【#624】製造業の収益10%向上・年収30%UPを目指す。製造業を変えるカスタマイズ不要の業務改善システム|代表取締役 永原 宏紀(株式会社ネクスタ)

株式会社ネクスタ 代表取締役 永原 宏紀
株式会社ネクスタは、製造業に特化したクラウド型の基幹業務システムを提供する企業です。主力サービスである、「SmartF」では、従来オーダーメイドが一般的だった製造業の基幹業務システムを、カスタマイズ不要のパッケージとして提供。中小企業でも導入しやすい価格とシステムに不慣れな現場作業者でも使いやすいUXをを実現しています。代表取締役の永原 宏紀氏に、事業内容や今後の展望なども含めて詳しくお聞きしました。
製造業の生産性と売上を上げるクラウドシステム
事業の内容をお聞かせください
製造業向けにシステム及びサービスを提供し、メーカーの業務改善を支援しています。
私たちが提供している「SmartF」は、在庫管理や工程管理など、商品の生産過程における様々な業務を集約する社内の基幹システムとして利用することができます。受注から入金に至るまでの管理や請求書発行にも対応していて、直近では、製造業に特化した営業支援機能もリリースしています。
例えばそれまでは手書きや手入力で在庫管理をしていたメーカーが「SmartF」を導入すれば、システムで一元的に在庫を管理できるようになり、記録やカウントにかけていた時間を圧倒的に短縮できます。
ただ、導入には特有のハードルも存在します。
システムを一度導入すれば、現場はバーコードをスキャンするだけで記録が完了するため、工数は大幅に削減できます。一方で、導入の際には、複雑な業務フローのシステム化という大きなステップが必要です。
特に、長年Excelで管理されてきた業務を移行する場合、現場からは業務が変わることへの抵抗感が生じることも少なくありません。だからこそ、分かりやすさを追求した設計を心がけています。
これほどまでに業務効率が求められるのには、業界の人手不足が大きく影響していて、実際に多くの企業が人材の離職や原価・人件費の高騰に悩まされています。私たちのシステムは、人手不足を少しでも解消し、現場の負担を軽減することを目指しており、無駄な業務をなくすことで、同じ人数でより多く生産できるようサポートしています。
また、いくつもの企業を支援する中で、多くの企業に営業面での改善余地があると気づきました。製造業において、能動的な営業を行っている企業はほんの一握りにすぎません。
だからこそこの不慣れな営業を仕組み化し、中小の製造業に合ったスタイルを導入すれば、製造業の売上は向上すると確信しています。

事業を通じ、社会にどのような影響を与えたいですか?
SmartFの普及を通して製造業の収益を10%、そしてそこで働く従業員の年収を30%上げることです。インパクトのある目標ですが、私たちのプロダクトなら実現できると考えています
しかし、この目標は単にシステムを導入するだけでは実現できません。重要なのは、その導入の過程で社内のデータを可視化し、業務そのものを見直すことです。
この作業を経ることで業務改善が進み、生産性が向上していきます。さらに、営業支援機能を活用すれば売上そのものにアプローチすることもできます。このように生産性向上と営業強化の両方を実現することで、利益を着実に上げていけると考えています。
多くの製造業は、ビジネスにおける正解がわからないまま業務を続けています。その中で私たちはシステムと業務フローをセットで提示しています。そうすることで、製造プロセスの最適化を進めることが可能になっています。
私たちはこうした取り組みを通じて、製造業全体を良くしていきたいと考えています。

貴社のサービスを導入した企業の成果を教えてください
「SmartF」の導入によって、従業員一人あたりの売上が1.5倍になったという事例があります。これは従業員30名ほどの小規模な会社における事例ですが、無駄な業務を徹底的に省き適切な順番で生産を組むことで、効率が大幅に向上したのです。
事業を始めた経緯をお伺いできますか?
私は新卒でキーエンスに入社し、営業を担当していました。3年目には営業成績1位を収めることができました。そこで、一定のスキルを習得できたと感じたため退社を決意し、父の経営するシステム開発会社に加入しました。
父の会社では営業を担当していたのですが、さまざまな業界について知る中で、特に製造業のシステムが非常にアナログであると気づきました。
製造業は市場規模が大きく、人手不足は今後さらに深刻化することが目に見えているにも関わらず、DXが遅れています。DXが必要とされていても、その難しさから変革が進まない業界の現状に、私は可能性を感じました。
また製造業の生産管理は、ひとつのシステムを汎用させやすいバックオフィス系のシステムと比べて、企業や分野ごとの独自性が強く、従来は数千~数億を要するオーダーメイドの開発が一般的でした。しかし、多くの中小企業にとっては、このオーダーメイドにかかる費用がシステム導入の大きな障壁となります。
そこで、カスタマイズの必要がなく、安くて使いやすいソフトの開発を目指し、起業に踏み切りました。「SmartF」ではソフトの設定を細分化することで、オーダーメイドに頼ることのないシステム開発を実現させています。
まずはより良いプロダクト作りに注力
シリーズBファーストクローズの資金調達を終えられたばかりとお聞きしました。どのような点に注力する予定ですか?
一番注力しているのはプロダクト開発です。より完成度を高めていくために、「SmartF」はすでに多くのお客様に活用いただいていますが、まだまだ進化の余地があると思っています。
新しく作るべき機能もありますし、既存の機能にも改善点があります。そんな課題に着手すべく、現在もプロダクトエンジニアを増やして開発やアップデートを進めています。
もちろん同時並行的に営業人材や顧客基盤を増やすなど、事業拡大にも投資していく予定です。

創業時からの変化についてお聞かせください
創業期と比べて大きく変わったのは組織の規模です。2年半前は30人ほどだった従業員数も、事業の成長に比例して、今や120人にまで増えました。
また現在は大阪と東京に拠点を持ち、リモートにはなりますが全国展開もしています。売上も、直近の2年半だけで7倍に伸びました。
お客様からお褒めの言葉を頂く機会も増えています。引き続き、売上だけでなくお客様の満足度にもコミットしていきたいです。
お客様へ最速で最大の価値提供を行う
仕事におけるこだわりを教えてください。
創業当初から常に心掛けているのは、「いかにして最速で最大の価値をお客様に届けるか」ということです。私たちはお客様に価値を提供し、対価としてお金をいただいています。そしてそのお金を従業員に還元したり、開発への投資に使います。
事業の本質は「いかに付加価値を提供できるか」そして「どれだけその価値に見合った対価をいただけるか」だと考えていて、だからこそ常にこれを心がけるようにしています。
また、社内のカルチャーとして、従業員の希望を尊重する「ウィルファースト」を大切にしています。人は、頼まれたことをただやるよりも、自分のやりたいことをやっている時が最もアウトプットが高いと思います。
そのため、会社の方針と従業員一人ひとりのやりたいことをできるだけ一致させるようにしています。
そのために本人の希望や適正に応じて部署異動も柔軟に行われます。例えば、営業から導入支援、開発エンジニアからプロダクト企画など。
このように、従業員一人ひとりのアウトプットを最大化させるような環境づくりを行っています。
起業から今までの最大の壁を教えてください
受託開発からSmartFに事業をピボットした時期が一番大変でした。
1件あたり500万円や数千万円の受託の新規案件を一切受けずに、プロダクト開発に専念する決断をしました。
その時期は、従業員を抱えながら毎月売上が減り続け、キャッシュアウトが続いてしまいました。
成功したとしても最初は月数万円からスタートなので、売上は全く上がりません。数年の間、減り続けるキャッシュを横目にプロダクトを作り続けなければならなかったことが最大の壁でした。
誰も取り組んでいないからこそやる価値がある
進み続けるモチベーションは何でしょうか?
私たちの会社が難しい課題に挑戦していることこそがモチベーションになっています。今取り組んでいる製造業のDXは、やはり大変です。
だからこそ、これが実現できれば革新的で、社会に大きなインパクトを与えられます。加えて、私はこの事業に対して本当に価値があると信じているからこそ、挑戦し続けたいという強い思いもまた原動力に繋がっています。
今後やりたいことや展望をお聞かせください
会社としては上場を目指しますが、それ以上に大切にしたいのは、お客様の収益を改善し、業績を向上させることです。
「SmartF」を通じて中小製造業を支援することで、その企業の従業員の年収を上げたり、事業を拡大できる会社を増やしていきたいです。
製造業は日本のGDPのうち、2割以上という大きな割合を占めています。そしてそのうちの大半が中小企業です。
私たちはその中小企業の収益を10%改善し、そこで働く人びとの年収を30%上げるという目標を掲げています。これが実現できたら、社会にも非常に大きなインパクトを与えられます。ほかにこれができる企業は無いはずです。誰にも成し遂げられないことだからこそ。挑む価値があると思っています。
起業は大変だからこそ、学べる環境と仲間が必要
起業しようとしている方へのアドバイスをお願いします
起業は本当に楽しくやりがいがありますが大変なことも多く、学ぶべきことが山ほどあります。だからこそ、自分自身を成長させられる環境と仲間を作ることが大切です。
まずは、自分と同じ若しくはよく似た業種の先輩や、同年代の仲間を作ってみてください。
同じフェーズにいる方だと、自分と似た悩みを抱えていることが多く、関わりを通して学びを得られることがあると思います。

本日は貴重なお話をありがとうございました!
起業家データ:永原 宏紀氏
同志社大学工学部を卒業後、新卒でキーエンスへ入社。その後、父親のシステム会社で製造業向けシステムの受託開発事業を立ち上げた。約200社の現場へのシステム導入経験を経て、2017年に株式会社ネクスタを創業。低コスト・低リスクで導入できる製造業向け基幹業務クラウド「SmartF」をリリースした。製造業界への貢献を通して、日本経済に最大のインパクトを起こすというビジョンを掲げる。
企業情報
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法人名 |
株式会社ネクスタ |
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HP |
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設立 |
2017年 4月 |
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事業内容 |
製造業DXクラウドシステム「SmartF」の提供 |
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