【#556】BtoB企業の決裁者が集まるコミュニティで、互いの課題解決を目指すビジネスモデル|代表執行役員社長CEO 菅野 正悟(UPSTA Japan合同会社)

UPSTA Japan合同会社 代表執行役員社長CEO 菅野 正悟
BtoB企業の決裁者が集まって構成されるコミュニティ「ApoLink」。コミュニティ内で相互に自社の商品・サービスを提案し、経営課題を解決していくという新たなビジネスモデルが、今注目を集めています。今回は運営元であるUPSTA Japan合同会社の代表執行役員社長CEO・菅野正悟氏に、詳しい事業内容や今後の展望についてお聞きしました。
決裁者アポイントが5,000円以内で!圧倒的費用対効果のマッチングサービス
事業の内容をお聞かせください
「ApoLink」は、コミュニティ型の営業支援サービスです。
BtoBの事業形態の決裁者の方々を集めて、そのコミュニティの中で営業支援サービスやビジネスマッチングを提供しています。会員の方が相互に成約や課題解決の方法を得られるビジネスモデルなので、BtoCやBtoBtoCの事業形態の方々は対象外です。
ApoLinkの特徴は、コミュニティ内で得られるアポイントの質の高さと、圧倒的なコストパフォーマンスにあります。まずコミュニティへの入会には厳格な審査を設けていて、私自身が希望者の方のお人柄や提供されているサービスの内容を確認させていただきます。
入会条件として重視しているのは、企業の規模ではなく、「経営者の方がちゃんとした想いを持って事業に取り組んでおられるのか」という点です。その他の面も考慮して、最終的に我々のコミュニティと相性が悪いと判断すれば、入会をお断りする場合もあります。
そうした入会の基準を設けているおかげで、コミュニティ内の経営者の方々は、皆様「ただ売るだけでなく、自社の課題解決も事業の成長につながる」ということを理解してくださっています。
結果としてコミュニティ内でのアポイントは成約率が非常に高く、会員の皆様には大変ご満足いただいてると想います。現在のところ、一度ApoLinkに入会していただいた方の退会は1件もありません。
また、仲介をする我々としても、常にコミュニティ内でニーズを拾い上げ、予算情報などをヒアリングして紹介先の企業様の情報も提供したうえで、双方をお繋ぎしています。
こうした決裁者アポイントの単価の相場は2万円程度ですが、弊社では1件あたり4,000円~5,000円で提供させていただきます。この費用対効果であれば、もはや「参加しない理由がない」と自信を持って言えるサービスになっています。

事業を始めた経緯をお伺いできますか?
私は高校卒業後に社会に出てから、ずっと営業に携わってきました。その現場での経験で強く感じたのは、営業は施策や手法の前に、まず「相手が何を求めているのか」という本質を問うべきだということです。
最初は建設会社で役所の方々を相手に営業していたのですが、そういった「官公庁営業」というものは、ある程度決まった手順を踏むだけで話は進んでいきます。しかし、不動産営業に変わって、地方の地主の方々相手に商談をするようになったとき、求められる営業スタイルは180度変わりました。
役所で求められるのは厳格な手続きですが、年輩の地主の方々相手であれば、そこでは「気持ち」が重視されます。そういった、それぞれの本質を見極めることができれば、営業として何を提供するべきかが分かります。
そうした現場での学びも活かして、最初は地方で会社を立ち上げました。事業は順調だったのですが、私は地方と東京の差というものを強く感じていて、ビジネスの中心地である東京で勝負したいとずっと考えていました。そのため1社目は売却して、東京に生活の拠点を移すことにしました。
営業支援の事業を選んだ理由は、「営業はもっと綺麗なものだ」という私なりの世界観を実現したかったからです。ひと昔前であれば、営業といえば会社の中でも花形の職種でした。
それが今では商品やサービスを作る側の人たちにそのポジションを奪われ、営業は「泥臭い仕事」と思われて、あまり良いイメージがありません。
営業というのは、求めている人に求めているものを届けることができる唯一の存在です。本来、営業がいなければ会社の成長もあり得ないのです。その信念の下、よりスタイリッシュな営業の形を求めて、ApoLinkのサービスを立ち上げました。

重視しているのは「ニーズ至上主義」の考え
仕事におけるこだわりを教えてください。
私が仕事において最も重視しているのは、「ニーズ至上主義」の考えです。ビジネスの根源はニーズにあるというのは、私自身が営業時代の経験から学んだことでもあります。
ただ、この「ニーズ」について考えるとき、顧客側のニーズばかり重視して、提供する側のニーズはあまり顧みられません。しかし、例えば顧客側に商品・サービスを導入したいというニーズがあっても、対価が払えないのでは提供側のニーズは満たされず、ビジネスとして成立しないでしょう。
我々はコミュニティのオーナーの立場として、顧客側と提供側、双方のニーズを考える必要があります。互いのニーズをつないでいくのが我々の役目であり、言い換えれば、どちらかのニーズが無いところには有意義なものは何も生まれません。
このニーズ中心の考えは、コミュニティ内に限らず、ビジネス全般で言えることだと思います。
起業から今までの最大の壁を教えてください
精神的に一番辛かったのは、最初の会社を売却してから今の事業を立ち上げるまでの時期でした。仕事の本質や働くことの意味を見失ってしまって、まったくやる気が起きませんでした。
新しいことを始めようと思って東京に来て、周囲の方にお声がけいただいて、色々な会社の営業組織の立ち上げや執行役員といった仕事もさせていただきました。
しかし、何をやっても、まったく面白いと思えなかったんです。それは結果が出ても出なくても同じで、一体それまでの仕事と何が違うんだろうと悩みました。
その状態から抜け出すことができたのは、今の会社で一緒に働いている幼馴染みのおかげです。彼とは十数年前から「いつか一緒に何かできたらいいな」という話をしていて、スランプに陥ったときに、そのことを思い出しました。
「彼と一緒にできる『何か』を探すために、ここまでやってきたんだ」という原点に立ち返り、自分にとっての働く意味を取り戻すことができたのです。
その幼馴染みに声をかけて事業を立ち上げてからは、彼の生活に対する責任も抱えることになりました。その責任感が、事業に本気で取り組む覚悟にもつながったと思います。
このときの経験から、やはり仲間の存在というのは大きいと感じました。1人でやるのもいいのですが、私の場合は仲間無しでは仕事を面白いと思えませんでしたし、その幼馴染みがいたからこそ「もう一度本気で働きたい」と思えたのです。

期待に応え、それをさらに超えていく
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
期待を裏切らないこと、さらにそれを超えていくことが、私のモチベーションになっています。私には、「この事業は大きくなる」と信じてついてきてくれている仲間からの期待が寄せられています。そしてコミュニティの約800人の会員の方々も、このビジネスモデルに大いに期待してくださっています。
それを裏切ってはいけないという状況は、プレッシャーでもありますが、その責任がそのまま仕事のやりがいになっているのです。それに、この事業を続けていると、会員の方から嬉しい言葉をもらえることもあります。
会員の方とのミーティングでは、弊社が提供したアポイントの内容をフィードバックしてもらうのですが、商談相手と2人で新しい事業を起こすことになったというケースもありました。あるいは仕事抜きでも仲良くなって、一緒に自宅でゲームをしたなんていうエピソードを聞くこともあります。
商談が成立したという報告ももちろん嬉しいのですが、新しい機会や関係性を我々のサービスが生み出すことができるのだという実感も、私のやりがいになっていると思います。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
構想としてあるのは、現在のApoLinkというコミュニティを、1つの経済圏へと転換していくことです。この経済圏の中にいれば営業もできて、自社の課題も解決し、企業同士のアライアンスの繋がりも作れる、という世界観を実現したいと考えています。
この半年で会員同士の取引総額は約2億円に達しており、今後もApoLink内の経済は成長していく見込みです。さらに現在のコミュニティは中小企業がメインで構成されていますが、上場企業からも「参加させてほしい」というお話をいただいており、いい経済圏を作れれば、より大きい経済の中にいる人たちも動かすことができると実感しています。
個々の力では大企業に勝てなくても、「中小企業が集まって優れた経済圏を構築することで、大手を動かす」という、完全に逆行した経済を1つ作るのが、私の野望です。
一方で、現在のApoLinkのビジネスモデルにはキャパシティの限界があり、約2,000社で天井に達するということも、すでに試算して分かっています。そこで新規加入は一旦打ち切り、今度は「コミュニティの中で培われたものを、どのように外部に放出するか」というフェーズに入るでしょう。
現在は、その受け入れ先に対する営業ルートを作るためのプロダクトを考案中であり、特許の取得なども検討しています。いずれにせよ、今のApoLinkから生み出されるものは次のプロダクトに還元していきたいと考えており、そのための戦略はすでに始まっています。

大切なのは「世の中で何が求められているか」
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
「ニーズがあるのか」という視点は、忘れないほうがいいと思います。自分のやりたいことや好きなことで起業するのも素晴らしいですが、世の中でニーズが無い限り、それはただの押し付けになってしまいます。
大切なのは、世の中で何が求められているのか、それに対して自分が何ができるのか。そして最後に、その「自分ができること」には独自性があるのか、を考えなくてはなりません。
これらを突き詰めていくことで、自分がビジネスシーンにいる意味をどれだけ発揮できるかが見えてきます。私は業務でも、起業したばかりの経営者の方々のご相談に乗ることが多いのですが、この点は皆さんにしっかりお伝えするようにしています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:菅野 正悟 氏
- 独立時代
・高卒で当時のバイト先の飲食チェーン
└当時全国最年少店舗責任者+2年連続季節商戦2位
・建設や不動産のレガシー業界で官公庁営業やコンサル営業経験
- 1社目:株式会社F.D.H Corp.
・コロナ過における地方物流の発展を予測し、レガシー業界でのコンサル営業の経験をトレースしたモデルの事業を構築。
・1年で南東北4拠点/120名採用
・売却にて退任
- 2社目:UPSTA Japan合同会社
・営業の正しさを追求するために再度起業。
・2期目で現在の「ApoLink」にピボット。
・半年で導入800社までグロース。
企業情報
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法人名 |
UPSTA Japan合同会社 |
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HP |
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設立 |
2024年03月 |
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事業内容 |
BANT情報付き決裁者アポを「4,000円」から獲得できるコミュニティ型営業支援
決裁者限定の「会費0円」の審査制クローズドサロン
経営者が集う招待制リアル交流会 |
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