株式会社Helios 共同創業者CEO 佐々木謙一 /COO 八島京平

株式会社Heliosは、衛星開発からデータ解析まで一貫して手がける環境データ解析の専門企業です。ChatGPTのように日本語で質問するだけで、都市開発や防災、農業に必要な判断材料を提供するシステムを提供しています。共同創業者CEOの佐々木謙一氏、 COOの八島京平氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。

 

衛星開発から環境データ解析まで一貫対応

事業の内容をお聞かせください

八島氏:リモートセンシングのデータ解析を行なっています。リモートセンシングとは、物に触れずにデータを取得する技術で、衛星や飛行機から地形を測定することも含まれます。

 

私たちは、写真、地形、水の動き、植物の分布など、様々な環境データを集めて解析し、お客様が必要とする情報を提供しています。ただし、単なるコンサルティングではなく、ChatGPTのようにブラウザ上で日本語で質問できるシステムを開発しています。

 

例えば「東京の八王子で農業をやりたいが、何を植えたらいいか」と聞けば、過去の気象データや地質データから、具体的な作付け計画を提案します。環境データを活用できるLLMのようなシステムです。

 

主な顧客は、自治体やインフラ建設会社です。現在、道路や鉄道を建設する企業と協業しており、トンネル建設時の環境アセスメントへの活用を進めています。

 

環境アセスメントでは、PDFやExcelなど散在するバラバラなデータを扱う必要があります。これらを全て私たちのシステムに集約し、猛禽類の分布はどうなるかと質問すれば、システムが解析して様々な判断材料を提供しています。

 

また我々の強みは、データ解析だけでなく、データを取得する段階でのコンサルティングや技術指導もできるのが強みです。実現できる理由は、共同創業者CEOの佐々木がリモートセンシングで博士号を取得しており、カメラの開発を手がけた経験があるからです。

 

私たちの事業は、データ解析を「セントラルキッチン」のように集約する仕組みです。ユーザーが個別にExcelで計算するのではなく、「必要なデータ」を伝えるだけで、すぐに活用できる形に整えた分析結果を提供します。

 

また特徴としては、分析だけでなく、データの収集・整理・前処理といったデータを生産する工程まで一貫して担っている点です。データ生産と解析の両方に強みを持つことで、他社にはない差別化を実現しています。

 

佐々木氏:当社は、センサーや衛星といったハードウェアの開発から、取得したデータの解析まで一貫して対応できる点が特徴です。宇宙分野を強みとしており、衛星を実際に作り、宇宙からデータを取得して解析するといった一連の流れが私たちの事業の基軸になっています。

 

 

事業を始めた経緯をお伺いできますか?

八島氏:佐々木とは東京工業大学の同期でした。私は修士課程在学中に事業を立ち上げたのですが、その中で小型衛星を作る機会があり、2年前に佐々木に協力を依頼したのです。

 

当時、私は衛星データビジネスに懐疑的でした。衛星データ1本では限界があると考えていたのです。ですが、佐々木から様々なデータを複合的に使うことで可能性が広がると聞いて考えが変わりました。

 

また、起業のタイミングも重要でした。ベンチャー投資は増えていますが、以前に比べて選択と集中が進んでいます。5年後には参入が難しくなると判断し、2年前の8月に登記しました。

 

佐々木氏:起業には興味があり、自分の技術を活かした事業をやりたいと考えていました。そんなある時、八島から連絡を受けて2024年5月にアメリカから帰国し、8月の登記に参加しました。

 

私は日本やシリコンバレーでもスタートアップで働いた経験があり、当時の知見は今の事業運営に役立っています。

 

高い技術力を持つ事業を作り出す

仕事におけるこだわりを教えてください。

佐々木氏:技術に強いこだわりがあります。宇宙分野は、マーケティング先行型になりがちです。そのため中身の技術が追いついていないケースもあります。

 

だからこそ、私たちはしっかりとした技術を持つ技術力の高い会社を作っていくことを重視しています。

 

八島氏:技術的な裏付けを重視しています。新しい技術にも早めに触れて、採用すべきかしないべきかという議論を社内でよく行っています。

 


 

起業から今までの最大の壁を教えてください

佐々木氏:壁らしい壁は感じていません。ですが、カルチャーの違いを実感することはあります。

 

他のベンチャー企業が毎月合宿やバーベキューを開催する中、当社では飲み会すらなく、集まる機会は3ヶ月に1回程度です。海外にいるメンバーもいるため、参加者は半分ほどになります。強いて言えば、そうした点が壁と言えるかもしれません。

 

八島氏:チームメンバーは専門分野と幅広い知識の両方を持っているため、技術的な面の壁もなく、新しい課題にもスムーズに対応できています。

 

ただ、佐々木が言うように、メンバーが全員エンジニアであることもあり、チームの一体感は非常にドライなものだと思います。

 

VCやベンチャーに長くいる人たちからすると、盛り上がりが少ないと感じるかもしれませんが、私たちはこのスタイルでこれまで成果を上げてきました。

 

事業を進めるにおいて人間関係は重要だと理解していますが、人間関係があれば事業が進むというような考え方は、当社にはあまり当てはまりません。

 

私たちは、各メンバーが自立しているからこそ、効率的に事業を推進できると考えています。

 

必要なのはモチベーションではなく、覚悟

進み続けるモチベーションは何でしょうか?

佐々木氏:起業する時点で覚悟は決まっていたので、モチベーションを意識することはありません。5年、10年やるものとして始めた以上、やらないという選択肢はないです。

 

無事にスタートできたので、今後はゴールに向けて走り続けるだけだと思っています。

八島氏:私は自由に考えを発信したりすることがモチベーションになっています。リスクは高いですが、自分が正しいと思ったことに時間を使えるのはありがたいことです。

 

自由に探求し、好奇心を満たすことがモチベーションに繋がっています。

 

 

今後やりたいことや展望をお聞かせください 

最終的には環境データの解析と言えばHeliosと世界中で認識されるレベルまで成長したいと考えています。

 

日本では人口減少により、大規模な都市開発は難しい状況です。一方で、フィリピンやインドネシアでは首都移転などの大規模プロジェクトが進んでいます。

 

世界中のプロジェクトで当社の技術が活用される状況を実現したいと思っています。

 

また、日本の郊外にGoogleのような大規模な研究施設を作りたいです。そのためにも、現在は日本を中心に事業を展開していますが、数年後には東南アジアへの進出を計画しています。

 

「やめとけ」と言われても突き進むハングリー精神を持つ

起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします

八島氏:起業したいという人には、私は最初に「やめたほうがいい」と言います。

 

そう言われてやめてしまう人は、起業には向いていません。どんなに否定されても、やり抜こうとする人が起業家なのです。

 

資金調達や顧客との商談では厳しく言われることもあります。そこで引き下がってしまえば終わりです。その後もあきらめず交渉したり、信念を貫く力が必要です。

そうでなければ、次第に自分が何のために起業したのかわからなくなります。自分自身の考え、センス、見通しが形になり、会社として成功していくのです。アドバイスに耳を傾けることは大切ですが、自分の軸だけは失わないでください。

 

佐々木氏:ハングリー精神が大事だと思います。最近の学生を見ていると、真面目で優等生タイプの方が多いです。日本は今、スタートアップを支援する流れにありますが、実際に起業しているのは上の世代が中心です。

 

私は32歳ですが、若い世代には、安定志向の傾向が強いと感じることがあります。だからこそ、若い方には人生を賭けてでも世界を変えるというような情熱を持ってほしいです。

 

正しいかどうかはわかりませんが、起業にはそれぐらいの覚悟が必要だと思います。

 

 

採用を強化されているそうですね。どのような人材が理想でしょうか?

初期のベンチャー企業であるため、幅広い業務に対応できる人が理想です。

 

また、技術力だけでなく、最低限のコミュニケーションができることも重視しています。エンジニアには個性的な人が多いと理解していますが、人として誠実な姿勢を持ち、それが日常の態度や仕事の進め方に表れている方と一緒に働きたいと考えています。

 

事業内容的にはフルリモートも可能ですが、新規採用の場合は人柄や仕事のやり方を理解するために、ある程度リアルで会うことを重視しています。四半期ごとか月に1回、可能であれば週1回程度は直接会うようにしています。

 

また、私たちの仕事は現場に行くことが多く、オフィスでデータだけを見て判断するのは適切ではありません。衛星で取得したデータも、実際に現地で確認しないと正確性がわからないことが大半です。そのため、フットワークの軽さも重要視しています。

 

もしご興味をお持ちくださる方がいらっしゃいましたら、一度ご連絡ください。

 

本日は貴重なお話をありがとうございました!

起業家データ:佐々木謙一氏/八島京平

佐々木謙一:東京工業大学で学士号・修士号を取得し、在学中は衛星開発プログラムに参加。その後、コロラド大学ボルダー校に進学し、リモートセンシング分野で博士号を取得。株式会社Heliosを共同創業しCEOを担う。

 

八島京平:東京工業大学で航空宇宙工学を学び、修士課程在学中に宇宙教育をテーマとする株式会社うちゅうに代表取締役社長として参画し、早期から事業づくりに携わる。2018年に ZipInfrastructure株式会社を共同創業し、2023年まで取締役として、都市交通インフラの事業開発と管理部を管掌。2022年には「Forbes 30 UNDER 30」に選出。現在は株式会社Heliosの共同創業者兼 COO を担う。

 

企業情報

法人名

株式会社Helios

HP

https://www.helios-rs.com/ja

設立

2024年8月

事業内容

  • データ取得・ 整備 
  • マルチモーダル解析
  • SaaS型AI プラットフォーム 
  • コンサルティング・共同研究 
  • 解析業務委託

 

送る 送る

関連記事