SEEDER株式会社 代表取締役 村田 寛治

生活者の行動や価値観に着目し、商品開発や事業開発、サービス開発を支援しているSEEDER株式会社。独自のリサーチ手法と生活者データベースを強みに、未来洞察を軸としたイノベーション創出支援を行っています。近年は、将来生まれ得る商品アイデアを集約した新サービス「FutureStore」の提供にも注力しています。今回は、代表取締役の村田寛治氏に、事業の内容や立ち上げの背景についてお話を伺いました。

 

 未来洞察で、新しい商品・サービスの芽をつくる

事業の内容をお聞かせください

当社は、イノベーション創出支援会社として、商品開発、事業開発、サービス開発の支援を行っています。

 

私たちの特徴は、独自のリサーチ手法とデータベースを持っており、未来洞察を行っている点です。それらを軸に、商品やサービスの発想や更新を行っています。

 

未来洞察の過程で蓄積してきた知見を、データベースとしてまとめたものがSEEDATA(https://seedata.jp/)です。国内外の記事や事例を参照しながら、なぜその動きが生まれているのかを分析し、今後広がる可能性を持つ考え方として整理しています。

 

当社のリサーチで重視しているのは、常識から考えると少し変わった特徴的な行動を取る人へのインタビューです。多くの人は、日常の不便や違和感を感じても、そのまま受け入れてしまいます。

 

一方で、私たちが着目しているのは、「この常識はおかしいのではないか?」と考え、自分なりの工夫や行動を積み重ねている方々です。そこには、必ず理由と価値観があります。

 

その行動の背景を丁寧に分析し、マスに広がるかもしれない価値観として整理していくことで、次に生まれる商品やサービスのヒントが見えてきます。このリサーチを日常的に行い、企業のアイデア創出につなげています。

 

また新事業として、将来生まれ得る商品アイデアを体系的にまとめたデータベース「FutureStore」を展開しています。

 

特徴は、アイデアをゼロから考えるのではなく、最初から発想の種が揃っている点にあります。企業はその中から自社に合うものや興味を引くものを選び、検討し、磨く工程からスタートできます。これにより、従来時間を要していた発想フェーズを短縮することが可能になります。

 

企業規模が大きくなるほど、商品開発の検討に時間がかかり、途中で体制や担当者が変わったり、プロジェクト自体が止まってしまうケースも少なくありません。時間をかけて磨いたアイデアが、形になる前に見送られてしまう場面を、これまで何度も目にしてきました。

 

FutureStoreを導入する企業の背景には、主に三つの理由があります。

 

一つ目は、継続的に新しい商品を生み出す必要がある企業にとって、すでに発想の土台が用意されていることで、検討のスピードを高められる点です。

 

二つ目は、従来の商品開発をコンサルティングに依頼するよりも導入しやすい価格帯で提供している点です。当サービスは、データベースそのものを15万円から提供し、ご支援させていただいています。

 

三つ目は、商品開発の経験がない担当者でも活用でき、社内での議論を生み出す起点として機能する点です。実際に当社でも、これまで商品開発に深く携わったことのなかったメンバーが、FutureStoreを使いながらご支援を行い、お客様から満足していただいています。

 

商品開発の支援においては、素材や製造工程から踏み込むのではなく、そもそものコンセプトやブランドの設計から担っています。素材や製造工程から入ってしまうと、既存の考えに囚われてしまい、枠外の発想ができません。

 

外部の立場だからこそ、異なる分野の視点を掛け合わせ、新しい切り口を提示できます。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私のキャリアのスタートは、広告代理店の社内ベンチャーにインターンとして関わったことでした。当時、そのチームでは、特徴的な行動を取る人に着目し、その価値観をデータとして整理し、他社へコンサルティングをおこなっていました。

 

その後、会社は吸収合併されることになり、一緒に働いていたメンバーの多くは移籍しましたが、この事業自体は継続されない方針となり、事業を引き継いだのがきっかけです。

 

日々プレッシャーを感じる場面はありますが、社員が少しずつ増えていく中で、社員を幸せにしなければならない思いは、今も変わらず持ち続けています。

 軸は変えない。変化と向き合い続ける

仕事におけるこだわりを教えてください。

当社では、未来洞察をとても大切にしています。日々起きている出来事や記事、サービスの動きに触れながら、その背景にどのような価値観があるのかを考え続ける姿勢が重要だと考えています。

 

新しい技術や概念が次々と生まれる中で、まず触れてみることを意識し、自分たちから前に進む姿勢を大切にしています。

 

もう一つ大切にしているのが、当社がトライブと呼ぶ人たちへの向き合い方です。トライブとは、常識に対して強い不満を持ち、その不満を解消するために自分なりの行動を取っている人の集まりです。

 

地域や年齢、職業が異なっていても、似た考え方や選択をしている人たちが存在します。当社では、一つのトライブに対して複数人へのインタビューを行い、価値観を立体的に捉えています。

 

社内で常に伝えているのは、お客さまに喜ばれる仕事をしようということです。私はもともと起業を目指していたわけでも、この事業をやりたくて始めたわけでもありません。

 

ひたすら目の前の依頼に対して、自分にできることを一つずつ積み重ねてきました。相手が喜んでくれること自体が仕事の本質なのだと感じるようになりました。

 

誰かの役に立ち、喜んでもらえることが積み重なると、結果として信頼や評価につながります。この考え方を、当社としても大切にしています。

 

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

壁は日々感じています。この事業を通じてお客さまに喜んでいただきたい思いは変わりませんが、世の中やニーズは常に動いているため当社自身も変わり続ける必要があります。

 

事業の軸は変えていないつもりでも、取り組む内容が変化する過程で入社時に描いていたイメージとの違いを感じ、別の道を選ぶメンバーもいました。組織として成長していく難しさは、常に向き合っている課題の一つです。

 

社員を幸せにしたい思いは創業当初から持ち続けています。ただ、変化を重ねる中で結果として負担をかけてしまっているのではないかと自問することはよくあります。今一緒に働くメンバーだけでなく、これまで関わってくれた人たちにとっても良い時間だったのかを考え続けています。

 

進化を促し、価値観を更新し続ける

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

仕事に対する向き合い方は、モチベーションで動くよりも、事業を任せてもらった以上進み続けるしかないという意識に近いです。

 

仕事をしていれば気持ちが乗らない日や疲れを感じる瞬間もあります。それでも、そこで立ち止まるか、少しでも前に進むかで結果は変わってくると感じています。1分でも早く動く、少しだけ踏ん張る。そうした積み重ねが、会社や社員のためになると考えています。

 

経営者である自分の気持ちが折れてしまえば、組織も止まり、結果として社員に負担が返ってしまいます。だからこそ進み続けなければいけないとの思いがあります。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

当社のミッションは、生活者の進化を促し続けることです。私たちは、さまざまな人から価値観や行動を汲み取り、それを商品やサービスの発想にいかしていますが、その関係は一方通行ではないと考えています。

 

新しい商品やサービスが生まれることで、次の行動を起こす人が現れ、その人たちがまた新しい価値観を生み出していく。そうした循環が続くことで、生活者や社会は少しずつ進化していくと感じています。

 

ロケット開発や医療の進化など大きな変化も重要ですが、私たちは、日常の中で手に取る飲み物や食品、身近なサービスを通じて、生活者の進化を後押ししていくことを一番のミッションとしています。

 

その前提に立つと、まず自分自身が変わり続ける必要がありますし、社員も同様です。個人や組織の進化そのものが当社の野望であり、これからの展望だと考えています。

 

 

目の前の一人を喜ばせることから始める

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

何をすればいいのか分からないまま起業家に憧れを持っている方も多いと思います。私自身も最初から起業を目指していたわけではありません。

 

私が大切だと思っているのは、起業は目的ではなく手段だという考え方です。何の仕事をするか以上に、その仕事を通して誰をどう喜ばせるかが重要だと感じています。

 

やりたいことが明確にあるのであれば、それに挑戦すればいいと思います。一方で、起業したい思いが先にある場合は、まず目の前にいる人に対して自分に何ができるかを考えてみてほしいです。その積み重ねが結果として仕事になり、起業につながることもあるのではないでしょうか。

 

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:村田 寛治

立命館大学経営学部卒業後、広告代理店の子会社・株式会社SEEDATAに入社。通信会社の子会社設立における財務三表作成、薬局チェーンの資金調達支援、電子機器メーカーの事業計画立案・実装支援などに従事。2020年にSEEDATAからスピンアウトしたSEEDERの設立に関わり、取締役として参画。2023年より代表取締役に就任し、「顧客インサイト×AI」による企業・生活者のイノベーション支援を行うシンクブティックを運営。

 

企業情報

法人名

SEEDER株式会社

HP

https://lp.seeder.inc/

設立

2020年12月25日

事業内容

  • 事業開発/商品開発コンサルティング
  • 先進的な生活者データベース配信サービス
  • AIを活用した商品開発コンサルティング
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