日本TROMATZ株式会社 代表取締役社長 金原 巧治

姿勢サポートチェア「オリバック」の企画製造販売によりヘルスケア事業で15年の経営実績がある起業家の金原巧治氏。今回第2創業として新たに生体電流歯ブラシ「TROMATZ」の国内展開に乗り出しました。7,300社コンペでも準優勝したサムスン発NASDAQ上場準備中のスタートアップ企業が生み出したバイオフィルム除去技術をベースとしたこの新規事業は、今後どのような展望があるのか。今回、金原氏に起業の経緯を詳しくお聞きしました。

 

科学的アプローチで歯垢を落とす、本格的な歯周病対策歯ブラシ

事業の内容をお聞かせください

現在、私たちが取り組んでいるのは、米韓のスタートアップが開発した歯周病ケアに特化した生体電流歯ブラシの、日本国内における流通チャネル拡大です。

 

従来の歯ブラシが「汚れを落とす」物理的アプローチを主目的としてきたのに対し、この製品は生体電流を用いてバイオフィルムを科学的に除去し、口内バクテリアの繁殖を抑制する点に特徴があります。

 

オーラルケアといえば虫歯予防が一般的でしたが、実際には歯周病のほうが健康面でのインパクトが大きいことが明らかになっています。本製品は、家庭での本格的な歯周病対策を可能にする、これまでにない新しいホームケアソリューションです。

 

私たちは今後、日本市場に向けて本来のオーラルケアの在り方を啓発する取り組みを進めていく必要があると考えています。

 

幸い、日本には歯科医院のネットワークが広く存在します。この基盤を活用することで、製品の仕組みや価値をしっかりご理解いただいたうえでの販売が可能になり、適切な普及が期待できます。

 

さらに、バイオフィルム除去技術は応用範囲が広く、食品関連や医療介護など衛生管理が重要な分野でも活用が見込まれます。こうした技術を自社リソースとして有していることは、大きな優位性につながります。

 

私たちは、当初この技術を有する企業からお声がけをいただいた際に「これはチャンスだ」と直感しました。加えて、国内流通インフラを既に備えている強みもあり、発想次第で今後さらに多様なチャネルを展開できると確信しています。

 

こうした背景から、私たちは米韓発の生体電流歯ブラシの日本展開を引き受けました。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私は元々、財閥系商社の審査部門に勤めていました。

 

そこで様々な企業の財務内容や事業構造を精査していく中で、いつか将来独立して自分の裁量で戦略を練ってみたいと思うようになりました。

 

その後も上場企業の経営企画部門や社長室等、様々なポジションを経験しましたが、自分が手がけたものが世に広がることにやりがいを感じるようになり、起業するに至りました。

 

創業して健康雑貨のグローバル商社を経営していましたが、ある時、ご縁があって韓国のスタートアップ企業から声がかかりました。既にバイオフィルムの除去に関する技術で数々の関連特許を取得するなどの圧倒的な実績がありました。

 

弊社がグローバル展開の日本拠点となれば、当社のネットワークを活用できます。さらに長年培ってきた事業ノウハウを生かして、顧客の課題に対して自らが主体となってビジネスを仕掛けることができると考えました。

 

また、事業の応用性が高いことから、できることが無限大にあるという点に魅力を感じ、今回第二創業として新たに挑戦することを決意しました。

 

常に物事の「本質」を突き詰める姿勢

仕事におけるこだわりを教えてください。

私個人としては、世の中にまだ概念として存在していないものを生み出すことに強いこだわりを持っています。

 

本質的に考えたとき、本来であればベストな解決策となるべきものが、まだ世の中に存在していないということもあります。そこで、自分が作ることで解決できるのではないかという発想を常に大切にしています。

 

弊社の企業内文化としても、本質的な思考を重視しています。製品や事業の本質をぶらさないことは非常に重要です。製品開発でも、その本質を突き詰めて考えるようにメンバーにも伝えています。

 

もし事業やプロダクトの原点がぶれてしまったら、本来の目的から大きくずれてしまうことになるでしょう。そうなってしまうと、私が起業した意味すら無くなってしまいます。

 

なぜこの事業をやるのかなど原点を考え、常にその本質に立ち返ろうとする姿勢を大切にしています。

 

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

事業を運営するうえで具体的な障壁は感じていません。ただ、一般ユーザーの意識をどう転換するかという、ベンチャー企業ならではの課題はあると思っています。

 

我々ベンチャー企業は、既存の会社やサービスや文化に常に挑む立場です。そして世の中にまだ存在していないものに対して、一般ユーザーはいつの時代も抵抗を示します。この世間の抵抗感は、ベンチャー企業であれば必ず乗り越えていかなくてはならない壁といえるでしょう。

 

私個人はその壁に対して、論理的に突破していくタイプですが、一般ユーザーは理屈がどうであれ、過半数がその方向に動かないと新しいものを受け入れられないというのが実状です。

 

そのため、新しい概念や商品・サービスを社会に浸透させるのは容易ではなく、今回の事業でもそのあたりが最大の壁になるだろうと感じています。

 

より本質的に正しい形を追求したい

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

まだ世の中に存在しないものを生み出し、広めたいという強い気持ちが、私のモチベーションです。

 

既存のものに対して常に新しい提案をする側でありたいですし、その提案が受け入れられれば達成感を感じ、自分自身のやる気に繋がっていきます。

 

昔から物事を突き詰めて考えていくタイプの人間でした。何かが物足りないと感じて、より本質的に正しい形を追求したくなり、あらゆることに本来のあるべき姿を抱いてきました。

 

それはある種の反骨精神であり、ベンチャースピリットとも言えると思います。私はそうした気持ちに突き動かされて、今も起業家として進み続けています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

私個人としては、このバイオフィルム除去の技術に関して、誰も思いつかなかった使い方を発見してみたいと思っています。周囲が驚くような技術の応用方法を掘り当てたいです。

 

また弊社には、今後この技術をグローバル展開していくうえでの日本拠点という役割があります。そんな日本という商圏の一つの特徴が、非常に緻密でニッチな領域に強いということです。今後は日本ならではのニッチな領域で実績を作りたいと考えています。

 

我々の事業によって、日本がグローバル展開の中での見本となる可能性も十分あるでしょう。我々が目指すのは、日本ならではの取り組みをして導入実績を上げていると注目されるような独創的な事業へと成長させることです。

 

 

「他に誰もやらないから、自分がやる」というのが起業の原点

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

最近の起業家の傾向を見ていると、起業すること自体が目的になっているケースが非常に多いと感じます。多くの人が、独立という形をとってはいるものの、仕事の内容はこれまで勤め先でやっていたのと同じという状態だと思います。

 

本来は「起業しないとできない」あるいは「他に誰もやらないから、自分がやるしかない」というのが起業の原点のはずです。起業はこうした原点に立ち返ることが大切で、それによって事業も長く続けることができるのだと思います。

 

例えば今流行りのAIブームの波に乗って、誰もがAIを使った同じような事業内容で形だけ起業したとして、果たしてその起業に意味はあるのでしょうか。

 

トレンドに乗るだけの起業にはオリジナリティがなく、起業の原点ともいうべき精神が見受けられません。

 

安易なフォロワー体質で動くのではなく、アントレプレナーとしてこの事業は自分にしかできない、自分がやるしかないという気概や、事業に取り組むにあたっての本質的意義を何より大切にしてほしいと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:金原 巧治

新卒で三井物産グループ商社に入社。その後大手流通本社経営企画部門や社長室等を経て2010年に日本オリバック株式会社を創業。 東銀座にてグループ130店舗の治療院FC経営。PROXI HEALTHCARE社のグローバルDIRECTORも務める。

企業情報

法人名

日本TROMATZ株式会社

HP

準備中

事業内容

生体電流歯ブラシ「TROMATZ」の研究開発・販売

 

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