株式会社パーツワン 代表 長倉 達也

リサイクルから世界を動かす」を理念に掲げる株式会社パーツワン。自動車のリサイクルパーツとリビルトパーツの卸売事業を行っています。使用済み車両から品質確認した部品を、正規ディーラーや整備工場、大手物流事業者などに提供。新品より大幅にコストを削減しながら製造時のCO2排出も抑え、経済と環境の両立を実現しています。代表の長倉 達也氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。

 

環境と産業を両立させる自動車部品のリサイクル事業

事業の内容をお聞かせください

自動車のリビルトパーツとリサイクルパーツを販売しています。

 

リビルトパーツは新品のように再生された部品、リサイクルパーツは使用済み車両から取り外してテストを行い、使用可能と判断された部品です。これらを自動車メーカーの正規ディーラー、量販チェーン店、大手物流業者、町の整備工場といったお客様に販売しています。

 

日本では現在、年間約260万台の車両が廃車されますが、多くはまだ使える状態で回収されます。使用年数が10年を超えたから、駐車場に1台しか置けないからといった理由で手放されるケースが多く、車両自体が大きく損傷しているわけではありません。社会的にはまだ使用の余地があるパーツが個人的な都合で仕方なく手放されてしまう時に我々の存在意義があります。

 

我々の顧客としてリサイクルパーツを活用していただいている例がインターネット通販の配達業務です。

 

Amazonや楽天などの普及により配達需要は大きく伸びていますが、日本の人口は減少しているため、1人が1台のトラックや配達車両を使う時間が長くなっています。つまり、1日の稼働時間が増え、車両が故障するリスクも高まっているのです。

 

配達に使われる車両は、実際にはぶつけたりして傷がついていることも多く、必ずしも綺麗な状態ではありません。例えば10年前に購入した車両をぶつけてしまった場合、新品の部品なら30万円、中古なら10万円で済むとしたら、中古で十分という判断になります。こうした需要が最も大きな顧客層の1つです。実際に今年、全国規模の配送事業者様と提携しました。

 

全国に約4万台の車両を保有し、各拠点に配置しています。配送車両は毎日稼働していますが、故障した際に新品部品で修理すると費用が非常に高くなります。そこで私たちはリサイクルパーツやリビルトパーツの活用を提案しました。

 

この取り組みには大きなメリットがあります。従来は部品が壊れた際、新品部品を製造する必要があり、製造工程で大量のCO2が排出されていました。

 

しかしリサイクルパーツを使えば既存の部品を持ってくるだけで済むため、製造時に発生するCO2を削減できます。つまり、価格が安くなるだけでなく、環境にも優しいのです。このモデルを評価いただき、提携が実現しました。

 

また、新車ディーラーでも変化が起きています。以前は新品部品の使用が大前提でしたが、価格が高すぎると感じるお客様が増えてきたため、第2の提案としてリビルトパーツやリサイクルパーツを提供し、新たな顧客層を開拓しています。

 

部品購入のプラットフォームでは、購入者がスムーズに利用できる工夫をしているとお聞きしました。

自動車部品は非常に種類が多く、正確に適合する部品を見つけることが難しいといった課題があります。

 

例えば同じ車種でも、グレードや年式によってシートやライトなどの装備が異なります。見た目は同じでも装着されている部品が違うため、違う部品を流用することができません。これは日本の自動車の大きな特徴です。

 

私たちが提供するプラットフォームでは、問題を解決するためにデータの自動化を行っています。ユーザーが必要な情報を入力すると、自動的に適合する部品に誘導される仕組みを構築しました。そのため利用者は、いつでも簡単に正確な部品を購入できます。

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

2005年に総合商社の双日株式会社に中途入社しました。新しい自動車事業を立ち上げるための枠での採用でした。

 

当時、2004年に自動車リサイクル法が制定され、2005年から施行される予定でした。双日はこの法改正に合わせて、新しいコンシューマー向けビジネスとして自動車リサイクル事業への新規参入を決めたのです。

 

入社後、事業は順調に成長していたのですが、2007年、突然の撤退が決まりました。総合商社が扱うには取引規模が小さすぎる、規約が多すぎるという理由で採算が取れないと判断されたのです。

 

転職活動をしましたが、納得できる転職先が見つかりませんでした。双日という大きな規模で事業を経験し、大企業だからこそ粗くなっていた部分を丁寧にやればもっとビジネスチャンスがあると思っていたため、自分でやってみようと決めました。2007年に個人事業主としてスタートし、2年半後の2009年に法人化しました。




 

自分の中の限界を追求する

仕事におけるこだわりを教えてください。

「ちゃんとやること」です。しかし「ちゃんとやる」の基準は人によって異なります。私にとっては、常に自分の中の限界を追求し、ベストを尽くすことです。

 

仕事でお客様に信頼していただくためには、お客様が期待している以上のものを提供する必要があるので、特に大切にしています。

 

もう1つは、失敗しても必ず前に進めて解決することです。うまくいかないことの方が圧倒的に多いですが、解決策は前に進むことでしか見つかりません。ですから、必ず前進して解決することを大切にしています。

 

社員にも同じ価値観を持ってほしいと考えています。ちゃんとやらない人がいると、真面目にやっている人の士気が下がります。ですが、ちゃんとやっている人が多数いれば、その姿勢が組織の文化になり、良い社風が生まれます。

 

起業から今までの最大の壁を教えてください

メンバーが離脱することは会社にとって大きな痛手です。

 

少ない人数で事業を運営しているため、一人ひとりへの依存度が高く、誰かが辞めた時のリカバリーは常に大きな課題です。

 

また、会社を運営する立場にいる以上、メンバーが別の道を選ぶことは、寂しさを感じます。ただ、残ってくれているメンバーもいますから、寂しい気持ちは一人で静かに受け止めるようにしています。

 

循環型資源で製造業の勝ち筋を作る

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

日本の未来のための産業を作ることです。

 

自分たちの事業は、自分たちのためだけではないと思っています。日本は戦後、資源のない国として製造業を中心に復興し、特に自動車産業と家電産業が国の繁栄を支えてきました。今も日本の中心は自動車産業です。

 

日本が今後も日本らしく発展していくためには、製造業という最も得意とする分野が、資源の輸入規制や貿易制限など、他国の政策や都合によって、妨げられる状況になってはいけないと考えています。

 

私たちは現在、自動車のリサイクルパーツやリビルドパーツの販売を行っていますが、最終的には使い終わった車を回収し、再資源化して製造業に戻す「製造業サーキュラー」を作りたいと思っています。物を作っても無駄な資源が出ない、公害が出ない製造業の新しい勝ち筋を作りたいのです。

 

従来、こうした取り組みは国や大企業が担うものでしたが、今はインターネットやベンチャー企業といった新しい考え方が生まれています。ビジョンや成し遂げたい世界観が明確であれば、協力してくれる人や企業はたくさんいます。

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

まずは今の事業をしっかり形にすることです。現在の事業を軸に、金融系、人材系、製造系、リサイクル系など、様々な事業へと展開していく予定です。

 

日本の製造業が優れているのは、勤勉さ、真面目さ、正直さ、ルールを守る姿勢といった国民性があったからです。世界の製造業のお手本は日本のやり方でした。今、台湾や中国、インドネシアといった新興国の技術レベルは急速に上がっていますが、日本の特殊な技能や研究力による差はまだ絶対的に埋まりません。

 

一方で、製造過程における環境への配慮といった点では、多くの国がまだ1970年代の日本のような状態です。ゴミの排出、人的被害、森林破壊、有害物質による人体への影響など、様々な問題を抱えています。

 

最終ゴールは、モラルのある日本のサーキュラーエコノミー、使い終わったものを回収するところまで考えられた製造業のあり方を、東南アジアなどに輸出し、アジアに貢献することです。

 

自分が通った道を正解にしていく

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

起業に正解はありません。どれだけ本を読んで学んだとしても、実際にやってみないとわからないことが必ずあります。

 

大切なのは正解を探すことではなく、やってみた結果をどう正解にしていくか。自分の選んだ道を正解にすることが、起業家に必要な姿勢です。ですから、思い描いている世界に向かって思い切って進んでみてください。

 

今は、自分たちの活動を見てくれる人たちが様々なところにいます。あれこれ考えるより、まず一歩前に進んでみましょう。

 

採用を強化されているそうですね。御社の強みや特徴について教えてください

私たちはまだ完全に整った会社ではありません。だからこそ、会社を一緒に作っていける楽しさが最大の魅力だと思っています。

 

市場という観点では、自動車業界は市場規模が非常に大きい一方で、まだまだアナログな仕組みで成り立っています。DXで変革していける大胆さと面白さがあります。

 

この2つに魅力を感じていただける方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。

 

▼採用情報の詳細はこちら
https://www.partsone7.com/recruit/culture

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:長倉 達也

日産自動車専門学校を卒業後、事故車の修理を行う自動車鈑金業の会社に入社。その後、フルコミッション制の営業職や大手商社の新規事業開発職を経て、2009年11月、株式会社パーツワンを設立。

 

企業情報

法人名

株式会社パーツワン

HP

https://www.partsone7.com/

設立

2009年11月17日

事業内容

  • 自動車のリサイクル部品
  • リビルト部品の卸売
  • リビルト部品の企画
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