木氏:以前は、朝早くから夜遅くまで無理をして働いていました。しかし、この経験でメンタルが強化され、厳しい指示にも折れない強さを得られたので、これからどんな壁にぶつかっても乗り越えられると思っています。
赤木氏:この数ヶ月で、「建設DXの窓口」が検証フェーズに入り、案件獲得も軌道に乗り始めました。現場知見を活かし、競合との差別化もできると感じています。
今後は施工経験者やインターン生を少数精鋭で迎え入れ、熱意と共感を重視したチームづくりを進めていきます。それに伴って、新たな壁に直面すると思いますが、その都度佐々木とすり合わせしながら、ゆっくりと着実に取り組んでいきたいと思います。
佐々木氏:私は、どちらかというと攻めの姿勢で突き進むタイプなのに対し、赤木は冷静に軌道修正してくれるので、お互いにいいパートナーだと思っています。
仲間と一緒に勝つ!本気で建設業を変えるための仲間を増やしたい
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
佐々木氏:本気で建設業を変えたいという気持ちです。今の建設業は古くさいと思われがちですが、私はかっこいい建設業を次世代スタンダードとして打ち立てたいと思っています。
また、自分だけでなく、共に仕事をしている仲間たちも一緒に成功させたいという思いもモチベーションになっています。
現場にただ関わるだけでなく、自分たちでプロダクトを作り、業界全体を動かす存在になりたいです。現場にも数多くの課題がありますが、一つ一つの課題に対して自分たち主導で取り組める会社にしていくことが、おもしろいと感じています。
赤木氏:私も、実は昔は自分だけでいいと思っていたタイプです。学生の頃から会社をやっていたのですが、当時はあまり人のためを考えていませんでした。
しかし、あるとき先輩起業家に「もっと人を巻き込んでみたら?」と言われ、そこから少しずつ変化しました。人から感謝されたり、仕事がうまくいくようになったりして、結果的に自分にもいいことが返ってきました。
佐々木に出会ってから、綺麗事でなく「関わる人たちを幸せにしたい、勝たせたい」と、自然に思えるようになりました。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
佐々木氏:建設業に大きなインパクトを与えることです。今の建設業は経営層が年配の方が多いので、若い人たちが率いる新しい建設会社をつくりたいと思っています。リアルなDXを体現する建設会社にしていきたいです。
まずは、「建設DXの窓口」の相談数を増やすこと、相談期間を長くすることを目標としていて、常に建設会社の方々と情報共有ができる状態をつくりたいと思っています。
施工会社としては技術や人の育成が大切なので、長期的な視点で進めつつ、M&Aも視野に入れて動いていきたいと思っています。今後は、施工管理経験者や現場に熱い思いを持った仲間を増やし、リアルなDXを体現する施工会社を作っていきたいと思います。
現在は岡山を中心に施工を行っていますが、関西・中国地方への展開も考えています。「建設熱DXの窓口」に関しては、岡山と東京の両方で進めています。人材が集まれば、関西への事業展開も視野に入れています。
「人に会うこと」と「すぐに動くこと」が成功への近道
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
佐々木氏:起業を目指すなら「人に会うこと」と「すぐにやること」の2つが、本当に大切だと思います。
私が大学に入ったときの目標は「友達を1000人つくること」でした。たくさんの人に会うことで、さまざまな考え方や価値観に触れられて、自分のやりたいことが見つかると思っています。
起業した当初は、周りの方の話の内容を理解できないことも多かったのですが、とにかく様々な人に出会うことで、視野が広がっていきました。誰でも必ずミスはするので、挑戦する回数を増やすことが、成功への近道だと思います。
赤木氏:私は「周りのために動く」意識を持つことが大事だと思います。自分のためだけに頑張ってもモチベーションは続きません。「当たり前なこと」として周囲を勝たせることを捉えると、結果的に最後は自分に返ってきます。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:佐々木 健人 氏
大学の学費を稼ぐために建設業で仕事を開始。5年間で20業種もの仕事を経験し、岡山大学を休学中の2025年4月、株式会社ビルベイスを創業。次世代スタンダートを創り出す建設ベンチャー企業として「専門工事業」「建設DXの窓口」の2つの事業を展開。
企業情報
法人名 |
株式会社ビルベイス |
HP |
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設立 |
2025年4月 |
事業内容 |
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