株式会社Qand 取締役 相川 達也

「楽しさの中にこそ学びがある」。この理念のもと、謎解きやボードゲームを活用した体験型の組織開発や研修を展開する株式会社 Qand。企業の課題に合わせた「楽しく学べる仕組みづくり」を手がけています。取締役の相川達也氏に、事業の背景やこだわり、今後の展望を伺いました。

楽しく学ぶ体験型の研修を提供

事業の内容をお聞かせください

「楽しいが人と組織を成長させる」のコンセプトのもと、企業様向けに組織開発コンサルティングや研修事業を行っています。主に、謎解きイベントやゲームなどを活用したチームビルディングや、体験学習メインの企業研修を展開しており、楽しみながら学べる組織開発サービスとしてご好評をいただいています。

 

また、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)の浸透に関するコンサルティングも手掛けています。最近では「AIラーニング」と呼ばれる、AI版のeラーニングサービスも開発しました。個々の状況に合わせてカスタマイズすることが可能で、研修講師や同業の研修会社様にもご利用いただいています。

 

当社のサービスは、周年記念などの社内イベントを検討する人事担当者様が興味を持たれるケースも多いです。MVVの浸透や組織改革に関するご相談では、代替わりを迎えた若手経営者の方々からのご依頼も増えています。変革を進めたくても、今までの社風や文化とのギャップがあり、社員の意識変化をどう促すか悩まれているケースも少なくありません。

 

同様の事業を行う企業様もいる中、当社は顧客の課題を丁寧にヒアリングし、課題に合わせたフルオーダーのサービスを提供する点が強みです。課題の本質を見極め、どの層にどんなアプローチをすれば理想の組織に近づけるかを設計し、フォローアップまで一貫してサポートしています。

 

また、最先端の心理学・認知科学の理論やAI開発も組み合わせることで、高い品質や効率で組織改善ができるサービスを構築しています。実は謎解きやゲームといったものも、心理学的な観点でどのように効果的なのかといった部分は、しっかりとした理論を持って綿密に設計しています。

 

顧客の課題はさまざまありますが、部署間の交流や相互理解が少ないことが原因のケースが少なくありません。人間関係が悪化したり、価値観の共有ができず、個人の出力が最大限生かされない環境になっていることで、組織全体のパフォーマンス低下につながることがあります。

 

また、会社のバリューやミッションが自分の仕事とどう結びついているのかを社員が実感できず、施策が「やらされ感」で終わってしまう場合も見られます。

 

この状況を改善するために、人間関係の質、個人の知識やスキルなど様々な面からアプローチする研修を行っています。また、新規事業のビジネスコンテストを通して、会社としては事業の種を生み出しつつ、メンバー個人として様々なチャレンジや思考の中での成長を促すというような取り組みも実施していたりします。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

きっかけは私の個人的な経験にあります。学生時代から謎解きやエンタメイベントを制作する活動をしており、「いつか自分で新しいものを作りたい」と考えていました。その後、ビジネスの世界で経験を積むためにベンチャー企業に就職し、7〜8年ほどマーケティングや人材育成、マネジメントなどに携わりました。

 

当時は社会人としてキャリアを積み、自分の市場価値やスキルは確実に上がっていると実感していた一方、ものづくりの純粋な面白さを追求していた学生時代の熱量は超えられていない、とも感じていました。

 

そんなとき、後に創業メンバーとなる友人らと出会います。趣味の活動を一緒に行う中で、互いを深く理解し、短期間でチームワークが見る見る上がっていくのが楽しく、「このメンバーで本気で仕事をしたら、きっと面白いことができる」と思ったのです。

 

加えて当時は人材育成の仕事に携わっており、「根本的に人や組織が変化する仕組みをつくりたい」との思いが強まっていた時期でした。「誰と、何をするのか」を軸に、自分の人生を再設計したいと考え、起業に踏み切りました。

 

我々はすべての事業に共通して「楽しさの中に学びがある」との考えを貫いています。脳科学の観点からも、楽しいときに脳が活性化し、学習内容が定着しやすくなることが分かっています。ゲームを通して夢中になって自ら考え、行動する体験は、学びや気づきを自然に生み出します。今後も楽しさを起点にした学びの場を提供したいと考えています。

 

 

自分らしく生きる人を増やす

仕事におけるこだわりを教えてください。

一つは、「楽しい方を選ぶ」ことです。期待値やロジックだけで判断するのではなく、「自分たちの気持ちがどれだけ高まるか」の基準を大切にしています。つまるところ、我々がわくわくできることを選ぶ方が、一番良いパフォーマンスにつながると思っています。

 

もう一つの軸は、「お互いの強みや特性を理解し合い、それを最大限に活かす」こと。例えば事業をパッケージ化してスケールさせた方が合理的である一方、私たちの強みは企業の細かなニーズを丁寧に拾い上げ、一つ一つの課題に合わせた最適な形で設計できることにあります。そのクオリティの高さこそが、信頼につながると考えています。

 

また、私自身のビジョンとして「他人の軸や抑圧に縛られず、自分らしく楽しく過ごせる人を増やしたい」との思いがあります。その第一歩として、楽しく仕事する人を増やしたい。だからこそ、新しいサービスを考えるときも、「その挑戦は自分たちらしいか」をメンバーと丁寧に話し合っています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

実は、育児との両立や体力的な面が、一番大変だと感じています。妻も創業メンバーで、会社を立ち上げたのが子どもが生まれる2週間前でした。そこからの数年間は、寝不足が続き、体力的にギリギリの状態が続きました。

 

まさに綱渡りの日々でしたが、最近は業務委託のメンバーを増やすなどして、創業メンバーがより事業のコア部分に集中できる体制づくりを進めています。

 

もちろん、起業にありがちな苦労も数多く経験してきました。何千通ものプロモーションメールを送っても反応がゼロだったり、事業を次々にピボットしたり。ただ、それは起こって当然だと思っていたので、リスクヘッジしながら前向きに取り組んできました。

 

 

人材教育分野で、AIが革命を起こす

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

一番のモチベーションは「楽しいから」です。自分たちで新しいものを生み出し、それが誰かにとって初めての体験になったり、困っていることが解決できたりすると、本当にうれしいです。そのプロセス自体が好きなので、結果が出る出ないにかかわらず、楽しみながら続けられています。

 

私は、「自分の人生は面白い方がいい」と思っているんです。順風満帆な物語よりも、主人公が紆余曲折を経験する方が見ていて面白い気がしませんか。そのためにも、少し俯瞰した視点で、新しいことにどんどん挑戦したいと思っています。

 

もちろん、自分がやりたいことのためにやりたくないことをやらなければならない場面もたくさんあります。お客様に喜んでいただけるポイントを探りながら、自分たちのやりたいこととどうつなげるかを考える、そのプロセスも含めて面白いと感じています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

直近では、AI開発に力を入れています。教育の現場では一人一人のタイプや課題に合わせた個別化の仕組みを構築することが非常に重要ですが、コスト的にも実現が困難でした。しかし、AIを使えば、ほとんどコストをかけずに個別カスタマイズができるようになるのです。

 

AIは、これまでの教育や研修の常識を覆すほどの力を持っています。そういった意味で、教育分野とAIの相性は非常に良いと感じています。人材教育の分野において、AIは大きな革命を起こすでしょう。

 

中長期的な視点では、個人に直接的な影響を与えられるtoC向けのビジネスやサービスも展開したいと考えています。

 

 

一歩踏み出し行動する勇気を

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

何かやりたいことがあるならば、まずは一歩踏み出してみるのがいいと思います。私自身も小心者で、急な変化を起こすことに躊躇してしまい、インプットばかりしていた時期もありました。

 

今振り返ると、それは無意識の脳の防衛反応だったと思います。結果的に遠回りをしてしまったと感じています。

 

最初の一歩を踏み出して、少しずつ慣れていけば、気づいた時には自然と走り出している。この状態が理想です。迷っている方は、ぜひ行動する勇気を持ってほしいです。

 

サービスの導入を検討されている企業様に一言をお願いします

さまざまな工夫をしても組織の変革が進まないとお悩みの企業様は少なくありません。私たちは心理学などの知見を応用し、人々の意欲を自然と引き出す細やかな設計を得意としています。「何を試してもうまくいかない」と感じていらっしゃる場合でも、必ず打つ手はあります。

 

導入規模の制限はなく、数百人規模の実施であっても、部署単位や階層別に分けて柔軟に対応しています。多くの予算を割きにくい場合でもご相談に応じていますので、お気軽にお問い合わせください。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:相川 達也

早稲田大学大学院 基幹理工学研究科修了。在学中に、学生初の謎解きイベントを実施した制作メンバーで、その後も日本初のVR謎解きなど最先端の体験開発に数多く挑戦。実施イベントの累計参加者は3,000名以上。卒業後は株式会社Speee、株式会社リクルートでマーケティングや人材開発にも従事。企業拡大期における人材開発を担い、80名以上のメンバーに対して直接育成/オンボーディングを実施。世のビジネスマンの個性をより引き出す仕掛けを提供したいという想いからQandを企画。

 

企業情報

 

法人名

株式会社 Qand

HP

https://www.qand.co.jp/

設立

2023年5月25日

事業内容

ゲーミフィケーションを活用した体験型研修の企画・制作・運営

 

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