Onebox株式会社 代表取締役社長 奥村 恒太

AI活用によって、問い合わせメールへの対応などを効率化するプラットフォーム「yaritori(ヤリトリ)」。運営元であるOnebox株式会社の代表取締役社長・奥村恒太氏は、今後さらに機能を強化し、AIエージェントがメール対応の業務をすべて自動化するサービスを提供したいと語ります。今回は奥村氏に、サービスの詳しい内容や事業の展望についてお聞きしました。

 

AIエージェントがメール対応業務を効率化

事業の内容をお聞かせください

顧客対応を効率化する「yaritori(ヤリトリ)」というプラットフォームを提供しています。AIエージェントと協働しながら、問い合わせメールへの対応、顧客管理、メールの一斉配信などを行います。

 

2020年からサービスの提供を開始し、ひとつのプラットフォーム上でさまざまな業務が完結する点や、「画面を見ただけで使い方がわかる」「操作性が高く使いやすい」という点を導入企業から高く評価いただいております。

 

また、早くから生成AIを実践的な機能として提供していることも我々のサービスの特徴です。問い合わせに返信する際に、AIがメール作成を補助したり、よく使うテンプレートをレコメンドするなどの機能が備わっています。

 

こうした機能を活用することで、実際にサービスを導入していただいた企業様では、5人体制のチームで月80時間以上の業務を削減できたという事例もあります。

 

現在250社ほどの企業様で導入していただいており、その多くが顧客対応を行う営業やカスタマーサポートなどフロントオフィスの部署となっています。

 

企業規模はさまざまで、大企業の一部の部署で導入していただいているケースもあれば、中小の企業で組織全体で活用していただいているケースもあります。各企業様の規模や用途に合わせて、最適な料金プランをご提案可能です。

 

「yaritori」は、既存のお客様の業務課題に沿って、機能を拡充してきたサービスです。問い合わせ管理から始めて、その延長線上にある顧客管理やメール配信などの機能を追加し、今も進化を続けています。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

私は起業前、証券会社と広告代理店でそれぞれ勤務していました。その2つの仕事に共通していたのが、いわゆるクライアントワークであり、顧客の事業を成長させるためのビジネスでした。

 

そうしたなか、会計・ファイナンスとマーケティングという会社経営に必要な知識を活かして、自分で事業を作ってみたいという思いが募ってきました。

 

起業したのは30歳のときですが、最初の頃は色々なサービスを試しては成果が出せずに終わってしまうという繰り返しでした。

 

そこでもっと自分が普段使っているツールで改善できるものはないかと考えたとき、ふと頭に浮かんだのがメールの存在でした。

 

メールは誰もが必ず使うサービスで、なおかつ使い方は人によって様々です。そこに特定の切り口でアプローチすれば、大きな価値を提供できるのではないかと思ったのが、現在のサービス「yaritori」の開発に繋がりました。

 

 

リスクを負っても挑戦し続けること

仕事におけるこだわりを教えてください。

我々は、ベンチャーキャピタルからの出資を受け、会社経営をしています。そのため、現状維持を前提とした経営ではなく、スピード感を持って大きな成長を目指すことが大原則であると考えています。

 

もちろん、挑戦には必ずリスクが伴います。しかし、スタートアップとは本来、不確実性を受け入れ、その中で価値創出に挑む企業体であるはずです。リスクを過度に避けるのではなく、適切に管理しながら果敢に挑戦し続けることにこだわっています。

 

また、よいプロダクトを創ること、楽しく働くこと、チームで協力して成果を出すことなどは大切にしています。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

やはり資金調達に関しては苦労がありました。

 

あと数ヶ月でキャッシュが底を尽きてしまうかもしれないという局面は幾度もあり、苦しい時期に会社を離れてしまったメンバーもいます。

 

目標に対して組織のケイパビリティを適切に管理する難しさも日々感じています。いま注力すべき目標はなにか、そしてそれを限られたリソースでどのように達成するか日々悩んでいます。

 

いまはプロダクトがしっかりと使われる実績がついてきたので、マーケティングに力を入れていきたいです。

 

会社を実際に自分の手で動かすことができるフェーズのため、そこに充実感を得られる人に来てもらえると嬉しいです。特にプロダクトマネージャーや事業開発などのポジションで、採用を強化しています。

 

 

日本の社会に必要とされる存在であること

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

我々のサービスはすでに250社以上に導入されており、顧客の業務改善に確実に貢献できているという自負があります。

 

仕事には、必ずしも人間がやる必要のない非創造的な内容でも、誰かがやらなくてはならない業務があります。それらをテクノロジーによって効率化するサービスは、世の中にとって必要不可欠だと確信しています。

 

また、我々のようなスタートアップの存在自体、日本の社会に欠かすことができないものです。リスクを取って新しいことに挑戦するスタートアップがいるからこそ、新しい仕事が創出され、雇用も生まれます。

 

そのように、世の中に必要とされる存在でいることが、会社が存在する意味であり、私の原動力にもなっています。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

もっと多くの人にプロダクトを使ってもらえるようにし、サービスの価値を高めていきたいです。

 

現在のAI機能を、AIエージェントとして全体の作業を自動化させる状態にまで持っていくため、プロダクトの機能も大きく拡充していきます。

 

AIが自律的にメール対応をこなしていければ、人間はより高度な業務に取り組めるでしょう。

 

また、我々には、どの内容の問い合わせに、どのような返事をしたかというようなメール対応の履歴などもデータとして蓄積されています。

 

全ての履歴を整理・活用できれば、それ自体が大きな価値を持つはずです。我々の事業内容は、そうしたデータ領域へも展開することが可能です。

 

最終的には、テクノロジーの力によって定型的な業務を無くし、人々が本来すべき仕事に集中できる世界の実現を目指しています。

 

 

起業は段階的なアプローチも可能

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

私はまだ、誰かにエールを送れるような立場ではありませんが、スタートアップは社会にとって必要な存在だと強く感じています。

 

挑戦する人が増えることは社会全体にとって前向きな変化であり、同じプレイヤー同士が切磋琢磨しながら成長していくことが大切だと思っています。

 

必ずしも一気に起業に踏み出す必要はありません。今の生活を大切にしながら、週末や空いた時間を使って少しずつ始めるなど、自分に合ったペースで取り組むことも一つの方法です。

 

私自身は大企業で働く中で、まずベンチャーキャピタルのコミュニティに参加し、起業家の方々と接点を持つことから始めました。

 

その経験を通じて、起業が現実的な選択肢として捉えられるようになり、行動への準備が整ったと感じています。起業への道のりは人それぞれですので、自分に合ったアプローチを見つけてほしいと思います。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:奥村 恒太 氏

1990年生まれ。東京都国立市出身

早稲田大学法学部卒業。2014年にSMBC日興証券M&Aアドバイザリー本部に新卒入社し、国内外のM&A業務に従事。2017年に博報堂に転職し、NTTドコモなどの法人営業を担当。

 

企業情報

法人名

Onebox株式会社

HP

https://onebox.tokyo/

設立

2020年 3月

事業内容

「yaritori」の企画/開発/運営/販売

 

送る 送る

関連記事