【#564】100言語対応のAI議事録&翻訳ツールで、多言語コミュニケーションの課題を解決|代表取締役 小守谷 直毅(ワンミニッツ株式会社)

ワンミニッツ株式会社 代表取締役 小守谷直毅
「言語の壁を取り払い挑戦を促す」をミッションに掲げ、AIを活用した多言語ソリューションを展開するワンミニッツ株式会社。100言語以上に対応した議事録ツールや会話支援ツールは、文字起こし・翻訳・要約まで高精度で行えることが強みです。代表取締役の小守谷直毅氏に、事業の概要や起業のきっかけ、今後の展望について伺いました。
多言語対応AIツールで会議も現場も効率化
事業の内容をお聞かせください
私たちは、多言語課題を解決するためのサービスやプロダクトを開発・提供しています。大きく二つのサービスが中心です。
一つ目が、多言語対応のAI議事録ツール「OneMinutes」です。これは会議の内容をリアルタイムに文字起こしして翻訳までできるツールで、100言語以上に対応しています。
OneMinutesの強みとして、一番に挙げられるのは精度の高さです。文字起こし・翻訳・要約のクオリティについて、ユーザーの皆様から大変満足いただいております。
デバイスや利用シーンも選びません。すべてのオンラインミーティングツールと併用できますし、対面の会議でも使えます。必要であればスマートフォンだけでも利用できるので、本当に幅広い場面に対応できます。
多言語に対応しており、日本語と英語のシンプルな組み合わせだけでなく、複数の言語が入り交じる会議でも活用していただけます。このツールを使えば文字起こし・翻訳・要約・共有・保管までを一つで完結できます。導入企業さまから効率化が進んだとのお声も多くいただいています。
二つ目のサービスが、最近リリースした現場向けの多言語会話支援ツール「QRトーク」です。行政の窓口、病院、建設現場や工場などパソコンが使えない環境で活用いただけます。QRコードを読み込むだけで、その場で翻訳しながら会話でき、ログが残るところが大きな特徴です。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
もともと、起業を強く志していたわけではありません。建設会社で3年半働く中で、起きている時間の大半を仕事に費やすのに、そこに熱量を注げないことに、もどかしさを感じていたのがきっかけです。
父が海外を飛び回って働く姿に憧れ、海外営業への転職も考えたものの、未経験では応募すらできません。転職しても、同じ思いを繰り返すのではないかとも感じました。そこで、若いうちにリスクを取った方が納得できると思い、26歳で起業を決断しました。
起業当初から明確な事業計画があったわけではありません。試行錯誤を繰り返し、ユーザーインタビューを重ねるうちに、多くの人が言語の壁に悩んでいることに気づきました。
私自身も海外志向が強く、英語を学んである程度話せるようにはなったものの、思っていることを十分に伝えられないもどかしさを感じていました。こうして、起業して2年ほど経った頃から、多言語課題を解決する事業に本格的に注力するようになりました。

ユーザー視点を最優先に
仕事におけるこだわりを教えてください。
手札が完全になくなるその瞬間まで決して諦めないということです。起業は、多くの人に心配され、反対されながらも、それでもなお進むと決めた道です。だからこそ、途中で投げ出すという選択肢はありません。
事業を続けていれば、苦しい局面も、思うように前に進めない日も必ずあります。最後の一手まで徹底してやり抜くという気持ちは、創業以来ずっと変わっていません。
会社として最も重視しているのは、ユーザーがどれほど自然に、迷わずにサービスを利用できるかという点です。どんなに高度な技術を使っていても、ユーザーが使いづらければ価値を届けることはできません。
だからこそ、プロダクトづくりの中心には常にユーザーフレンドリーという視点を据えています。ユーザーが抱える課題をどれだけスムーズに、ストレスなく解決できるか。この一点に徹底的にこだわっています。
その姿勢を実現するために、ユーザーインタビューは継続的に行っています。実際にアプリを使っている方々の行動を観察しています。ユーザーのリアルな声ほど、プロダクトを磨く材料になるものはありません。
インタビューで浮き彫りになった課題や改善点は、そのままエンジニアチームとの議論の土台になります。テクノロジーとユーザー理解の両面から改善を繰り返すことで、プロダクトは少しずつ、しかし確実に前へ進んでいます。
起業から今までの最大の壁を教えてください
やはり「人・モノ・カネ」が重要だと考えています。どれかが欠けても良いプロダクトは作れません。良いプロダクトには良い人材が不可欠で、人材を巻き込むには、自分の行動量や熱意に加え、資金も必要です。資金を集めるためには、人とモノが欠かせません。
この3つを同時並行で整えていくことが、最も大変だと感じています。
昨年、資金面で非常に厳しい状況に陥った時期もありましたが、そこでも最後には周囲の人たちに助けられました。そのおかげで「QRトーク」もリリースすることができ、ここから良いサイクルが回り始めてきたのではないかと感じています。

万策尽きるまでやり切る
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
先ほども述べた通り、自ら立ち上げ、多くの仲間や関係者を巻き込みながら進めてきた事業だからこそ、途中で中途半端に終えるわけにはいきません。
自分一人の挑戦ではなく、支えてくれた人たちの想いや時間も積み重なっている以上、簡単に諦めることはできません。万策尽きるその瞬間までやり抜くことこそが、起業家としての責任であり、自分自身が課している最低限の覚悟だと考えています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
日本での実績を土台に、今後は海外市場にも積極的に挑戦していきたいと考えています。たとえば、国内で24もの言語が憲法に明記され、多言語環境が当たり前となっているインドでは、言語の多様性ゆえに常にコミュニケーションに関する課題が存在します。
そうした環境で当社の技術やサービスを展開できれば、大きな社会的意義があるだけでなく、プロダクトが持つ可能性を最大限に引き出せると感じています。市場の成熟度やニーズを見極めながら、価値を提供できるマーケットがある限り、国や地域を問わず進出していく方針です。
現在の組織は、従業員ではなく業務委託メンバーが中心で、約10名ほどのチーム体制です。サービスの拡大に伴い、今後はより多様な専門性を持つ人材が加わっていく見込みですが、規模が大きくなっても遠慮なく意見を交わせる文化は守りたいと考えています。

安直な応援に流されない
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
安易に頑張ってねと言ってくれる人の声は、必ずしも参考にしなくてよいと考えています。もちろん、周囲に相談すること自体は大切ですが、自分の考えをただ肯定してくれるだけの言葉には、実際の行動を後押しする力はありません。
場合によっては、本気で自分のことを思っての言葉ではないケースも少なくありません。
起業という選択には、反対の声があったとしても、それでもなおこの道を進むと決断できる強い意志が必要です。周囲の反応に左右されすぎず、自分の信じたことに責任を持って挑戦し続ける覚悟こそが、最初の一歩を乗り越えるための原動力になると感じています。
本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:小守谷 直毅 氏
大成建設株式会社にて工事現場の利益管理・リスク管理を担当。2019年にワンミニッツ株式会社を設立。AI議事録ツール「ワンミニッツ」および多言語会話支援ソリューション「QR Talk」を開発。現在は企業・自治体向けに「AI×多言語」でコミュニケーション課題を解決するプラットフォームを展開中。導入企業は150社を超え、行政・交通・商業・教育など幅広い領域で採用されています。
企業情報
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法人名 |
ワンミニッツ株式会社 |
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HP |
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設立 |
2019年7月 |
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事業内容 |
多言語AI議事録「ワンミニッツ」多言語会話支援「QR Talk」など、多言語課題に関するソリューションの開発・運用 |
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