【#600】複雑な大企業営業の壁を突破する。再現性ある仕組みで成果を最大化するセールス支援サービス『アカマネ』|代表取締役 八並 嶺一(インキュベーター株式会社)

インキュベーター株式会社 代表取締役 八並 嶺一
インキュベーター株式会社は、エンタープライズセールス支援と新規事業の立ち上げ支援を行う企業です。260万社の企業データベースとAI技術を活用し、営業組織の成長段階に応じた最適なソリューションを提供することで、顧客の売上や案件数の最大化を実現しています。代表取締役の八並 嶺一氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
複雑な大企業営業を仕組み化し、成功確率を高める
事業の内容をお聞かせください
当社は、エンタープライズセールス支援サービス「アカマネ」を開発・提供しています。
大企業向け営業に必要なデータ・テクノロジー・実行支援・教育を一体で提供し、営業成功の再現性を高めることを目的としたサービスです。前職で培った開発分野の経験を活かし、2025年に本格リリースしました。
アカマネは、約260万社の企業データベースを基盤に、インテントデータや独自の企業活動タグに基づくアタックリストの作成機能や、商談前の準備を支援するAI機能、大企業攻略に向けたアカウントプラン作成機能などを提供しています。これにより、営業担当者が属人的な勘や経験に頼らず、企業ごとの課題仮説や提案シナリオを短時間で整理・共有できる環境を構築しています。
また、BPOサービスとして、アポイント取得を担うコール部隊の提供、AIを活用し商談ログを自動入力する環境構築、など、実行面まで支援しています。
例えば、部署の直通番号を含むリストを活用したアウトバウンド営業や、企業属性・タグ情報に基づいた個別最適なアプローチ設計、資料閲覧などの反応データをもとにしたフォロー施策など、実務に直結する形で活用されています。
さらに、既存の顧客データベースと当社データを照合・補完することで、売上規模や従業員数、展示会出展履歴などを整理し、優先順位を明確にした戦略的な営業活動を可能にしています。
実際に多くの企業を支援する中で、企業の営業組織は成長段階ごとに課題が異なると考えています。立ち上げ期(売上5億円未満)では質の高いアポイント獲得、成長期(売上5〜30億円)では営業組織の強化と効率化、拡大期(売上50億円以上)では重要顧客との関係構築が重要になります。
お客様の営業組織がどのフェーズにあるかを見極め、ツール・BPO・AI・教育を組み合わせた最適な支援を提供しています。
現在、約50社に導入いただいており、特にエンタープライズセールス領域で成果が出ています。今後は、エンタープライズ営業に特化した教育プログラムの提供も予定しており、営業組織全体の底上げを支援していきます。

事業を始めた経緯をお伺いできますか?
これまで人材系の会社で長く役員を務め、コロナ禍では上場も経験しました。その後もグループ会社の代表と本体の役員を兼務し、30代前半という年齢を考えると、比較的安定した立場にありました。
一方で、自身の意思で挑戦し、プロダクトやサービスを通じて社会により大きな価値を届けたいという思いが次第に強くなり、独立を決意しました。
独立当初は、明確にこの事業をやると決めていたわけではありません。市場規模が大きく、自分がこれまで培ってきた経験を活かせて、なおかつ世の中に価値を提供できる領域はどこか。その問いを突き詰めていく中で辿り着いたのが、エンタープライズセールスの分野でした。
当時、「大企業向け営業といえばこの会社」と言われるような存在はなく、一方で法人営業に取り組む企業は非常に多く存在していました。以前支援していた企業では、この領域で一定の成果を上げていた経験もあり、ここにはビジネスチャンスがあると感じました。
そこから、どのような形で価値を提供すれば企業の営業活動に本質的に貢献できるのか、また、属人的ではない再現性のある支援をどのように実現するかを模索し、約2年にわたり事業開発を進めてきました。現在のアカマネの形に至るまでには、構想段階を含めて3年以上の時間を要しています。
まだ道半ばではありますが、今後もプロダクト・サービスの両面で磨きをかけ、より多くの企業にとって欠かせない存在を目指していきたいと考えています。

常に挑戦し本質的な価値を提供する
仕事におけるこだわりを教えてください。
自分たち自身が挑戦を止めず、顧客や市場の期待を上回る価値を生み出し続けることを大切にしています。
顧客に変化や挑戦を求める立場である以上、まず自分たちが最前線に立ち、実際に挑戦し続けることが不可欠だと考えています。経営やプロダクトづくりにおいても、机上の理論にとどまらず、実践を通じて得た経験を組織や顧客に還元していく姿勢を重視しています。
また、挑戦そのものを目的化せず、必ず価値提供につなげることも強く意識しています。何が本質的な価値なのかを見極めながら、勢いだけで進むのではなく、一つひとつのプロダクトやソリューションを丁寧に磨き込み、長く使われるものにしていくことを仕事の軸としています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
起業して3年目に、事業の進め方を大きく転換したことです。
創業当初は、自社で大きな投資や組織を抱え込まず、顧客やパートナーと協業しながら価値を提供するスタイルを選んでいました。初期リスクを抑えつつ、柔軟に動ける点では合理的な進め方だったと思います。
一方で、事業を継続的に成長させていくには、このやり方だけでは限界があるとも感じるようになりました。そこで3年目に、プロダクト開発への本格的な投資と、正社員として人材を迎え入れる判断をしました。
AI技術の進化によって市場競争が激しくなる中で、プロダクトと組織の両方に責任を持ち、腰を据えて取り組む必要性を強く意識するようになりました。その過程で、覚悟を持って意思決定を重ねることの重要性を実感しました。
それまでは、手元の利益の範囲でできることを積み重ねるスタンスでしたが、それだけでは競争に勝てません。成長に必要なリスクを正面から引き受け、会社として明確な目的を定め、その実現に向けて全力で取り組む。その覚悟を固めたことが、起業以来最大の壁であり、同時に大きな転換期だったと捉えています。

チーム全体で挑戦を成功に変えていく
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
大切にしているのは、挑戦を通じて可能性を広げ、その挑戦を確かな成果につなげていくことです。目の前の課題に一つずつ向き合い、解決していく積み重ねが、結果として自分自身やチーム全体のモチベーションにつながっていると感じています。
新しいことに取り組み、これまでできなかったことが少しずつ形になっていく。その過程は決して派手ではありませんが、前進している手応えを実感できる瞬間があり、そうした兆しをチームで共有できることが次の原動力になっています。
また、成果を個人のものにせず、チーム全体で分かち合うことも大切にしています。新しい仲間が加わったときや、小さな成功を皆で喜べたとき、積み重ねの先により大きな成果が生まれると実感しています。そうしたプロセスを仲間と共に歩めることが、進み続ける理由になっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
セールスとHRといった2つの領域を両軸でしっかりと成長させることです。特に現在注力しているのがアカマネ事業です。「エンタープライズセールスならアカマネ」というイメージを獲得できるよう、プロダクトを含めた事業成長を進めていきます。
教育面では、アカマネ事業の重要な要素として「アカマネブートキャンプ」という研修プログラムを開発しました。グローバル企業で第一線のセールストレーニングを担当していた方と共同で作り上げたもので、90日でトップセールスに育て上げることにコミットした内容です。
最終的には、新しい事業を生み出すスパイラルを作ることを目指しています。私たち自身がさまざまな挑戦をしながら、お客様の新しい挑戦を成功に導いていけるようなスパイラルを生む組織を作ることが、私たちの役割だと考えています。

長く続けられるテーマで起業する
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業のタイミングに、明確な正解はないと考えています。早い段階で挑戦する選択もあれば、一定の経験や準備を重ねた上で起業する選択もあります。重要なのは時期そのものではなく、その判断にどのような根拠を持てているかだと思います。
私自身は、20代前半から起業を意識していましたが、グループ会社の代表や上場企業の役員といった立場を経験した後、2022年に自己資本で創業しました。結果として、事業運営や組織づくり、資金面の考え方などを実務の中で学んだ上で起業できたことは、現在の経営に大きく活きています。
仮に明確な勝ち筋や強い確信があれば、より早い段階で起業する選択肢もあったと思います。ただ、それまでのキャリアで関わってきた人や顧客との関係性が、起業後の事業推進において重要な基盤になっていることも事実です。
起業は一時的なチャレンジではなく、継続的な意思決定の積み重ねです。テーマ選定を誤ると、環境変化や困難な局面で事業継続が難しくなるケースもあります。だからこそ、自身の強みや経験と結びつき、長期的に向き合い続けられるテーマかどうかを冷静に見極めることが重要だと思います。
御社のサービスに興味がある企業へのメッセージをお願いします
私たちは、エンタープライズセールスをテーマにした勉強会を定期的に開催し、実務に即したノウハウや具体的な事例を共有しています。
今年は、これまでの本格的な研修プログラムに加え、より多くの方が参加しやすい形として、約2時間半でエンタープライズセールスの考え方や進め方を体験できる入門講座の提供を予定しています。無料、もしくは1万円程度の参加しやすい価格帯とすることで、初めての方でも気軽に学べる機会を作って行きたいと思っています。
営業活動に課題を感じている方や、より安定して成果を出したいと考えている方に向けて、表面的なノウハウにとどまらない、実行につながる実務的な支援を強化していきます。特に、法人営業や大手企業向け営業に取り組む方にとって、有益な学びやヒントを提供していきたいと考えています。

本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:八並 嶺一氏
大学卒業後、スタートアップの創業へ参画。その後株式会社エージェントに入社し、執行役員CHROおよびCOOとして経営に深く携わる。2020年に上場し、2021年にグループ会社の代表取締役に就任。2022年に独立し、インキュベーター株式会社を創業し、2023年に株式会社HeRosを創業。
企業情報
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法人名 |
インキュベーター株式会社 |
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HP |
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設立 |
2022年8月8日 |
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事業内容 |
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